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「…………」

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暗い闇。何一つ確かな物のない混沌の如き闇の中で、金色と?紅の言?が、色彩の和音を奏でていた。
二つの色彩は、紡ぎだされる旋律に合わせる?に二つの三角に別れ、四方を?み地に五芒、天に六芒の星を描き出す。

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「――!」

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瞬間、二つの旋律が?けた。
?けた旋律は二つから三つに、三つから四つに、次?と色彩を加え、ついには闇の中に七色の虹を屹ち上げた。

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「本?に宜しいんですの?」

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僅かな沈?の後、虹色に照らされた金色がほっとしたような息使いで?いた。

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「熟慮の結果よ。わたしとあんた、二人が一年かけての解析で目が出なかったんだし、こうなったら??で形にするしか使い道ないもの」

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それに、紅がどこか憮然と?えを返す。

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「確かに……目の前に結論が見えている?に思えても、そこに踏み?む度に更に向こうに遠のいていく……まるで逃げ水ですわ。理屈はわかるんですけれど……」

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「理屈で魔法に?くなら世話ないわよね」

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僅かに弛緩した空?の中、照らし出された金色――ルヴィアゼリッタ?エ?デルフェルトの口惜しそうな言葉に、?紅――遠坂?は自嘲混じりに肩をすくめて?えた。

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「それじゃ、とっとと片付けちゃいましょう。それに、いざとなったら……」

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「またシェロに創ってもらうとでも? それこそ、そんなことが出?たら世話がないですわ」

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そう、確かにこれは士?が創ったもの。だが決して士?“?り”で創った物ではない。これは士?が創らされるべく授けられた物でもあるのだ。現にあれ以?、士?はこれの再投影には成功していない。だが……

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「あいつ出?目だから、もしかしたらってのはあるのよねぇ」

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「シェロですものねぇ」

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二人は同時に自分たちの施術を忘れ、一人の?年の顔を思い浮かべ苦笑した。理と知を至上とする魔術師として些か不本意ではあるが、何の根?もない?なのに、彼なら何とかしてしまう。そんな?がしてしまったからだ。
彼は決して諦めない。諦めない限り、挫けない限り前に進む事は出?る。それになにより、士?は馬鹿だからなぁ……

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「ま、そんなわけで?悟は出?てるわ。始めましょう」

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「なにが、そんなわけか今一つわかりませんけど、それならわたくしにも否はありませんわ」

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一瞬の弛緩、本番前のちょっとした息?きを終え、二人の間に再び緊張がみなぎる。

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「――――Anfang(セット)」

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「――――En Garand(レディ)」

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二人の呪に合わせ、七色の虹に見えない力が?束する。
万華鏡の如く移ろい浮かぶ七色の刃。模造(フェイク)とはいえ、今まさに?石?(ゼルレッチ)に力が宿った。

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おうさまのけん 
「?の王」 -King Aruthoria- 第九話 前編
Saber 

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「――同調、開始(トレ?ス?オン)」

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薄暗い闇の中で、俺はただ一点に意識を集中しつつ言い慣れた呪を紡いだ。
途端、一心に見つめていたフラスコの底で小さな魔法陣が浮かび上がり、淀んでいた乳白色の液?が波打った。
俺は背骨を貫く、?けた火箸を突き刺されるような感?を意識下に押しやりながら、更に呪を重ねる。

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「――重力、?離(テイク?オフ)……」

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呪を待っていたかのように魔法陣に?が宿り、乳白色の波はその?りに照らされて更に大きく立ち上がった。そしてそのまま、まるで映?機を逆回しするように、フラスコの中央で球となって浮かび上がっていく。

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「――精?、開始(バトルオ?ダ??リセット)」

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俺はそこにもう一つの呪を重ねた。すると魔法陣に照らされた乳白色の液球は一つまた一つと色を加え、ついに万華鏡のように移ろいながら虹色に輝く球へとその姿を?えていった。

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「……」

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フラスコの中でゆらゆら?れる虹色の液球を見据え、一呼吸だけ置く。背筋を貫く痛みも感じ慣れた疼きへと?り、俺の回路は意識せずとも順調に魔法陣へと魔力を流し?けていく。よし、大丈夫だ。

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「――編制、開始(レッツ?コンバイン)」

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俺は魔法陣に十分魔力が行渡ったのを確認して、最後の呪を送る。魔法陣からの?りが徐?に色合いを?え、うねうねと蠢く虹色の液球は魔法陣の?化に合わせるようにその色合いを薄れさせていく。
ここまで?れば、後は魔法陣が勝手に仕事を進めてくれる。それを確認し、俺は一つ?いた。

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「……ふう」

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「お疲れ?です。シロウ」

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と、漸く一息ついて背筋を伸ばしたところで、俺は目の前で優しく微笑む聖翠の瞳と鉢合わせてしまった。

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「あ、セイバ?。その……何時からそこに?」

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「シロウがそのフラスコを見詰めだした?りからです。何か施術だったようなので、邪魔をしては?いと思い終わるまで待っていました」

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暫し見とれてしまった俺のいかにもとってつけたような言葉に、セイバ?は手に持ったトレイを作業台の隅に置きながら、苦笑交じりに?えてくれた。
フラスコをって事は施術の最初の頃からじゃないか、三十分近く待たせちまったのか。

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「ついでと言ってはなんですが、お茶を淹れてきました、どうやら施術も終わったようですし、一休みする頃合では?」

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俺がしまったと臍を?んでいる間にも、セイバ?は手際よくお茶の用意を進める。

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「あ、すまない。お茶くらい自分で淹れたのに」

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「今日はシロウも?も工房にお?りでしたから、こんな時くらい私に淹れさせて欲しい」

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そりゃ?い事をしたと、慌てて俺も手?おうとしたのだが、セイバ?はするりと俺の手を遮り、どこか?しそうにお茶を淹れてくれた。

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「わかった。それじゃ有難く頂く。でも俺だけってのは嫌だな。セイバ?も付き合ってくれ」

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「はい、では私も御一?させていただきます」

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こうして俺は、自分の工房で徐?に色合いを?える液球を?んで、セイバ?とお茶を?む事になった。

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「旨いなこれ、セイバ?が作ったのか?」

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「いえ、私にはまだこれほどの物は作れません、シュフラン殿から頂いた品です」

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?かいミルクティ?と手作りのクッキ?。長時間の施術で些か疲れた?と頭に、そのほんのりとした甘さがなんとも心地良い。俺はセイバ?と、料理やらお菓子やらといったとりとめのない話をしながらその心地よさを?しんだ。
英?と魔術師の話としてはどうよって?容かもしれないが、殺伐とした世界の中でそんな何でもない日常がある事が、何故か妙に嬉しく感じていた。
と、ここまで浸っていて、俺はもう一人の魔術師の事に思い至った。拙い拙い、あいつの事をすっかり忘れてたなんて言ったら、後で何を言われるか……

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「そういや遠坂は? あいつの?子はどうなんだ?」

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「小一時間ほど前に工房を?いた時には、まだ施術の?っ最中のようでした」

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なんでもかなり大掛かりな施術の佳境に入っていたらしく、流石のセイバ?も?をかけるきっかけを?めなかったと言う。

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「頑張ってるなぁ。一昨日の晩ルヴィアさんの家から?ってきてから、?りっぱなしだったっけ?」

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そろそろ年度末。今期の?究の仕上げって事らしく、この一週間ほど遠坂はルヴィア?とお互いの工房を往復する?日を送っていた。どうやらそれが佳境に入ったらしい、頑張るのは良いけど無理しなきゃ良いんだが……

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「それはシロウも同じでは? 二人とも、食事もそこそこで作業に?頭していたように見受けられましたが?」

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などと感想を漏らしたら、セイバ?は俺に向かって何?か恨めしげな視線を向けてきた。あ、こっちも拙い……

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「あ、いや、すまん。俺も今ちょっと忙しかったから…… そうだ、今日はなにかセイバ?の好きなものを……」

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?座にその視線の意味がなんであるかを悟った俺は、慌ててセイバ?に弁解をした。
遠坂同?、俺もこの一週間はえらく忙しかった。
理由も遠坂と同じ、年度末の試?やらレポ?トのた?だ。それは遠坂ほど?門的でも深くもないが、それでも結構きついものがあった。せめてもの救いは、去年のように遠坂やルヴィア?に付きっ切りで補習を受けなきゃならない程は、酷くなかった事くらいだ。。
まあ、そんなわけでセイバ?の言う通り、俺も遠坂も手早く食事を?ます時くらいしか顔を合わせていない。で?然、食事も手早く作れて手早く?ませられる物が?いていた。ようするに……些か?だったわけだ。

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「シロウ、前?から思っていたのですが、私について食事にだけ注意を?っていれば良いと考えていませんか?」

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が、この弁解は何故かセイバ?さんの?に障ってしまったらしい。目を半眼にしてずいと身を?り出して迫っていらっしゃいます。

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「い、いや、そんな事はないぞ。ただこのところ食事がちょっといい加減だったかなと……」

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「食事などどうでも……いえ、それよりです! ?の心配も良いですが、自分も余り無理をしないようにして欲しいと言いたいのです! 食事は?しては、きちんと作って頂ければ文句はありません!」

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ああ、そういうことか。心配してくれてたんだな。確かにちょっと根を詰めすぎていたかもしれない。

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「すまない、心配かけた。今日の夕食はしっかり作る」

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俺はその事に感謝して、素直に頭を下げた。
心配してくれて有難う。でもな、セイバ?。どうでも良いと言い切れなかったり、“きちんと”にアクセント入れてたりするとこ見ると、やっぱりそっちにも文句あったんじゃないか?

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「そうではないと何度言えば……お願いします……」

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?もなにか言いたそうなセイバ?だったが、俺がしっかり正面向いて頭を下げたら、ぼそぼそ?きながらも納得してくれたようだ。わかったわかった、?飯から頑張るから。

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「ところでシロウ。それは何なのでしょう? いつものガラクタいじりとは趣が違うようですが」

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今日の食事をきちんと作ることを約束して何とか宥めすかし、ほっと一息ついていると、セイバ?は今度は作業台の上のフラスコを視線で示しながら尋ねてきた。

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「ガラクタは酷いぞ。いつもやってる事だって、魔術の修行もあるんだからな」

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「つまり、ガラクタ弄りもあるわけですね?」

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だが、いつもなら素直にそうですかと?いてくれるセイバ?なのに、今日は何故か微妙に絡んでくる。やっぱりまだ根に持ってるんだね……

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「いや、まぁ……そうだけど」

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俺はそんなどこか見透かすようにつんと視線を向けてくるセイバ?に、僅かたじろぎながら工房を見渡した。
そこかしこに置かれた品?。如何にもな魔術の道具や、殆ど化?の道具と?らないような?金術の機材や素材もある事はあるが、大半は一?何時のもんだろうってな時計や?動機(エンジン)、それ以上に古そうな?れた家具や道具たちばかりだ。
ううむ、確かにこれじゃ冬木の衛宮邸(いえ)にあった?と、何?が違うのかって聞かれても返答に困る。現にセイバ?はそんな目で俺を見てるし。

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「でも、ほら、こんなのは中?日本じゃ見つけられないんだぞ?」

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だがそれでも?、俺は反論せざるを得なかった。
英?ってとこは、流石にこういった古道具に?しては日本よりはるかに充?している。なにせ、ごくごく普通に百年二百年物の道具や機械が今でも現役で?っているくらいだ。だから、たとえ?れていたり部品が足りないガラクタのような品物であっても、修理する道具や部品は探せばいくらでも見つけることが出?る。つまり一旦作られた道具は例え?れても直して、手を加えて最後まで使い切ることが出?るのだ。俺にとってこれほど素晴らしい事はない。

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「わかりました。シロウは本?にガラクタが好きなのですね」

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だから、そんな事を切?と訴えていたのだが、セイバ?さんは何故かどんどん、どんどん?れたような顔になっていく。なんか?然としないなぁ。

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「いや、そうじゃなくてだな……」

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俺はまた何か間違ってしまったようだ。だが、だがしかし、これは間違っているかもしれないが正しいんだ。俺は更に、そこかしこの品?を?際に手に取り、?れるを通り越して引き始めたセイバ?に向かって?例を示しながら、必死で抵抗を?ける事にした。
それになにより……ああ、くそ! そうだよ! 俺はガラクタ弄りが好きだよ!

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「ほら、見てくれセイバ?。これ百年近く前の?燃機?(ガソリンエンジン)なんだけど、キャブレタ?が……」

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結局、ガラクタフェチについてはカミングアウトさせられた俺だったが、それでもこの道具類の素晴らしさだけはセイバ?に判って貰いたくて、必死で解?を繰り?げた。なあセイバ?、百年物の機械類とか三百年物の道具とか、長年にわたって人の手で使われ?けた物ってのは本?に凄いものなんだぞ?

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「はいはい、凄いです凄いです」

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だが、セイバ?さんは聞いちゃくれません。なにか遠坂のような胡散臭そうな目で俺の手の品物を一瞥するだけで、俺の言う事なんか綺麗さっぱり右から左に流してくれる。くそお、俺だってセイバ?の食欲には理解を示してるんだから、俺のほうにも少しは理解を示して欲しいぞ。

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「よし、じゃこっちはどうだ? 二百年前の洗濯機で……」

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「それよりシロウ、結局これは何だったのですか?」

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ここまで?たら後には引けない。諦めない限り挫けない限り前に進めると、俺は?明を?けようと意??んだ。しかし、セイバ?は、やっぱりそんな俺を全くと言っていいほど取り合わずに、目の前のフラスコを興味深げに突つきながら?明を遮ってくる。
何か?然としない。俺の手に取った道具たちはスル?で、そっちには興味深げで……別に俺は魔術師になりたいわけじゃないんだぞ。そりゃガラクタ使いになりたいわけでもないけど……

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「シロウ、何をぶつぶつ言っているのですか?」

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そんな事を考えていたら、?の?省癖(?面モ?ド)がうつってしまったのですか? とセイバ?に苦笑されてしまった。さらに趣味について?きになるとこなども、最近二人は似てきましたね、と諭すような口調で付け加えてくる。
はて? 確かに俺のガラクタ好きは趣味かもしれないけど、遠坂になんか趣味ってあったっけ? そう思って聞き返したら、セイバ?はどこか暗い表情で視線を逸らすと、何事か小さく?いた。うっ、こ、これは……

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「こ、これなんだがなセイバ?、万物融化?(アルカヘスト)ってやつなんだ!」

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その?きが耳に入った途端、俺は本能的に話題を逸らしていた。

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「シロウ、話を逸らそうとしていませんか?」

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「そ、そんな事はないぞ! 第一こいつについて聞きたがってたのはセイバ?だろ?」

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「それはそうですが……」

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ともかく、俺はセイバ?のどこか?然としないと言った表情を敢えて無視して、万物融化?(アルカヘスト)の?明を?けた。とにかく今はさっきの話題を?けてはいけない。
何せセイバ?の言う遠坂の趣味は、「……無?使い……」だったのだから。

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「ほほう、全てを溶かす液?ですか」

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「ああ、パラケルススって人が見つけたらしい。こいつの作成が祖材科(マテリアル?ハ?メストロジ?)の最終考査なんだ」

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俺は、漸く興味を目の前のフラスコに?してくれたセイバ?に、頭の中で授業のおさらいをしながら?明を?けた。
“全ては一にして、一は全て”
魔術の?ての源はこれだ。一は?てであると同時に?てに一は存在する。この“一”こそは根源。そして魔術師は自分の中にある“一”つまり魔術回路を通してそこに向かう。そして一般的な?金術師とは、自らを含めて?ての中に存在する“一”を抽出し、それを用いて根源への道を開こうとする魔術師の事なのだ。俗に言う“賢者の石”って奴は、この抽出された“一”の結晶というわけだ。
そしてこの万物融化?(アルカヘスト)。全ての物を“氷に湯をかけたように”溶かすこの液?は、この?金術の究極の目標、賢者の石を作り出す?に必須の祖材だ。
尤も、?てに一が含まれているといったって、科?のように元素として中に入っているわけじゃない。あくまで“?念”としてその痕跡があるってだけだ。だからもし“一”を取り出したければ、科?的でなく?念的に存在を分解し“一”を抽出しなければならない。だから、こいつも?ての物を溶かすって言っても、化?的な分解でなく?念を溶解する魔術的な物質ってわけだ。

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「しかしシロウ、?てを溶かせる液?というのは、些かおかしくありませんか? ?てを溶かせる以上、それを?める容器すら溶かしてしまうように思えますし、そんなものを扱う事も不可能なのでは?」

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とはいえセイバ?の言うとおり、“何でも溶かす物をどうやって治めるか?”という問題から、こいつは“表”の世界じゃ製造不可能、つまり存在しない物だって言われてきた。そう、普通ならそんなものあるはずがない。

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「だからこうやって扱うんだ」

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だが俺たちは魔術師。俺はセイバ?に、フラスコの底に描かれた魔法陣を指し示しながら話を?けた。

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「成程、宙に浮かして作り上げるわけですか」

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「そうなんだ。こうやって宙に浮かして仕上げて、更にそいつを加工して、溶かしたい物以外は溶けない?にするってわけさ」

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重力呪で固定し最後の工程を成し、?念を付?して特定?念のみを溶かす溶液に仕上げる。こいつが今期の俺に課された課題だった。

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「つまり、これは金?用なのですね」

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そして目の前で、虹色から金色に?りながらフラスコの底に落ちていく液球は、さまざまな?念を添付して“金”の?念を溶解出?るように加工されたものだ。

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「おう。一?溶かして、今度はそいつを蒸留して別の物に組み替えるって事も出?るんだぞ」

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俺は更に、こいつの使い道についてもセイバ?に?明した。
物質を?念に融解し、それを蒸留添加し別の物質の?念に組み上げ固める。つまりこれが物質?成、?義の?金術って奴だ。

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「おお!」

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と、そこまで話したところでセイバ?の目の色が?った。

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「つ、つまり。これで金が作れるのですね!?」

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そこに食いついたか……
?持ちはわかる。セイバ?にはいつも金で苦?かけてきたからなぁ。主に遠坂が。

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「一?これだけあれば、一キロの鉛を金に作り?えることくらいなら出?るな」

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俺は、それがまるで財?の山であるかのように、きらきらとフラスコに目を輝かせているセイバ?に苦笑しながら“事?”を話した。

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「ただしこいつを作るのには、それと同じ重さの金以上の金(かね)がかかるし、鉛の?念溶液から金を蒸留するのにもやっぱり同じくらいの金がかかるんだ」

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「くっ…… つまり」

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金を作るのに、金の?値の二倍以上の金(かね)がかかるってわけだ。?念。

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「考えてみれば、これをシロウが作れるという事は?も作れるという事。もし安?に金が作れるのならば、とうに?が作っていましたね……」

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そう、?は俺も最初にこの事を聞いた時に、遠坂に同じような事を尋ねてみたのだ。だが?えは?然、今の俺の答えと一?。
あの時の遠坂の?に口惜しそうな顔は、いま目の前に居るセイバ?の悔しそうな顔と甲乙付けがたいものだったなぁ。

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「ああ、二人とも。ここにいたんだぁ」

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などと、二人?って遠坂の顔を思い出しつつ溜息をついたところに、工房の入り口からとうの遠坂さんが顔を?かせてきた。

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「?、施術は終わったのですか?」

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「おわったぁ……」

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入って?いと促すと、遠坂はセイバ?ににへらと嬉しそうに笑いながら手を振り、そのまま俺の方に何?か?束無げな足取りでやって?る。

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「おいおい、大丈夫か?」

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俺は慌てて立ち上がり、そんな遠坂に?み寄った。
何をやっていたかは知らないが、よっぽど大?な施術だったのだろう。ふらふらとかなり危なっかしい。

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「だいじょうぶぅ」

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全然大丈夫くない。表情だって思いっきり無防備。?起きでもないのに、こういう遠坂は非常に珍しい。俺は、流石に心配になって遠坂の腑?けた顔を?き?んだ。

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「とお……っ!」

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「……!」

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「んっ……へへへ」

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だが、これが拙かった。遠坂と目が合った途端、遠坂の瞳が??っぽく光り、俺の唇はずっと柔らかくて?かい唇に塞がれてしまったのだ。

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「ぷはっ! こ、こら、遠坂! いきなりなんだってんだ!」

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「士?分のほきゅう」

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「な、なんだよ、その士?分ってのは!?」

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「士?分は士?分よ。士?に含まれてて、わたしには必須の成分なんだから」

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セイバ?の視線が痛いほど感じられる中ほぼ一分、遠坂は俺の唇を離してくれなかった。しかも漸く離してくれたと思ったら、今度は逃がす物かとばかりにがっちりと抱きついて俺の胸に顔を埋ながら、意味不明な事をほざきやがる。

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「ふう、補給完了。やっぱり士?分は?くわねぇ」

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そんなこんなで、結局俺が解放されたのは、最初に不意打ちを食らわされてから五分近く?った後だった。
士?分ってのが一?どんな物かは知らないが、遠坂の奴はさっきとは打って?わってきりっとした表情で、足取りもしっかりした物に?っていた。心なしか血色もよくなったように思える。それに引き換えこっちは不意打ちの混?と、セイバ?の冷ややかな視線で一?に消耗してしまった。本?に何か吸い取られたのかもしれない。
いやまあ、その……別に嫌だったってわけでもないんだが……

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「?、シロウ。二人が仲が良いのは大?良い事だと思いますが、お互いまだ?生の身。衝動的な家族計?だけはしないようお願いします」

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と、そこに追い討ちをかけるように、セイバ?がとっても綺麗な笑顔でとんでもない事を言ってきやがった。

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「セ、セイバ?! 家族計?って……」
「あ、それなら大丈夫。ちゃんと考えてるから」

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余りの事に思わず?を上げかけた俺だったが、その?に遠坂の更にとんでもない科白が被さってきた。

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「こっちで子作りの予定はないわよ? そういう事は、やっぱり時計塔での修?が終わった後ね」

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「と、遠坂さん?」

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「おお、それでは!?」

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「うん、日本に?ってから。二人は欲しいわね」

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「それは?しみです。是非、私にも二人の子を抱かせて頂きたい」

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「お~い……」

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「勿論よ。セイバ?にも子供の?育とか、手?ってもらいたいし」

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「ああ、それは良い。?とシロウの子供ですから、男の子でも女の子でもさぞや可愛い事でしょう」

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「……」

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なんだか思いっきり顔に血が上って、言葉も無い俺を他所に?しげに未?設計を語る遠坂とセイバ?。
そうか、子供は二人か。やっぱり男と女が良いなぁ、衛宮邸(俺の家)も遠坂邸(遠坂の家)も?いから部屋には困らないし。あ、でも庭は衛宮邸(俺の家)の方が?いなぁ……って、そんなこと考えてる場合じゃない!

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「ちょ、ちょっと待て!」

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危うく現?逃避するとこだった。俺はそんな話一度も?いたことが無いぞ。そ、そんな、遠坂と俺の子供なんて……
俺は話が手?れになる前に、大慌てて二人の話に割って入った。

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「遠坂! そ、そういう事をだな、勝手に決めるな!」

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だが、勢い?んで割り?んだ途端、俺はそれまで和???とお?りしていた女の子二人に、凄まじい視線で?みつけられてしまった。

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「なに? 士?子供嫌い? わたしじゃ?目?」

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「いや、子供は嫌いじゃないし、遠坂がそう言ってくれるのは嬉しいけど……」

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「シロウ、まさかやる事をやっておいて責任逃れをしようなどと……」

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「ば、馬鹿! そんなわけないだろ! そ、その……遠坂との間に子供が出?たら、俺はきちんと責任を取る!」

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と、ここまで言ってしまって端と?が付いた。
いつの間にか遠坂が、口の端を吊り上げる?に人の?い笑みを浮かべ、俺のことを?しげに見据えて居るのだ。一方セイバ?はセイバ?で、何か臍をかむような恨みがましい視線を俺に向けてたりする。

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「よかった。有難う士?。それじゃ、士?分の補給も終わったことだし、後はよろしくね。わたしは夕方まで?るから」

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そのまま?に?足げに工房を後にする遠坂さん。後に?った俺とセイバ?は?然とするだけだ。

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「……シロウは?に甘い……」

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セイバ?さん、散?引っ?き回されて、結局誤魔化されたのはあなたも一?なんですけど?

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「シロウ、こちらは終わりました」

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前庭から窓越しにセイバ?の?が響いてくる。顔を上げると、倫敦には珍しい?空の下ずらりと?んだ洗濯物の列を背にやれやれといった顔でセイバ?が苦笑しながらこちらに向かってくる所だった。

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「おう、掃除の方もあらかた片付いたぞ、そろそろ?飯にしよう」

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「ああ、その言葉を待っていました」

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そろそろ頃合も良い、そう思って?えを返したら、途端にセイバ?の苦笑が零れんばかりに輝く笑みに取って代わった。?に見事な?りっぷりだ。
セイバ?、君もカミングアウトしたんだね……
俺はそんなことを考えながら、掃除機を止め腰を伸ばした。
あの後、暫し?然としていた俺たちだったが、結局どちらともなく苦笑しながら顔を合わせ、この一週間ばかりで溜まった家事を片付ける事になった。
セイバ?が頑張ってくれていたとはいえ、今のセイバ?は前と違って家事以外にも、バイトやら何やらと色?とやらねばならない事が結構ある。最低限の手入れはしてくれていたが、それでも片付けなければならない物や洗濯物はかなり溜まっていたのだ。

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「全く、一番散らかすのは?だというのに」

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「そういうな、あいつの後始末は俺たちの仕事だろ?」

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俺は約束に反して簡?になってしまった?食を作りながら、セイバ?の愚痴に?えた。
誰かが突っ走った時、後ろを支えるのは?った二人の仕事。俺たち三人には、何時とは無しにそんな約束じみたものが出?上がっていたのだ。

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「それは判っていますが、甘えるなら甘えるでもう少し上手く甘えて欲しい」

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だが、俺の何?か諦?交じりの?えが?に入らなかったのか、セイバ?は?く口を尖らせて恨みがましい視線を向けてきた。
尤も文句の言い?にある通り、セイバ?だってその事は判っている。片付けを始める前にそっと?いた?室で、着替えもせず泥のように眠っていた遠坂の姿。俺たちを散?引っ?き回し、余裕綽?で立ち去った遠坂だったが、?際はこの一週間の施術の繰り返しで本?に精根?き果てていたのだろう。全く、意地っ張りな奴だ。

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「まあ、遠坂が甘え下手だってのは確かだがな」

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「素直に甘えてくれば良いのです。?が甘えてくれる事自?は良い事と思っています」

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そう、確かに遠坂は出?る奴で、なんでもそつなく熟せる優等生だ。だが同時にどうしようもなく危なっかしいところも持っている。
ずっと一人で頑張ってきた弊害だろう、なんでも?りでやろうとしすぎるのだ。まぁ、それについては目の前に居るセイバ?も一?だけど。

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「シロウ、それはシロウも一?です」

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と、そんな事を話したら、セイバ?は溜息混じりに切り返してきた。そ、そうなのか? 自?は無いんだが……

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「なんにせよ、苦?はあるけど遠坂が甘えてくれるのは嬉しいぞ。あいつは頑張りすぎだからな、セイバ?もだけど」

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「はいはい、それでは私も精?甘えさせていただきます」

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甘える事はともかく、これからは少しだけ一人で突っ走る事は?もうと心に留め、俺は出?上がった?食をセイバ?に差し出した。
セイバ?も多分同じ?持ちなのだろう。自分から甘えるなんて、昔のセイバ?なら例え冗談でも口にしない言葉だ。それが出たって事は、それだけ俺たちはセイバ?から信用されている、好ましく思われているという事だ。それは、とても嬉しい事だった。

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「……シロウは?に甘い……」

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尤も、それはセイバ?が手渡した?食に?づくまでだった。
やっぱりチ?ズとハムだけのサンドウィッチは拙かったかなぁ……

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――ただ今??した。おお、相?わらず主と王は仲睦まじいな。

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そんな少しばかり?呑な空?の中で?食を取っていると、庭に面した窓から嫌味なぐらい堂?とした物腰の鴉(ランス)が舞い?んで?て、悠然と居間のソファ?に羽を休めた。

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「ランス……貴方の目にはこの?子が“仲睦まじい”と映るのですか?」

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――いやいや、多少ぎすぎすするくらいは、男女の仲では親愛の?と思いましてな。それより、魔女殿は?

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だが、流石は最?の騎士。この程度の嫌味ではびくともしないらしい。

\n

「遠坂なら自分の部屋で?てるが、なんか用事か?」

\n

セイバ?がランスの言葉がわかることや、ランスの泰然自若たる態度がちょっと羨ましかったりする事は取り合えず置いておいて、俺は珍しく遠坂を探すランスに問いかけた。
こいつと遠坂は些か相性が?い。寄ると?ると口喧?をしているような?がする。まぁルヴィア?と遠坂の例を見るまでもなく、別に嫌い合ってるってわけじゃないようだけど。

\n

――ふむ、?はルヴィアゼリッタ?からの?け物があるのだ。

\n

ああ、思い出した。先週だったか、遠坂の奴にランスを借りるからって言われたな。って、もしかして今までずっと借りられっぱなしだったのか?

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――如何にも、いや魔女殿は人使いが荒い。

\n

そのことを尋ねると、ランスはいかにもやれやれと言った口調で?緯を話してくれた。俺も忙しさにかまけてすっかり忘れてたけど、道理でこの所ランスの姿を見かけなかったわけだ。
なんでもこの一週間、二人が一?で居るときを除いて、殆ど四六時中ルヴィア?と遠坂の間の連絡使(ク?リエ)として飛び回らされていたそうだ。全く、?が付かなかった俺も?いけど、人の使い魔をそこまでこき使うか? 流石にこれは、一本釘を刺しとかなきゃいけないなぁ。

\n

「それでシロウ。どうしますか?」

\n

「どうしますって、これは一?がつんとだな……」

\n

「いえ、ルヴィアゼリッタからの?け物です。?を起こしてきましょうか?」

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「あ、ええと……」

\n

ああ、そうだった。遠坂は?てたんだ。そのことに?が付くと同時に、俺の?裏にさっき?いた?室の?子が思い浮かんだ。あの完璧主義者の遠坂が、着替えもせずに泥のようにベッドに倒れこんでいた。
あいつの事だ、もし一人なら無理してでもきちんと着替えて、それから眠りに付いただろう。それが、あんなに無防備に……

\n

「いや、それはまだ良いだろう。取敢えずルヴィアさんからの?け物は工房に置いておいて、遠坂が起きて?たら一?がつんと言ってやるぞ」

\n

うん、これで良い。?分と頑張ってたみたいだし、今起こしちゃ可哀相だしな。文句は文句、これはこれだ。

\n

「……なにさ?」

\n

そうと決まればと早速と、俺はランスからルヴィア?からの?け物を受け取ろうと手を伸ばしたのだが、ランスは頭を伏せて全身を震わせているし、セイバ?はセイバ?でこめかみを抑えて溜息をついている。

\n

―― ……いやいや……主よ、流石に主だ。

\n

「……やっぱり、シロウは?に甘い」

\n

そ、そうかなぁ……

\n

 

\n


――主よ、ここはやはり一?がつんと言ったほうが良いぞ。

\n

散?二人に笑われたり拗ねられたりした?句、漸くランスから?け物を受け取った俺は、そいつを遠坂の工房に納めようと扉を開けた。
で、扉を開けた直後のランスの科白がこれだ。?際俺も一瞬、今すぐ遠坂を叩き起こして一?どやしつける誘惑に?られた。

\n

―― これは魔女のばあさんの呪いか何かかな?

\n

「一時間ほどでどうしてここまで……」

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「遠坂ぁぁぁっ!」

\n

いっそ見事だと頭を振るランスに、がっくりと膝を付くセイバ?。そして部屋の??に思わず?を上げていた俺。そこは正に地獄の釜の底といった?態だった。
いつもだってお世?にも整理されているとは言いがたい遠坂の工房だったが、今日は事の外酷い。扉から中央にある作業台に?く細い通路を除いて、床一面に一?今まで何?に仕舞ってあったんだってほどの量の魔具や素材が、思いっきり引っくり返されているのだ。どう考えても工房にあった棚や櫃に?まりそうに無い量だ。まぁ勿論、ここにある棚や櫃は見かけ通りの容量じゃないから、きちんと片付ければ?まるのだろうが……

\n

――して主。如何する?

\n

「……片付ける。お前も手?え」

\n

俺はセイバ?の抗議?悟で、腹に力を入れなおしランスに?えた。無論、後で遠坂にはしっかりと話をつけるつもりだが、遠坂の後片付けが俺たちの仕事だって思いは?っていない。それに何より、今遠坂を起こしても、この??の片付けには何の意味も無い。むしろ邪魔だったりする。

\n

「?は片付けに不自由な人ですから……」

\n

が、案に相違してセイバ?は、がっくりと肩を落としポツリと一言だけ?いただけで、苦笑しながらも俺同?よしとばかりに立ち上がってきた。

\n

「その、良いのかセイバ?」

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俺としては、また“シロウは?に甘い”と?みつけられる事くらい?悟していたので、こいつにはちょっと拍子?けする思いだ。

\n

「仕方ありません。?とて好きで散らかしたわけではないと思います。それだけぎりぎりの施術であったのでしょう」

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尤も、そんな思いもセイバ?の?恥ずかしげに漏らした一言で、すっかり氷解していた。

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――?に甘いのは私も一?ですから。

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俺はそんな?きに苦笑しながら、セイバ?と共に工房の後片付けを始める事にした。結局、俺たちは?ってあいつに甘かったって事らしい。

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「よし、それじゃとっとと片付けちまおう」

\n

「はい、シロウ」

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尤も、これが終ったあと遠坂にたっぷりと??食らわせてやろうってのも、俺たち共通の思いだってのは言うまでも無かった。

\n

 

\n


「シロウ、これは?」

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「ええと……そいつは?がってるっぽいな。一旦置いておいて、その先の道具を一山持ってきてくれ。そっちはこの櫃に?まるはずだから」

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こうして遠坂の工房の片づけを始めた俺たちだったが、作業はかなり難航していた。
なにせ、ここは一流の魔術師の工房。如何に弟子(おれ)と使い魔(セイバ?)だからって全部が全部判るわけじゃない。しかも無造作に置かれた道具類が管(パイプ)や魔術線(パス)であちこちに?がったままだったりする。そんなわけで、俺たちとしては如何にも危なっかしそうな物には手を?れず、判る物だけを整理する事になったのだ。

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「……こんな物かな?」

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「余り片付きませんでしたね」

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それでも何とか、中央の作業台周りを?して片付け終わったのだが、そこかしこに未着手(アンタッチャブル)の道具類を?して、?食いの整理にならざるを得なかった。

\n

「まぁ仕方ないさ、とっとと終わらせちまおう。セイバ?、足元に?を付けてな」

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「はい、シロウも?をつけてください」

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ともかく手を動かさなければ始まらない。
俺たちは、他の場所同?にいまだ?がったままの機材を巧みに避けながら、この工房最後の秘境、魔術書や?物の密林と化した作業台を、文明の光を以って開拓に挑んだ。

\n

「うわぁ……」

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艱難辛苦の末、何とか遠坂が作業していた?りの?掘を終えた俺は、眼前に展開された光景に思わず感嘆の?を上げてしまった。
遠坂が精根?き果てるはずだ。工房中の道具や魔具を引っ張り出しての施術だって、これなら納得できる。出?れば、もう少し段取り良くやってもらいたかったけどな……

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「どうしたのですか? シロウ」

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などと感心していたら、手が止まっていますよと?い叱責の?った視線のセイバ?が、足元の障害物をひょいひょい避けながら俺の傍らまで進んできた。

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「すまん、セイバ?。ちょっとな。こいつを見てくれよ」

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俺はそんなセイバ?を手招きし、作業台の一角で大量のフラスコが危なっかしく積み重ねられている?りを見るようにと促した。

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「こちらですか? ……! シロウ、これはまさか……」

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そこにあるのは、小さなビロ?ドの台に置かれた一見何の?哲も無い乳白色の?玉。だが、その周?の?石屑や拳二つほどの長さの柄を目にすると、セイバ?の顔色が?った。

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「そう、そのまさかだ」

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そいつは紛れもなく、嘗て俺が投影した?石?(ゼルレッチ)の成れの果てだった。遠坂の奴、模造品(フェイク)とはいえ魔法の設計?を分解しやがったのだ。

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「思い切ったことをする物ですね……」

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「ああ、遠坂がぶっ倒れるわけだ」

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俺たちは改めて工房を、作業台を見渡して溜息を付いた。案の定、工房中の魔具や道具は?てこの一角に?がれている。

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「多分こいつを使ったんだろうな」

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感嘆しているセイバ?に、俺は更に周?のフラスコを示しながら話を?けた。

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「これは……先ほどシロウが扱っていたフラスコに似ていますね?」

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「ああ、理屈は同じだ。万物融化?(アルカヘスト)。それの加工溶液だ」

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?石?の設計?と言っても、俺の作った模造品は外側だけの伽藍堂だ。つまり材質や構成はともかく、魔術的には?念の?っていないただの品物に過ぎなかった。
勿論、如何に遠坂といえども、魔法の?念を再構築して模造品を本物になんてできるわけが無い。だから遠坂は各種の万物融化?(アルカヘスト)の溶液を?使し、一旦?石?そのものを溶解して、その?念構造を分析添付することで、模造品の素材部分から限りなく本物に近い品を“削りだ”(再 構 築)してのけたのだ。

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「で、多分こいつがルヴィアさんの分だな」

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更に俺は、さっきランスから受け取った小さな皮袋を、遠坂の?玉の脇に置いて?げて見せた。中に入っていたのは色とりどりの六つの?玉。恐らく何かの術式で模造品を二つに分け、分?して再構成したのだろう。

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「つまり、二人はついに魔法に挑むのですか?」

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「そこまでは判らないけど、それに近い事を企んでるだろうな。こいつらはもう?物じゃない」

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模造品とはいえ、魔法?から削りだした純度の高い構成物。?にこいつらは俺が創った模造品とは全く別のものに?っていた。今まで遠坂とルヴィア?がやってきたことを考えれば、また一?魔法に近づく試みである事は確かだろう。

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「ま、詳しい事は遠坂が起きてから聞くとして、整理の方を片付けちまおう」

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「はい、シロウ」

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遠坂やルヴィア?からこいつの話を聞くのはそれから。俺はそう思い、?玉の周?にシャンペンタワ?のように不安定な?態に置かれたフラスコの群に視線を移した。

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「あ……」

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途端俺の視線は、幾重にも積み重ねられたフラスコ群の一角に釘付けになってしまった。
丁度中央?り。そろそろ魔力が切れかけているのだろうか、底に描かれた魔法陣が点滅しているそのフラスコには……

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「あ、あの馬鹿ぁ!!」

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虹色に輝く万物融化?(アルカヘスト)の原液がふらつきながら浮いていたのだ。

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「と、とと――同調、開始(トレ?ス?オン)!」

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だが、頭を抱えている暇は無い。俺は慌ててそのフラスコに飛びつくと、大急ぎで魔術回路を開いて魔法陣へと魔力を流し?んだ。

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「……ふう……」

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何とか間に合ったようだ。輝きを取り?した魔法陣を確認し、俺はほっと息をついた。大丈夫、フラスコの中央に浮かぶ液球も、ふらつきを止め安定していく。
危なかった。なにせこいつは“?てを溶かす”んだ、?然フラスコの底なんてあっという間に?けてしまう。しかも回りは?念溶液の詰まったフラスコだらけ。次?に突き?け、混ざり合った?念がどんな結果を生み出すかなんて……考えるだけで恐ろしくなる。
しかし、これでまた遠坂へのお小言の種が?えた。あいつ、原液の保存?理しないで?やがったな。

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「シロウ!」

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「え? あっ……」

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だが、ほっとしたのもつかの間。俺はセイバ?の?で再び絶句してしまった。
先ほどまで微妙なバランスで積み重なっていたフラスコの群が、今にも崩れそうに?れているのだ。
しまった……今度は俺のドジだ。そりゃシャンペンタワ?から無造作に?ん中のグラス?いたら崩れるよなぁ……

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「セ、セイバ?!」

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「はい!」

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?けてる場合じゃなかった。はっと?が付いた俺の叫びに、セイバ?は?座に?えてくれる。素早く作業台に?け上がりフラスコを……っと、拙い。

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「あ、?石踏むなよ!」

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「判っています!」

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踏み?んだ足先を素早くずらし、セイバ?は何とか崩れかけたフラスコの塔を取り押さえてくれた。……のだが。

\n

「シロウ、動かないでください」

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?手を?げ、しっかりとフラスコの塔を押さえ?んだ英?の?足は、文字通り俺の?肩にかかっていた……

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「わ、判った……」

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とはいえ?ったな。これじゃ身動きが取れない。

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――おお、相?わらず主と王は仲睦まじいな。

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どうしたものかと頭を抱えていたところに、嫌味なぐらい堂?とした物腰の鴉が、悠然と作業台の上に舞い降りてきた。

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「ランス……お前の目にはこれが“仲睦まじい”って見えるのか?」

\n

ランスの奴だ。何時にも?して落ち着き?ったこの態度が無性に腹が立つ。

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――いやなに、ちょっとした妬みだ。主は我(わたし)より先に王を呼んだのでな。

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「あ……その、?かった」

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そう言われると面目ない。俺はランスに素直に謝った。確か現役を差し置いて前任者に?をかけられたら、やっぱり?分が良いもんじゃないだろう。

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――ああ、主よ。我(わたし)も大人?なかった。

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良かった。ランスもわかってくれた。これで一件……

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「シロウ! ランス! 遊んでいる場合ではありません、この?況を!」

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落着するわきゃなかった。俺はセイバ?の怒?で我に返り、大急ぎでランスに指示を飛ばした。

\n

「そ、そうだ。ランス、遠坂を……」

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――それなら心配無用。

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だが、鴉になっても流石は完璧の騎士。俺がセイバ?に向かって叫んだのとほぼ同時に、ランスは遠坂を起こしに行ってくれていたと言う。

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――見られよ主よ、魔女殿がやってきた。

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「……もう、なによぉ。いきなり……」

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と、そこに早速、遠坂の奴が工房の?口に姿を現した。やれやれ助かった、ナイスだランス。

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「ああ、?……っ!」

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「遠坂、良く?てくれた、?は……っ!」

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だが、俺とセイバ?はふらふらと?み寄ってくる遠坂の姿に、言葉を失ってしまった。

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「あ、セイバ?、シロウ? なんか面白そうな事してる……」

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とろんとした目つき、危なっかしい足元。遠坂……お前まだ?ぼけてるな……

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「わたしも混ぜなさい」

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ああ。
俺はいっそ感心した。?ぼけていても遠坂は遠坂だ。「混ぜて」じゃなく「混ぜなさい」。こんな時でも、口から出るのは命令形だ。

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「……おはよ、しろう」

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だが、そんな現?逃避も、遠坂がにっこりと笑いながら俺の胸に思いっきり?重を掛けて飛び?んできた途端、ものの見事に吹き飛ばされていた。

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「と、遠坂!」

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「シ、シロウ!」

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肩にセイバ?、手にフラスコ、そして胸に遠坂。僅かに?秒。それが限界だった。ああ、切嗣(おやじ)すまない。俺は、たった二人の女の子さえ支えきれなかった。

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「きゃ!」

\n

「ぐっ! セイバ?!」

\n

「は、はい!」

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ついに崩れた俺たちの人間ピラミッド。だが、それでも諦めるわけにはいかない。俺は?ぼけた遠坂を何とか?腕で抱きかかえて庇いながら、最後の希望をセイバ?に託した。

\n

―― 速!――

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次の瞬間?い閃光が走った。
作業台に押し倒されしたたか背中を打った俺だったが、一瞬だけ今の?況を忘れセイバ?の姿に見惚れてしまった。
バランスを崩した時、どうやらただずり落ちるのではなく、あえて俺の肩を蹴り上げて自分の望む軌道を描くように調整したらしい。崩れるフラスコを次?と?い上げ胸に抱きかかえて行くセイバ?。よし、これなら何とか無事に切り?けられそうだ。

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「シ、シロウ! フラスコを!」

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なんとかなる、そう思ってほっと息をつこうとしたところで、セイバ?が目を見開いて俺に向かって叫び?を上げた。
フラスコ? それなら今セイバ?が最後の一個を……

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「あ……」

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不思議に思い、倒れたまま首を曲げてセイバ?に視線を送って?が付いた。
?っ飛びするセイバ?と、遠坂を胸に抱きかかえて倒れながら見上げるような形になった俺の丁度中間?り。そう、作業台の上、例の?玉の?上?りだ。

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―― ?……

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くるくると回?しながら落ちていく一?のフラスコが、まるでスロ?モ?ションのように俺の瞳に映っていた。
しまった、遠坂を抱き抱えた時に、手に持ったフラスコ放り投げちまってた!
それでも、まだまだ間に合う。俺とセイバ?は、同時にそのフラスコに手を伸ばした。
そう、確かに間に合ったはずだ。
もし、フラスコが回?せずに落ちていたら十分間に合ったろう。或いはフラスコの中身があんな物でなかったら……

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―― 零……

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だが、フラスコは回?していた。そしてフラスコの中身は、万物融化?(アルカヘスト)の原液って言う碌でもない液?だった。
底に描かれた重力呪によって固定されていた液球は、回?の遠心力により振り回され、呪を振りほどいてそのままフラスコの側面を溶かし、作業台に置かれた?玉に向かって弧を描いていく。

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「つぅ!」

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「くっ!」

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更に万物融化?(アルカヘスト)は、俺とセイバ?が伸ばした手をも融過し軌道の終着点、?玉に吸い?まれて行った。

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―― ?!――

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そして閃光。
融過した液に?玉が?れるのと、そこに俺とセイバ?の伸ばした掌が被さっていくのとほぼ同時に、俺とセイバ?の掌を透くように七色の閃光が立ち上り、瞬く間に工房全?を包み?んで行った。

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大?長らくお待たせしました。Fate/In Britainの新作です。
魔法に挑む遠坂さんと、それを支える士?くんとセイバ?さん。
とはいえ、魔法に挑むって大仕事に挑んでいる割には、遠坂さんはいつもどおりのだだ漏れっぷりのようです。シロウとセイバ?苦?しています。
その苦?が報われるか否か、後編をお?しみください。
「多重次元屈折現象(キシュア?ゼルレッチ)」という物がある。
遠坂の家における魔術師としての祖にして、魔法使いたるキシュア?ゼルレッチ?シュバインオ?グ師。こいつは、この魔法使いが使う第二魔法――無限に列なる?行世界を自由に制御する則――の一形態で、これまた遠坂の家に宿題として?えられた課題、?石?によって制御しうる魔法なのだと言う。
ちなみにこの魔法の前提になっている「平行世界」。俺たちの世界とほぼ同一で、ほんの少しだけ選んだ選?肢が違っていた世界ってのは、合わせ鏡のように無窮に存在しているらしい。
つまり、「多重次元屈折現象」と言うのは、今現在俺たちが生きている「この世界」と殆ど?り無い他の「隣の世界」との間に穴を開け、そっちの物を勝手に使ってしまえる則の事なのだそうだ。

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尤も、遠坂やルヴィア?をしても、そんなことをそう簡?に出?るわけじゃない。
それでも何とか「隣の世界」を?く事くらいまでは行きたいと必死で頑張って、漸くその?口まではたどり着いたといったところらしい。
そして遠坂たちは今回、その?口から一?中へと踏み?む施術を行う……?だった。

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“?だった”と言うのは。それがちょっとした手違いで、違った結末に向かってしまったからだ。

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おうさまのけん 
「?の王」 -King Aruthoria- 第九話 後編
Saber 

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「シロウ! ?! 無事ですか!?」

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どのくらい意識を失っていただろう。俺の目を?ましたのは、そんなセイバ?の?だった。

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「ああ、なんとか……つっ!」

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立ち上がろう手を付いた所で掌に痛みが走る。慌てて引き?してみるとそこには綺麗な孔になった傷と血まみれの?玉。どうやら無意識のうちに?み取っていたようだ。

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「あたたたた……もう、なんだったの?」

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僅かに?れて、俺の腕の中で遠坂も身じろぎを始めた。今度は?とぼけてはいないらしく、少しばかり不機嫌な目つきではあったが、俺に向かってはっきりとした?い視線を送ってくる。

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「いや、俺にもさっぱり。セイバ?、あれからどうなったんだ?」

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とはいえ、俺も意識を失っていたもんでさっぱりわからない。俺は改めて身を起こし、遠坂を床に下ろしながらセイバ?に尋ねてみた。

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「あれからも何も、一瞬だけおかしな光に包まれただけで。私にもさっぱり……」

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だが、セイバ?も首を傾げるだけだ。そう言われて改めて見渡すと、確かに、別に?った?子は見られない。?わったところと言えば、恐らくセイバ?が立ち上がるときに片付けたのだろう、作業台の上にフラスコの列がきちんと?んでいる事くらいだ。

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「あれ?」

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いや、それだけかな? なんか工房全?が妙に小ざっぱりして無いか?

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「ああもう、いきなり叩き起こしといて何の?ぎ? きっちり?明して欲しいわね」

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だが、そう思ってもう一度見渡そうとしたところで、遠坂に首を引っつかまれ、?正面から?みつけられてしまった。まぁ言いたい事はわかるが、こればっかりは聞き捨てなら無い。

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「?……」

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「ちょっと待て、遠坂」

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幸い?害はなかったようだけど、こうなったのは誰のせいですか?
俺とセイバ?は視線にそんな思いを?め、逆に遠坂を?み返してやった。

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「な、なによ……」

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「なによ、じゃないだろ?」

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「そ、そりゃあ、工房を散らかしっぱなしだった事とか、ランスを?って借り?けてた事は?かったと思ってるわよ……」

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ほほう、そっちについては確信犯、いや故意犯だったってわけか。

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「それはいい」

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そう、それについては俺もセイバ?も決着が付いている。

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「ランスの事は俺が放っておいたのもいけないし、工房の後片付けも、この通りほぼ終わった。その後の事だ」

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俺は綺麗に整頓された工房?を指し示しながら、もう一度遠坂の顔を?き?んだ。

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「へ?」

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だが、遠坂はきょとんとした顔で、俺とセイバ?の顔を交互に見つめるだけだ。そうかそうか、お前?えてないんだな……

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「?、それよりもこの工房に入ってきた時からの事を思い出して頂きたい」

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「えっと、それってランスの奴に起こされてからって事?」

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「そうだ」

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「ええと……」

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暫くはてなマ?クを浮かべて、可愛らしく小首をかしげていた遠坂だったが、俺とセイバ?の無言の?力に、流石に少しばかり??されたらしく、指折り?えながら自分の行動を反芻しだした。

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「あいつに起こされて……ここに?たら、士?とセイバ?がなんか人間ピラミッドみたいなことしてて、面白そうだなって……あっ!」

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ここで漸く思い出したようだ。遠坂はしまったとばかりに手を口に?て、作業台のフラスコ、セイバ?の顔、俺の顔と順番に視線を彷徨わせ出した。

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「えっと……もしかして……わたしのせい?」

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「そうだ!」
「そうです!」

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「ご、ごめん」

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頭を抱えて謝る遠坂を、俺たちは暫くの間?み据え?けてやった。

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「とにかくごめん。わたしの不注意だったわ」

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「まぁ、?起きだったしな」

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とはいえ、深?と頭を下げる遠坂を前に、俺もセイバ?も何時までも?んでいるわけには行かなかった。迷惑をかけたら素直に謝る、失敗したら反省する。これもまた俺たちの間での約束だった。

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「ところで、士?。さっきの光だけど、なんだったのかしら?」

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「遠坂、そっちは俺たちが謝らなきゃならない」

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となれば今度はこっちの番だ。俺はランスがルヴィア?からの?け物を持ってきたところから、工房の片付け、フラスコの崖崩れ、そして最後に取りこぼしたフラスコから零れ落ちた万物融化?(アルカヘスト)が、あの?玉に降りかかった事までを遠坂に?明した。

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「そ……それじゃ、わたしの石は?」

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「それならここにある。取敢えず無事っぽいけど……」

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流石に、話の最後の頃には遠坂の顔色が?っていた。だから俺は、少しでも安心させようと掌に?まっていた?玉を手渡した。

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「士?……」

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だが遠坂は石を持ったまま、安心どころか今度は不安そうな顔になって俺の顔を見詰めてくる。はて?

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「怪我したの?」

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「え? ああ言ったろ、液を受けようとしたんだけど溶かされちまったんだ」

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どうやら俺の怪我を心配してくれたようだ。大?有難いのだが、それでも結局あんな事になってしまっただけに、どうにも後ろめたい。

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「そっか、だから原液じゃなくなって……。有難う士?。石は無事みたい」

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遠坂はそう言うと、ハンケチを取り出して俺の掌を縛りながら治癒の呪まで掛けてくれる。なんか、こう……凄くこそばゆい。

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「いや、感謝される謂れは無いぞ。それどころか謝らなきゃいけないくらいだ。俺がしっかりフラスコを持ってれば、端っからこんな事にはならなかった」

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「でも、それってわたしが抱きついたからでしょ? やっぱりわたしのせいよ」

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「それはさっき決着付いたろ? 俺の仕挫りだ」

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「士?は頑固ね……」

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「……遠坂だって同じだろ?」

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お互い一?も?らず、ついに?み合うようになってしまった俺と遠坂。が、次の瞬間お互いに噴き出していた。

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「馬鹿みたい、お互い?って事にしましょ」

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「だな、何やってたんだろう?」

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本?に馬鹿みたいだ。俺たちはひとしきり笑いあった後、何時しか肩を寄せ合って見詰め合っていた。

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「士?、?……」

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と、ここでセイバ?の?が割ってはいってきた。し、しまった!

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「セ、セイバ?。忘れてたわけじゃないぞ!」

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「そ、そうよ。別にじゃれあってたわけでもないのよ?」

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慌ててセイバ?に向き直って必死に弁解する俺と遠坂。

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「いえ、そうではないのです」

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だがセイバ?は俺たちのそんな?子を一?みこそしたものの、一つ咳?いしただけで?摯な表情に?ると、作業台の一角を指し示した。

\n

「……え?」

\n

「……へ?」

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なんだろう? セイバ?の指先に誘われるように視線を移した俺たちは、途端、言葉を失って顔を見合わせてしまった。

\n

「それでは、あれは一?何なのでしょう?」

\n

俺同?に、万物融化?(アルカヘスト)に透化されて血塗られたセイバ?の指先が指し示した場所、些か血で汚れたビロ?ドの台の上には、紛れもなく俺が手に取った物と同じ乳白色の?玉が置いてあったのだから。

\n

 

\n

 

\n

「どうだった? 遠坂」

\n

余りに予想外の出?事に、暫く?然と面付き合わせていた俺たちだったが、何時までもそんな事はしていられない。とにかく、一?どうなっているのか、遠坂が早速調べる事になった。

\n

「それが、ちょっと不思議なの。?方とも本物っぽいのよ、少しだけ違うんだけど……」

\n

だが結果は、ほぼ同一と言う、益?分けのわらない物だった。
尤も、石そのものが若干?化した事は不思議で無いと言う。確かに、俺とセイバ?の混ざった?念溶液を浴びて、あんな光を?したのだ、元のままと言う方がおかしいだろう。
なんでも、最初は俺の血を溶かした溶液を被った事で、一種の投影じみた複製が作られたのかとも思ったらしいのだが、それなら全く同じになるはずなので、その??は除外って事になったらしい。
それにまあ、武器でないしかも??の?物をここまで完璧に複製なんて、俺にだって出?はしない。

\n

「しかし、では何故このようなことが?」

\n

「やっぱり、溶液を被った事で何らかの反?が起こったと思う。ちょっと本格的に調べてみるわ」

\n

そう言うと、遠坂は立ち上がって本格的な?査のために、そこいら中の道具を引っ?き回しだした。

\n

「ちょっと待て、遠坂」

\n

「何が欲しいか言って頂ければ、私達が用意します」

\n

このままじゃ、またさっきの二の舞だ。俺とセイバ?は、遠坂を押し止めようと慌てて立ち上がった。

\n

――主よ。

\n

と、後ろから遠坂を羽交い絞めしたところで、工房の入り口から怪訝そうな表情のランスが飛び?んできた。

\n

「なんだランス。今ちょっと取り?んでるんだが」

\n

――?は些か?にかかることがあってな、?て欲しい。

\n

「?は今、遠坂の破?活動を阻止しているとこなんだが、後じゃ拙いか?」

\n

――ふむ、では主よ。ちと?りを見渡してもらいたい。おかしいと思わぬか?

\n

ランスの言葉に俺は、破?活動って何よ! と言う遠坂の?を右から左に流しながら、?りを見渡してみる事にした。
ええと……別に?ったところは……あれ?

\n

「工房が……きちんとしすぎています……」

\n

俺同?に、ランスの言葉に?って周りを見渡していたセイバ?が不振そうに?く。そうか、セイバ?もやっぱりそう思うか。

\n

「確かにそうだな。さっき片付けた時は、遠坂が思いっきり出?目に道具を?べてたんでぐちゃぐちゃだったけど……」

\n

「今のここは、まるで士?か私が手?ったかのようにきちんとしています……」

\n

「……整理が不自由で?かったわね……」

\n

取敢えず、遠坂の?言は聞き流してランスにその?りを尋ねてみると、ランスも同じように感じて他の部屋を回ってみていたのだと言う。

\n

「それで、どうだったんだ?」

\n

――?際に見てもらったほうが早かろう。

\n

俺たちは、?もぶつぶつと文句を言っている遠坂を引き摺りながら、ランスの言葉に?い他の部屋を見て廻る事にした。

\n

 

\n


「本?だ、お前の檻が無い」

\n

――それだけではない。我(わたし)の集めた?集物はおろか羽一本落ちておらん。

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自分の居た痕跡が無い。ランスにそう聞いて確認のために?った俺の部屋には、確かにランスがいたという?が何一つ?っていなかった。しかも、それは持ち去られたとか消えたとかではない。最初からそんな物は無かったとでも言いたいような?態なのだ。

\n

「遠坂、こっちは?」

\n

「やっぱりランスの食器は無かったわ。それに……セイバ?の食器も」

\n

居間に?って、?房を調べてもらっていた遠坂の答えも一?だ。それどころかこっちにはセイバ?の物さえ…… え?

\n

「……なんだって?」

\n

ちょっと待て! セイバ?のものも無い? 俺は大急ぎで?房に飛び?むと、片っ端から食器棚を開けて回った。
無い、無い、無い、ない、ない、ない……
俺の食器、遠坂の食器、客用の食器、特別な時のための取って置きの食器。そういったものは全部きちんとあるのに、セイバ?とランスの?の品だけが綺麗さっぱり消えてる。
いや、違う。棚はきちんと整理されているし、空いているスペ?スがあるわけでもない。そう、まるで最初からそんな物は無かったかのように……

\n

「一?どう言う事さ!?」

\n

「怒鳴らないで、士?。ちょっと考えてみるから」

\n

思わず怒鳴ってしまった俺を、遠坂の冷?な?が遮る。尤も遠坂も平?ではない。口元に手を?て、何か考え?んでいる表情には、抑えては居るが苦?を?み潰したような苦?が窺える。お蔭で少しだけだが落ち着くことが出?た。そうだな、俺たちが焦ってどうする? この?態で一番不安なのは……

\n

「セイバ??」

\n

と、そこに自分の部屋を確認に行っていたセイバ?も?ってきた。何?か足元が?束無ず、顔だって少し蒼い。ってことは……

\n

「はい……私の部屋は物置になっていました……」

\n

やっぱり……
俺と遠坂は、暫し顔を見合わると互いに?き合った。セイバ?はきっと不安になっている。俺たちが支えないと。

\n

「セイバ?、大丈夫だ。俺たちが何とかする」

\n

「そうよセイバ?。これって間違いなくさっきの事件が原因よ。何としてでも解決して見せるから」

\n

「シロウ? ??」

\n

だが、セイバ?に?け寄った俺たちの言動は、セイバ?が不審に思うほど何?か浮き足立った物だった。
そんなセイバ?の表情で俺たちは我に返った。なにしてるんだ? 俺たちが焦ってどうする? これじゃ却ってセイバ?が不安になっちまう。なんでこんなに……
そう思い遠坂と顔を合わせて?が付いた。何の事は無い。不安なのは俺たちの方だった。セイバ?の痕跡の無いこの部屋を目の?たりにした事で、セイバ?を失う不安に?られていたのだ。
だからだろう、俺たちはその時セイバ?が返してくれた笑顔に、本?に力付けられた。

\n

「私は大丈夫です。シロウ、?、有難う」

\n

「あ、いや……うん、いいんだ別に。ひとまず落ち着こう……そうだ、お茶でも淹れようか」

\n

「そ、そうね、わたしもちょっと調べ物してくる」

\n

それはとても綺麗で、とても優しくて、とても暖かい笑顔だった。

\n

 

\n


「大?判ったわ。まぁ推測だけど」

\n

セイバ?の笑顔で?を取り直し、紅茶を入れて一息ついたところで、工房や自室を引っ?き回していた遠坂が?ってきた。

\n

「早かったな」

\n

「うん、やっぱりちょっと?ぼけてたみたい。落ち着いて考えれば、そう難しいことじゃなかったわ」

\n

とはいえ、紅茶一杯淹れる間に判るなんて、たいした物だと聞いてみたら、遠坂は手に持ったアルバムやら手帳やらを脇に置き、居間のソファ?に腰をおろした。

\n

「それで、一?どういうことだったのでしょう?」

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「“ここ”はね、セイバ?の居ない世界なの」

\n

セイバ?から紅茶を受け取りながらの遠坂の何?ない言葉。俺は思わず息を呑んだ。

\n

「ちょっと待て、どういうことなんだ!?」

\n

「落ち着きなさい、士?。“わたし達”のセイバ?が居ないわけじゃないんだから」

\n

だが、勢い?んだ俺は遠坂にぴしゃりと制されてしまった。とうのセイバ?も?しい表情であるが暗さは無い。なんだか予測していたような顔つきだ。

\n

――成程、「多重次元屈折現象」か……

\n

そこに、俺同?セイバ?と遠坂の顔を交互に見据えていたランスの意識が流れ?んできた。

\n

「“多重次元屈折現象”?」

\n

「そう、つまりここはセイバ?のいない、正確に言えばセイバ?の居なくなった?行世界って事ね」

\n

そんなランスの言葉を反芻した俺に、遠坂が良く出?ましたと脇に置いた手帳を手渡してくる。

\n

「なんだ、これ?」

\n

「日記、って言うかメモみたいなものよ。“聖杯??”の時のね」

\n

そう言いながらの遠坂に示された頁には、確かにあの?いの記?が記されていた。ア?チャ?の召喚、衛宮邸での俺やセイバ?との出?い、??の?いとア?チャ?の裏切り、最後の決?。そして勤めを果たしたセイバ?が…… え?

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「遠坂、これ……」

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「そ、わたし達の記憶と違うわよね」

\n

俺の言葉に、遠坂は更に?きをと視線を落とした俺の手から手帳を?き取ると、パタンと閉じ言葉を?けた。

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「ここはセイバ?があの後まで?らずに消えてしまった世界。まぁこの家を見る限り、わたしと士?は倫敦に?てるみたいだし、それ以外は余り?ってないみたいだけど」

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更に遠坂は、何故かランスの事を一?みしてから俺たちに視線を?した。

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「じゃここは、別の世界だっていうのか? でもどうして?」

\n

「だから、“多重次元屈折現象”よ? 士?、判ってたんじゃないの?」

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「あ、いや……その……」

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あんた何言ってるの? と眉を?めて迫ってくる遠坂。なんか、こうランスの言葉を鸚鵡返ししただけですって言えない雰??だ……

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「成程、つまり?はあの石を使って。?石?を再現しようとしていたのですね?」

\n

そこに今まで?っていたセイバ?が、?きながら割り?んでくれた。

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「あぁ、そこまで大事は考えてなかったわ。?石?の類感で、隣の世界を?ければなぁ……って位だったんだけど」

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「それが、あの事故でこんな事になっちまったってわけか」

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「そっ、そういう事ね」

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多分、俺の組成が遠坂の家系として認識され、英?(セイバ?)の組成と化合して世界に穴を穿ち、俺たちをこの世界に放り?んでしまったのではないかと言うのだ。
そこまで聞いて漸く俺も理解できた。
つまり遠坂がやろうとしていた魔法への挑?が、偶然に偶然が重なって全く違った、それでいて一種の魔法じみた現象を起こしてしまったと言う事らしい。

\n

「現?はわかりました。それで、これからどうするのですか?」

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「勿論、わたし達の元居た世界に?るわよ」

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セイバ?の問いかけに遠坂は明確に?えた。それはそうだろう。第一この世界にだって俺や遠坂は居たはず。俺たちと入れ替わったのか、それとも?に今この時点でここに居ないだけなのか、或いは俺たちに?かれて他の何?かに飛ばされたのか。それはわからないが、何時までもここに居るわけにはいかないってのも事?だ。俺たちはこの世界の異分子だ。何が起こるかわかったもんじゃない。

\n

「その……出?るのか?」

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だが、その方法ってのが俺には見?すらつかない。ここに?ちまったって事だって、本?のところ完全に理解しているとは言い切れないところがある。

\n

「やってみなきゃ判らない。でもヒントはあるわ」

\n

尤も、流石に遠坂は俺とは違うらしい。例の二つの?玉を取り出して、徐に解?を始めた。

\n

「この二つね。さっきちょっと削って確かめたんだけど、基本的に同じなんだけど?念構成に少しだけ違いがあったの」

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「どんな違いなんだ?」

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「うん、ルヴィアから受け取った石あったでしょ? わたし達の??では、わたしの石を基石に、ルヴィアの石を一種のアンテナにしてそれぞれ別の平行世界へのラインを手繰ろうと思ってたの……」

\n

今、この二つの?玉のうち一つには、あの時ルヴィア?から?いた石の中の、とある一つの?念が混在していると言う事らしいのだ。

\n

「恐らくクリ?ンな方はわたし達の世界の石。で、こっちの混じった方はこの世界にあった石でしょうね」

\n

遠坂の推測ではあの?光の瞬間、もろもろの偶然により“多重次元屈折現象”のような現象がおこり、?測のためのラインだけでなくルヴィア?の石の?念までをこっちの世界に飛ばしてしまったのではないかと言う事らしい。

\n

「それが、万物融化?(アルカヘスト)の影響でこっちの基石に融合しちゃって、基石同士の共鳴で穴が?がってわたし達ごとこっちに飛ばされたんだと思うの」

\n

「それで、どうやって?るんだ?」

\n

「類感の逆用を使おうと思うわ」

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俺たちがこっちに?た理由はわかった。だが、俺には?り方の方はさっぱり見?が付かないと尋ねてみたら。遠坂は混ざっていると言ったほうの?玉を指し示して?明を?けた。

\n

「こいつはこっちの世界の石に、わたし達の世界の石が混じった?態よね? つまり石は今の私たちの?態そのものなの」

\n

俺たちが今この世界で安定しているのは、この石に類感しているからだと遠坂は類推したのだ。

\n

「成程、じゃそっからルヴィアさんの石の?念を?けば……」

\n

「そ、私たちの存在はこの世界で不安定になる。で、それをこっちのわたしたちの世界の石に溶け?ませれば……」

\n

「類感の作用で元の世界に放り出されるってわけか」

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「そういう事。勿論、平行世界移動なんてとんでもない事しようってんだから、補助のための施術はがっちり固めなきゃいけないけど」

\n

それはそうだろう、ただ理屈だけで魔法に?くなら世話は無い。俺は遠坂の顔をもう一度?正面から見据えなおした。

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「出?るのか?」

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「理屈だけだったら躊躇したでしょうね」

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そんな俺の疑問に、僅かに肩を?めて苦笑して見せた遠坂だったが、次の瞬間その瞳に自信をみなぎらせて言い切りやがった。

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「でも、偶然とはいえ?際にわたし達はこうやって平行世界移動をした。?績がある以上、一度穴が開いた以上わたしはやり遂げて見せるわ」

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見事な物だ。一?の躊躇も無い。だとすれば俺のやる事は一つだ。俺は俺同?に遠坂をじっと見据えていたセイバ?と?きあった。

\n

「?がやるというならば否はありません」

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「ああ、何でも言ってくれ。俺たちに手助けできることなら何でもやるぞ」

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「有難う。士?、セイバ?」

\n

こうして俺たちは自分たちの世界に、セイバ?がちゃんといる世界に?る?に、魔法と言うとんでもない事業に挑む事になった。

\n

 

\n


「遠坂、万物融化?(アルカヘスト)できたぞ」

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「?、私の方はいつでも」

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「うん、わたしの方も準備完了。それじゃ始めるわよ」

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俺たちはそれから、工房中の機材や道具を?動員して、大車輪で施術の準備を整えた。
何せここは別世界、結局は他人の物ってことで、俺としてはこうした道具類を勝手に使うのは少しばかり抵抗があったのだが、遠坂に言わせるとわたしの物をわたしが使って何が?いって事らしい。なんだか詭弁くさくもあるが、背に腹は?えられない。許せ、この世界の遠坂。

\n

「――――Anfang(セット)」

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そして施術が始まった。
術の規模そのものはそう大きくない。基本は、遠坂とルヴィア?が行おうとしていた施術に、俺とセイバ?の血を溶かして作った万物融化?(アルカヘスト)の?念溶液を加える事で再構成したもので、術に必要な陣や構成そのものは、元?石に刻み付けてあるのだそうだ。
考えてみれば、俺たちがここに飛ばされた事件自?、そういった準備があったからこそ起こったことなのだろう。

\n

「――Einmal kehren wir heim.(ただ  一度  ?らん)――Doch anders wird niemals Ein Ziel erreicht.(今はただ  其れだけを  求めん)」

\n

遠坂の呪が進む。まずは基石からのルヴィア?の石の?念分離だ。
俺とセイバ?が息を詰めて見守る中、遠坂は?手に持ったフラスコから、基石に向かって?かに俺とセイバ?の?念溶液を、滴らせていく。

\n

「え?」

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その瞬間、遠坂の奴がいきなり呪を止めて素っ頓狂な?を上げた。

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―― ?!――

\n

同時にあの時と同じ虹色の閃光が立ち上る。ちょ、ちょっと待て! こんな事は予定に無いぞ!

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「遠坂!」

\n

「?!」

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慌てて遠坂に?け寄った時には、俺たち全員、再びあの閃光に包まれてしまっていた。

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\n


「?! シロウ!」

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「俺は無事だ。遠坂!?」

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閃光は一瞬。今度は俺も意識を失わなかった。

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「……」

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遠坂も無事のようだ。ただ?けたような顔で突っ立っている?り、今の事態が完全に予想外の出?事だって事が窺える。これは拙い。俺は遠坂の肩を?み思いっきり怒鳴りつけた。

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「しっかりしろ! 遠坂!」

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「……え? ……あ……うん」

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俺の怒?で漸く我に返った遠坂の顔が、見る見る蒼くなっていく。

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「な、なんだったのよ……今の……」

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「おかしな事が起こっちまったってのは確かだ。とにかく、何が起こったかしっかり確かめよう」

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「そ、そうね。?けてる場合じゃなかった」

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やっぱりこいつは不意打ちにはめっぽう弱い。だが、同時に切り替えの早さも遠坂の長所だ。こうして一時だけでも支えてやれば、すぐに立ち直ってくれる。

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「シロウ、?」

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――主よ。

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と、そこにセイバ?とランスの微かに緊張した?が響いて?た。

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「どうした……え?」

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それで?が付いた。
今、俺たちのいるのは遠坂の工房のはずなのだが、それが妙に?いのだ。

\n

「ちょっと見てくる」

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どうやら、俺たちはまた別の世界に飛ばされてしまったようだ。少なくともさっきの世界や、俺たちの世界じゃない。俺は早足で工房を後にし、家の中を確認して廻った。

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「シロウ、どうでした?」

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「……やっぱり、ここはうちじゃない」

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セイバ?の心配そうな?に迎えられ、工房に?ってきた俺の顔は少しばかり蒼かったと思う。ここは確かに倫敦ではあるようだったが、俺たちの“遠坂邸(うち)”ではなかった。
多分、俺たちの住んでいた物と同じアパ?トメントだとは思う。だが、部屋?も全?のスペ?スもせいぜい半分と言ったところだ。更に言えば、どう見てもここには一人しか住んでいなかった。

\n

「ごめん士?。わたし勘違いしてた。これ見て」

\n

そこに遠坂が、?しい表情で?み寄ってきた。手には例の?玉。俺はそれを、ただ促されるままに受け取っていた。

\n

?士?にも判ると思うけど、赤い反射がさっきのルヴィアの石の痕跡ね。それに蒼い反射が加わってるでしょ?」

\n

確かに、乳白色だったその石には、微かな赤い?反射と蒼い?反射が加わり、何?か神秘的な色合いをかもし出していた。

\n

「多分、これがわたしたちの世界の、士?が持ってた方の石ね。わたしの推測は間違ってた。ラインを?って?移してたのはルヴィアの石じゃなくわたしの方の石だったみたい。それだけじゃないわ」

\n

遠坂は?明しながら、工房の隅にある小さな窓に向かうと徐に窓を引き開けた。

\n

「?、これは……」

\n

――ほほう……

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俺と同?に、遠坂の?明を聞いていたセイバ?達が驚愕の?を上げた。
それはそうだろう、そこには文字通りの?空。漆?のまさに“何も無い”?態が?がっていたのだ。

\n

「世界と世界の?間よ。この部屋自?一つの世界となって、そこにぽっかり浮いてるってわけ」

\n

遠坂は?重に窓を閉め、俺たちに向き直った。さっきまでの?空は消え、窓に映る風景はいつもの人や車が行きかう倫敦の街に?っていた。

\n

「固有結界ですね……」

\n

「そう、士?の力ね。恐らく士?の?念から構築したんだと思うわ」

\n

それを確認するようなセイバ?の?きに、遠坂が?いた。

\n

「さっきは外まで確認しなかったから?づかなかったけど、恐らくわたし達は純?に平行世界を移動したんじゃないわね。士?やセイバ?の?念に共鳴する平行世界の影を世界の?間に投影し、同じように士?の結界能力を抽出して泡沫世界を構築。そこにわたしたちを送り?んでた。そういうことだと思うわ」

\n

「それでは、?。その石そのものが」

\n

「そう、どんな偶然か知らないけど、この石自身がこんな魔法じみた現象を引き起こせる遺物(ア?ティフィクト)になっちゃってるって事」

\n

恐らく、素材として?際に魔法を行使できるであろう?石?の設計?を使ったことが一番の原因だろうと、遠坂は難しい表情で付け加えた。

\n

「では、それを使えば元の世界に?れるのですか?」

\n

「完成すればね。?念だけどこれはまだ未完成。後四つ、?間に浮かんでる世界の種を拾い集めなきゃ?目みたい」

\n

遠坂はそこまで言うと、腕を組み?しい表情で?空を?んだ。つまり、後四回。こういった世界に行かなければいけないって事らしい。俺は正直怖?を奮った。勿論、あの不可思議な移動が怖いわけじゃない。そこで見るものが怖かったのだ。

\n

「じゃ、早速施術に入るわよ。ここにいたって始まらないんだから。って……士?、どうしたの?」

\n

ここで漸く遠坂が俺の異常に?がついた。セイバ?も心配そうに俺の顔を?き?んでくる。そしてランスは……ああ、こいつは?が付いたか。?しい表情で俺の顔を?んでやがる……

\n

「なぁ、遠坂。この世界……っていうか本物のこの世界ってのは?際にあるんだな?」

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「そういう事だけど。なに?」

\n

俺の唐突な質問に、遠坂は訝しげに眉を?める。俺は一瞬だけ躊躇したが、それでも手に持った??立てを遠坂に手渡した。

\n

「ああ、ここは遠坂しか倫敦に?なかった世界って事らしい」

\n

「この工房見たときからそれくらい、見?ついて……っ!」

\n

何を言っているの? と益?不審そうな顔で??立てを受け取った遠坂だったが、その??立てに視線を移した途端、表情が一?した。

\n

「……そっか、ここだったのね」

\n

?しく結んだ口元、何?か寂しげな目元、それで居て微かに嬉しげな?かしげな?顔。一瞬、俺はそれを遠坂に見せたことを後悔した。
何の?哲も無いはずの??。今より少しだけ成長した俺と遠坂が?っているだけの??。だが、その??の中の俺は、??い肌と純白の頭?を持っていたのだ。

\n

「?、シロウ……」

\n

遠坂の肩越しに??立てに?き?んだセイバ?も、一瞬息を呑んで心配そうに俺たちの顔を見渡している。
長いようで、ほんの僅かな沈?の後、遠坂は??立てを伏せるように作業台の上に置き、微かに顔を伏せた。

\n

「さあ、作業を始めるわよ」

\n

だがそれすらも一瞬。再び顔を上げた遠坂はいつもの、自信に溢れ何者をも恐れない遠坂に?っていた。

\n

「い、良いのか? 遠坂?」

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俺は思わず聞き返してしまった。玄肌白?の俺。恐らくさっきの世界同?セイバ?が還り、遠坂とも何度か交差しながらも別に道を進んでしまった俺だ。あの俺はあいつ(ア?チャ?)だ。あいつになるだろう俺だ。
俺はあいつと遠坂が、ただのサ?ヴァントとマスタ?以上の?係であったことを知っている。遠坂は、あいつがあいつになってしまった運命を怒っていた。それこそ火の出るほどの怒りを抱いていた。それを、そうなるだろうあいつ(俺)の姿を目の?たりにしたってのに、良いのか? 遠坂?

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「良いって、なにが?」

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「何がって……」

\n

だが、挑むような遠坂の問いかけに、俺は言葉に詰まってしまった。
そう、どうする事も出?ない。それを見たからって、俺たちに何が出?るってわけではない。これは別の世界での出?事だ。更に言えば、今俺たちが居るここさえもその世界の影にしか過ぎない。

\n

?で、でも遠坂!」

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なんとも出?ない事はわかっている。だがそれでも胸の?えが取れない、何とかなるんじゃないか、何とかしたい。その思いが胸に溢れる。

\n

「士?の?持ちはわかるわ。でもね」

\n

そんな俺の口を指先で塞ぎ、遠坂は今一度??立てを手に取った。そして俺の口元から指を離し、まず??の中の俺を、そして俺の胸元を指差した。

\n

「こいつはわたしの士?じゃない。わたしの士?はこいつよ」

\n

そして、??の中の“遠坂”を何?か寂しげに指差した。

\n

「それにね、士?。わたしはこいつの“わたし”じゃないの。こいつの“わたし”はここにいるわ」

\n

「遠坂……」

\n

俺は??盾の中の俺と遠坂に視線を落とした。
つんと顎を上げ、見上げているのに見下すような視線で、何?か人の?い笑みを浮かべる遠坂。そしてそんな遠坂を仕方ないとばかりに苦笑しながら見つめる俺。
ああ……そういう事か……
俺は遠坂が何を言いたいのか理解した。??の中の“俺たち”が、一?何?で俺たちと違った運命を選んだかはわからない。だが、それはこの世界の“俺たち”が?み、苦しみ?み取った運命の?だ。
だとすれば、その運命を選ばなかった俺たちに何が出?る、何が言える。これから先どんな運命を?むとしても、それはこの世界の“俺たち”だけが?みえる事なのだ。
俺たちに出?る事は、この世界の事はこの世界を?み取った“俺たち”に任せ、俺たちの世界で精一杯、俺たち自身の運命を?み取っていくことだけだろう。

\n

「判った遠坂。それじゃ、俺たちの世界に?ろう」

\n

俺たちは?って?きあい、もう一度世界を越える準備を始めた。俺たちの世界に向かって旅立つ?に。

\n

 

\n


―― ?!――

\n

工房に虹色の閃光が溢れた。

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「ぶはっ!」

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「きゃ!」

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「ふう……」

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七色の光が晴れた時、そこには四つの影が生まれていた。

\n

「?、ここは?」

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「ええと……」

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セイバ?の?に、遠坂が何?か疲れた?子で腰をさすりながら?えを返し、工房を見渡す。

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――ううむ、主よ。?に見事な混沌ぶりだな。

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「ああ、そうだな」

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そんな?子を眺めながら。俺はランスのどこか皮肉げに響く?に?えた。確かに、この全く統一性の無い?然さはあの?かしい“俺たちの”遠坂の工房だ。

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「わたしの部屋はありました」

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――我のケ?ジもあるな。

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「食器もちゃんと全員分確認っと、士?そっちは?」

\n

「おう、ちゃんと“外”もある」

\n

とにかく家中を?け回り、片っ端から知人に連絡を取りまくった俺たちは、漸くここが“俺たちの世界”である事を確認し、ふらふらと居間のソファ?へと雪崩れ?んだ。

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「?ってきたのね」

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「皆、無事で何よりです」

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「何度か死に掛けたからなぁ……」

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あの後巡った四つの世界は、確かに俺たちの世界と近似の世界ではあったが、それ以前の二つと違って空間軸も時間軸もかなりばらばらな世界だった。木乃伊に追いかけられたり、大聖杯に?み?みかけたりと、かなり波?に飛んだ世界の??。
特に最後の世界など、俺たちは全員が違う世界に飛ばされてしまったらしく、遠坂があの?玉を完成させて全員を纏めてここに引っ張ってくれなければ、一?どうなっていた事か……

\n

「ですが、シロウと?の子供時代は大?可愛らしいかった。二人の子供を抱きあげるのが?しみです」

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「そ、そんな事もあったわね……」

\n

「あ、あれはなぁ……」

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確か三度目か四度目の世界だ。そこの公園で、俺たちは今にも?みあいの喧?を始めようかと言う、赤毛の男の子と??の女の子を見かけたのだ。
とは言っても?際、直接二人が喧?していたわけでもなさそうだった。こっそり?いて見ていた?況からすると、二人でへこました苛めっ子の?遇でもめていたらしい。言わずもがなだが“俺”が?健派で、“遠坂”が過激派だった。
まぁ結局俺たちが手を出すまでも無く、上手い事落ち着いたようだったが……遠坂、いくら苛めっ子だからって、小?生を逆さ?は酷いぞ……

\n

「なによ、良いじゃない。別に、命まで取ろうってんじゃないんだから。女の子泣かすような奴は、あれでもまだ足りない位よ」

\n

そんなことをこそっと漏らしたら、目の前の遠坂がこんな事を言いながら?みつけてきた。お前、全然?ってないんだな……
まあ、そんなこんなで皆へとへとだった。俺たちは?ってソファ?に深く身を沈め、暫くの間は一時の休息を?しんだ。

\n

「それでは、お茶でも淹れましょう」

\n

とはいえ、何時までもへたってはいられない。まず立ち上がったのはセイバ?だった。

\n

「俺も手?うぞ」

\n

最近とみにセイバ?がお茶を淹れる回?が?えていた。腕の方もめきめき上がってはいたが、そう?度?度セイバ?にお茶汲みさせるわけにはいかない。

\n

「いえ、シロウは?を」

\n

だが、立ち上がりかけた俺はセイバ?にそっと制されてしまった。そのまま苦笑しながら向けられた視線の先で遠坂は……

\n

「…………」

\n

ぐっすりとお休みになられていた。

\n

「全く、?るならちゃんと片付けてから?ろよな」

\n

俺はセイバ?の好意に甘えてお茶汲みを任せ、そんな遠坂の手から、今にも零れ落ちそうな小さな?玉をそっと取り上げた。
きらきらと虹色に輝く準魔法玉(デミ?ゼルレッチ)。
その力で送り出すべき泡沫世界こそ?て消えてしまってはいたが、それでも?この石は俺が作り出した伽藍堂(フェイク)の?石?や、遠坂たちが挑もうとした施術よりも、更に一?魔法に踏み?んだ力を秘めていると言う。

\n

「遠坂は凄いな」

\n

俺は、この小さな?玉を幾重にも包みこみながら、溜息を漏らした。何せ遠坂はこんなとんでもない代物を、偶然と失敗、思い付きとやっつけ仕事の中から?み取って魅せたのだ。

\n

「やっぱり、俺は遠坂に甘いかな?」

\n

?玉を工房に?め、代わりに持ってきたタオルケットを遠坂に掛けながら、俺は?くようにそんな言葉を口にしていた。

\n

「ええ、シロウは?に甘い」

\n

そんな俺に苦笑しながら、セイバ?は入れてきた紅茶を差し出してくれた。

\n

「ですが、シロウは誰にでも甘い」

\n

更に半眼になって、拗ねるような口調で付け加えてくださる。ははは……

\n

だが、何時までも笑ってはいられなかった。

\n

「だからシロウ。私も甘えさせて頂きます」

\n

一瞬だけ決意を?めたように瞼を閉じたセイバ?が、再び開けた瞳には、何?までも?摯な光が湛えられていただから。

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「だからシロウ。私も甘えさせて頂きます」

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言ってしまった。口にしてしまった。私はこれからシロウに甘える。これは?とも、ルヴィアゼリッタや?とも違った甘え方だ。もしかしたら、これはシロウを傷つけてしまうかもしれない、裏切ってしまうかもしれない甘え方だ。
だがそれでもこの時、私はシロウに甘える事を我慢できなかった。

\n

 

\n


「セ……セイバ?なのか?」

\n

あの時。最後の世界に、皆が別?に飛ばされてしまった時。私が飛ばされた先は、薄暗いほんの僅かな光しか差さぬ小さな?の中だった。

\n

「……シロウ?」

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そこにシロウが居た。草臥れたつなぎを着て、倫敦のシロウの工房と?らぬほどのガラクタに?まれたシロウが、?然と私を見つめていた。

\n

「セイバ?!」

\n

「っ!」

\n

私はそこでいきなり抱きすくめられてしまった。
避けられなかった。いや、もしかしたら避けたくなかったのかもしれない。?く逞しい腕の中で、私は身動き一つ出?なくなってしまった。一言、そう一言?くので精一杯だった。

\n

「シロウ……その……困る」

\n

「あ。す、すまないセイバ?。いきなりで驚いて……また?えるなんて思ってもいなかったからな」

\n

また?えるなんて? その?えを聞いた途端、私は?の自由を取り?した。同時に心の中で何かが爪?かれた。ああ……

\n

「セイバ??」

\n

私は微かに緩んだシロウの腕をすり?け、一?距離を置いた。それ以上近づく勇?も、それ以上離れる勇?も、この時の私には無かったからだ。

\n

「……元?でしたか? シロウ」

\n

何故そんな言葉を選んだのか、それは判らない。ただこの時はそう聞くのが正しい。それだけは間違いないと確信していた。

\n

「ああ……」

\n

シロウはわたしの言葉に力?く?いてくれた。

\n

「あれからも俺は頑張っている。出?ない事、?かない事はいっぱいあるけれど、俺は、俺が大切だと信じた物を汚したりはしていない。大丈夫だ、セイバ?」

\n

ああ……
これで私は確信した。力?く?摯で、決して枉げられる事など出?ない程?い言葉なのに、そこにはほんの僅かだが空疎な響きが感じられた。
シロウだ、この目の前のシロウは間違いなくシロウだ。けれど、私のシロウではない……
だが、それが判っていても心が?れた。どうしようもないほど?れていた。何故なら同時に、このシロウが“私”を愛してくれているシロウでもあると確信したからだ。

\n

「シロウ……私は……行かなければいけない」

\n

だが。いや、だからこそ私は拒まねばならない。私は“私”ではないのだから。

\n

「そうか、判った。セイバ?有難う」

\n

まっすぐな、透けるほどまっすぐな瞳。泣きたくなるほど嬉しく、泣きたくなるほど誇らしく、泣きたくなるほど悲しい瞳だった。
“私”はこの人をこれほど高めたのか、“私”はこの人にこれほどのものを遺したのか、そして“私”はこの人をこれほどまで……

\n

「シロウ!」

\n

だから私は思わず叫んでしまった。この世界のシロウに私は何を?える事も、何を言う事も出?ない。今、シロウの目の前に居ることさえ幻に過ぎない、夢のような物に過ぎないのだ。何故なら、私は“私”ではないのだから……
だが、それでも?、出?る事は無いのだろうか、何か、何か手立ては無いのだろうか?

\n

「セイバ??」

\n

そんな私の姿に、士?が心配そうな表情で半?前だけ前に出た。
ああ、やはりシロウはシロウだ。私のシロウと同じだ。どんな時も、何があろうと何時だって優しく暖かい……自分の重荷には?づかず、何時だって人の重荷にだけ?を使う……

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「……!」

\n

それで?が付いた。そう、やれる事があった。確かに私には何も出?ない、何も言えない。だが、託す事は出?る。

\n

「シロウ、皆は……元?ですか?」

\n

「皆? ああ、皆嫌になる位元?だぞ。遠坂は相?わらず遠坂だし、藤ねえは言わずもがなだ。イリヤだって同じさ、最近は?と一?に俺の世話を?きたがって困る位だ」

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ああ……
安堵で膝が挫けそうになる。希望はあった。シロウは一人ではない。彼女たちが傍に居るならば、シロウは決して……

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「シロウ、お願いがあります」

\n

「なんだ? セイバ?」

\n

薄暗がりの中から、きらきらと虹色の光が?がる中。私はシロウとの間の半?を詰めた。もう怖くない。

\n

「彼女たちを大切にしてください。そして信じてください」

\n

「セイバ??」

\n

虹色の光に包まれながら、私は士?の?にそっと手を?れた。無理をしないで、自分を大切に、何故なら貴方は……

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「とても大切な人だから。?えていてください。貴方は私にとっても、彼女たちにとっても、とても大切な人。貴方は……貴方が思っているよりも……ずっと大事な人なのです……」

\n

 

\n


「最後にシロウは?いてくれたと思います」

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「……セイバ?」

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私はシロウに全てを話した。これは甘えだ。何故なら私は今、私のシロウに……

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「俺もね、セイバ?に?った」

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「え?」

\n

私の驚愕を他所に、シロウはわたしの肩に手を置くと、淡?と“私”との出?いを語り?けた。
霧に包まれた木立での“私”との出?い。“私”が私でないとわかった時の驚愕。“私”がシロウに愛されていたと聞いた時の衝?。そして、“私”がその時?に全てを終えた存在だと知った時の思い……

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「だから、俺は“セイバ?”に謝った」

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「“私”に? 何故ですか?」

\n

「“俺”はね、“セイバ?”の答えを見つけることが出?たらしいんだ。でも俺はまだ見つけていないから。本?にすまない。セイバ?は“俺”の?にそこまでしてくれたのに……俺はセイバ?にも“セイバ?”にも何にも出?なかった」

\n

そのまま私にまで頭を下げるシロウ。暫く私は??に取られてしまった。確かにその心遣いはとても嬉しい。ですがシロウ、貴方はそちらに頭が行きますか……

\n

「でも何故か知らないけど“セイバ?”は俺に言ってくれた。“有難う、シロウ”って」

\n

本?で判らないのだろう。更にそう付け加えて??に首を傾げるシロウ。私は徐?にこみ上げてくる笑いの?作を堪えながら、シロウを見つめる事しか出?なかった。
ああ、やはりシロウはシロウだ。“私”は?づいたのだ。だから私のためにシロウに?を言ってくれたのだ。なのに、とうのシロウは?づいていない。だめだ……もう我慢できない……

\n

「な! なんだよセイバ?。何でいきなり笑うんだよ!」

\n

「いえ……良いのです。シロウはやっぱりシロウなのですね」

\n

私はむくれるシロウを前に思い切り笑い?げてしまった。ああ、“私”も判ったのだ。シロウはシロウだと。だからこそ?が付いたのだろう、私がシロウに愛されている事を。
だから私はひとしきり笑い終えた後、シロウに向かって最高の笑みを浮かべて言う事が出?た。

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「有難う、シロウ」

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私を、愛してくれて。

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END

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平行世界での、Britain一行のお話でした。
最初、おおさまのけん で書き始め、魔法?係から あかいあくま でいくかと?更しましたが、やはり最後の締めはセイバ?でしたので おうさまのけん として書き上げてみました。
?は若干取りこぼしがあるのですが、どうにも纏め切れませんでした。?念。 

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走る。

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ただひたすら走る。

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何も見えない暗闇の中を、俺はただひたすら走る。

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多分、これは夢なのだろう。
なにせ何も見えないどころか、何も感じないのだ。そんな、何もかもが曖昧な霧に包まれた闇の中を、それでも俺は一心に走っていた。

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ただ、目標だけははっきりしている。
何も見えない、何も感じないはずなのに、目蓋だけは進み行く先が眩しいと感じていたからだ。
だからそこがきっと目標。きっとそこが俺の行き着く所。

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ああ、もうすぐだ。

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見えない視界の全てが眩しさに包まれるていく。
何故か、其?はそんなに良い所ではないだろうという確信はあったが、それでもやはり俺は其?に向かって?け?んで行った。

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「――――――」

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「……ん? ああ」

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と、そこで目が?めた。
やたら眩しい。それはそうだろう。八月の太陽が?っ向から俺の顔を照らしているのだ。よくもまぁ、今まで?ていられたもんだと思う。?かしい?名を告げる車?放送を聞き逃していたら、もう暫く?ていたんじゃないだろうか。……ん? 車?放送?

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「やばっ、のんびりしてる場合じゃなかった。遠坂! 起きろ! 着いたぞ!」

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そこで漸く?が付いた。俺は大慌てで肩に頭を預けて、心地よげに?息を立てている遠坂を叩き起こした。

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「……ふえ……なに? ……きゃ! ちょ、ちょっとぉ!」

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「急げ、降りるぞ」

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そのまま?ぼけ眼の遠坂を車外に放り出し、俺はキャリ?とボストンバックを?ぎ上げて、微かな空?音と共に閉じようとする自動ドアを滑り?けた。

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「ふぅ……」

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何とか間に合った。
今、正に冬木の?を走り去ろうとする列車を?目に、俺はやれやれとばかりに荷物を下ろして?っ?な空を見上げた。

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「ああ、いい天?だな……」

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冷房の?いた車?からみれば、異世界じゃないかと思うほどねっとりと暑い大?。シャツの下では早くも汗が噴き出している。けど、これこそが日本の夏って奴だ。
冬木の街は、倫敦に渡ってから二度目になる俺達の??を、前回と同?にこれでもかというほど照りつける太陽で出迎えてくれていた。

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「――っ!」

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と、ほっと一息ついたのも束の間。次の瞬間、背筋に走った?寒に俺はすばやく身を?した。

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「避けたわね……」

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?分とこう言う事になれちまったなぁ。と嫌な感慨を抱きながら振り返ると、そこには不機嫌そうに片足立ちになり、パンプスを履きなおそうとしている遠坂の姿。遠坂、凶器はよせ、凶器は……

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「待て、遠坂。?かった。でも、?り越すよりはいいだろ?」

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そんな思いが顔に出たのだろう、半眼にした目を更に?めて履きかけのパンプスをもう一度手に取った遠坂に、俺は慌てて?手を前に後退った。

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「にしたって、やりかたってのがあるでしょうがぁ!」

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いかん、よっぽど?起きが?かったのか目が据わってる。さて、どうやって宥めたもんだろうか……

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ぼうれいのおきみやげ 
「紫陽花の聖女」 -Karen Hortensia- Fate/In Britain外?-7 前編
Magdalene  

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結局、?前のパ?ラ?でジャンボサイズのパフェを奢らされる事で折り合いをつけたのだが、奢ると言っても財布の出何?は結局一つだ。
果たしてこんな事に意味があるんだろうかと首を傾げていると、遠坂に女心がわからないと突っ?まれた。

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「まったく、士?と付き合いだしてから夏って言うのは碌な事がないわ……」

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で、散???された?句、溜息交じりでの締めの言葉がこれだ。

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「俺のせいじゃないぞ」

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確かにあの聖杯??の後、遠坂と付き合いだしてからの夏は何時も何かしらの?動がつき物になっていた。
去年は例の?の事件だったし、一昨年は一昨年で俺たちの倫敦行きの前後に一?動あった。そして三年前、あの聖杯??直後の夏は……

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「そうか、あれからもう三年か……」

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遠坂の言葉に誘われて、ここ?年の夏のことを思い出しながら、俺はふとどでかいパフェの器を飾る紫陽花(オルテンシア)の透かし彫りに目を留めた。

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「……いやなこと思い出させないでよ」

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そんな俺の視線を追って、透かし彫りの意味に?が付いたのか、遠坂は先ほどとはまた違った表情で眉を?める。

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「でもあれはそんな大事だったか?」

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とはいえ俺にとって、あの事は眉を?めたくなるような出?事ではなかった。まぁ、ちょっと不可思議ではあったが、何?か?かしい思い出でもあった。

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「わたしにとっては大事だったの! ……考えてみたら、あいつ引き?んだのも士?じゃない!」

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「引き?んだはないだろ? どのみち遠坂と?係なかったわけじゃないんだし」

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三年前の夏。確かにあの少女と最初に?わりを持ったのは俺だったが、彼女の役割を考えれば?かれ早かれ遠坂だって?わりになったのは間違いない。

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「そりゃそうだけど…… 士?、あんたなんだってあんなのと?わりになったのよ?」

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「あんなのって、そこまで言うか? まぁ……偶然と成り行きかな?」

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理解は出?るが納得は出?ない。そんな顔で?れる遠坂を前に、俺は苦笑しながら三年前の夏に思いを馳せた。
そう、あれはあの聖杯??から半年ほどたった頃。今日のように夏の太陽が、これでもかとばかりに照りつける日の午後だった。

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\n


?時の俺は言わずと知れた高校の三年。世間一般の受?生同?に、俺も進?準備に大童の日?を送っていた。
尤も、一般の高校三年の夏とは些か趣きは異なっていた。第一進?先は日本でさえない。しかも一?最高?府ではあるが一般の大?ではなく、魔術の?院(時計塔)に行くのだ。
よって、受?の?の夏期講座などは?然あるわけもなく、俺は師匠たる遠坂の家に?りっきりで、魔術の基礎やら語?の?鑽やらに勤めていた。
まぁ遠坂とは、この時?にそういう?係になっていたのだから、人によっては羨ましいと思えるだろうが、遠坂さんはまず第一に魔術師であり、第二に極めつけの苛めっ子なのである。
つまり甘い幻想など微塵もなく、俺は朝から晩まで完膚なきまでに叩きのめされる日?を送っていたというわけだ。

\n

「ああ、良い天?だ……」

\n

そんなわけでこの日、久方ぶりに新都に買い物に出かけていた俺は、曰く言いがたい開放感に包まれていた。
喩えその買い物の?容が、?り切りでついに?きた衛宮家、更には遠坂家の生活必需品の買出しであってもその?持ちは?らない。その上、遠坂さんが今日一日、倫敦行きの各種手?きのために家を空けているとなると?更だ。
これで今日はのんびり出?ると、俺はらしくもなく浮ついた?持ちで買い物?りの道を、深山町まで散?がてらに?いて?ろうとしていた。
と、その時だ。

\n

「…………へっ?」

\n

いきなり何の前?れもなく俺の鼻先、三十センチと離れていない場所に、?い小柄な人影が降って湧いてきたのだ。
それまでの無警戒が?ってか、?を突かれた俺はその人影を前に完全に固まってしまった。

\n

「…………」

\n

俺の狼狽を他所に、降って湧いた姿勢のまま微動だにしない人影。よくよく見れば、それは何?か不思議な雰??を持った少女だった。
色素の薄い肌、銀の?に肌同?色素の薄い琥珀――いや金色――の瞳。?いベレ?と丈の長い?服は何?かの制服だろうか?

\n

「――なに?」

\n

と、固まったまま、まじまじと不?なまでにその少女を見据え?けているだけだった俺に、少女は冷やかな一?を放つと、小首を傾げその金色の瞳でじっと見返してきた。
機械のように冷やかで透徹で、何もかも見透かしているような瞳……

\n

「な、なにって! ……君、一?何者だよ。っていうか一?何?から湧いて出た?」

\n

?瞬、言葉もなくその瞳に釘付けにされていた俺だったが、その言葉で漸く我に返るやいなや、慌てて身を引きながらこれまた不?な言葉で叫んでしまった。
何故かその瞳に見据えられていると、心?の?まで見透かされてしまうような……そんな不安感が募ってきて、どうにも??されてしまったせいだ。

\n

「沸いて出たとは?分なお言葉ですね。私は道を尋ねようと思って、?をかけただけなのですが?」

\n

そんな俺の不?な言葉に、一瞬だけ眉根を寄せた少女だったが、?座に元の冷徹な表情に?ると、視線を?く車道側に振って見せた。

\n

「あ、ああ……」

\n

そこには、どこぞの軍用車かって程でかくてごつい一台のトラックが止まっていた。
よくよく見ると、助手席のドアが開いている。成程、つまり……

\n

「本?に降って湧いたんだな……」

\n

思わず感心してしまった。二階とは言えないまでも俺の視線の高さだ。如何に?を?いてたって言っても、目にも止まらなかった。殆どノ?モ?ションで俺の前に飛び降りてきたわけか。

\n

「納得して頂いたようなので本題に入ります。この街に??があるはずなのですが、どちらにあるのかご存知ではありませんか?」

\n

そんな俺の感心に何?か憮然としながらも、少女は淡?と用件を切り出してきた。
成程、?服は修道院の法衣かなにかか、つまりこの娘はシスタ?ってわけだ。

\n

「??? 知ってる事は知っているけど……」

\n

そんな納得をしながらも、俺の返事は何?か言葉尻を濁した物になってしまっていた。
新都の??。それはつまり言峰??。
そこに?して俺は柵が多すぎた。
俺が十年前のあの地獄を?け出した場所。俺が“衛宮士?”に生まれ?わった場所。そしてあの“言峰”が本?にしていた場所……
今でこそ主は代わって居るが、それでも俺にとって行き辛い場所である事にはかわりはない。

\n

「では案?していただけますね」

\n

そんな俺の葛藤を余所に、少女はそれは良かったとばかりに?くと、?み掛けるようににっこりと微笑んで見せた。

\n

「うっ…… わ、わかった。案?する」

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正直?り?ではなかったのに、何故かその笑みに??され、俺は上擦った?で承諾してしまった。
何の邪?もない?げでさえある微笑。
だってのに……そこにはどうしても逆らえないような。そんな?迫感があったのだ。
そう、例えて言えば。

\n

――衛宮士?が困っている人を、たかが自分の?持ちの問題程度の事で放って置く、そんなことを言うはずありませんね?

\n

言外にそういわれたような、そんな?持ちにさせられる笑みだったのだ。

\n

 

\n


というわけで俺は、恐らくシスタ?か何かであろうこの少女を連れて、??へ向かうことになった。

\n

「…………」

\n

だが妙な違和感がある。
道案?のはずなのに、少女は俺と?んで?いているのだ。いや、ちょっと待てよ? 何で?いてるんだ? さっきまでこの娘が?っていたトラックは? あれに?っていくんじゃなかったのか?

\n

「車なら先に??に向かわせました」

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そんな疑問が表情に出たのだろう。少女は相?わらずの冷?な?音で?えてくれた。
成程、そういうわけか……って、待て待て!

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「それじゃあ君は!」

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「はい、??の場所は知っています。?に丁度いい機?だったので、貴方と話をしようと思って呼び止めただけです」

\n

しれっと犯行を自供する犯人。

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「お! お前は!」

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「――カレン」

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余りの事に怒鳴りつけかけた俺の耳に、何?か上質な音?を思わせる音色が響いた。

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「え?」

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「カレン?オルテンシア。私の名前です」

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?びれもせず名?る少女に、俺は毒?を?かれてしまった。

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「あっ……と俺の名前は」

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「知っています。衛宮士?。この街に住まう非公認の魔術師で、聖杯??の生存者。貴方の事は、こちらに?る前に調べました」

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「俺を、調べた?……」

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散??弄されながらも、未だ弛緩していた俺の精神が、いきなり冷水をかぶせられたように緊張した。

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「どういうことだ? 俺と君は初見だろう。何でそんなことをするんだ?」

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今のカレンと言う少女の言葉。それは、どう考えても彼女がただのシスタ?でないことを示している。俺は僅かに距離をとり、警戒心を露にした。

\n

「初見だからこそ事前に調査するのですが? 衛宮士?、貴方は自分というものを正確に把握していません。今の言いようでは自分が無害な人間だと主張しているように聞こえます」

\n

が、カレンはそんな俺を何?吹く風とばかりに、却ってじろりと?みつけてくる。
なんか??される。かなり失?なことを言われてるような?がするのに、それでも?ごめんなさいと謝りたくなる。

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「え……いや……その……」

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無害とは?言できないけど、有害ってほどじゃないと……

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「……だからこそ、呼び止めたのです。貴方には??が必要です」

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と、一瞬言いよどんだ俺に、カレンは僅かに見下すような視線で言い放った。

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「ろ、???」

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「道??明します。とにかくまず??に向かいます。良いですね」

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「あ……はい」

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結局、俺はカレンに??されたまま、なし崩しに??に先導されることになってしまった。
あれ? ??に案?するのは俺の方じゃなかったのか?……

\n

 

\n


「じゃあディ?ロ司?さんは?られるんだ」

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「元?こちらの??は、司?級の聖職者が赴く所ではありません。司??の仕事はあの??の後始末。それが終われば後任に引き?いで?られるのは?然です」

\n

??への道行で、俺はカレンがこの街に赴いた理由の?明を受けた。
あの聖杯??の後始末を請け負ったディ?ロ司?の後を受けて、冬木??に赴いた後任代理。それが、この硝子細工のように響く名を持った少女の役割なのだそうだ。

\n

「じゃあ君も代行者って奴なのか?」

\n

「いいえ、私は代行者ではありません。あくまで表向きの??についての後任。その代理です」

\n

しかも期限付きだと言葉を重ねる。

\n

「前任者は優れた代行者だったそうですが、私には異端を?罪する?限も、?力もない。私は??の命を受け、この町の調査をしに?ただけの見習いです」

\n

成程、見習いか。
それで納得した。確かのカレンには人を威?する、なんとも言いようがない迫力はあるが、それでも?ると折れそうなほど華奢な少女だ。現に今も怪我でもしているのだろう、法衣の影から白い包?が?けるし消毒臭じみた香りも漂ってくる。
こんな娘が、??の??部隊。異端を一方的に排除する殺し屋だなんて思えない。ましてや、言峰と同類なんて思いたくもない。第一そんなことあっては……っ!

\n

「衛宮士?。貴方はやはり傲慢で不遜です」

\n

と、そんなことを思い?いていると、いきなりカレンは俺の??まで踏み?んで?るや否や、頭を?手で?んで自分の方へ?し曲げてきた。

\n

「私は貴方に見下される謂れも、哀れまれる謂れもありません。確かに私は一介の修道女ですが、適任でもあるからこそ派遣されたのです。私に?えられた勤めは、第五次聖杯??において消失したとされる聖杯の有無を、身?を以て確認する事。ただ祈る事だけでなしうる仕事ではありません」

\n

「すまん、?かった。その……君が自分の仕事に誇りを持ってる事はわかったから、手を離してくれ」

\n

「……それでも納得はしていないという目ですね。全く、だから傲慢だというのです」

\n

そのまま、??の?力行使だとヘッドパットでも炸裂しかねないほどの視線で?みつけながらも、カレンは何?か諦めたように俺の頭を解放してくれた。

\n

「……すまん」

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「改悛の余地がない謝罪は不要です」

\n

そんなわけで、もう一つ謝ったがにべもない。
確かにカレンの言うとおりだ。枉げる事は出?ないしその?もない以上、これ以上の謝罪は正に傲慢だろう。
そんなこんなで、俺たちの二人の間にはなんとも?まずい雰??が漂ってしまったのだが、それでも俺はあえて言葉を?けた。カレンの言葉にどうしても?に掛かることがあったからだ。

\n

「それにしても聖杯の調査たって、あれはもう終わったことだろ?」

\n

「衛宮士?。貴方のもう一つの罪は、不遜だと言いませんでしたか?」

\n

案の定、カレンにもう一?みされてしまった。ここから先は??の事情、一介の非公認魔術師風情が聞いて良いことでは無いというわけだ。
だが、いくら不遜で傲慢といわれても、事が聖杯である以上簡?に引き下がる事は出?ない。
俺は、カレンの不思議な迫力がある瞳に?っ向から視線をぶつけた。

\n

「……良いでしょう、貴方も無?係ではない。ただ貴方が思っているほど大事では無いと思います」

\n

しぶしぶ話してくれたカレンの言葉によると、??が?んでいるのは明確な聖杯の波動とは若干違う物であるということだ。
聖杯という??そのものは先の聖杯??で?たれた。何せ、その聖杯の??というのが一人の少女の心?だったのだ。
それが引き?かれ、別人に移し植えられた上に暴走させられ、更にセイバ?の聖?(エクスカリバ?)で叩き?されたのだ。
俺の胸にちくりと刺さる思い出と共に、あの聖杯は失われた。それは確?であるという。

\n

「じゃ、何を調査するんだ?」

\n

「聖杯の本?が、??であるという話は聞いていますね?」

\n

「ああ、それは知っている」

\n

「降ろされるべき寄り代を失い。聖杯はもはや降臨する事はない。ですが、聖杯の本?そのものが完全に消えたというわけではないらしいのです」

\n

俺たち現世の人間が?れる事の出?ない何?かで、今?聖杯の本?と?されるべきものが脈動しているらしい。??が?んだ波動とはそういうものだという。

\n

「現?のままでは、現世に?がりを持たない聖杯の波動など問題ではない。本?はそうなのですが……」

\n

本??がらぬはずのその聖杯と俺たちの世界とで、極?短時間ながらか細いリンクのような物が?測された。カレンが派遣されたのは、それの確認と調査のためだという。

\n

「しかし、そんなもの君で判るのか?」

\n

?然の疑問だ。そんな雲か霞みたいなもの、言っては?いが見習いに何とかなるものなのか?

\n

「衛宮士?。貴方は?魔憑きという言葉を知っていますか?」

\n

またぞろ傲慢だ不遜だといわれると?悟していたのだが、カレンの口から出たのは意外な言葉だった。

\n

「?魔憑き?」

\n

知ってはいる。
人に人以外の“何か”が取り憑き、人の?面から崩?させる呪いの一つ。日本で言えば狐憑きの類だ。
色?な種類があるが、西洋では一般に?魔憑きと?される。
ある日突然善良な人の?面に?くい、物理的な暴力でなく醜?な感情を生のまま引き摺りだすことで、理性の皮一枚下では良識というものが如何に?善に?ちているか、如何に脆い物かを露骨に表わし、人の世の常識を、“普通の世界”を脅かし?けると言う代物だ。
それだけでもかなり厄介な存在なのだが、事はそれで終わらない。最後には、精神面だけでなく肉?面までも?異してしまう。
取り憑いた“もの”が、憑かれた人の身?で己の姿を表現しようとするのだ。
尤もこれは完成される事はまずない。西洋の?魔は?じてエキセントリックだ。到底、人の?の?化程度で追?できない。?然のようにその途中で命を落としてしまうためだ。

\n

「まさか……」

\n

だが時には、その?化に最後まで追?できてしまう者もいる。
魔術師が、その秘術の果てに吸血鬼に?容するように、食われながら逆に食らい憑き、咀嚼し消化し、その果てに異形として生き延びる異端も存在するという。

\n

「それは誤解です。私自身が?魔憑きではありませんし、?魔憑きになる事もありえません」

\n

?魔は健全で??な身?にしか宿らない。自分は?魔?師の助手であるとカレンは言った。

\n

「? それは判ったけど、じゃあなんで?魔憑きが出てくるんだ?」

\n

「端的に言えば、私には?魔憑きが移るのです」

\n

?魔憑き。それは言ってみれば人に?魔という毒が宿る病?だという。尤も、病?とは言っても本?感染性はない。
だが、?感の?い人間が?の存在を感じ取れるように、魔に近づいただけで?障を引き起こしてしまう人間もいる。それが自分だと、カレンは言う。

\n

「師は被虐?媒?質と言っていました」

\n

更にさらりと、恐ろしいことをなんでもない事の?に言ってのける。

\n

「…………」

\n

そこまで聞いて、カレンがなんで?魔?師の“助手”なのか合点がいった。
?魔憑きで最も厄介な存在は、育ちきるまで憑いた人の中で?れている奴。つまり?現した時は?に手?れって奴だ。だから、?現する前に、?れた?魔を見つけなければならない……
視界が?まり胸糞が?くなる。
例え倣岸と言われようと不遜と言われようと、この感情を殺す?はない。
誰も?づかぬうちに、?魔に?づき?障をおこして血を流す。要するにカレンは?山のカナリヤ(生きた探知機)だというわけなのだ。

\n

「?にする事はありません、これはいわば私の天職です」

\n

だがカレンは、ただ淡?とそんな運命を受け入れるようにそう言うだけだった。

\n

「だからって!」

\n

だから俺は思わず激?した。そんなこと……人を道具みたいに扱うことを、苦しみ血を流すことを天職だなんていうことを、?って見ているわけにはいかない。

\n

「困った人ね……」

\n

更に言い募ろうとする俺に、カレンは何?か?れた視線で向き直ると、?摯で、それでいて突き放すような口調で言い切った。

\n

「人のために?くし、人のために血を流す。それをどうして貴方が憤るの?」

\n

「――っ!」

\n

いきなり言葉が出なくなってしまった。優しいまでの?音なのに、凍った針を急所に突き立てるような?く冷たい言葉。
それは衛宮士?の生き方。自分の生き方を人がしているのを見て、何故憤る? それは自分の生き方が間違っていると言う事ではないのか? 
カレンは、そう言ってのけたのだ。

\n

「話を?しましょう。私がどうやって?された聖杯を探るかでしたね?」

\n

打ち拉がれ、それでも必死で堪える俺を冷ややかに見据えながら、カレンの話を?いた。

\n

「聖杯の本?を?魔に見立てるわけです。あれが碌な物でない事はご承知でしょう」

\n

冬木の街が聖杯と言う?魔に憑かれているという?定の元、カレンというカナリアを放ち、聖杯と言う?魔を燻りだそうと言う事らしい。

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「つまり、君ならもしここに聖杯が?されているなら判るって言うことか……」

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「私以外には出?ないことです。聖杯と言う?魔が、もしこの地に何らかの形で?わっているならば、私には感じ取れます」

\n

そしてもしその?わりがない、或いは大過ないならばカレンには感知できないだろう。
だから期間限定なのだという。長くて一月、それまでに何もないならば、??は聖杯は消失したと判?すると言うことだ。

\n

「判った。短い間だが、その間に俺に出?ることなら何でも協力する」

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となればだ、俺がやる事は一つだ。その間、このどこか尊大ながらも硝子細工のように華奢な少女に助力する。衛宮士?にとって、それ以外の選?肢はありえない。

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「衛宮士?ならそう言ってくれると思っていました」

\n

それにカレンは、初めてと言っていいくらい優しい笑みで?えてくれた。
ただ……その……
今この瞬間、背筋に走った?寒は何だったんだろう? 確かに優しい笑みなんだが、その直前垣間見たように思えた、何?かここの前任者を思わせる形に歪んだ唇は何だったんだろう?

\n

 

\n


それは??についた直後に判明した。

\n

「ではまず、ここからはじめてもらいます」

\n

??の講堂に立ち、晴れがましいまでの笑みを浮かべるカレンを前に、俺は今日何度目かの?然自失を??していた。
カレンから最初に言い付かった助力は、なんと引越しの手?いだったのだ。
いや、それはいい。
カレン自身の私物は、さすが修道女で極?少ない。問題は……

\n

「…………」

\n

??の講堂?しと?べ立てられた無?の?鍮のパイプや磨かれた木製部品、そして機械部品の??だ。

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「……ぱいぷおるがん?」

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「良くわかりましたね。ひとつ好感を持ちました、衛宮士?」

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そう、それは??と言いう建造物にはつき物の?器。パイプオルガンの部品であった。
とはいえ、それはよほどの大??の話。以前ここに置いてあったのは、確かエレクト?ンだったはず……

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「ちょ、ちょっとまて! これをどうしろと?」

\n

「組み立てられませんか? 調べた情報によれば、こういった??は得意だとありましたが?」

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「冗談じゃ……っ!」

\n

こんなでかぶつ、出?るわけない。そう?けようとした刹那、カレンは何?か見下すような、それでいて?しそうな笑みを浮かべたまま、俺の言葉を遮るように言いやがった。

\n

「ああ、無理ですか。そうですね、これは精緻にして正規の?器。そこいらのガラクタとはわけが違います」

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「…………」

\n

ちくしょう……
ガラクタはなぁ、ガラクタでいいとこいっぱいあるんだぞ……

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「まぁ見て判るのと、組み上げるのとはまた別物。別に?にする事はありません、衛宮士?」

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更に、何?かで見たような薄ら笑いを浮かべながらカレンの言葉は?く。
こうまで言われて、そのとおり出?ませんなんて、俺が今まで積み上げてきたガラクタ達の誇りにかけても言える?がない。
俺は、如何にも出?るわけが無いという視線と、所詮、衛宮士?などはその程度だと言う嘲りの?った微笑みを前に、必死でパイプオルガンの部品を解析して行った。

\n

「……やってやる。ただし時間はかかるぞ」

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結果は何とかぎりぎり、?くか?かないかの境界線。?かないなら、どんなに嘲られ見下されても仕方がないが、こうなっては後には引けない。俺は搾り出すように承諾の?を上げた。

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「それでは、せめて私が聖杯の有無を判定するまでには完成させてください」

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こうして心ならずも俺は暫くの間、??通いを?ける事になってしまったのだった。

\n

 

\n


「何?が偶然と成り行きよ! それってあからさまに狙ってるじゃない」

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と、ここまでつらつらとそんな思い出を話していたら、遠坂が憮然とした表情で突っ?んできた。

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「そ、そうかな?」

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「そうかなじゃないわよ。なんかあの頃、士?が妙に??に行ってると思ったら、そういうわけね……」

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「そういうわけって…… 言ってなかったっけ?」

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「聞いてない! 第一あの女、わたしにはそんなこと一言も言ってなかったの! くそっ、只者じゃないとは判ってたけど……ああもう! 苦手だからって避けてたのがミスね」

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「へぇ、遠坂もカレンのこと苦手だったんだ」

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「……まあね、あいつってなんていうか、その……こう、心の隙を突いてくるっていうか、そう言うとこあるじゃない。そういうやつって苦手って言うか、嫌いって言うか……」

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漸く綺?と?が切れたって言うのに、と遠坂さんは口を尖らせて半眼で俺を?めつけて?る。

\n

「まぁ、確かにそう言うところはあると思うけど。あの娘の育ち考えたら、それでもまっすぐ育ってる方だと思うぞ」

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?む相手がちょっと違うぞとは思ったものの、多少は事情を知っている俺としては、カレンの弁護をする事にした。

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「そんなこと?係ないわよ!」

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途端、パフェの器を引っくり返さんばかりにテ?ブルを叩いて突っ?んでくる遠坂さん。良かったな食い終わった後で。

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「っていうか、士?。あんたどうしてあいつの身の上話まで知ってるのよ……」

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「いや。まぁ、なんというか……偶然と成り行きかな?」

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更に?い顔を益??くさせ、邪眼のレベルにまで高めた視線を突きつけてくる遠坂に、俺はパフェの器を立て直しながら再び記憶を反芻した。

\n

 

\n


あれはカレンと出?ってから暫くたった後、俺が大橋の袂にある臨海公園で?日振りの安寧を?しんでいた時の事だった。
?のところあれ以?、ただでさえ忙しかった俺の生活は、??でのパイプオルガン作成が加わったため、寸時も休まる暇のない苛斂誅求の日?と化していた。
肉?の疲?もさることながら、なにせ相手はあの遠坂さんとカレンさんなのだ。最早、俺の精神はいっぱいいっぱいを通り越し、引っくり返って更に表返る所まで?ていた。
それがこの日、遠坂はやはり倫敦行きの手配のために留守。更にカレンも“仕事”の外出中と言う事で、ぽっかりとまるで台風の目のような自由時間が降って湧いていたのだ。
そんなわけで、俺はこれ幸いと弁?片手に臨海公園で、お日?相手に安逸な日常と言う最高の贅?を味わっていたところだった。

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「ああ、いい天?だ……」

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?夏のお日?はこれでもかとばかりに照りつけてくるが、そんなもの遠坂のこんな事も出?ないのかって目や、カレンのどうなるか判らないけれどせいぜい頑張る事ですねって視線に比べれば、春風のように心地よかった。

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「…………」

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と、弁?を?げようとしたところで突然不安になった。

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――衛宮士?に、こんな幸福は勿?無い――

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何?かでそんな?が響いたような?がしたのだ。しかも、うら若い女性の癖に何?か嗜虐心に富んだ赤い人や、敬虔な癖に絶?腹に何か一物持ってるだろうって笑みを浮かべるような銀の人の?でだ。
俺は慌てて左右を見渡した。良し、異常なし。赤い服も、?い法衣も見?たらない。
用心のために上や下も見る。?然、後ろも振り返り確りと確認する。

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「?のせいか……」

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何?にも異常はなかった。俺はほっとして正面を向いた、その時だ。

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「?分と?動不審な事をするのですね、衛宮士?」

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……正面にいた。

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何時の間にか俺の?正面に、夏だと言うのに長袖の?い法衣を纏ったカレンが、何か?質者でも見るような視線で俺を見下していた。

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「私の顔に何か? 普通に話しかけろといわれたので、ごく普通に話しかけたつもりなのですが?」

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げんなりとその顔を見据えていた俺に、カレンは文句があったら言ってみろといわんばかりの口調で言葉を?ける。

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「いきなり現れて、どこが普通だよ……」

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ってそれよりだ。

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「言われたって、誰にさ? 俺がそんなこと言ったっけ?」

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「あ……いえ、そういえば誰にでしょうか」

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途端、カレンは一瞬狐にでもつままれたような表情になり、?いてそれまでの倣岸さが?のように、視線を不安げにさ迷わせ出した。

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「俺に聞くなよ」

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「申し?ありません、確か……私の得意な方法で?をかけ(釣上げ)た人に、次からは普通にしろと言われたような…… おかしな話ですね。確かに、貴方(衛宮士?)とはそんな出?いはしていなかった」

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「確りしろよ、見習いでも余人には?似の出?ない(オンリ??ワン の)見習いなんだろ?」

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「その点に?しては問題ありません」

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が、そんなお?ごかしを言った途端、カレンは元の何?かで見た事のあるような冷ややかで見透かすような視線に?ると、何?か?しそうに口元を綻ばせた。

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「見張りがいなくなるや否や、?を緩ませて彷徨い出す人と違って、私はきちんと仕事を進めています」

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……痛い所を突いてくる。別に俺は……?みません、?を緩ませて彷徨ってました。

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「で、何の用だ? オルガンのことなら??には行ったぞ。でも、留守だったのはそっちだろ」

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思わず謝りそうになった俺だったが、考えてみれば謝る謂れなんかこれっぽっちもなかった。俺は下がりかけた頭を逆に反らし、挑むような視線でカレンに食い下がった。

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「別に用件と言う程の事はありません。オルガンにしても留守中まで??に勤しめとは申しません。本?ならば見かけても通り過ぎるべきだったのですが……」

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そんな俺の視線を一向に?にした素振りさえ見せず、はなはだ失?なまでの物言いでそこまで?えたカレンだったが、ここでほんの少しだけ恥ずかしげな視線になると小?でぽつりと付け加えた。

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「貴方が幸福そうだったので、つい……」

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「へ?」

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一瞬、何か不?な物が背筋を走った。
このことに?れてはいけない。藪を突いて蛇を出すようなことをしてはいけない。
そう、いけないいけないとは思いつつ、それでも俺は何か引き?まれるように聞き返してしまった。

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「その……つい、なんなんだ?」

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「……嗜虐心が刺激されてしまいました……」

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カレンは恥ずかしげな?でそう告げると、後は開き直ったかのように一?に言い切った。

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「さしたる理由も無く目に見えて幸福そうでしたので、現?を知らせてあげたくなったのです。人生とは?な物ではなく、常に苦しみ悶え自虐に押しつぶされるもの。その見せ掛けの幸福は、私の一息でたやすく消し去ってしまえる物だ、と」

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「ええと……その……」

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俺ってそこまで君に嫌われてたの?

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「別に貴方が嫌いだとか、憎いとか言うわけではありません」

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思わず頭を抱えそうになった俺に、カレンは取って付けた?に言葉?けた。

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「ただ私は幸福そうな人を見ると、その皮を?いで見たくなるのです。……以前から兆候はあったのですが、この街に?てから本格化したような。……もしかすると、これが私の趣味なのでしょうか?」

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そして最後には、困ったような顔で俺に尋ねさえしてくる。
いや、そんなこと聞かれても俺の方が困る。ただ、これだけは言える。それは……

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「……最?だな」

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「私も同感です。いったい誰に似たのやら」

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俺のげんなりしたような言葉に、同じくげんなりした表情で、手を組んで祈るように?くカレン。
一瞬、妙な親近感が湧いた。まるで同じ敵を持った同盟者だと言うか、敵の敵は味方だというか、そんなちょっと複?な親近感だ。

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「まぁ、それはもう良い。それより?飯まだだろ? こんなとこで?ったのも何かの?だ、一?に食わないか?」

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そんな親近感のせいでもないだろうが、俺は?持ちを改めて弁?を取り出すと、カレンを?食に誘うことにした。

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「わ、私とですか?」

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「他にはいないだろ?」

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驚くカレンを余所に、俺は三段重ねのお重を公園の芝生の上に?げて行った。どのみち調子に?って作りすぎたんだ、一人で食うには多すぎる。

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「ですが、その……」

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だが、カレンは珍しく?然と突っ立ったまま、何?か煮え切らない表情でぼそぼそと?いているだけだ。

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「別に、これで?柔しようってわけでもないぞ?」

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「そういう心配はしていません。これが?なら毒でも盛られている危?がありますが、衛宮士?に?してその心配もしていません」

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えらい言われようである。いくらなんでも遠坂がそんなことを……まぁ、しないとは?言できないが、ともかくそういう?ではないらしい。

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「あ、もしかして宗?上の理由で食えない物があるのか? それとも粗食に勤しむべきって戒律があるとか」

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「いいえ、そういった制限はありません、ですが……」

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どうにも理由がわからない。?も言葉を濁らすカレンに、はっきり言ってくれなきゃ判らないと首を傾げながら視線を送ると、とうとうカレンは?念したように溜息を付くと口を開いた。

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「結構なご馳走のようなのですが、私が食べても恐らく味がわからないと思います」

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「へ?」

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「……衛宮士?に、婉曲な表現は通じないと思いますのではっきり言います。甘いか辛いかどちらかはっきりした味以外、私には判別できないのです」

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「じゃ、例えば?前のクルック?番館の百倍カレ?とか、江?前屋のスペシャル三色大判?とかじゃ無いとダメって事か?」

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「そのどちらも食べましたが、少しばかり薄味でした。?いてこの街で口にあったものと言えば、商店街にある泰山と言う中華料理店の麻婆豆腐か、フル?ルと言う洋菓子店の砂糖漬けトリプルベリ?クレ?プくらいでしょうか」

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うわぁ、?魔でさえ一?で昇天するという灼熱の溶岩と、天使さえ一口で悶絶死すると言う極甘の果?。激辛と激甘、冬木における魔界の極?と天上の地獄と?される二品だ。
もうこれは偏食とか、偏った嗜好とか、そういった問題を通り越している。

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「……最?だな」

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そう、それは人外魔境。最早人間の食いもんじゃない。

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「衛宮士?。それはどういう意味でしょうか」

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だが素直な感想に、今度は共感を得られなかったようだ。カレンは、思い切りむっとした表情で?みつけてきた。
尤も、それは今までの冷徹で何?か人を嘲笑したような表情とは違い、?相?の少女が拗ねたような顔だった。
成程、人が一番素直な感情を?すのは、趣味と嗜好についてだとは良く言ったもんだ。

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「?かった。流石に俺もそいつには付き合えない。今日はあれで勘弁してくれ」

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だから俺は素直に頭を下げ、公園の外れで店を?げる移動式のジェラ?ドショップを指し示した。

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「え? その……奢っていただけるのですか?」

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「まあな、?を?くしたようだし。それに飯を誘ったのは俺だろ?」

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誘った以上最後まで完遂したい。意地と言うより、これは俺の趣味みたいなもんだ。

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「判りました。それではご馳走になりましょう」

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その?持ちが通じたのだろう。これまた?相?の微笑を浮かべると、カレンは快く承諾してくれた。

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「よし、じゃあちょっと待っててくれ」

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こうして俺たちは、方や三段重ねのお重、方や四段重ねのイタリアンジェラ?ドと言う、一風代わった?わった?食を取る事になったのだった。

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お久しぶりでございます。
Britain 再?第一?はhollow絡みの外?。かの聖女?の登場と相成りました。
彼女と同じ立ち居地の人物に?するSSは一度書いてはいたのですが、これはまぁ、所謂“??史”になってしまいましたので、リメイクの意味も?めて書いてみました。
“あの”物語と違う世界の同じ時間軸で、あの聖女?にどのような出?事があったのか? Britain流に料理したお話です。
「本?に、普通の食事はダメなんだな……」

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試しに食べてみた俺の弁?にはまるっきり無表情である一方、四段重ねで砂糖を塗した?なイタリアンジェラ?ドには幸せそうに口元を綻ばすカレンに、俺は思わず?いてしまった。

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「ですからダメという?ではありません。味がわからないだけです……」

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それにカレンは、さも不本意そうに?えを返す。

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「こう言うこと聞くのもなんだけど、?質かなにかなのか?」

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「いいえ。まぁ、今までの生活のつけと言ったところでしょう」

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「あ、ああ……」

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ちょっと拙い話題だった。
カレンの仕事は?魔?いの助手、しかも?障を身に受ける“?山のカナリヤ”役なのだ。今も見え?れする包?や、かすかな消毒臭からも察せられるように、生半可な苦行ではない。

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「前にも言いましたが?にしないように。??から修道院をたらい回しにされて得た天職ですから」

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だってのにカレンは、何?か自慢げなまでにとんでもない言葉で自分の生い立ちを評して見せた。

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「なんだよ、それ……」

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「なんだとは……簡潔にして??。中?言いえて妙だと、私は?に入っているのですが?」

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更に、余りの事に眉を?めた俺に、カレンはまるで俺がそう評してくれたとでも言いたげな視線で口を尖らせる。

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「すまん、でも、それじゃ何がなんだかわからないぞ?」

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「仕方ありません、さして面白い話でもないのですが、もう一度お話しましょう」

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全く心?たりはなかったものの、何故かこっちの方が?いような?がして思わず謝ってしまった俺に、カレンは溜息混じりに「??から修道院をたらい回しにされて、そこで天職を得た」話をしてくれた。

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ぼうれいのおきみやげ 
「紫陽花の聖女」 -Karen Hortensia- Fate/In Britain外?-7 後編
Magdalene  

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それは、なんとも?が滅入るような話だった。
父も定かでない彼女を生み、あまつさえ信徒にあるまじき罪である自殺を遂げた母。
そんな母子に、全く何の感慨も持たず顔を見せることさえなく消えうせてしまった父。
神への愛以外何物も知らず、彼女に洗?さえ施さずただの厄介な?として育てた神父。
そして彼女に余人にはない聖痕を認めるや否や、純?な道具として修道院と言う牢獄に?ぎとめた??。
そこには彼女の、カレン?オルテンシアと言う少女の自我を、人としての存在を認めるものは一切なかった。

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カレンはそんな話を淡?と語った。
自分を生み捨てにした父母を恨む事もなく、祈る以外何も?えてくれなかった神父を憎む事もなく、自分を便利な道具として扱うだけだった修道院を厭うことなく、それらの全てを別に辛いと思う事もなく。
?がりではない。?際それを語る表情を見ればわかる。
?に思い出と言う本の頁を捲り、音?する。カレンの表情からは、それ以上の意味は一切汲み取れなかった。

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「そして私は、その聖痕(さいのう)を生かす道。?魔?いの助手として?く事になりました」

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そして、この仕事もまた地獄だった。
魔を?う道具として彼女が付き?った師は、中でもとりわけの最前線(アヴァンギャルド)を受け持つ司祭であった。
故にその行く先には、紛い物や比較的?い段階の?魔憑きなどはなく、常に?性と呼ばれる最?の?魔の所業だけが待っていた。
最早そこは、憑依者だけで無く周?の人さえも?異した人外の地。
無論、肉?の?異ではない、そんなものが始まれば、?に終わっている。
そこは、人が人の形のまま人以外の何かに?っていく世界、人の精神が醜?な何かに取って代わられた世界、肉で無く魂を腐らせる世界だった。

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そんな世界で、常人ならば一月と持たない異常な?場で、彼女は?い?いた。
しかも淡?と、異常と超常の修羅場をまるで日常の??のように。

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「…………」

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だが、聞いている方は堪ったものではない。何?か?れているんじゃないかと心配になってくるほど、淡?と?絶な話を物語るカレンに代わって、俺の腸が煮えくり返ってくる。
人は、そんな生き方をしちゃいけない……どんな人でも、人は人として生き、人として逝かねばならない……

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「誤解のないように言っておきますが、別に?制されたわけではありません。これは私自身で選んだ道です」

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そんな俺にカレンは、どうして貴方はそんなにも傲慢で不遜なのでしょうねと、諦めたような口調で語りかけてきた。

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「なんでさ!?」

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「同じだから」

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「え?」

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「私にとっては?も外も同じ事。ならば有意義な生き方をすべきでしょう」

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?もつのる俺に、カレンは先ほどと同じ淡?と祈るように口調で言葉を?ける。
彼女の聖痕は、人の心に差した魔に反?する。心に魔の差さぬ人間など聖人に他ならない。
つまり、彼女にとってごく普通の“日常”も、?魔?いの“異常”も、結局“同じ”というわけだ。

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「自分がハンデを背負っている事は承知しています。ですが、こうして生まれついた以上、その定めの中で生き?こうと思います。恨んだところでなにも始まりません」

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「でも……その治すとか、?質改善するとか……」

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「治療法は?見されていませんし、治そうと言う希望もありません。自分は不幸であると嘆けるだけで十分です。それに」

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カレンはここで、あの冷笑的で人を見下した物とも、?相?の少女の物とも違う笑みを浮かべた。そう、例えるなら、それは慈母の笑みだ。

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「私は確かに傷を負いますが、それは私の傷で無く誰かのもの。憐れみこそすれ恨む謂れはありません」

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故に天職。
ああ、確かにそうだ。
カレンはわかっている。
この生き方が何?か歪んでいることを、自分に何?か欠けた所があることを。
けどこの生き方の末、誰かが助かるなら、誰かが救われるなら、それは決して間違ったことではない。
煮えたぎっていた腸がすっと冷えてくる、代わりに頭をぎりぎり締め付けるような頭痛が襲ってくる。

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「失念していました。衛宮士?、貴方は我慢のできない人でしたね」

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そんな俺に、カレンは慈母の笑みを崩さぬまま?摯で、それでいて何?か?倒される表情で向き直ってきた。

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「何故そんなに他人のことばかりで嘆くの? 憤るの? 確かに私の?んできた道は安逸ではありませんでした。結果、ご存知のように些か味?の嗜好が偏ってしまうような事もありました。ですが、それでも私には美味しいと感じる物がある、?しいと感じる事がある、ちょっとした我?を通した事もある、自分の欲望が皆無と言うわけではありません」

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そのまま、まるで諭すように自分はそんな生き方を、生きてきた道を決して疎んじてはいないと、限られた選?肢の中、精一杯自分らしく生きてきたと言う。

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「――ですが、衛宮士?」

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そして……

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「貴方はどうして生きることを?しめないの?」

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言葉の刃を突きつけて?た。

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「貴方には自分に返る欲望がない。だから嬉しい事はあっても?しい事はない。常に自分の心が叫んでいる。“そんな幸せは衛宮士?にはふさわしくない”」

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「そ、それは……」

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「例え他人の?で聞こえても、それは貴方自身の?。貴方自身の思いを映した鏡に過ぎない。だって、本?のその人たちは決してそんなこと言わないもの」

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カレンに言い?は通じない。?摯な瞳で、慈母の愛で次?と俺の皮が?ぎ取られる。

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「自分には?えず隣人に?える?身の鑑、世界は正しくあれと祈るよう?な在り方。貴方の生き?はいつだって他人の?だけ。例え自分自身を奪われても、そのこと自?を憂いはしない。それどころか、自分を奪った?者が、?物の生を生きる方を憂う」

\n

何?かしら遠い目でカレンの言葉は?く。俺の知らない事象で、紛れも無く俺自身の??(たましい)を切開していく。

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「もう誰もそんな貴方を責めたりしない。責めるのは貴方自身だけ。ねぇ。そんなに人?みの幸せってつまらないの?」

\n

……いや、そんな事はない。
人?みの幸せ、月?みの幸福。それがとても素晴しい物だって事には間違いはない。

\n

ただ……

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それだけでは足りないのだ。

\n

それだけでは我慢できない。命の分だけ幸せであって欲しい。頑張った奴は、一生懸命生きる奴は、必ず報われなきゃいけない。ささやかな幸福くらいでは割が合わない。

\n

ああ…… つまり、俺は……

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「傲慢で不遜だな……」

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「そう、それが貴方の罪。でも誰も貴方を罰してくれない。だって間違っていないから。だからなのね、貴方は何時だって貴方自身で貴方を責める」

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その通りだ。
自分自身の欲望なら悔い改められる。だが、俺が欲しいのは他人の幸せだ。悔い改められない、悔い改めるわけにはいかない。最後まで完遂しなきゃいけない。

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「すまない、カレン」

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だから俺は謝った。
俺の罪を俺の罪?を引き出し、?摯に諭してくれたカレンに感謝しつつも、決して改悛することが出?ないことを謝った。

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「元より、私の小言くらいであなたの十年?の生き方が?るとは思っていませんでしたが、約束でしたから」

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「約束?」

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「ええ、今一度貴方を諭すと」

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誰とは言わなかったが、カレンは一瞬とても優しい笑みを浮かべると、話は終わったと立ち上がった。

\n

「ただ、?目元と思いましたが、お蔭で一つの方向が見えました」

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そして、その笑みをとっても素敵で邪な物に?えて、俺に微笑みかけてきた。

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「あの……それって一?どういう意味なのでしょうか?」

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後ろ毛が逆立ち、背筋を絶?零度で逆撫でされながら、俺はそんな素敵なカレンさんに尋ねてみた。

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「別に衛宮士?をどうこうしようと思ったわけではありません。それについては約束も果たしましたし、これ以上の??は無?でしょう。ただ、私の主務は聖杯の?測ですが、この??の表の代行も託されています。ですから、ちょっとそちらの仕事にも精を出そうと思ったまでです」

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怯える子羊のよう俺に、カレンは慈母の愛と?父の嗜虐がない混ぜになった笑みを浮かべ、冷ややかに見下しつつ?えてくださる。

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「まぁ、一言で言えば??の庶務の整理と、迷える子羊の善導でしょうか」

\n

そして最後に、とても?しそうに謎掛けじみた言葉を言い?し、カレンは公園を去って行った。

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\n

 

\n

「……??の庶務の整理と、迷える子羊の善導ですってぇ……」

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と、ここまで話してふと目をあげると、遠坂さんがぶつぶつとその二言を繰り返しておられる。

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「と、遠坂?」

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なんかとっても怖い、藪を突いて蛇を出すのは本意ではないが、それでも俺はついつい?をかけてしまった。

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「結局、あれは全部あんたのせいだったのねっ!」

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途端、噴火する遠坂火山。ちょっと待て、お前一?なに言ってるんだ!?

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「なにも減ったくれもないわよ! 士?だって居たでしょうが!」

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「俺も居た? ……あ、もしかして……」

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遠坂に?幕に、慌てて記憶をまさぐった俺は一つの出?事を思い出した。

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「もしかしなくてもあれよ。わたしとあんた、それにあの女が同席したのはあれ一回だけでしょ?」

\n

「そりゃそうだけど、あれってそんな大事だったのか? そりゃ確かにえらく?呑ではあったけど?」

\n

そして、目いっぱい悔しそうな遠坂には?いが、かなり愉快な出?事でもあった。

\n

「……あの時は、士?に全部?明できない事情があったの。いいわ、ちょっと思い出してみなさい。最後に、あいつがなにやらかしたか?えてあげるから」

\n

そんな俺に遠坂は、少しばかりすまなそうにしながらも、あんたよからぬこと考えてるでしょうと言った視線で口を尖らし、話を?けることを促した。
確かあれは、公園での出?いから更に半月ほど後。そろそろ夏も終わりを迎えようとしていた頃の事だった。

\n

 

\n


その頃には?にパイプオルガンの組み立ても終わり、??に通う理由はなくなっていたのだが、それでも俺は足繁く??に顔を出していた。
勿論、カレンの仕事に協力するためだったのだが、何故かその都度カレンは??を留守にしており、一向に出?えなかった。
まぁ、それまでの?緯を考えて、こいつは俺のお節介な生き?に?する一種の?言じゃないかとは思ったが、だからと言って止めるわけにはいかない。
そんなわけでこの?日、意地のように顔を出す俺と、計った?に??を留守にするカレンの不思議な追いかけっこが?いていたのだった。

\n

それがこの日、いきなりとんでもないところで顔を合わすことになってしまった。

\n

「こんにちは衛宮士?。こんなところで?うとは奇遇ですね」

\n

確かに奇遇だ、こんなとこで?うなんて思考の片隅にさえなかった。
ここは遠坂邸の客間。遠坂の魔術講座の?に訪れた俺の目の前で、カレンはしれっとした顔でお茶を喫んでいたのだ。

\n

「あら? 衛宮くん。シスタ??カレンの事をご存知なの?」

\n

そしてその正面で、華麗に微笑んでいられるのが遠坂さん。その氷の視線が、更に?度を下げて俺の方を向いた。

\n

「へ? あ、ああ……顔見知りだぞ。?は……」

\n

「ミスタ?衛宮には、この街に到着した時にお世話になりました。大??さくで親切な人柄の方です」

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一瞬、??されたが良く考えてみたら俺が責められる謂れは全くない。とにかくきちんと?明しようと口を開くと、?座にカレンさんが妙になれなれしく飛びきり優しげな微笑で、ねぇとばかりに俺に向かって可愛らしく小首を傾げてくださいました。

\n

「それでは、紹介の必要はありませんわね。お互い良く知っているようだから」

\n

そんなわけで、遠坂さんは聞く耳持たず?筋立てながら微笑んでいらっしゃいます。
お前ら、?むから俺に話させてください……

\n

「それで、本日はどのようなご用件で? 確か、最初に相互不干?を約定として定めたはずでしたが?」

\n

言葉の接ぎ?を失って立ち?む俺に、後でじっくり聞くからとにっこりと?い視線を送り、まず遠坂が口火を切った。つまり、不法侵入者はとっとと出てけと言うわけだ。

\n

「確かに、??の監督代理と協?の管理者との間の相互不干?は取り決めました」

\n

だが、カレンは動じない。御?御尤もと?きながらも落ち着いた口調で遠坂の言葉に反論する。

\n

「ですが本日は、冬木における??の司祭代理として、??の信徒たる遠坂??の元に??の職務執行の?に?った次第なのです」

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一瞬、?を突かれたように顔を見合す遠坂と俺。
確か、遠坂は別に??の信徒であるわけじゃないとか言ってなかったっけ?

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「わたしは別に??の……」

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「ええ、?はここ十年ほど??には?ても、儀式にも秘蹟にも??していません。ですが、幼?洗?と堅信は御尊父が存命のうちに?ませております。間違いありませんね?」

\n

?を取り直し、訝しげに問い正そうとした遠坂の言葉に、カレンは待っていましたとばかりに言葉を被せる。

\n

「そうなのか、遠坂?」

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「うっ……うん。言峰の前の代までは、家と??はいい?係だったし、璃正おじ?には可愛がってもらってたし……」

\n

ぐっと詰まった遠坂に小?で話しかけてみると、別に正式に宗旨替えをしたという?ではなく、カレンの言葉どおり全く活動はしていなかったものの、書類上は??の信徒のままであったらしい。

\n

「それは結構。そうである以上、例え本人がなんと言おうと、??は信徒を手放したりはいたしません」

\n

よき羊飼いは、迷える子羊を決して見放さない。執念深く見つけ出し必ずや元の群に引きずり?す。そう、喩え破門にされたとしても“背?者”として、??の記?の中では永遠に生きる事になる。
魂の契約は永遠普遍。それが??だと言うわけだ。

\n

「勝手な事を言ってくれるわね……」

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だが、遠坂さんはただでは負けを認めないようだ。さすが往生際が?い。

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「それじゃ、今から柳洞寺にでも?け?もうかしら? 流石に??徒になったら?が切れるんじゃないかしら?」

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「??としては、別にそれでもかまいませんが……」

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そんな遠坂の憎まれ口に、カレンはさも?念そうに顔を伏せながら、にやりと見透かすような笑みを浮かべて?いて見せた。

\n

「??に籍があれば、?の?籍に?係なく冠婚葬祭をつつがなく執り行えるのに……」

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「ぐっ……」

\n

不思議な事に、何故かこの?きで遠坂さんが詰まってしまった。

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「どうしたんだ、遠坂?」

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「あんたはいいの! 先のことだし……わたしだけが心得てればいいのっ!」

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で、思い切り疑問符を浮かべて聞いてみたら、これまた何故か遠坂に怒鳴られてしまった。全く、わけが判らない。

\n

「……わかったわ、そっちの方が有利だし。一?信徒って事にしといてあげる」

\n

「ご理解が早くて助かります」

\n

思い切り悔しそうな遠坂に、如何にも取ってつけたようにほっと笑みこぼれて見せるカレン。結局、口ではなんと言おうとも遠坂はカレンに蹂?されてしまったようだ。

\n

「それで? ??の職務執行ってなに?」

\n

「遺言の執行。早い話が形見分けと言う奴です」

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「形見? ??の人間で形見を受け取るような知り合い居ないわよ?」

\n

「それを聞いたら、さぞ故人は悲しむでしょう」

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カレンは笑みを浮かべたまま、遠坂の疑問に嘆いてみせる。
悲しんでくれたらどんなに嬉しいだろう、なんだかそうとでも言っているような明るい嘆き方だ。

\n

「ええと、それで誰の形見なんだ?」

\n

とはいえこのままでは話が進まない。なんだかとっても?は進まなかったが、俺が話を進める事にした。

\n

「冬木??の前任者。つまり言峰綺?の遺品です」

\n

一瞬、沈?が遠坂家を包んだ。
俺も遠坂もカレンの言葉を理解できなかった。いや、理解したくなかったが正解だろう。あ、あの言峰の遺品だって?……

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「そんな物、危なっかしくて受け取れるわけないわよ!」

\n

だがそれも束の間、先に我に返った遠坂が、?然のように猫をかなぐり捨てて、カレンに詰め寄る。?持ちはわかる。言峰の遺品。しかも遠坂宛なんて、どんな呪いが?められているかわかったもんじゃない。

\n

「ご不審は察しますが、一??査の結果どのような呪式も?められていない事を確認してあります。まぁ、言峰綺?はあれでも正式な聖職者。直接的な呪を送りつけるほどの愚者では無かったようです」

\n

それにカレンは落ち着いて、良く聞けば身も蓋もない物言いで、どの品もただの“もの”に過ぎないと確約した。

\n

「……わかったわ。その言い?だと、あんたあいつの味方だけは絶?しそうにないし、見るだけ見てあげる」

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どうやら遠坂も、カレンの言葉の端?に見える前任者への?しようもない思いに?が付いたらしい。不承不承ながら、形見分けと言う行事を始める事を承諾した。

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「では、まずこちらからご?ください」

\n

それにカレンは、待っていましたとばかりに持?のトランクから、どうやら衣?箱のようなものを取り出し徐に蓋を開けた。

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「………… え?」

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一瞬、鬼が出るか蛇が出るかと息を呑んでいた俺だったが、中身が目に入った途端拍子?けしてしまった。
そこに?められていたのは、白いブラウスと紺のスカ?ト、それに蒼いリボンと?いタイツという一?いの洋服。何故か下着類まで?っているのには些か赤面したが、これには見?えがある。

\n

「これって、セイバ?の着てた服じゃないか……」

\n

そう、これはあの聖杯??の間、??に成れぬセイバ?の?に遠坂が用意した服だ。しかし、どうしてこんなもんが言峰の形見なんだ?

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「……プレゼントだったの……」

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そんな俺の?きに、何故か?っ赤になりふるふると震える遠坂が搾り出すように?える。

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「へ?」

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「あいつの誕生日プレゼントだったのよ! それも?年?年おんなじ服ばっか!」

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それは……言峰ってやっぱり?った奴だったんだな……

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「はい。遺言では遠坂??が二十?になるまで?年誕生日に贈るようにとなっていましたが、流石に??もそんなに暇ではありません。幸い服は各年分全て?っていましたので、この際ですから全てこの場にてお渡しします」

\n

そんな俺たちの狂?を?牙にもかけず、カレンは事務的なまでの口調で、トランクから次?に衣?箱を取り出し積み上げていく。

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「……くっ」

\n

その全てが同じ服。
いや、サイズが微妙に違う。成程、遠坂の成長を予測した上で造らせたのか。何故か、ブラのサイズだけ全て一?ってのが中?趣がふか……

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「衛宮くん。あんまりおかしな事考えてると……殺すわよ……」

\n

い……などとは、ちっとも全然考えてないぞ。だから遠坂、命だけはお助けを……

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「?に入っていただけたようで、さぞ故人も喜ばれる事でしょう」

\n

そこにカレンが取ってつけたような笑みを浮かべながら、葬儀屋の司?のような科白で茶?を入れてくる。

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「これの何?が喜んでるように見えるのよ! こんな物あんたに上げるから持って?りなさい!」

\n

「お?持ちは有難いのですが、他のサイズはともかく胸だけはきつすぎるようなので、ご遠慮します」

\n

?然、激?する遠坂だが、カレンは容赦ない。心ある人なら決して口に出?ない言葉をしれっと言って下さいます。

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「……まあ、いいわ。受け取りましょう」

\n

そのまま苛烈な視殺?に突入かと思ったが、?を食い縛りながら引いたのは遠坂だった。

\n

「おや、?分簡?に引き下がられるのですね?」

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「ふん。このまま粘ったら、それだけあんたがこの家に長居する事になるじゃない。幸い何時もと同じ服みたいだし。受け取った以上は、煮ようが?こうがこっちの勝手にして良いわけだし」

\n

「?然です。?方もお引渡した以上、その後の?遇については一切??しません。さすがは?、賢明な判?だと思います」

\n

……なんか、持て余したテロリストを押し付けあう二大?の政治的な決着みたいな展開だ。この服自?には罪は無いと思うけどな、セイバ?にも似合ってたし。

\n

「で、これで終わり?」

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「いいえ。まだあります」

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衣?箱を手早く引き取りながら終わったなら早く?れと促す遠坂に、カレンはそう簡?には?ってやるもんかとにっこりと微笑み返し、今度はトランクから一冊の冊子を取り出した。

\n

「じゃ、さっさと渡して頂戴」

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だが、それを見てうんざりした顔で手を伸ばしかけた遠坂から、カレンはさっとその本を遠ざけた。

\n

「?念ですが、これは遠坂??への?渡品ではありません」

\n

そして、何故か俺を差し招いた。

\n

「俺?」

\n

「なんで士?に?」

\n

どう考えても、俺が言峰の遺品を受け取るような筋はないんだが……

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「衛宮士?氏への名指しではありませんが……」

\n

そんなわけではてと首を傾げていると、カレンは巧妙に遠坂と距離を置きながら俺に近寄ってきた。

\n

「遺言に、言峰綺?死亡時に遠坂??に一番近しい男性に渡すようにと指示がありましたので」

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そして、にっこりというよりにやりに近い笑みを浮かべ、その冊子を何?か?引に俺の手に取らせる。

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「いやまぁ……そう言われればそうかな?」

\n

「否定は出?ないわね……」

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流石にカレンの前で遠坂と俺が?人と言うか、そういう?係だとは公言できない。俺たちは全て判ってますとでも言いたげなカレンの視線を前に、互いに言葉を濁すしかなかった。

\n

「で? 何なんだこの本……っ!?」

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そんなわけでなんとも?恥ずかしくて、照れ?しのようにその冊子を開いた途端、俺は硬直してしまった。
一言で言えば、それは子供時代の遠坂の??が?められたアルバムだった。
だが、ただのアルバムではない。なにせ普通のスナップ??など一枚もないのだ。
恐らく遠坂邸の庭の木陰だろう、?の?椅子で涎をたらしながら??をしている幼い遠坂の?姿。下着一枚でぼうっとベッドに座っている?ぼけ眼の可愛らしい遠坂。公園だろうか? 空き地で二桁に及ぶ男の子を伸してその上で胸を張る少女時代の遠坂。うわぁ、これは風呂上りのオ?ルヌ?ドじゃないか……
つまりはそういう類の??ばかりなのだ。しかも、その全ての??に言峰の注?つきと言う凝りようだ。
言うなれば、こいつは“言峰綺?編纂 遠坂?、愛の成長記?” とでも言うような珠玉の??集だったのだ。

\n

「士?、どうしたの?」

\n

と、思わず見入っていた俺の肩口から、遠坂が心配そうに?きこんできた。

\n

「え? うわぁ! 遠坂! 拙い!」

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飛び上がらんばかりに驚いて、慌ててアルバムを閉じる俺。しまった! どじった……

\n

「……なにが拙いって? 怪しいわね、ちょっと見せなさい」

\n

案の定、遠坂さんに思い切り怪しまれてしまった。ジリジリと迫ってくる遠坂さん。
ふふふ、やだなぁ遠坂さん、右手の魔術刻印が輝いてますよ、それって絶?やりすぎですよ。
カレン、君も止めて――って、?しそうだね。ああ、そうか。?しいと感じる事があるって言ってたな。そういや、味?同?思いっきり偏ってた趣味だったなぁ…… ああ…… ?しんでくれて何よりだ……

\n

「なによ! これっ!」

\n

とまあ、そんなこんなで暗?した俺の意識を?ましたのは、アルバムを手に?っ赤になって叫んでいる遠坂の叫び?だった。

\n

「??!」

\n

そして、そんな俺に遠坂さんの理不?な?が襲い掛かってくる。??って、それは俺が言峰から……

\n

「いいから! ??なんだから!」

\n

とはいえ泣く子と遠坂さんには勝てない。特に、?目で恥も外聞も無くなった遠坂さんには。

\n

「それは困ります」

\n

だが、それもカレンさんには通じない。それは正式に衛宮士?氏に受け取ってもらわねばならないと、市役所の小役人のような頑なさを?に?しそうに演じておられる。

\n

「いいの! こいつはわたしのなんだから! こいつの物もわたしの物なの!」

\n

それに追い詰められた遠坂がついに切れた。うわぁ、遠坂イ(ジャイアニ)ズム爆?。

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「成程、それはつまり……」

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と、ここで何故かカレンがそれまで演技をかなぐり捨て、してやったりの笑みを浮かべた。

\n

「衛宮士?については、?が全責任を負うということでもありますね?」

\n

「――っ!」

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一瞬で遠坂の顔から、アルバムの件での愚かしくも微笑ましい激情がすっかり消えうせた。

\n

「元から……そのつもりよ」

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そして、あの聖杯??の時にしばしば見せた、同じように頑なながらも?摯で冷?な表情に代わると、何か誓いでも口にするようにはっきりときっぱりと言い切って見せる。

\n

「それを聞いて安心しました。その決意を心得ておられるようならば、これをお見せしても大丈夫でしょう」

\n

それに?えるように、カレンも??な面持ちになり。これが最後と一枚の封筒をテ?ブルに載せると、遠坂に向かって滑らせた。

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「これは、言峰綺?の正式な遺品と言うわけはありませんが。?、貴方が受け取って?理すべき物です」

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そして、そのまま遠坂がその中身を確認するのをじっと見据えて?ける。

\n

ぎりっ

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そんな何?か息詰まる?況の中、封筒の中身を確認した遠坂の肩がかすかに震え、??をかみ締めるような音が響いた。

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「遠坂?」

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「大丈夫よ、士?」

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だが、思わす俺が?け寄った時には封筒は再び閉じられ、遠坂もまた、封筒を開ける以前の冷?な表情に?っていた。

\n

「……判ったわ。つまり、大仕事をするなら自分の足元を固めろっていいたいわけね」

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「すぐにとは申しませんが、それ位してもらわなければ、衛宮士?は微動だにしないでしょう」

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「そうね、こいつ最?だから」

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「それについては同意します。全く、とんでもない怪物(バケモノ)ですね」

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……いつの間にか女二人に、共通の敵を見出したような親近感が生じている。
まぁ、仲良くなってくれるのは平和でいいんだが、人を怪物呼ばわりはないんじゃないか?

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「それでは用件も終わった事ですし、お暇します。次に?う事があるなら……」

\n

「綺?の遺産?理が終わった時ってわけね?」

\n

「そうなりますね。その時こそ、私の任務が完全に達せられた時と言う事ですから」

\n

そして最後に、カレンは遠坂となにやら怪しい??を交わし、遠坂邸を去っていった。

\n

 

\n


そういえばあの封筒、結局なんだったんだろう。
遠坂は時期が?れば話すって言ってたし、俺としてもその時を待つだけだと思っていたんだが、すっかり忘れてたな……

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「ん? どうした遠坂?」

\n

そんなことを思い出しながら、ここまで話し終わってみれば、またも遠坂はなにやらぶつぶつ?きながら頭を抱えている。

\n

「……遺産?理が終わったら……そうだった、終わってたんだ……」

\n

遺産?理? ああそういえば最後そんな?話してたな。

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「どういうことだ?」

\n

「ねぇ、士?。わたし達が今回二人だけで?ってきたわけ、?えてる?」

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「ああ、ルヴィアさんやセイバ?たちと一?でも良かったんだが、神父さんの事だろ?」

\n

本?、今年の??は前年同?、遠坂家エ?デルフェルト家,そして新たに加わったマキリ家の三家合同の?省になるはずだった。
それが急遽?更になったのは、去年の夏、あの?の事件で大怪我をして以?どうも?調の思わしくなかった神父さんが、今年とうとう退任する事になった?だ。
冬木の??は、知っての通りただの??ではない。特に今は遠坂に代わり冬木の?脈管理もしている以上、引?ぎには正式な管理者である遠坂の立?いも必要。
そんなわけで、俺たち二人だけ一足早く??となったわけだが。

\n

「それが、どうかしたのか?」

\n

「どうかじゃないわよ、すぐ??に行くわよ!」

\n

なにがどうしてそうなるのか全く判らない。
とはいえ、とっとと席を立ってずんずん進む遠坂さんを放っても置けない。俺は大急ぎで?計を?ませ、まるで敵地に進軍するように勢いで??に向かう遠坂の後を追いかける事にした。

\n

「士?、?い!」

\n

遠坂さんは結構足が速い。漸く追いついたのは、??へは後は坂を上がるだけといった交差点の手前での事だった。

\n

「?いは良いんだが、なんでそんなに急ぐのさ?」

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「なんでって……ああ、そっか。士?にはまだ話して無かったわね……」

\n

何故か妙に急く遠坂さんに、俺がはてと首をかしげて尋ねてみると、遠坂はあっと?が付いたように小さく?くと、?まなそうに切り出してきた。

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「あの封筒ね。?は……わたし達家族の??が入っていたの」

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「わたし達って、遠坂の?」

\n

「うん。わたしと父さんと母さんと……?の、みんながみんな笑ってるような……極?普通のスナップ??がね……」

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「……そうか」

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それがどうしたんだ? 事情を知らない人間が聞いたらそれだけの??だったのだろう。だが、今の俺は遠坂が魔術師の家系だってことを知っている。そして、?が他家に出され、そこでどんな生活を送ってきたかを……
遠坂は、そんな??を見せられるまで、自分の家族が普通の家族として存在していた事があったなんて知らなかっただろう。
そして、それは魔術師の家族としてあってはならないこと、そうでなければ幼い頃たった一人で?された遠坂が、他家に出された?が余りに悲?すぎる。

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――それがあったのだよ、君たちは二人ともご?親に愛されていたのだよ――

\n

言峰は、あの亡?はそれを涅槃の向こうから?って見せたのだ。

\n

「じゃあカレンは……」

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同時にあの銀色の少女の笑みが?裏に浮かぶ、あの何?か言峰と同質の笑み。まさかカレンも全て承知の上でその??を……

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「ああ、あいつの事情は違うわ。あいつ綺?を出汁に、わたしに?破かけただけだから」

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あいつの事だから?しまなかったわけじゃないだろうけど、と遠坂は憎?しげながらも納得したような口ぶりで、俺に苦笑して見せた。
何故かほっとした。カレンは確かに言峰によく似たところがあるが、それでも一番肝の部分で違う。俺はあの少女の慈母にも似た笑みを思い出しながらも?いた。
何?か歪んではいても、カレンの喜びは言峰のように完全に?逆ではなく、まだ正のベクトルを向いていた。

\n

「そうか、だから”遺産?理”なのか……」

\n

それで合点がいった。カレンは遠坂に?の事を何とかしろと言う思いを?めて、あの??を渡したんだな。無論、それを手に悶?とする遠坂を?しむ事も忘れずに。

\n

「ま、それだけじゃないけどね。でも士?、だからって安心しないでよ。あいつは責め苦は人を前に進める?ではあっても、責め苦そのものを?しんでないわけじゃないんだから」

\n

そんなほっとした俺に、遠坂は?難しげに換言してくる。
確かに言い得て妙だけど、それってなにもカレンだけじゃないぞ、どっかの誰かさんもそっくりだ。

\n

「ともかく、絶?あいつには心なんか許しちゃ?目なんだから、そんな事したらぱっくり食われるわよ」

\n

そんな思いが顔に出たのだろう、遠坂さんは俺を半眼で?みながらびしっと指を突きつけてきた。

\n

「わかった。わかったけど何で今更そんな事を? カレンはもう居ないんだぞ?」

\n

そう、あの?動の直後。カレンは仕事は終わったと?っていった。そしてその後、今の神父さんが赴任してきたわけだ。

\n

「へぇ、そう? じゃあ今響いている音はなにかしら? これって一?誰が?いてるのかしら?」

\n

そう思い遠坂に問い正したのだが、遠坂は如何にも人を見下した視線で俺を見据えると、?く顎を上げて坂の上を指し示した。

\n

「へ?」

\n

街の?踏は?に途絶え、すでにこ?りは閑?な住宅街だ。そして今、そこに流れているのは良く澄んだそれでいて重厚な音色。まるでステンドグラス越しに講堂に差す光のようなその調べは、紛れも無く坂上の??から響いていた。それは……

\n

「……ぱいぷおるがん?」

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「そうね、それ以外ないわ。さ、急ぐわよ」

\n

「お、おう」

\n

この調べには聞き?えがある。そう、これは俺がただ一度だけ聞いた調べ。俺が組み上げカレンが?いたパイプオルガンの調べだ。

\n

 

\n


「遠坂?、衛宮士?。まずは無事のご??をお祝い申し上げます」

\n

俺たちが??の講堂の扉を開けるのと、曲が終わるのはほぼ同時。
そのまま振り向いた紫陽花の少女は、まるで待っていたかの俺たちに??祝いの??を送って寄越した。

\n

「やっぱり、あんただったわけ……」

\n

「なにがやっぱりなのか判りませんが、この度モ?ラ?師に代わり、正式にこの??の管理者に赴任しました、カレン?オルテンシアと申します」

\n

そして、そのまましれっと着任の??をしてのける。

\n

「ふうん、正式って事は“代理”は取れたわけ?」

\n

「はい。ここ三年間の勤め、更には先回の冬木赴任の甲斐もあって??を預かる資格を得る事が出?ました。?も遺産?理を終えられたようですね」

\n

それに負けるものかと、嫌みったらしく代理の部分に力を?めて言い放った遠坂だったが、カレンはそれに、例の遺産?理と言う部分に力を?めて?えを返してきた。

\n

「ま、まあね」

\n

「些か時間が掛かったようですね。?ならば、倫敦に赴く前に方をつけると思っていましたが…… まあお蔭?でこうして私も間に合った次第です」

\n

更に、思いのほかお甘いようでと、喉の?でくくっと笑うカレンさん。

\n

「ぐっ……」

\n

それに、思い切り苦?を?み潰すような表情の遠坂さん。
まぁ確かに?の事に?しては、無事解決したとはいえ遠坂は思いっきり及び腰だったからな。
何?でどう知ったかは判らないが、この問題ではカレンの方が押し?味である。

\n

「とはいえ、これで言峰綺?の?したものは、全て?算されたと言ってよいでしょう。おめでとうございます、遠坂?」

\n

「はん、あんたにお?を言われる筋合いじゃないわよ」

\n

「そうでもないのです。結局、私のこの街での勤めとは、須らく言峰綺?と言う男の?した物(置き土産)の事後?理(後始末)のようなものだったのですから」

\n

何?か疎ましそうにそう話を締めくくったカレンは、そのままなんと言い返そうかと?軋りしている遠坂の脇をすり?け、俺の傍らまで?みを進めてきた。

\n

「衛宮士?。貴方は如何でしたか?」

\n

そして??で?格な聖職者の視線で、俺を?っ向から見据えた。

\n

「俺は……」

\n

余りに漠然とした問い。一?なにを尋ねられているのかさっぱりだったが、それが俺とカレン、そして遠坂の三人に?わる何か大事な事だというのは確かだろう。
俺は、カレンの全て見通すような金色の瞳を前に、必死で自分の中に、ここでカレンと別れてからの三年間の記憶に意識を沈めていった。

\n

……ああ

\n

遠坂とセイバ?の三人で倫敦に渡っていった時の思い出。ルヴィアさんやミ?ナさん、そしてランスとの出?い。カ?ティスにイライザちゃん、ジュリオと過ごした日?。
あの日以?、遠坂と共にあった日?はなんと波?に富み、?がしくも充?した日?だったのだろう。
俺はそんな思い出を胸に、目の前のカレンから、恨めしげにそれでいて何?か心配そうに俺を見据えている遠坂へと視線を移した。

\n

お前と付き合いだしてから、とんでもない事ばかりだったのは、別に夏だけってわけじゃなかったなぁ……

\n

?む暇も無く、思い切り引っ張りまわされた。
けどあいつが、そしてセイバ?達がいてくれたお蔭で、俺は思い切り突っ走る事も出?た。
確かに俺は今でもまだ歪んだままだ、空っぽで?物だらけののままだ。
だがそれでも?、今は確かな指針がある。空っぽの中に、?物の中に唯一つだけ本物がある。
俺は、俺の中にあるただ一本の?の柄にそっと手を伸ばした。

\n

あの夏の出?事以?、俺の生活はあの時以上に息付く間もなく大童な日?の連?だ。遠坂と一?に時を過ごすってのは?大抵の事じゃない。本?に命が幾つあっても足りないような事ばかりだ。

\n

だがそれでも?、そんな日?は決して辛い事ばかりじゃなかった。俺は……

\n

「?しいって事を、知ったよ」

\n

そう、?しかった。嬉しいだけでなく、?しかった。もう、?引なまでにみんなから寄ってたかって?しまされた。
本?にお前ら、少しは遠慮しろよ……

\n

俺は、俺の中で?ってそっぽを向くみんなの代わりに、目の前で口を尖らす遠坂に苦笑して見せた。

\n

「それでは、これにて言峰綺?の遺産に?する、全ての?理が終わった事を宣言します」

\n

そんな俺たちの前で、カレンは一つ?くと重?しく宣告を下した。

\n

そうか、そういうことか……

\n

それで漸く俺は、“遺産?理”と言う言葉の?意を理解した。
遠坂が受け取ったものや、?の??だけが言峰が遺したものではなかった。第四次、第五次という二つの聖杯??で大きくその存在を?えられてしまった俺もまた、ある意味言峰の遺産だったと言う事か……

\n

そんな感慨に浸っていると、カレンが飛び切り優しい慈母の笑みを浮かべ、俺に祝?を送ってくれた。

\n

「衛宮士?。これで貴方も漸く少しは人間に近づけたようですね」

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祝ってくれるのは良いんだけどね、カレンさん。俺の事、化け物呼ばわりはないだろ? 遠坂も?いてないで何とか言ってくれよ……

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天上の?曲が、講堂に響き渡る。
高き天の下、?き地に?ちる遍く生命を歌い上げる喜びと祈りの調べ。
それは以前、一度だけ?いた事のある?曲と同じ物。
地に生きる全ての命に安逸と休息を?える神を?え、神の導きに?いまどろみに生きる喜びを詠うものだった。
ただ、前回と違う部分が少しある。
本?、演奏者の感情など欠片も?められるべきでない?美歌なのに、今日の演奏は微かに感情らしきものが?められているように感じた。
休息と安逸に詠っていながら、それでいて今日の演奏には?行の思いが?められているのだ。

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――ずっとここにいれば良いのに、ここならずっと安逸に浸っていられるのに、それでも貴方は行くのですね。
――あそこは決してそんな好い所では無いというのに、それでも貴方は行くのですね。

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なんというか……こう、??で華麗な響きなのにも?わらず、拗ねて突き放すような、ロックか何かの方が似合いそうな感情も?められているような?がする……

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「御??、感謝します」

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最後の最後を、そんな感情をぶつけるように何?かディスト?ションじみた不協和音で締め、一風?わった?美歌は終わった。

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「いや……良い演奏だったと思うけど、?わった?美歌だな」

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「本?は許されない事なのですが、少しアレンジしてみました」

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良いのかシスタ?がそんなことで? まぁ上手いから良いか。

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「おや? 衛宮士?、貴方に音?がわかるのですか?」

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そんな事をポツリと?いたら、カレンがお馴染みの人を見下す視線で嫌味を言ってきた。

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「いや、音?はわからない」

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俺はそんな嫌味に素直に?え、カレンの背後に屹立するパイプオルガンに視線を向けた。

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「でも、こいつの?持ちはわかる。こいつは君の演奏を喜んでいた。君はこいつのただの所有者や使用者じゃない。紛れも無く“?い手”だ」

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そう、こいつは俺が手ずから組み上げたあのパイプオルガンだ。精緻な機械、?史ある機械。そういったものには魂や精神こそないが、積み上げられた?史と蓄積された??による思いのような物が宿っている。
起源にまでさかのぼる構造解析を天性とする俺には、今では武器でなくても、そんな思いを汲み取る事くらいはできるようになっていた。

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「え……」

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間違いない。うんと?きカレンに視線を?すと、とても珍しい光景を目にする事になった。

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「あ……その……過分なお褒めの言葉、感謝します……」

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照れてますよ、カレンさん。
これは新鮮。やっぱり、人間の本性が出るのは趣味や嗜好の問題なんだな。

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「お、音?に?してだけは特例として指導者を用意していただきました。何かと問題はありましたが……」

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そして、どこか誇らしげに正規の?育を受けていたことを明かした。
成程、我?を通した事ってこのことだな。きっと思いっきり?情張ったんだろうなぁ、しれっとした顔で。

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「……それはともかく。良いのですか? 衛宮士?。?を放って置いて」

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そんなわけで、これは良いものを見せてもらったと微笑んでいたら。カレンは、何故かむっとしたような表情になり、俺にちくりと苦言をいってきた。

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「別に放っているわけじゃないぞ。遠坂はもうここに用がないから?った。俺はまだ君に聞きたい事があるから?った。それだけだ」

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うん、間違いない。

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「……衛宮士?。貴方は女心が判らないと言われた事はありませんか?」

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だってのに、カレンはうんざりしたような表情で質問を返してきた。いや、それはしょっちゅう言われてるけど。

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「……愚問でした。さて、では私に尋ねたい事とは、どのような事なのでしょうか?」

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そして失?にも俺の返事を待たず自分だけで納得すると、改めて俺がここに?った理由を問いただしてくる。

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「ああ、それなんだが。カレン、君は……」

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それに俺は三年前の、今日の出?事を反芻しながら、さてどう話したもんかと言葉を探しつつずっと考えていた疑問をぶつけてみた。

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「どうして、俺の?にこんなに骨を折ってくれたんだ?」

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そう、それが聞きたかった。
??後の再?。遠坂に託した言峰の遺産?理。一見それは??の仕事のように見える。そして、それは遠坂と、そして?だけの問題であるかのようも見える。
だが、カレンは今日この場で、言峰の遺産?理を俺の言葉で締めた。
正しくないくせに間違ってもいない俺が、?り?んでいた袋小路から?け出せた事を最後の締めに持ってきてくれた。
?いて言えば、それはまるで俺を助けるために、あえて言峰の遺産問題に手を付け、遠坂を引っ張り出したように見えるのだ。
?側からは決して改悛できない俺を、外側から遠坂?と言う存在を以て動かそうとしたかのように見えるのだ。

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「俺はあの時、君の手助けをするって言ったのに結局なにも出?なかった。そのパイプオルガンを組んだだけだ。それに俺は別に信徒でもない。確かに君はある意味、人を助けるのが仕事だろうけど、俺みたいに無闇やたらにするってわけじゃないだろ?」

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だが、その理由がわからない。
遠坂に、息するように人助けするといわれた俺が言うのもなんだが、こんなことしたって何の得にもならない。
如何にカレンが聖職者とは言え、こんな面倒をする事は……あっ

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「まさか、カレン。君は言峰の……」

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一つだけ思いついた。

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「それは違います」

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だが俺の思いついた事を、カレンは明確に、それでいて僅かにずらした言葉で否定した。

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「如何に私が聖職者でも、好き好んでわざわざ前任者の尻拭いをする事はありません。……まあ、結果的にはそうなってしまいましたが」

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判りきった事は言うまでもない。そんな口調だ。

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「じゃあ、なんで?」

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「“情けは人の?ならず”」

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そして更に尋ねる俺に、三年前、時折見せてくれた、どうしようもなく優しい表情で?えてくれた。

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「人に情けをかけるのは、結局廻りまわって自分が救われるためと言う諺ですね。私はこれが事?である事を貴方に?えたかっただけ」

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そしてその表情のまま、?くようにそう言うと、?かしむように俺に話しかけてきた。

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「衛宮士?。三年前、ここで私が最後に尋ねた事を?えていますか?」

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「? ……ああ、あれか……」

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あれは三年前、カレンがこの??を立ち去る前日。別れの??代わりに、ここで俺が組み上げたオルガンの演奏を聞かせてくれた時のことだ。
今日と同じ、??で華麗な響き。ただ今日と違って。それは?範を一?も出ない硬く?しい演奏でもあった。

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「なあ、カレン。本?に……終わったのか?」

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そんな頑なな演奏のせいか、それともその日のカレンがほっとしながらも、何?か?げな――そう、丁度祭りの終ったあとの寂しげな雰??のような、そんな空?を纏っていた?か、俺は聞かずもがなのことを聞いてしまった。

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「はい、終わりました。未だ“聖杯”と言うべき物は存在しますが、その中身はもうこの世界には存在しません」」

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きっぱりと?えるカレン。だがそこに僅かな迷いがあった。
判ってはいるし理解もしている。だが納得しきれない。そんな迷いだ。

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「ただ……その……衛宮士?。一つ、貴方に尋ねても宜しいでしょうか?」

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だからだろう。一瞬の沈?の後、カレンは何?かすがるような視線で俺に話しかけてきた。

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「俺に?」

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「はい、恐らく貴方にしか判らない」

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「そういう事なら何でも聞いてくれ」

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「では、お言葉に甘えて……」

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そしてカレンの口から放たれた問いは、なんとも意外なものだった。

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「……英?の?件?」

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「はい、その……衛宮士?ならわかる。何故か判りませんが、そんな確信があったもので……」

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「そう言われても……」

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だが、俺には心?たりがあった。

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ああ、カレンは正しい。こいつは俺と、あとは恐らく遠坂しか判らない……いや、知らない事だろう。

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「……逃れられない運命から、命を?い取ること?」

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「ああ、そうだ。それだけだ」

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そう、たったそれだけ。
俺は知っている。英?の?件は、なにも?史に名を?すことや目に見える偉業を遂げる事ではない。
たとえ一つでも良い。決して助からないはずの命を助ける。それによって、人は人を越え英?になる。いや世界は英?を手に入れるのだ。
俺は……俺の末路(ア?チャ?)からそれを知(?わ)った。

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「ああ……」

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途端、カレンの顔から鬱屈が消えた。理解し判ってはいたものが、漸く納得できたって顔だ。

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「そんなに良いもんじゃないぞ?」

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とはいえ俺としては苦言を呈せざるをえない。なにせ、俺は英?ってのが碌なもんじゃない(あいつみたいなもの)と知っているのだ。

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「でも……」

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だが、それでもカレンは微笑んで見せた。何?か遠い目で、ああ良かったと。

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「誰からも忘れ去られるより、無に?するよりは良いと思います」

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そして一?、今度は遠坂さんとも何?か通じる、いつもの含み?載の表情で俺に微笑みかけてきた。

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「衛宮士?、いっそ放っておいてやろうかとも思っていましたが、お蔭で考えが定まりました」

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「? いや、お役に立てて嬉しいぞ」

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一瞬ぞくっとしたが、どうやらその笑みの向く先は俺ではないようだ。俺はほっとして。

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「では衛宮士?。最後の??を申し付けます。宜しいですね」

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……どうやら、俺も完全に除外されていたわけではないらしい。なんだか?ったらとても後が怖いような?がして、俺は素直にその申し付けを引き受ける事になってしまった。

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「…………」

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「どうやら思い出してくれたようですね」

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「ああ、思い出した。あれはあれで大?だったんだぞ?」

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カレンに申し付けられた最後の??。町外れの洋館の調査と、そこで見つけた一人の女性。そしてその後の?動までを思い出し、俺は思い切り?い顔でカレンを?みつけてやった。
ああそうだった、思い出したぞ。三年前の夏の?動ってのは、なにもカレンの一件だけじゃなかったんだ。

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「ですが、それで一つの命が助かった。よい事ではないですか」

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「人事だと思って……」

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「人事ではありません。結局、それも含めて貴方のお節介で私の仕事(言峰の遺産の?理)は完了した。それにね、衛宮士?。貴方は知らないだろうけど、貴方は貴方の生き方で一つの魂を解き放ったのよ?」

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だからこそ、自分は衛宮士?の?に骨を折る?になったのだと言う。

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「さっぱり判らんぞ?」

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「判らなくても良い。知っていてくれれば」

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カレンはそう言うと、くすくすと笑いながら視線を??の天蓋を覆うステンドグラスに向けた。
円を描き、無?の宗??に飾られたステンドグラス。
それはまるで、無?にある?多の世界の欠片を?ぎ合わせて出?ているかのように見える。
そこを通し?夏の陽光が、講堂に降り注いでいる。

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……ああ

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つられて見上げ、そのまぶしさに目を瞬かせた俺は、ふとさっき見た夢を思い出した。

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――何故か、其?はそんなに良い所ではないだろうという確信はあったが、
――それでもやはり俺は其?に向かって?け?んで行った。

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ああ、そういうことか。
何?か俺の知らない、俺の?われない世界で一つの出?事があった。
そいつもまた、ある意味言峰の遺産だったのかもしれない。それを恐らく“カレン”は?理した。俺の知らない俺のお節介と共に。
それは俺の知らない何か、俺の知らない誰か。だが、今、俺は知っている。

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――お前は、今、其?にいるんだな――

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END

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「記憶の在? Ver.k(小さなk)」hollow remixです。
あの物語のあの結末を、私なりの解?で?み解き。それを私も書いた物語のアレンジとして書き上げてみました。
結局カレンはあの物語でも、言峰の衣鉢を?いでいるんですよね。あの物語での言峰のスタンスは「未だ生み出されざる聖杯の中身の誕生を見定め、祝福する」ことでしたから。
この御話、私にとって久しぶりに純?なSSでした。なにせ構造そのものが起承承結、?の部分はそのまま全部hollow に委ねている?ですから。
それはともかく、これで私も漸く?ってくることが出?ました。これからもどうか御??に。

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ps.ちなみに夏にした理由は、どう考えても本?あの作品は夏の話だったと思ったからです。ですよねぇ(笑)

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번역부탁

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', '11_110812_59413511', ' 「…………」 暗い闇。何一つ確かな物のない混沌の如き闇の中で、金色と?紅の言?が、色彩の和音を奏でていた。二つの色彩は、紡ぎだされる旋律に合わせる?に二つの三角に別れ、四方を?み地に五芒、天に六芒の星を描き出す。 「――!」 瞬間、二つの旋律が?けた。?けた旋律は二つから三つに、三つから四つに、次?と色彩を加え、ついには闇の中に七色の虹を屹ち上げた。 「本?に宜しいんですの?」 僅かな沈?の後、虹色に照らされた金色がほっとしたような息使いで?いた。 「熟慮の結果よ。わたしとあんた、二人が一年かけての解析で目が出なかったんだし、こうなったら??で形にするしか使い道ないもの」 それに、紅がどこか憮然と?えを返す。 「確かに……目の前に結論が見えている?に思えても、そこに踏み?む度に更に向こうに遠のいていく……まるで逃げ水ですわ。理屈はわかるんですけれど……」 「理屈で魔法に?くなら世話ないわよね」 僅かに弛緩した空?の中、照らし出された金色――ルヴィアゼリッタ?エ?デルフェルトの口惜しそうな言葉に、?紅――遠坂?は自嘲混じりに肩をすくめて?えた。 「それじゃ、とっとと片付けちゃいましょう。それに、いざとなったら……」 「またシェロに創ってもらうとでも? それこそ、そんなことが出?たら世話がないですわ」 そう、確かにこれは士?が創ったもの。だが決して士?“?り”で創った物ではない。これは士?が創らされるべく授けられた物でもあるのだ。現にあれ以?、士?はこれの再投影には成功していない。だが…… 「あいつ出?目だから、もしかしたらってのはあるのよねぇ」 「シェロですものねぇ」 二人は同時に自分たちの施術を忘れ、一人の?年の顔を思い浮かべ苦笑した。理と知を至上とする魔術師として些か不本意ではあるが、何の根?もない?なのに、彼なら何とかしてしまう。そんな?がしてしまったからだ。彼は決して諦めない。諦めない限り、挫けない限り前に進む事は出?る。それになにより、士?は馬鹿だからなぁ…… 「ま、そんなわけで?悟は出?てるわ。始めましょう」 「なにが、そんなわけか今一つわかりませんけど、それならわたくしにも否はありませんわ」 一瞬の弛緩、本番前のちょっとした息?きを終え、二人の間に再び緊張がみなぎる。 「――――Anfang(セット)」 「――――En Garand(レディ)」 二人の呪に合わせ、七色の虹に見えない力が?束する。万華鏡の如く移ろい浮かぶ七色の刃。模造(フェイク)とはいえ、今まさに?石?(ゼルレッチ)に力が宿った。       おうさまのけん  「?の王」 -King Aruthoria- 第九話 前編 Saber        「――同調、開始(トレ?ス?オン)」 薄暗い闇の中で、俺はただ一点に意識を集中しつつ言い慣れた呪を紡いだ。途端、一心に見つめていたフラスコの底で小さな魔法陣が浮かび上がり、淀んでいた乳白色の液?が波打った。俺は背骨を貫く、?けた火箸を突き刺されるような感?を意識下に押しやりながら、更に呪を重ねる。 「――重力、?離(テイク?オフ)……」 呪を待っていたかのように魔法陣に?が宿り、乳白色の波はその?りに照らされて更に大きく立ち上がった。そしてそのまま、まるで映?機を逆回しするように、フラスコの中央で球となって浮かび上がっていく。 「――精?、開始(バトルオ?ダ??リセット)」 俺はそこにもう一つの呪を重ねた。すると魔法陣に照らされた乳白色の液球は一つまた一つと色を加え、ついに万華鏡のように移ろいながら虹色に輝く球へとその姿を?えていった。 「……」 フラスコの中でゆらゆら?れる虹色の液球を見据え、一呼吸だけ置く。背筋を貫く痛みも感じ慣れた疼きへと?り、俺の回路は意識せずとも順調に魔法陣へと魔力を流し?けていく。よし、大丈夫だ。 「――編制、開始(レッツ?コンバイン)」 俺は魔法陣に十分魔力が行渡ったのを確認して、最後の呪を送る。魔法陣からの?りが徐?に色合いを?え、うねうねと蠢く虹色の液球は魔法陣の?化に合わせるようにその色合いを薄れさせていく。ここまで?れば、後は魔法陣が勝手に仕事を進めてくれる。それを確認し、俺は一つ?いた。 「……ふう」 「お疲れ?です。シロウ」 と、漸く一息ついて背筋を伸ばしたところで、俺は目の前で優しく微笑む聖翠の瞳と鉢合わせてしまった。 「あ、セイバ?。その……何時からそこに?」 「シロウがそのフラスコを見詰めだした?りからです。何か施術だったようなので、邪魔をしては?いと思い終わるまで待っていました」 暫し見とれてしまった俺のいかにもとってつけたような言葉に、セイバ?は手に持ったトレイを作業台の隅に置きながら、苦笑交じりに?えてくれた。フラスコをって事は施術の最初の頃からじゃないか、三十分近く待たせちまったのか。 「ついでと言ってはなんですが、お茶を淹れてきました、どうやら施術も終わったようですし、一休みする頃合では?」 俺がしまったと臍を?んでいる間にも、セイバ?は手際よくお茶の用意を進める。 「あ、すまない。お茶くらい自分で淹れたのに」 「今日はシロウも?も工房にお?りでしたから、こんな時くらい私に淹れさせて欲しい」 そりゃ?い事をしたと、慌てて俺も手?おうとしたのだが、セイバ?はするりと俺の手を遮り、どこか?しそうにお茶を淹れてくれた。 「わかった。それじゃ有難く頂く。でも俺だけってのは嫌だな。セイバ?も付き合ってくれ」 「はい、では私も御一?させていただきます」 こうして俺は、自分の工房で徐?に色合いを?える液球を?んで、セイバ?とお茶を?む事になった。   「旨いなこれ、セイバ?が作ったのか?」 「いえ、私にはまだこれほどの物は作れません、シュフラン殿から頂いた品です」 ?かいミルクティ?と手作りのクッキ?。長時間の施術で些か疲れた?と頭に、そのほんのりとした甘さがなんとも心地良い。俺はセイバ?と、料理やらお菓子やらといったとりとめのない話をしながらその心地よさを?しんだ。英?と魔術師の話としてはどうよって?容かもしれないが、殺伐とした世界の中でそんな何でもない日常がある事が、何故か妙に嬉しく感じていた。と、ここまで浸っていて、俺はもう一人の魔術師の事に思い至った。拙い拙い、あいつの事をすっかり忘れてたなんて言ったら、後で何を言われるか…… 「そういや遠坂は? あいつの?子はどうなんだ?」 「小一時間ほど前に工房を?いた時には、まだ施術の?っ最中のようでした」 なんでもかなり大掛かりな施術の佳境に入っていたらしく、流石のセイバ?も?をかけるきっかけを?めなかったと言う。 「頑張ってるなぁ。一昨日の晩ルヴィアさんの家から?ってきてから、?りっぱなしだったっけ?」 そろそろ年度末。今期の?究の仕上げって事らしく、この一週間ほど遠坂はルヴィア?とお互いの工房を往復する?日を送っていた。どうやらそれが佳境に入ったらしい、頑張るのは良いけど無理しなきゃ良いんだが…… 「それはシロウも同じでは? 二人とも、食事もそこそこで作業に?頭していたように見受けられましたが?」 などと感想を漏らしたら、セイバ?は俺に向かって何?か恨めしげな視線を向けてきた。あ、こっちも拙い…… 「あ、いや、すまん。俺も今ちょっと忙しかったから…… そうだ、今日はなにかセイバ?の好きなものを……」 ?座にその視線の意味がなんであるかを悟った俺は、慌ててセイバ?に弁解をした。遠坂同?、俺もこの一週間はえらく忙しかった。理由も遠坂と同じ、年度末の試?やらレポ?トのた?だ。それは遠坂ほど?門的でも深くもないが、それでも結構きついものがあった。せめてもの救いは、去年のように遠坂やルヴィア?に付きっ切りで補習を受けなきゃならない程は、酷くなかった事くらいだ。。まあ、そんなわけでセイバ?の言う通り、俺も遠坂も手早く食事を?ます時くらいしか顔を合わせていない。で?然、食事も手早く作れて手早く?ませられる物が?いていた。ようするに……些か?だったわけだ。 「シロウ、前?から思っていたのですが、私について食事にだけ注意を?っていれば良いと考えていませんか?」 が、この弁解は何故かセイバ?さんの?に障ってしまったらしい。目を半眼にしてずいと身を?り出して迫っていらっしゃいます。 「い、いや、そんな事はないぞ。ただこのところ食事がちょっといい加減だったかなと……」 「食事などどうでも……いえ、それよりです! ?の心配も良いですが、自分も余り無理をしないようにして欲しいと言いたいのです! 食事は?しては、きちんと作って頂ければ文句はありません!」 ああ、そういうことか。心配してくれてたんだな。確かにちょっと根を詰めすぎていたかもしれない。 「すまない、心配かけた。今日の夕食はしっかり作る」 俺はその事に感謝して、素直に頭を下げた。心配してくれて有難う。でもな、セイバ?。どうでも良いと言い切れなかったり、“きちんと”にアクセント入れてたりするとこ見ると、やっぱりそっちにも文句あったんじゃないか? 「そうではないと何度言えば……お願いします……」 ?もなにか言いたそうなセイバ?だったが、俺がしっかり正面向いて頭を下げたら、ぼそぼそ?きながらも納得してくれたようだ。わかったわかった、?飯から頑張るから。   「ところでシロウ。それは何なのでしょう? いつものガラクタいじりとは趣が違うようですが」 今日の食事をきちんと作ることを約束して何とか宥めすかし、ほっと一息ついていると、セイバ?は今度は作業台の上のフラスコを視線で示しながら尋ねてきた。 「ガラクタは酷いぞ。いつもやってる事だって、魔術の修行もあるんだからな」 「つまり、ガラクタ弄りもあるわけですね?」 だが、いつもなら素直にそうですかと?いてくれるセイバ?なのに、今日は何故か微妙に絡んでくる。やっぱりまだ根に持ってるんだね…… 「いや、まぁ……そうだけど」 俺はそんなどこか見透かすようにつんと視線を向けてくるセイバ?に、僅かたじろぎながら工房を見渡した。そこかしこに置かれた品?。如何にもな魔術の道具や、殆ど化?の道具と?らないような?金術の機材や素材もある事はあるが、大半は一?何時のもんだろうってな時計や?動機(エンジン)、それ以上に古そうな?れた家具や道具たちばかりだ。ううむ、確かにこれじゃ冬木の衛宮邸(いえ)にあった?と、何?が違うのかって聞かれても返答に困る。現にセイバ?はそんな目で俺を見てるし。 「でも、ほら、こんなのは中?日本じゃ見つけられないんだぞ?」 だがそれでも?、俺は反論せざるを得なかった。英?ってとこは、流石にこういった古道具に?しては日本よりはるかに充?している。なにせ、ごくごく普通に百年二百年物の道具や機械が今でも現役で?っているくらいだ。だから、たとえ?れていたり部品が足りないガラクタのような品物であっても、修理する道具や部品は探せばいくらでも見つけることが出?る。つまり一旦作られた道具は例え?れても直して、手を加えて最後まで使い切ることが出?るのだ。俺にとってこれほど素晴らしい事はない。 「わかりました。シロウは本?にガラクタが好きなのですね」 だから、そんな事を切?と訴えていたのだが、セイバ?さんは何故かどんどん、どんどん?れたような顔になっていく。なんか?然としないなぁ。 「いや、そうじゃなくてだな……」 俺はまた何か間違ってしまったようだ。だが、だがしかし、これは間違っているかもしれないが正しいんだ。俺は更に、そこかしこの品?を?際に手に取り、?れるを通り越して引き始めたセイバ?に向かって?例を示しながら、必死で抵抗を?ける事にした。それになにより……ああ、くそ! そうだよ! 俺はガラクタ弄りが好きだよ! 「ほら、見てくれセイバ?。これ百年近く前の?燃機?(ガソリンエンジン)なんだけど、キャブレタ?が……」 結局、ガラクタフェチについてはカミングアウトさせられた俺だったが、それでもこの道具類の素晴らしさだけはセイバ?に判って貰いたくて、必死で解?を繰り?げた。なあセイバ?、百年物の機械類とか三百年物の道具とか、長年にわたって人の手で使われ?けた物ってのは本?に凄いものなんだぞ? 「はいはい、凄いです凄いです」 だが、セイバ?さんは聞いちゃくれません。なにか遠坂のような胡散臭そうな目で俺の手の品物を一瞥するだけで、俺の言う事なんか綺麗さっぱり右から左に流してくれる。くそお、俺だってセイバ?の食欲には理解を示してるんだから、俺のほうにも少しは理解を示して欲しいぞ。 「よし、じゃこっちはどうだ? 二百年前の洗濯機で……」 「それよりシロウ、結局これは何だったのですか?」 ここまで?たら後には引けない。諦めない限り挫けない限り前に進めると、俺は?明を?けようと意??んだ。しかし、セイバ?は、やっぱりそんな俺を全くと言っていいほど取り合わずに、目の前のフラスコを興味深げに突つきながら?明を遮ってくる。何か?然としない。俺の手に取った道具たちはスル?で、そっちには興味深げで……別に俺は魔術師になりたいわけじゃないんだぞ。そりゃガラクタ使いになりたいわけでもないけど…… 「シロウ、何をぶつぶつ言っているのですか?」 そんな事を考えていたら、?の?省癖(?面モ?ド)がうつってしまったのですか? とセイバ?に苦笑されてしまった。さらに趣味について?きになるとこなども、最近二人は似てきましたね、と諭すような口調で付け加えてくる。はて? 確かに俺のガラクタ好きは趣味かもしれないけど、遠坂になんか趣味ってあったっけ? そう思って聞き返したら、セイバ?はどこか暗い表情で視線を逸らすと、何事か小さく?いた。うっ、こ、これは…… 「こ、これなんだがなセイバ?、万物融化?(アルカヘスト)ってやつなんだ!」 その?きが耳に入った途端、俺は本能的に話題を逸らしていた。 「シロウ、話を逸らそうとしていませんか?」 「そ、そんな事はないぞ! 第一こいつについて聞きたがってたのはセイバ?だろ?」 「それはそうですが……」 ともかく、俺はセイバ?のどこか?然としないと言った表情を敢えて無視して、万物融化?(アルカヘスト)の?明を?けた。とにかく今はさっきの話題を?けてはいけない。何せセイバ?の言う遠坂の趣味は、「……無?使い……」だったのだから。   「ほほう、全てを溶かす液?ですか」 「ああ、パラケルススって人が見つけたらしい。こいつの作成が祖材科(マテリアル?ハ?メストロジ?)の最終考査なんだ」 俺は、漸く興味を目の前のフラスコに?してくれたセイバ?に、頭の中で授業のおさらいをしながら?明を?けた。“全ては一にして、一は全て”魔術の?ての源はこれだ。一は?てであると同時に?てに一は存在する。この“一”こそは根源。そして魔術師は自分の中にある“一”つまり魔術回路を通してそこに向かう。そして一般的な?金術師とは、自らを含めて?ての中に存在する“一”を抽出し、それを用いて根源への道を開こうとする魔術師の事なのだ。俗に言う“賢者の石”って奴は、この抽出された“一”の結晶というわけだ。そしてこの万物融化?(アルカヘスト)。全ての物を“氷に湯をかけたように”溶かすこの液?は、この?金術の究極の目標、賢者の石を作り出す?に必須の祖材だ。尤も、?てに一が含まれているといったって、科?のように元素として中に入っているわけじゃない。あくまで“?念”としてその痕跡があるってだけだ。だからもし“一”を取り出したければ、科?的でなく?念的に存在を分解し“一”を抽出しなければならない。だから、こいつも?ての物を溶かすって言っても、化?的な分解でなく?念を溶解する魔術的な物質ってわけだ。 「しかしシロウ、?てを溶かせる液?というのは、些かおかしくありませんか? ?てを溶かせる以上、それを?める容器すら溶かしてしまうように思えますし、そんなものを扱う事も不可能なのでは?」 とはいえセイバ?の言うとおり、“何でも溶かす物をどうやって治めるか?”という問題から、こいつは“表”の世界じゃ製造不可能、つまり存在しない物だって言われてきた。そう、普通ならそんなものあるはずがない。 「だからこうやって扱うんだ」 だが俺たちは魔術師。俺はセイバ?に、フラスコの底に描かれた魔法陣を指し示しながら話を?けた。 「成程、宙に浮かして作り上げるわけですか」 「そうなんだ。こうやって宙に浮かして仕上げて、更にそいつを加工して、溶かしたい物以外は溶けない?にするってわけさ」 重力呪で固定し最後の工程を成し、?念を付?して特定?念のみを溶かす溶液に仕上げる。こいつが今期の俺に課された課題だった。 「つまり、これは金?用なのですね」 そして目の前で、虹色から金色に?りながらフラスコの底に落ちていく液球は、さまざまな?念を添付して“金”の?念を溶解出?るように加工されたものだ。 「おう。一?溶かして、今度はそいつを蒸留して別の物に組み替えるって事も出?るんだぞ」 俺は更に、こいつの使い道についてもセイバ?に?明した。物質を?念に融解し、それを蒸留添加し別の物質の?念に組み上げ固める。つまりこれが物質?成、?義の?金術って奴だ。 「おお!」 と、そこまで話したところでセイバ?の目の色が?った。 「つ、つまり。これで金が作れるのですね!?」 そこに食いついたか……?持ちはわかる。セイバ?にはいつも金で苦?かけてきたからなぁ。主に遠坂が。 「一?これだけあれば、一キロの鉛を金に作り?えることくらいなら出?るな」 俺は、それがまるで財?の山であるかのように、きらきらとフラスコに目を輝かせているセイバ?に苦笑しながら“事?”を話した。 「ただしこいつを作るのには、それと同じ重さの金以上の金(かね)がかかるし、鉛の?念溶液から金を蒸留するのにもやっぱり同じくらいの金がかかるんだ」 「くっ…… つまり」 金を作るのに、金の?値の二倍以上の金(かね)がかかるってわけだ。?念。 「考えてみれば、これをシロウが作れるという事は?も作れるという事。もし安?に金が作れるのならば、とうに?が作っていましたね……」 そう、?は俺も最初にこの事を聞いた時に、遠坂に同じような事を尋ねてみたのだ。だが?えは?然、今の俺の答えと一?。あの時の遠坂の?に口惜しそうな顔は、いま目の前に居るセイバ?の悔しそうな顔と甲乙付けがたいものだったなぁ。   「ああ、二人とも。ここにいたんだぁ」 などと、二人?って遠坂の顔を思い出しつつ溜息をついたところに、工房の入り口からとうの遠坂さんが顔を?かせてきた。 「?、施術は終わったのですか?」 「おわったぁ……」 入って?いと促すと、遠坂はセイバ?ににへらと嬉しそうに笑いながら手を振り、そのまま俺の方に何?か?束無げな足取りでやって?る。 「おいおい、大丈夫か?」 俺は慌てて立ち上がり、そんな遠坂に?み寄った。何をやっていたかは知らないが、よっぽど大?な施術だったのだろう。ふらふらとかなり危なっかしい。 「だいじょうぶぅ」 全然大丈夫くない。表情だって思いっきり無防備。?起きでもないのに、こういう遠坂は非常に珍しい。俺は、流石に心配になって遠坂の腑?けた顔を?き?んだ。 「とお……っ!」 「……!」 「んっ……へへへ」 だが、これが拙かった。遠坂と目が合った途端、遠坂の瞳が??っぽく光り、俺の唇はずっと柔らかくて?かい唇に塞がれてしまったのだ。 「ぷはっ! こ、こら、遠坂! いきなりなんだってんだ!」 「士?分のほきゅう」 「な、なんだよ、その士?分ってのは!?」 「士?分は士?分よ。士?に含まれてて、わたしには必須の成分なんだから」 セイバ?の視線が痛いほど感じられる中ほぼ一分、遠坂は俺の唇を離してくれなかった。しかも漸く離してくれたと思ったら、今度は逃がす物かとばかりにがっちりと抱きついて俺の胸に顔を埋ながら、意味不明な事をほざきやがる。 「ふう、補給完了。やっぱり士?分は?くわねぇ」 そんなこんなで、結局俺が解放されたのは、最初に不意打ちを食らわされてから五分近く?った後だった。士?分ってのが一?どんな物かは知らないが、遠坂の奴はさっきとは打って?わってきりっとした表情で、足取りもしっかりした物に?っていた。心なしか血色もよくなったように思える。それに引き換えこっちは不意打ちの混?と、セイバ?の冷ややかな視線で一?に消耗してしまった。本?に何か吸い取られたのかもしれない。いやまあ、その……別に嫌だったってわけでもないんだが…… 「?、シロウ。二人が仲が良いのは大?良い事だと思いますが、お互いまだ?生の身。衝動的な家族計?だけはしないようお願いします」 と、そこに追い討ちをかけるように、セイバ?がとっても綺麗な笑顔でとんでもない事を言ってきやがった。 「セ、セイバ?! 家族計?って……」「あ、それなら大丈夫。ちゃんと考えてるから」 余りの事に思わず?を上げかけた俺だったが、その?に遠坂の更にとんでもない科白が被さってきた。 「こっちで子作りの予定はないわよ? そういう事は、やっぱり時計塔での修?が終わった後ね」 「と、遠坂さん?」 「おお、それでは!?」 「うん、日本に?ってから。二人は欲しいわね」 「それは?しみです。是非、私にも二人の子を抱かせて頂きたい」 「お~い……」 「勿論よ。セイバ?にも子供の?育とか、手?ってもらいたいし」 「ああ、それは良い。?とシロウの子供ですから、男の子でも女の子でもさぞや可愛い事でしょう」 「……」 なんだか思いっきり顔に血が上って、言葉も無い俺を他所に?しげに未?設計を語る遠坂とセイバ?。そうか、子供は二人か。やっぱり男と女が良いなぁ、衛宮邸(俺の家)も遠坂邸(遠坂の家)も?いから部屋には困らないし。あ、でも庭は衛宮邸(俺の家)の方が?いなぁ……って、そんなこと考えてる場合じゃない! 「ちょ、ちょっと待て!」 危うく現?逃避するとこだった。俺はそんな話一度も?いたことが無いぞ。そ、そんな、遠坂と俺の子供なんて……俺は話が手?れになる前に、大慌てて二人の話に割って入った。 「遠坂! そ、そういう事をだな、勝手に決めるな!」 だが、勢い?んで割り?んだ途端、俺はそれまで和???とお?りしていた女の子二人に、凄まじい視線で?みつけられてしまった。 「なに? 士?子供嫌い? わたしじゃ?目?」 「いや、子供は嫌いじゃないし、遠坂がそう言ってくれるのは嬉しいけど……」 「シロウ、まさかやる事をやっておいて責任逃れをしようなどと……」 「ば、馬鹿! そんなわけないだろ! そ、その……遠坂との間に子供が出?たら、俺はきちんと責任を取る!」 と、ここまで言ってしまって端と?が付いた。いつの間にか遠坂が、口の端を吊り上げる?に人の?い笑みを浮かべ、俺のことを?しげに見据えて居るのだ。一方セイバ?はセイバ?で、何か臍をかむような恨みがましい視線を俺に向けてたりする。 「よかった。有難う士?。それじゃ、士?分の補給も終わったことだし、後はよろしくね。わたしは夕方まで?るから」 そのまま?に?足げに工房を後にする遠坂さん。後に?った俺とセイバ?は?然とするだけだ。 「……シロウは?に甘い……」 セイバ?さん、散?引っ?き回されて、結局誤魔化されたのはあなたも一?なんですけど?   「シロウ、こちらは終わりました」 前庭から窓越しにセイバ?の?が響いてくる。顔を上げると、倫敦には珍しい?空の下ずらりと?んだ洗濯物の列を背にやれやれといった顔でセイバ?が苦笑しながらこちらに向かってくる所だった。 「おう、掃除の方もあらかた片付いたぞ、そろそろ?飯にしよう」 「ああ、その言葉を待っていました」 そろそろ頃合も良い、そう思って?えを返したら、途端にセイバ?の苦笑が零れんばかりに輝く笑みに取って代わった。?に見事な?りっぷりだ。セイバ?、君もカミングアウトしたんだね……俺はそんなことを考えながら、掃除機を止め腰を伸ばした。あの後、暫し?然としていた俺たちだったが、結局どちらともなく苦笑しながら顔を合わせ、この一週間ばかりで溜まった家事を片付ける事になった。セイバ?が頑張ってくれていたとはいえ、今のセイバ?は前と違って家事以外にも、バイトやら何やらと色?とやらねばならない事が結構ある。最低限の手入れはしてくれていたが、それでも片付けなければならない物や洗濯物はかなり溜まっていたのだ。 「全く、一番散らかすのは?だというのに」 「そういうな、あいつの後始末は俺たちの仕事だろ?」 俺は約束に反して簡?になってしまった?食を作りながら、セイバ?の愚痴に?えた。誰かが突っ走った時、後ろを支えるのは?った二人の仕事。俺たち三人には、何時とは無しにそんな約束じみたものが出?上がっていたのだ。 「それは判っていますが、甘えるなら甘えるでもう少し上手く甘えて欲しい」 だが、俺の何?か諦?交じりの?えが?に入らなかったのか、セイバ?は?く口を尖らせて恨みがましい視線を向けてきた。尤も文句の言い?にある通り、セイバ?だってその事は判っている。片付けを始める前にそっと?いた?室で、着替えもせず泥のように眠っていた遠坂の姿。俺たちを散?引っ?き回し、余裕綽?で立ち去った遠坂だったが、?際はこの一週間の施術の繰り返しで本?に精根?き果てていたのだろう。全く、意地っ張りな奴だ。 「まあ、遠坂が甘え下手だってのは確かだがな」 「素直に甘えてくれば良いのです。?が甘えてくれる事自?は良い事と思っています」 そう、確かに遠坂は出?る奴で、なんでもそつなく熟せる優等生だ。だが同時にどうしようもなく危なっかしいところも持っている。ずっと一人で頑張ってきた弊害だろう、なんでも?りでやろうとしすぎるのだ。まぁ、それについては目の前に居るセイバ?も一?だけど。 「シロウ、それはシロウも一?です」 と、そんな事を話したら、セイバ?は溜息混じりに切り返してきた。そ、そうなのか? 自?は無いんだが…… 「なんにせよ、苦?はあるけど遠坂が甘えてくれるのは嬉しいぞ。あいつは頑張りすぎだからな、セイバ?もだけど」 「はいはい、それでは私も精?甘えさせていただきます」 甘える事はともかく、これからは少しだけ一人で突っ走る事は?もうと心に留め、俺は出?上がった?食をセイバ?に差し出した。セイバ?も多分同じ?持ちなのだろう。自分から甘えるなんて、昔のセイバ?なら例え冗談でも口にしない言葉だ。それが出たって事は、それだけ俺たちはセイバ?から信用されている、好ましく思われているという事だ。それは、とても嬉しい事だった。 「……シロウは?に甘い……」 尤も、それはセイバ?が手渡した?食に?づくまでだった。やっぱりチ?ズとハムだけのサンドウィッチは拙かったかなぁ……   ――ただ今??した。おお、相?わらず主と王は仲睦まじいな。 そんな少しばかり?呑な空?の中で?食を取っていると、庭に面した窓から嫌味なぐらい堂?とした物腰の鴉(ランス)が舞い?んで?て、悠然と居間のソファ?に羽を休めた。 「ランス……貴方の目にはこの?子が“仲睦まじい”と映るのですか?」 ――いやいや、多少ぎすぎすするくらいは、男女の仲では親愛の?と思いましてな。それより、魔女殿は? だが、流石は最?の騎士。この程度の嫌味ではびくともしないらしい。 「遠坂なら自分の部屋で?てるが、なんか用事か?」 セイバ?がランスの言葉がわかることや、ランスの泰然自若たる態度がちょっと羨ましかったりする事は取り合えず置いておいて、俺は珍しく遠坂を探すランスに問いかけた。こいつと遠坂は些か相性が?い。寄ると?ると口喧?をしているような?がする。まぁルヴィア?と遠坂の例を見るまでもなく、別に嫌い合ってるってわけじゃないようだけど。 ――ふむ、?はルヴィアゼリッタ?からの?け物があるのだ。 ああ、思い出した。先週だったか、遠坂の奴にランスを借りるからって言われたな。って、もしかして今までずっと借りられっぱなしだったのか? ――如何にも、いや魔女殿は人使いが荒い。 そのことを尋ねると、ランスはいかにもやれやれと言った口調で?緯を話してくれた。俺も忙しさにかまけてすっかり忘れてたけど、道理でこの所ランスの姿を見かけなかったわけだ。なんでもこの一週間、二人が一?で居るときを除いて、殆ど四六時中ルヴィア?と遠坂の間の連絡使(ク?リエ)として飛び回らされていたそうだ。全く、?が付かなかった俺も?いけど、人の使い魔をそこまでこき使うか? 流石にこれは、一本釘を刺しとかなきゃいけないなぁ。 「それでシロウ。どうしますか?」 「どうしますって、これは一?がつんとだな……」 「いえ、ルヴィアゼリッタからの?け物です。?を起こしてきましょうか?」 「あ、ええと……」 ああ、そうだった。遠坂は?てたんだ。そのことに?が付くと同時に、俺の?裏にさっき?いた?室の?子が思い浮かんだ。あの完璧主義者の遠坂が、着替えもせずに泥のようにベッドに倒れこんでいた。あいつの事だ、もし一人なら無理してでもきちんと着替えて、それから眠りに付いただろう。それが、あんなに無防備に…… 「いや、それはまだ良いだろう。取敢えずルヴィアさんからの?け物は工房に置いておいて、遠坂が起きて?たら一?がつんと言ってやるぞ」 うん、これで良い。?分と頑張ってたみたいだし、今起こしちゃ可哀相だしな。文句は文句、これはこれだ。 「……なにさ?」 そうと決まればと早速と、俺はランスからルヴィア?からの?け物を受け取ろうと手を伸ばしたのだが、ランスは頭を伏せて全身を震わせているし、セイバ?はセイバ?でこめかみを抑えて溜息をついている。 ―― ……いやいや……主よ、流石に主だ。 「……やっぱり、シロウは?に甘い」 そ、そうかなぁ……   ――主よ、ここはやはり一?がつんと言ったほうが良いぞ。 散?二人に笑われたり拗ねられたりした?句、漸くランスから?け物を受け取った俺は、そいつを遠坂の工房に納めようと扉を開けた。で、扉を開けた直後のランスの科白がこれだ。?際俺も一瞬、今すぐ遠坂を叩き起こして一?どやしつける誘惑に?られた。 ―― これは魔女のばあさんの呪いか何かかな? 「一時間ほどでどうしてここまで……」 「遠坂ぁぁぁっ!」 いっそ見事だと頭を振るランスに、がっくりと膝を付くセイバ?。そして部屋の??に思わず?を上げていた俺。そこは正に地獄の釜の底といった?態だった。いつもだってお世?にも整理されているとは言いがたい遠坂の工房だったが、今日は事の外酷い。扉から中央にある作業台に?く細い通路を除いて、床一面に一?今まで何?に仕舞ってあったんだってほどの量の魔具や素材が、思いっきり引っくり返されているのだ。どう考えても工房にあった棚や櫃に?まりそうに無い量だ。まぁ勿論、ここにある棚や櫃は見かけ通りの容量じゃないから、きちんと片付ければ?まるのだろうが…… ――して主。如何する? 「……片付ける。お前も手?え」 俺はセイバ?の抗議?悟で、腹に力を入れなおしランスに?えた。無論、後で遠坂にはしっかりと話をつけるつもりだが、遠坂の後片付けが俺たちの仕事だって思いは?っていない。それに何より、今遠坂を起こしても、この??の片付けには何の意味も無い。むしろ邪魔だったりする。 「?は片付けに不自由な人ですから……」 が、案に相違してセイバ?は、がっくりと肩を落としポツリと一言だけ?いただけで、苦笑しながらも俺同?よしとばかりに立ち上がってきた。 「その、良いのかセイバ?」 俺としては、また“シロウは?に甘い”と?みつけられる事くらい?悟していたので、こいつにはちょっと拍子?けする思いだ。 「仕方ありません。?とて好きで散らかしたわけではないと思います。それだけぎりぎりの施術であったのでしょう」 尤も、そんな思いもセイバ?の?恥ずかしげに漏らした一言で、すっかり氷解していた。 ――?に甘いのは私も一?ですから。 俺はそんな?きに苦笑しながら、セイバ?と共に工房の後片付けを始める事にした。結局、俺たちは?ってあいつに甘かったって事らしい。 「よし、それじゃとっとと片付けちまおう」 「はい、シロウ」 尤も、これが終ったあと遠坂にたっぷりと??食らわせてやろうってのも、俺たち共通の思いだってのは言うまでも無かった。   「シロウ、これは?」 「ええと……そいつは?がってるっぽいな。一旦置いておいて、その先の道具を一山持ってきてくれ。そっちはこの櫃に?まるはずだから」 こうして遠坂の工房の片づけを始めた俺たちだったが、作業はかなり難航していた。なにせ、ここは一流の魔術師の工房。如何に弟子(おれ)と使い魔(セイバ?)だからって全部が全部判るわけじゃない。しかも無造作に置かれた道具類が管(パイプ)や魔術線(パス)であちこちに?がったままだったりする。そんなわけで、俺たちとしては如何にも危なっかしそうな物には手を?れず、判る物だけを整理する事になったのだ。 「……こんな物かな?」 「余り片付きませんでしたね」 それでも何とか、中央の作業台周りを?して片付け終わったのだが、そこかしこに未着手(アンタッチャブル)の道具類を?して、?食いの整理にならざるを得なかった。 「まぁ仕方ないさ、とっとと終わらせちまおう。セイバ?、足元に?を付けてな」 「はい、シロウも?をつけてください」 ともかく手を動かさなければ始まらない。俺たちは、他の場所同?にいまだ?がったままの機材を巧みに避けながら、この工房最後の秘境、魔術書や?物の密林と化した作業台を、文明の光を以って開拓に挑んだ。 「うわぁ……」 艱難辛苦の末、何とか遠坂が作業していた?りの?掘を終えた俺は、眼前に展開された光景に思わず感嘆の?を上げてしまった。遠坂が精根?き果てるはずだ。工房中の道具や魔具を引っ張り出しての施術だって、これなら納得できる。出?れば、もう少し段取り良くやってもらいたかったけどな…… 「どうしたのですか? シロウ」 などと感心していたら、手が止まっていますよと?い叱責の?った視線のセイバ?が、足元の障害物をひょいひょい避けながら俺の傍らまで進んできた。 「すまん、セイバ?。ちょっとな。こいつを見てくれよ」 俺はそんなセイバ?を手招きし、作業台の一角で大量のフラスコが危なっかしく積み重ねられている?りを見るようにと促した。 「こちらですか? ……! シロウ、これはまさか……」 そこにあるのは、小さなビロ?ドの台に置かれた一見何の?哲も無い乳白色の?玉。だが、その周?の?石屑や拳二つほどの長さの柄を目にすると、セイバ?の顔色が?った。 「そう、そのまさかだ」 そいつは紛れもなく、嘗て俺が投影した?石?(ゼルレッチ)の成れの果てだった。遠坂の奴、模造品(フェイク)とはいえ魔法の設計?を分解しやがったのだ。 「思い切ったことをする物ですね……」 「ああ、遠坂がぶっ倒れるわけだ」 俺たちは改めて工房を、作業台を見渡して溜息を付いた。案の定、工房中の魔具や道具は?てこの一角に?がれている。 「多分こいつを使ったんだろうな」 感嘆しているセイバ?に、俺は更に周?のフラスコを示しながら話を?けた。 「これは……先ほどシロウが扱っていたフラスコに似ていますね?」 「ああ、理屈は同じだ。万物融化?(アルカヘスト)。それの加工溶液だ」 ?石?の設計?と言っても、俺の作った模造品は外側だけの伽藍堂だ。つまり材質や構成はともかく、魔術的には?念の?っていないただの品物に過ぎなかった。勿論、如何に遠坂といえども、魔法の?念を再構築して模造品を本物になんてできるわけが無い。だから遠坂は各種の万物融化?(アルカヘスト)の溶液を?使し、一旦?石?そのものを溶解して、その?念構造を分析添付することで、模造品の素材部分から限りなく本物に近い品を“削りだ”(再 構 築)してのけたのだ。 「で、多分こいつがルヴィアさんの分だな」 更に俺は、さっきランスから受け取った小さな皮袋を、遠坂の?玉の脇に置いて?げて見せた。中に入っていたのは色とりどりの六つの?玉。恐らく何かの術式で模造品を二つに分け、分?して再構成したのだろう。 「つまり、二人はついに魔法に挑むのですか?」 「そこまでは判らないけど、それに近い事を企んでるだろうな。こいつらはもう?物じゃない」 模造品とはいえ、魔法?から削りだした純度の高い構成物。?にこいつらは俺が創った模造品とは全く別のものに?っていた。今まで遠坂とルヴィア?がやってきたことを考えれば、また一?魔法に近づく試みである事は確かだろう。 「ま、詳しい事は遠坂が起きてから聞くとして、整理の方を片付けちまおう」 「はい、シロウ」 遠坂やルヴィア?からこいつの話を聞くのはそれから。俺はそう思い、?玉の周?にシャンペンタワ?のように不安定な?態に置かれたフラスコの群に視線を移した。 「あ……」 途端俺の視線は、幾重にも積み重ねられたフラスコ群の一角に釘付けになってしまった。丁度中央?り。そろそろ魔力が切れかけているのだろうか、底に描かれた魔法陣が点滅しているそのフラスコには…… 「あ、あの馬鹿ぁ!!」 虹色に輝く万物融化?(アルカヘスト)の原液がふらつきながら浮いていたのだ。 「と、とと――同調、開始(トレ?ス?オン)!」 だが、頭を抱えている暇は無い。俺は慌ててそのフラスコに飛びつくと、大急ぎで魔術回路を開いて魔法陣へと魔力を流し?んだ。 「……ふう……」 何とか間に合ったようだ。輝きを取り?した魔法陣を確認し、俺はほっと息をついた。大丈夫、フラスコの中央に浮かぶ液球も、ふらつきを止め安定していく。危なかった。なにせこいつは“?てを溶かす”んだ、?然フラスコの底なんてあっという間に?けてしまう。しかも回りは?念溶液の詰まったフラスコだらけ。次?に突き?け、混ざり合った?念がどんな結果を生み出すかなんて……考えるだけで恐ろしくなる。しかし、これでまた遠坂へのお小言の種が?えた。あいつ、原液の保存?理しないで?やがったな。 「シロウ!」 「え? あっ……」 だが、ほっとしたのもつかの間。俺はセイバ?の?で再び絶句してしまった。先ほどまで微妙なバランスで積み重なっていたフラスコの群が、今にも崩れそうに?れているのだ。しまった……今度は俺のドジだ。そりゃシャンペンタワ?から無造作に?ん中のグラス?いたら崩れるよなぁ…… 「セ、セイバ?!」 「はい!」 ?けてる場合じゃなかった。はっと?が付いた俺の叫びに、セイバ?は?座に?えてくれる。素早く作業台に?け上がりフラスコを……っと、拙い。 「あ、?石踏むなよ!」 「判っています!」 踏み?んだ足先を素早くずらし、セイバ?は何とか崩れかけたフラスコの塔を取り押さえてくれた。……のだが。 「シロウ、動かないでください」 ?手を?げ、しっかりとフラスコの塔を押さえ?んだ英?の?足は、文字通り俺の?肩にかかっていた…… 「わ、判った……」 とはいえ?ったな。これじゃ身動きが取れない。 ――おお、相?わらず主と王は仲睦まじいな。 どうしたものかと頭を抱えていたところに、嫌味なぐらい堂?とした物腰の鴉が、悠然と作業台の上に舞い降りてきた。 「ランス……お前の目にはこれが“仲睦まじい”って見えるのか?」 ランスの奴だ。何時にも?して落ち着き?ったこの態度が無性に腹が立つ。 ――いやなに、ちょっとした妬みだ。主は我(わたし)より先に王を呼んだのでな。 「あ……その、?かった」 そう言われると面目ない。俺はランスに素直に謝った。確か現役を差し置いて前任者に?をかけられたら、やっぱり?分が良いもんじゃないだろう。 ――ああ、主よ。我(わたし)も大人?なかった。 良かった。ランスもわかってくれた。これで一件…… 「シロウ! ランス! 遊んでいる場合ではありません、この?況を!」 落着するわきゃなかった。俺はセイバ?の怒?で我に返り、大急ぎでランスに指示を飛ばした。 「そ、そうだ。ランス、遠坂を……」 ――それなら心配無用。 だが、鴉になっても流石は完璧の騎士。俺がセイバ?に向かって叫んだのとほぼ同時に、ランスは遠坂を起こしに行ってくれていたと言う。 ――見られよ主よ、魔女殿がやってきた。 「……もう、なによぉ。いきなり……」 と、そこに早速、遠坂の奴が工房の?口に姿を現した。やれやれ助かった、ナイスだランス。 「ああ、?……っ!」 「遠坂、良く?てくれた、?は……っ!」 だが、俺とセイバ?はふらふらと?み寄ってくる遠坂の姿に、言葉を失ってしまった。 「あ、セイバ?、シロウ? なんか面白そうな事してる……」 とろんとした目つき、危なっかしい足元。遠坂……お前まだ?ぼけてるな…… 「わたしも混ぜなさい」 ああ。俺はいっそ感心した。?ぼけていても遠坂は遠坂だ。「混ぜて」じゃなく「混ぜなさい」。こんな時でも、口から出るのは命令形だ。 「……おはよ、しろう」 だが、そんな現?逃避も、遠坂がにっこりと笑いながら俺の胸に思いっきり?重を掛けて飛び?んできた途端、ものの見事に吹き飛ばされていた。 「と、遠坂!」 「シ、シロウ!」 肩にセイバ?、手にフラスコ、そして胸に遠坂。僅かに?秒。それが限界だった。ああ、切嗣(おやじ)すまない。俺は、たった二人の女の子さえ支えきれなかった。 「きゃ!」 「ぐっ! セイバ?!」 「は、はい!」 ついに崩れた俺たちの人間ピラミッド。だが、それでも諦めるわけにはいかない。俺は?ぼけた遠坂を何とか?腕で抱きかかえて庇いながら、最後の希望をセイバ?に託した。 ―― 速!―― 次の瞬間?い閃光が走った。作業台に押し倒されしたたか背中を打った俺だったが、一瞬だけ今の?況を忘れセイバ?の姿に見惚れてしまった。バランスを崩した時、どうやらただずり落ちるのではなく、あえて俺の肩を蹴り上げて自分の望む軌道を描くように調整したらしい。崩れるフラスコを次?と?い上げ胸に抱きかかえて行くセイバ?。よし、これなら何とか無事に切り?けられそうだ。 「シ、シロウ! フラスコを!」 なんとかなる、そう思ってほっと息をつこうとしたところで、セイバ?が目を見開いて俺に向かって叫び?を上げた。フラスコ? それなら今セイバ?が最後の一個を…… 「あ……」 不思議に思い、倒れたまま首を曲げてセイバ?に視線を送って?が付いた。?っ飛びするセイバ?と、遠坂を胸に抱きかかえて倒れながら見上げるような形になった俺の丁度中間?り。そう、作業台の上、例の?玉の?上?りだ。 ―― ?…… くるくると回?しながら落ちていく一?のフラスコが、まるでスロ?モ?ションのように俺の瞳に映っていた。しまった、遠坂を抱き抱えた時に、手に持ったフラスコ放り投げちまってた!それでも、まだまだ間に合う。俺とセイバ?は、同時にそのフラスコに手を伸ばした。そう、確かに間に合ったはずだ。もし、フラスコが回?せずに落ちていたら十分間に合ったろう。或いはフラスコの中身があんな物でなかったら…… ―― 零…… だが、フラスコは回?していた。そしてフラスコの中身は、万物融化?(アルカヘスト)の原液って言う碌でもない液?だった。底に描かれた重力呪によって固定されていた液球は、回?の遠心力により振り回され、呪を振りほどいてそのままフラスコの側面を溶かし、作業台に置かれた?玉に向かって弧を描いていく。 「つぅ!」 「くっ!」 更に万物融化?(アルカヘスト)は、俺とセイバ?が伸ばした手をも融過し軌道の終着点、?玉に吸い?まれて行った。 ―― ?!―― そして閃光。融過した液に?玉が?れるのと、そこに俺とセイバ?の伸ばした掌が被さっていくのとほぼ同時に、俺とセイバ?の掌を透くように七色の閃光が立ち上り、瞬く間に工房全?を包み?んで行った。 -------------------------------------------------------------------------------- 大?長らくお待たせしました。Fate/In Britainの新作です。魔法に挑む遠坂さんと、それを支える士?くんとセイバ?さん。とはいえ、魔法に挑むって大仕事に挑んでいる割には、遠坂さんはいつもどおりのだだ漏れっぷりのようです。シロウとセイバ?苦?しています。その苦?が報われるか否か、後編をお?しみください。「多重次元屈折現象(キシュア?ゼルレッチ)」という物がある。遠坂の家における魔術師としての祖にして、魔法使いたるキシュア?ゼルレッチ?シュバインオ?グ師。こいつは、この魔法使いが使う第二魔法――無限に列なる?行世界を自由に制御する則――の一形態で、これまた遠坂の家に宿題として?えられた課題、?石?によって制御しうる魔法なのだと言う。ちなみにこの魔法の前提になっている「平行世界」。俺たちの世界とほぼ同一で、ほんの少しだけ選んだ選?肢が違っていた世界ってのは、合わせ鏡のように無窮に存在しているらしい。つまり、「多重次元屈折現象」と言うのは、今現在俺たちが生きている「この世界」と殆ど?り無い他の「隣の世界」との間に穴を開け、そっちの物を勝手に使ってしまえる則の事なのだそうだ。 尤も、遠坂やルヴィア?をしても、そんなことをそう簡?に出?るわけじゃない。それでも何とか「隣の世界」を?く事くらいまでは行きたいと必死で頑張って、漸くその?口まではたどり着いたといったところらしい。そして遠坂たちは今回、その?口から一?中へと踏み?む施術を行う……?だった。 “?だった”と言うのは。それがちょっとした手違いで、違った結末に向かってしまったからだ。       おうさまのけん  「?の王」 -King Aruthoria- 第九話 後編 Saber        「シロウ! ?! 無事ですか!?」 どのくらい意識を失っていただろう。俺の目を?ましたのは、そんなセイバ?の?だった。 「ああ、なんとか……つっ!」 立ち上がろう手を付いた所で掌に痛みが走る。慌てて引き?してみるとそこには綺麗な孔になった傷と血まみれの?玉。どうやら無意識のうちに?み取っていたようだ。 「あたたたた……もう、なんだったの?」 僅かに?れて、俺の腕の中で遠坂も身じろぎを始めた。今度は?とぼけてはいないらしく、少しばかり不機嫌な目つきではあったが、俺に向かってはっきりとした?い視線を送ってくる。 「いや、俺にもさっぱり。セイバ?、あれからどうなったんだ?」 とはいえ、俺も意識を失っていたもんでさっぱりわからない。俺は改めて身を起こし、遠坂を床に下ろしながらセイバ?に尋ねてみた。 「あれからも何も、一瞬だけおかしな光に包まれただけで。私にもさっぱり……」 だが、セイバ?も首を傾げるだけだ。そう言われて改めて見渡すと、確かに、別に?った?子は見られない。?わったところと言えば、恐らくセイバ?が立ち上がるときに片付けたのだろう、作業台の上にフラスコの列がきちんと?んでいる事くらいだ。 「あれ?」 いや、それだけかな? なんか工房全?が妙に小ざっぱりして無いか? 「ああもう、いきなり叩き起こしといて何の?ぎ? きっちり?明して欲しいわね」 だが、そう思ってもう一度見渡そうとしたところで、遠坂に首を引っつかまれ、?正面から?みつけられてしまった。まぁ言いたい事はわかるが、こればっかりは聞き捨てなら無い。 「?……」 「ちょっと待て、遠坂」 幸い?害はなかったようだけど、こうなったのは誰のせいですか?俺とセイバ?は視線にそんな思いを?め、逆に遠坂を?み返してやった。 「な、なによ……」 「なによ、じゃないだろ?」 「そ、そりゃあ、工房を散らかしっぱなしだった事とか、ランスを?って借り?けてた事は?かったと思ってるわよ……」 ほほう、そっちについては確信犯、いや故意犯だったってわけか。 「それはいい」 そう、それについては俺もセイバ?も決着が付いている。 「ランスの事は俺が放っておいたのもいけないし、工房の後片付けも、この通りほぼ終わった。その後の事だ」 俺は綺麗に整頓された工房?を指し示しながら、もう一度遠坂の顔を?き?んだ。 「へ?」 だが、遠坂はきょとんとした顔で、俺とセイバ?の顔を交互に見つめるだけだ。そうかそうか、お前?えてないんだな…… 「?、それよりもこの工房に入ってきた時からの事を思い出して頂きたい」 「えっと、それってランスの奴に起こされてからって事?」 「そうだ」 「ええと……」 暫くはてなマ?クを浮かべて、可愛らしく小首をかしげていた遠坂だったが、俺とセイバ?の無言の?力に、流石に少しばかり??されたらしく、指折り?えながら自分の行動を反芻しだした。 「あいつに起こされて……ここに?たら、士?とセイバ?がなんか人間ピラミッドみたいなことしてて、面白そうだなって……あっ!」 ここで漸く思い出したようだ。遠坂はしまったとばかりに手を口に?て、作業台のフラスコ、セイバ?の顔、俺の顔と順番に視線を彷徨わせ出した。 「えっと……もしかして……わたしのせい?」 「そうだ!」「そうです!」 「ご、ごめん」 頭を抱えて謝る遠坂を、俺たちは暫くの間?み据え?けてやった。   「とにかくごめん。わたしの不注意だったわ」 「まぁ、?起きだったしな」 とはいえ、深?と頭を下げる遠坂を前に、俺もセイバ?も何時までも?んでいるわけには行かなかった。迷惑をかけたら素直に謝る、失敗したら反省する。これもまた俺たちの間での約束だった。 「ところで、士?。さっきの光だけど、なんだったのかしら?」 「遠坂、そっちは俺たちが謝らなきゃならない」 となれば今度はこっちの番だ。俺はランスがルヴィア?からの?け物を持ってきたところから、工房の片付け、フラスコの崖崩れ、そして最後に取りこぼしたフラスコから零れ落ちた万物融化?(アルカヘスト)が、あの?玉に降りかかった事までを遠坂に?明した。 「そ……それじゃ、わたしの石は?」 「それならここにある。取敢えず無事っぽいけど……」 流石に、話の最後の頃には遠坂の顔色が?っていた。だから俺は、少しでも安心させようと掌に?まっていた?玉を手渡した。 「士?……」 だが遠坂は石を持ったまま、安心どころか今度は不安そうな顔になって俺の顔を見詰めてくる。はて? 「怪我したの?」 「え? ああ言ったろ、液を受けようとしたんだけど溶かされちまったんだ」 どうやら俺の怪我を心配してくれたようだ。大?有難いのだが、それでも結局あんな事になってしまっただけに、どうにも後ろめたい。 「そっか、だから原液じゃなくなって……。有難う士?。石は無事みたい」 遠坂はそう言うと、ハンケチを取り出して俺の掌を縛りながら治癒の呪まで掛けてくれる。なんか、こう……凄くこそばゆい。 「いや、感謝される謂れは無いぞ。それどころか謝らなきゃいけないくらいだ。俺がしっかりフラスコを持ってれば、端っからこんな事にはならなかった」 「でも、それってわたしが抱きついたからでしょ? やっぱりわたしのせいよ」 「それはさっき決着付いたろ? 俺の仕挫りだ」 「士?は頑固ね……」 「……遠坂だって同じだろ?」 お互い一?も?らず、ついに?み合うようになってしまった俺と遠坂。が、次の瞬間お互いに噴き出していた。 「馬鹿みたい、お互い?って事にしましょ」 「だな、何やってたんだろう?」 本?に馬鹿みたいだ。俺たちはひとしきり笑いあった後、何時しか肩を寄せ合って見詰め合っていた。 「士?、?……」 と、ここでセイバ?の?が割ってはいってきた。し、しまった! 「セ、セイバ?。忘れてたわけじゃないぞ!」 「そ、そうよ。別にじゃれあってたわけでもないのよ?」 慌ててセイバ?に向き直って必死に弁解する俺と遠坂。 「いえ、そうではないのです」 だがセイバ?は俺たちのそんな?子を一?みこそしたものの、一つ咳?いしただけで?摯な表情に?ると、作業台の一角を指し示した。 「……え?」 「……へ?」 なんだろう? セイバ?の指先に誘われるように視線を移した俺たちは、途端、言葉を失って顔を見合わせてしまった。 「それでは、あれは一?何なのでしょう?」 俺同?に、万物融化?(アルカヘスト)に透化されて血塗られたセイバ?の指先が指し示した場所、些か血で汚れたビロ?ドの台の上には、紛れもなく俺が手に取った物と同じ乳白色の?玉が置いてあったのだから。     「どうだった? 遠坂」 余りに予想外の出?事に、暫く?然と面付き合わせていた俺たちだったが、何時までもそんな事はしていられない。とにかく、一?どうなっているのか、遠坂が早速調べる事になった。 「それが、ちょっと不思議なの。?方とも本物っぽいのよ、少しだけ違うんだけど……」 だが結果は、ほぼ同一と言う、益?分けのわらない物だった。尤も、石そのものが若干?化した事は不思議で無いと言う。確かに、俺とセイバ?の混ざった?念溶液を浴びて、あんな光を?したのだ、元のままと言う方がおかしいだろう。なんでも、最初は俺の血を溶かした溶液を被った事で、一種の投影じみた複製が作られたのかとも思ったらしいのだが、それなら全く同じになるはずなので、その??は除外って事になったらしい。それにまあ、武器でないしかも??の?物をここまで完璧に複製なんて、俺にだって出?はしない。 「しかし、では何故このようなことが?」 「やっぱり、溶液を被った事で何らかの反?が起こったと思う。ちょっと本格的に調べてみるわ」 そう言うと、遠坂は立ち上がって本格的な?査のために、そこいら中の道具を引っ?き回しだした。 「ちょっと待て、遠坂」 「何が欲しいか言って頂ければ、私達が用意します」 このままじゃ、またさっきの二の舞だ。俺とセイバ?は、遠坂を押し止めようと慌てて立ち上がった。 ――主よ。 と、後ろから遠坂を羽交い絞めしたところで、工房の入り口から怪訝そうな表情のランスが飛び?んできた。 「なんだランス。今ちょっと取り?んでるんだが」 ――?は些か?にかかることがあってな、?て欲しい。 「?は今、遠坂の破?活動を阻止しているとこなんだが、後じゃ拙いか?」 ――ふむ、では主よ。ちと?りを見渡してもらいたい。おかしいと思わぬか? ランスの言葉に俺は、破?活動って何よ! と言う遠坂の?を右から左に流しながら、?りを見渡してみる事にした。ええと……別に?ったところは……あれ? 「工房が……きちんとしすぎています……」 俺同?に、ランスの言葉に?って周りを見渡していたセイバ?が不振そうに?く。そうか、セイバ?もやっぱりそう思うか。 「確かにそうだな。さっき片付けた時は、遠坂が思いっきり出?目に道具を?べてたんでぐちゃぐちゃだったけど……」 「今のここは、まるで士?か私が手?ったかのようにきちんとしています……」 「……整理が不自由で?かったわね……」 取敢えず、遠坂の?言は聞き流してランスにその?りを尋ねてみると、ランスも同じように感じて他の部屋を回ってみていたのだと言う。 「それで、どうだったんだ?」 ――?際に見てもらったほうが早かろう。 俺たちは、?もぶつぶつと文句を言っている遠坂を引き摺りながら、ランスの言葉に?い他の部屋を見て廻る事にした。   「本?だ、お前の檻が無い」 ――それだけではない。我(わたし)の集めた?集物はおろか羽一本落ちておらん。 自分の居た痕跡が無い。ランスにそう聞いて確認のために?った俺の部屋には、確かにランスがいたという?が何一つ?っていなかった。しかも、それは持ち去られたとか消えたとかではない。最初からそんな物は無かったとでも言いたいような?態なのだ。 「遠坂、こっちは?」 「やっぱりランスの食器は無かったわ。それに……セイバ?の食器も」 居間に?って、?房を調べてもらっていた遠坂の答えも一?だ。それどころかこっちにはセイバ?の物さえ…… え? 「……なんだって?」 ちょっと待て! セイバ?のものも無い? 俺は大急ぎで?房に飛び?むと、片っ端から食器棚を開けて回った。無い、無い、無い、ない、ない、ない……俺の食器、遠坂の食器、客用の食器、特別な時のための取って置きの食器。そういったものは全部きちんとあるのに、セイバ?とランスの?の品だけが綺麗さっぱり消えてる。いや、違う。棚はきちんと整理されているし、空いているスペ?スがあるわけでもない。そう、まるで最初からそんな物は無かったかのように…… 「一?どう言う事さ!?」 「怒鳴らないで、士?。ちょっと考えてみるから」 思わず怒鳴ってしまった俺を、遠坂の冷?な?が遮る。尤も遠坂も平?ではない。口元に手を?て、何か考え?んでいる表情には、抑えては居るが苦?を?み潰したような苦?が窺える。お蔭で少しだけだが落ち着くことが出?た。そうだな、俺たちが焦ってどうする? この?態で一番不安なのは…… 「セイバ??」 と、そこに自分の部屋を確認に行っていたセイバ?も?ってきた。何?か足元が?束無ず、顔だって少し蒼い。ってことは…… 「はい……私の部屋は物置になっていました……」 やっぱり……俺と遠坂は、暫し顔を見合わると互いに?き合った。セイバ?はきっと不安になっている。俺たちが支えないと。 「セイバ?、大丈夫だ。俺たちが何とかする」 「そうよセイバ?。これって間違いなくさっきの事件が原因よ。何としてでも解決して見せるから」 「シロウ? ??」 だが、セイバ?に?け寄った俺たちの言動は、セイバ?が不審に思うほど何?か浮き足立った物だった。そんなセイバ?の表情で俺たちは我に返った。なにしてるんだ? 俺たちが焦ってどうする? これじゃ却ってセイバ?が不安になっちまう。なんでこんなに……そう思い遠坂と顔を合わせて?が付いた。何の事は無い。不安なのは俺たちの方だった。セイバ?の痕跡の無いこの部屋を目の?たりにした事で、セイバ?を失う不安に?られていたのだ。だからだろう、俺たちはその時セイバ?が返してくれた笑顔に、本?に力付けられた。 「私は大丈夫です。シロウ、?、有難う」 「あ、いや……うん、いいんだ別に。ひとまず落ち着こう……そうだ、お茶でも淹れようか」 「そ、そうね、わたしもちょっと調べ物してくる」 それはとても綺麗で、とても優しくて、とても暖かい笑顔だった。   「大?判ったわ。まぁ推測だけど」 セイバ?の笑顔で?を取り直し、紅茶を入れて一息ついたところで、工房や自室を引っ?き回していた遠坂が?ってきた。 「早かったな」 「うん、やっぱりちょっと?ぼけてたみたい。落ち着いて考えれば、そう難しいことじゃなかったわ」 とはいえ、紅茶一杯淹れる間に判るなんて、たいした物だと聞いてみたら、遠坂は手に持ったアルバムやら手帳やらを脇に置き、居間のソファ?に腰をおろした。 「それで、一?どういうことだったのでしょう?」 「“ここ”はね、セイバ?の居ない世界なの」 セイバ?から紅茶を受け取りながらの遠坂の何?ない言葉。俺は思わず息を呑んだ。 「ちょっと待て、どういうことなんだ!?」 「落ち着きなさい、士?。“わたし達”のセイバ?が居ないわけじゃないんだから」 だが、勢い?んだ俺は遠坂にぴしゃりと制されてしまった。とうのセイバ?も?しい表情であるが暗さは無い。なんだか予測していたような顔つきだ。 ――成程、「多重次元屈折現象」か…… そこに、俺同?セイバ?と遠坂の顔を交互に見据えていたランスの意識が流れ?んできた。 「“多重次元屈折現象”?」 「そう、つまりここはセイバ?のいない、正確に言えばセイバ?の居なくなった?行世界って事ね」 そんなランスの言葉を反芻した俺に、遠坂が良く出?ましたと脇に置いた手帳を手渡してくる。 「なんだ、これ?」 「日記、って言うかメモみたいなものよ。“聖杯??”の時のね」 そう言いながらの遠坂に示された頁には、確かにあの?いの記?が記されていた。ア?チャ?の召喚、衛宮邸での俺やセイバ?との出?い、??の?いとア?チャ?の裏切り、最後の決?。そして勤めを果たしたセイバ?が…… え? 「遠坂、これ……」 「そ、わたし達の記憶と違うわよね」 俺の言葉に、遠坂は更に?きをと視線を落とした俺の手から手帳を?き取ると、パタンと閉じ言葉を?けた。 「ここはセイバ?があの後まで?らずに消えてしまった世界。まぁこの家を見る限り、わたしと士?は倫敦に?てるみたいだし、それ以外は余り?ってないみたいだけど」 更に遠坂は、何故かランスの事を一?みしてから俺たちに視線を?した。 「じゃここは、別の世界だっていうのか? でもどうして?」 「だから、“多重次元屈折現象”よ? 士?、判ってたんじゃないの?」 「あ、いや……その……」 あんた何言ってるの? と眉を?めて迫ってくる遠坂。なんか、こうランスの言葉を鸚鵡返ししただけですって言えない雰??だ…… 「成程、つまり?はあの石を使って。?石?を再現しようとしていたのですね?」 そこに今まで?っていたセイバ?が、?きながら割り?んでくれた。 「あぁ、そこまで大事は考えてなかったわ。?石?の類感で、隣の世界を?ければなぁ……って位だったんだけど」 「それが、あの事故でこんな事になっちまったってわけか」 「そっ、そういう事ね」 多分、俺の組成が遠坂の家系として認識され、英?(セイバ?)の組成と化合して世界に穴を穿ち、俺たちをこの世界に放り?んでしまったのではないかと言うのだ。そこまで聞いて漸く俺も理解できた。つまり遠坂がやろうとしていた魔法への挑?が、偶然に偶然が重なって全く違った、それでいて一種の魔法じみた現象を起こしてしまったと言う事らしい。 「現?はわかりました。それで、これからどうするのですか?」 「勿論、わたし達の元居た世界に?るわよ」 セイバ?の問いかけに遠坂は明確に?えた。それはそうだろう。第一この世界にだって俺や遠坂は居たはず。俺たちと入れ替わったのか、それとも?に今この時点でここに居ないだけなのか、或いは俺たちに?かれて他の何?かに飛ばされたのか。それはわからないが、何時までもここに居るわけにはいかないってのも事?だ。俺たちはこの世界の異分子だ。何が起こるかわかったもんじゃない。 「その……出?るのか?」 だが、その方法ってのが俺には見?すらつかない。ここに?ちまったって事だって、本?のところ完全に理解しているとは言い切れないところがある。 「やってみなきゃ判らない。でもヒントはあるわ」 尤も、流石に遠坂は俺とは違うらしい。例の二つの?玉を取り出して、徐に解?を始めた。 「この二つね。さっきちょっと削って確かめたんだけど、基本的に同じなんだけど?念構成に少しだけ違いがあったの」 「どんな違いなんだ?」 「うん、ルヴィアから受け取った石あったでしょ? わたし達の??では、わたしの石を基石に、ルヴィアの石を一種のアンテナにしてそれぞれ別の平行世界へのラインを手繰ろうと思ってたの……」 今、この二つの?玉のうち一つには、あの時ルヴィア?から?いた石の中の、とある一つの?念が混在していると言う事らしいのだ。 「恐らくクリ?ンな方はわたし達の世界の石。で、こっちの混じった方はこの世界にあった石でしょうね」 遠坂の推測ではあの?光の瞬間、もろもろの偶然により“多重次元屈折現象”のような現象がおこり、?測のためのラインだけでなくルヴィア?の石の?念までをこっちの世界に飛ばしてしまったのではないかと言う事らしい。 「それが、万物融化?(アルカヘスト)の影響でこっちの基石に融合しちゃって、基石同士の共鳴で穴が?がってわたし達ごとこっちに飛ばされたんだと思うの」 「それで、どうやって?るんだ?」 「類感の逆用を使おうと思うわ」 俺たちがこっちに?た理由はわかった。だが、俺には?り方の方はさっぱり見?が付かないと尋ねてみたら。遠坂は混ざっていると言ったほうの?玉を指し示して?明を?けた。 「こいつはこっちの世界の石に、わたし達の世界の石が混じった?態よね? つまり石は今の私たちの?態そのものなの」 俺たちが今この世界で安定しているのは、この石に類感しているからだと遠坂は類推したのだ。 「成程、じゃそっからルヴィアさんの石の?念を?けば……」 「そ、私たちの存在はこの世界で不安定になる。で、それをこっちのわたしたちの世界の石に溶け?ませれば……」 「類感の作用で元の世界に放り出されるってわけか」 「そういう事。勿論、平行世界移動なんてとんでもない事しようってんだから、補助のための施術はがっちり固めなきゃいけないけど」 それはそうだろう、ただ理屈だけで魔法に?くなら世話は無い。俺は遠坂の顔をもう一度?正面から見据えなおした。 「出?るのか?」 「理屈だけだったら躊躇したでしょうね」 そんな俺の疑問に、僅かに肩を?めて苦笑して見せた遠坂だったが、次の瞬間その瞳に自信をみなぎらせて言い切りやがった。 「でも、偶然とはいえ?際にわたし達はこうやって平行世界移動をした。?績がある以上、一度穴が開いた以上わたしはやり遂げて見せるわ」 見事な物だ。一?の躊躇も無い。だとすれば俺のやる事は一つだ。俺は俺同?に遠坂をじっと見据えていたセイバ?と?きあった。 「?がやるというならば否はありません」 「ああ、何でも言ってくれ。俺たちに手助けできることなら何でもやるぞ」 「有難う。士?、セイバ?」 こうして俺たちは自分たちの世界に、セイバ?がちゃんといる世界に?る?に、魔法と言うとんでもない事業に挑む事になった。   「遠坂、万物融化?(アルカヘスト)できたぞ」 「?、私の方はいつでも」 「うん、わたしの方も準備完了。それじゃ始めるわよ」 俺たちはそれから、工房中の機材や道具を?動員して、大車輪で施術の準備を整えた。何せここは別世界、結局は他人の物ってことで、俺としてはこうした道具類を勝手に使うのは少しばかり抵抗があったのだが、遠坂に言わせるとわたしの物をわたしが使って何が?いって事らしい。なんだか詭弁くさくもあるが、背に腹は?えられない。許せ、この世界の遠坂。 「――――Anfang(セット)」 そして施術が始まった。術の規模そのものはそう大きくない。基本は、遠坂とルヴィア?が行おうとしていた施術に、俺とセイバ?の血を溶かして作った万物融化?(アルカヘスト)の?念溶液を加える事で再構成したもので、術に必要な陣や構成そのものは、元?石に刻み付けてあるのだそうだ。考えてみれば、俺たちがここに飛ばされた事件自?、そういった準備があったからこそ起こったことなのだろう。 「――Einmal kehren wir heim.(ただ  一度  ?らん)――Doch anders wird niemals Ein Ziel erreicht.(今はただ  其れだけを  求めん)」 遠坂の呪が進む。まずは基石からのルヴィア?の石の?念分離だ。俺とセイバ?が息を詰めて見守る中、遠坂は?手に持ったフラスコから、基石に向かって?かに俺とセイバ?の?念溶液を、滴らせていく。 「え?」 その瞬間、遠坂の奴がいきなり呪を止めて素っ頓狂な?を上げた。 ―― ?!―― 同時にあの時と同じ虹色の閃光が立ち上る。ちょ、ちょっと待て! こんな事は予定に無いぞ! 「遠坂!」 「?!」 慌てて遠坂に?け寄った時には、俺たち全員、再びあの閃光に包まれてしまっていた。   「?! シロウ!」 「俺は無事だ。遠坂!?」 閃光は一瞬。今度は俺も意識を失わなかった。 「……」 遠坂も無事のようだ。ただ?けたような顔で突っ立っている?り、今の事態が完全に予想外の出?事だって事が窺える。これは拙い。俺は遠坂の肩を?み思いっきり怒鳴りつけた。 「しっかりしろ! 遠坂!」 「……え? ……あ……うん」 俺の怒?で漸く我に返った遠坂の顔が、見る見る蒼くなっていく。 「な、なんだったのよ……今の……」 「おかしな事が起こっちまったってのは確かだ。とにかく、何が起こったかしっかり確かめよう」 「そ、そうね。?けてる場合じゃなかった」 やっぱりこいつは不意打ちにはめっぽう弱い。だが、同時に切り替えの早さも遠坂の長所だ。こうして一時だけでも支えてやれば、すぐに立ち直ってくれる。 「シロウ、?」 ――主よ。 と、そこにセイバ?とランスの微かに緊張した?が響いて?た。 「どうした……え?」 それで?が付いた。今、俺たちのいるのは遠坂の工房のはずなのだが、それが妙に?いのだ。 「ちょっと見てくる」 どうやら、俺たちはまた別の世界に飛ばされてしまったようだ。少なくともさっきの世界や、俺たちの世界じゃない。俺は早足で工房を後にし、家の中を確認して廻った。 「シロウ、どうでした?」 「……やっぱり、ここはうちじゃない」 セイバ?の心配そうな?に迎えられ、工房に?ってきた俺の顔は少しばかり蒼かったと思う。ここは確かに倫敦ではあるようだったが、俺たちの“遠坂邸(うち)”ではなかった。多分、俺たちの住んでいた物と同じアパ?トメントだとは思う。だが、部屋?も全?のスペ?スもせいぜい半分と言ったところだ。更に言えば、どう見てもここには一人しか住んでいなかった。 「ごめん士?。わたし勘違いしてた。これ見て」 そこに遠坂が、?しい表情で?み寄ってきた。手には例の?玉。俺はそれを、ただ促されるままに受け取っていた。 ?士?にも判ると思うけど、赤い反射がさっきのルヴィアの石の痕跡ね。それに蒼い反射が加わってるでしょ?」 確かに、乳白色だったその石には、微かな赤い?反射と蒼い?反射が加わり、何?か神秘的な色合いをかもし出していた。 「多分、これがわたしたちの世界の、士?が持ってた方の石ね。わたしの推測は間違ってた。ラインを?って?移してたのはルヴィアの石じゃなくわたしの方の石だったみたい。それだけじゃないわ」 遠坂は?明しながら、工房の隅にある小さな窓に向かうと徐に窓を引き開けた。 「?、これは……」 ――ほほう…… 俺と同?に、遠坂の?明を聞いていたセイバ?達が驚愕の?を上げた。それはそうだろう、そこには文字通りの?空。漆?のまさに“何も無い”?態が?がっていたのだ。 「世界と世界の?間よ。この部屋自?一つの世界となって、そこにぽっかり浮いてるってわけ」 遠坂は?重に窓を閉め、俺たちに向き直った。さっきまでの?空は消え、窓に映る風景はいつもの人や車が行きかう倫敦の街に?っていた。 「固有結界ですね……」 「そう、士?の力ね。恐らく士?の?念から構築したんだと思うわ」 それを確認するようなセイバ?の?きに、遠坂が?いた。 「さっきは外まで確認しなかったから?づかなかったけど、恐らくわたし達は純?に平行世界を移動したんじゃないわね。士?やセイバ?の?念に共鳴する平行世界の影を世界の?間に投影し、同じように士?の結界能力を抽出して泡沫世界を構築。そこにわたしたちを送り?んでた。そういうことだと思うわ」 「それでは、?。その石そのものが」 「そう、どんな偶然か知らないけど、この石自身がこんな魔法じみた現象を引き起こせる遺物(ア?ティフィクト)になっちゃってるって事」 恐らく、素材として?際に魔法を行使できるであろう?石?の設計?を使ったことが一番の原因だろうと、遠坂は難しい表情で付け加えた。 「では、それを使えば元の世界に?れるのですか?」 「完成すればね。?念だけどこれはまだ未完成。後四つ、?間に浮かんでる世界の種を拾い集めなきゃ?目みたい」 遠坂はそこまで言うと、腕を組み?しい表情で?空を?んだ。つまり、後四回。こういった世界に行かなければいけないって事らしい。俺は正直怖?を奮った。勿論、あの不可思議な移動が怖いわけじゃない。そこで見るものが怖かったのだ。 「じゃ、早速施術に入るわよ。ここにいたって始まらないんだから。って……士?、どうしたの?」 ここで漸く遠坂が俺の異常に?がついた。セイバ?も心配そうに俺の顔を?き?んでくる。そしてランスは……ああ、こいつは?が付いたか。?しい表情で俺の顔を?んでやがる…… 「なぁ、遠坂。この世界……っていうか本物のこの世界ってのは?際にあるんだな?」 「そういう事だけど。なに?」 俺の唐突な質問に、遠坂は訝しげに眉を?める。俺は一瞬だけ躊躇したが、それでも手に持った??立てを遠坂に手渡した。 「ああ、ここは遠坂しか倫敦に?なかった世界って事らしい」 「この工房見たときからそれくらい、見?ついて……っ!」 何を言っているの? と益?不審そうな顔で??立てを受け取った遠坂だったが、その??立てに視線を移した途端、表情が一?した。 「……そっか、ここだったのね」 ?しく結んだ口元、何?か寂しげな目元、それで居て微かに嬉しげな?かしげな?顔。一瞬、俺はそれを遠坂に見せたことを後悔した。何の?哲も無いはずの??。今より少しだけ成長した俺と遠坂が?っているだけの??。だが、その??の中の俺は、??い肌と純白の頭?を持っていたのだ。 「?、シロウ……」 遠坂の肩越しに??立てに?き?んだセイバ?も、一瞬息を呑んで心配そうに俺たちの顔を見渡している。長いようで、ほんの僅かな沈?の後、遠坂は??立てを伏せるように作業台の上に置き、微かに顔を伏せた。 「さあ、作業を始めるわよ」 だがそれすらも一瞬。再び顔を上げた遠坂はいつもの、自信に溢れ何者をも恐れない遠坂に?っていた。 「い、良いのか? 遠坂?」 俺は思わず聞き返してしまった。玄肌白?の俺。恐らくさっきの世界同?セイバ?が還り、遠坂とも何度か交差しながらも別に道を進んでしまった俺だ。あの俺はあいつ(ア?チャ?)だ。あいつになるだろう俺だ。俺はあいつと遠坂が、ただのサ?ヴァントとマスタ?以上の?係であったことを知っている。遠坂は、あいつがあいつになってしまった運命を怒っていた。それこそ火の出るほどの怒りを抱いていた。それを、そうなるだろうあいつ(俺)の姿を目の?たりにしたってのに、良いのか? 遠坂? 「良いって、なにが?」 「何がって……」 だが、挑むような遠坂の問いかけに、俺は言葉に詰まってしまった。そう、どうする事も出?ない。それを見たからって、俺たちに何が出?るってわけではない。これは別の世界での出?事だ。更に言えば、今俺たちが居るここさえもその世界の影にしか過ぎない。 ?で、でも遠坂!」 なんとも出?ない事はわかっている。だがそれでも胸の?えが取れない、何とかなるんじゃないか、何とかしたい。その思いが胸に溢れる。 「士?の?持ちはわかるわ。でもね」 そんな俺の口を指先で塞ぎ、遠坂は今一度??立てを手に取った。そして俺の口元から指を離し、まず??の中の俺を、そして俺の胸元を指差した。 「こいつはわたしの士?じゃない。わたしの士?はこいつよ」 そして、??の中の“遠坂”を何?か寂しげに指差した。 「それにね、士?。わたしはこいつの“わたし”じゃないの。こいつの“わたし”はここにいるわ」 「遠坂……」 俺は??盾の中の俺と遠坂に視線を落とした。つんと顎を上げ、見上げているのに見下すような視線で、何?か人の?い笑みを浮かべる遠坂。そしてそんな遠坂を仕方ないとばかりに苦笑しながら見つめる俺。ああ……そういう事か……俺は遠坂が何を言いたいのか理解した。??の中の“俺たち”が、一?何?で俺たちと違った運命を選んだかはわからない。だが、それはこの世界の“俺たち”が?み、苦しみ?み取った運命の?だ。だとすれば、その運命を選ばなかった俺たちに何が出?る、何が言える。これから先どんな運命を?むとしても、それはこの世界の“俺たち”だけが?みえる事なのだ。俺たちに出?る事は、この世界の事はこの世界を?み取った“俺たち”に任せ、俺たちの世界で精一杯、俺たち自身の運命を?み取っていくことだけだろう。 「判った遠坂。それじゃ、俺たちの世界に?ろう」 俺たちは?って?きあい、もう一度世界を越える準備を始めた。俺たちの世界に向かって旅立つ?に。   ―― ?!―― 工房に虹色の閃光が溢れた。 「ぶはっ!」 「きゃ!」 「ふう……」 七色の光が晴れた時、そこには四つの影が生まれていた。 「?、ここは?」 「ええと……」 セイバ?の?に、遠坂が何?か疲れた?子で腰をさすりながら?えを返し、工房を見渡す。 ――ううむ、主よ。?に見事な混沌ぶりだな。 「ああ、そうだな」 そんな?子を眺めながら。俺はランスのどこか皮肉げに響く?に?えた。確かに、この全く統一性の無い?然さはあの?かしい“俺たちの”遠坂の工房だ。 「わたしの部屋はありました」 ――我のケ?ジもあるな。 「食器もちゃんと全員分確認っと、士?そっちは?」 「おう、ちゃんと“外”もある」 とにかく家中を?け回り、片っ端から知人に連絡を取りまくった俺たちは、漸くここが“俺たちの世界”である事を確認し、ふらふらと居間のソファ?へと雪崩れ?んだ。 「?ってきたのね」 「皆、無事で何よりです」 「何度か死に掛けたからなぁ……」 あの後巡った四つの世界は、確かに俺たちの世界と近似の世界ではあったが、それ以前の二つと違って空間軸も時間軸もかなりばらばらな世界だった。木乃伊に追いかけられたり、大聖杯に?み?みかけたりと、かなり波?に飛んだ世界の??。特に最後の世界など、俺たちは全員が違う世界に飛ばされてしまったらしく、遠坂があの?玉を完成させて全員を纏めてここに引っ張ってくれなければ、一?どうなっていた事か…… 「ですが、シロウと?の子供時代は大?可愛らしいかった。二人の子供を抱きあげるのが?しみです」 「そ、そんな事もあったわね……」 「あ、あれはなぁ……」 確か三度目か四度目の世界だ。そこの公園で、俺たちは今にも?みあいの喧?を始めようかと言う、赤毛の男の子と??の女の子を見かけたのだ。とは言っても?際、直接二人が喧?していたわけでもなさそうだった。こっそり?いて見ていた?況からすると、二人でへこました苛めっ子の?遇でもめていたらしい。言わずもがなだが“俺”が?健派で、“遠坂”が過激派だった。まぁ結局俺たちが手を出すまでも無く、上手い事落ち着いたようだったが……遠坂、いくら苛めっ子だからって、小?生を逆さ?は酷いぞ…… 「なによ、良いじゃない。別に、命まで取ろうってんじゃないんだから。女の子泣かすような奴は、あれでもまだ足りない位よ」 そんなことをこそっと漏らしたら、目の前の遠坂がこんな事を言いながら?みつけてきた。お前、全然?ってないんだな……まあ、そんなこんなで皆へとへとだった。俺たちは?ってソファ?に深く身を沈め、暫くの間は一時の休息を?しんだ。 「それでは、お茶でも淹れましょう」 とはいえ、何時までもへたってはいられない。まず立ち上がったのはセイバ?だった。 「俺も手?うぞ」 最近とみにセイバ?がお茶を淹れる回?が?えていた。腕の方もめきめき上がってはいたが、そう?度?度セイバ?にお茶汲みさせるわけにはいかない。 「いえ、シロウは?を」 だが、立ち上がりかけた俺はセイバ?にそっと制されてしまった。そのまま苦笑しながら向けられた視線の先で遠坂は…… 「…………」 ぐっすりとお休みになられていた。 「全く、?るならちゃんと片付けてから?ろよな」 俺はセイバ?の好意に甘えてお茶汲みを任せ、そんな遠坂の手から、今にも零れ落ちそうな小さな?玉をそっと取り上げた。きらきらと虹色に輝く準魔法玉(デミ?ゼルレッチ)。その力で送り出すべき泡沫世界こそ?て消えてしまってはいたが、それでも?この石は俺が作り出した伽藍堂(フェイク)の?石?や、遠坂たちが挑もうとした施術よりも、更に一?魔法に踏み?んだ力を秘めていると言う。 「遠坂は凄いな」 俺は、この小さな?玉を幾重にも包みこみながら、溜息を漏らした。何せ遠坂はこんなとんでもない代物を、偶然と失敗、思い付きとやっつけ仕事の中から?み取って魅せたのだ。 「やっぱり、俺は遠坂に甘いかな?」 ?玉を工房に?め、代わりに持ってきたタオルケットを遠坂に掛けながら、俺は?くようにそんな言葉を口にしていた。 「ええ、シロウは?に甘い」 そんな俺に苦笑しながら、セイバ?は入れてきた紅茶を差し出してくれた。 「ですが、シロウは誰にでも甘い」 更に半眼になって、拗ねるような口調で付け加えてくださる。ははは…… だが、何時までも笑ってはいられなかった。 「だからシロウ。私も甘えさせて頂きます」 一瞬だけ決意を?めたように瞼を閉じたセイバ?が、再び開けた瞳には、何?までも?摯な光が湛えられていただから。     -------------------------------------------------------------------------------- 「だからシロウ。私も甘えさせて頂きます」 言ってしまった。口にしてしまった。私はこれからシロウに甘える。これは?とも、ルヴィアゼリッタや?とも違った甘え方だ。もしかしたら、これはシロウを傷つけてしまうかもしれない、裏切ってしまうかもしれない甘え方だ。だがそれでもこの時、私はシロウに甘える事を我慢できなかった。   「セ……セイバ?なのか?」 あの時。最後の世界に、皆が別?に飛ばされてしまった時。私が飛ばされた先は、薄暗いほんの僅かな光しか差さぬ小さな?の中だった。 「……シロウ?」 そこにシロウが居た。草臥れたつなぎを着て、倫敦のシロウの工房と?らぬほどのガラクタに?まれたシロウが、?然と私を見つめていた。 「セイバ?!」 「っ!」 私はそこでいきなり抱きすくめられてしまった。避けられなかった。いや、もしかしたら避けたくなかったのかもしれない。?く逞しい腕の中で、私は身動き一つ出?なくなってしまった。一言、そう一言?くので精一杯だった。 「シロウ……その……困る」 「あ。す、すまないセイバ?。いきなりで驚いて……また?えるなんて思ってもいなかったからな」 また?えるなんて? その?えを聞いた途端、私は?の自由を取り?した。同時に心の中で何かが爪?かれた。ああ…… 「セイバ??」 私は微かに緩んだシロウの腕をすり?け、一?距離を置いた。それ以上近づく勇?も、それ以上離れる勇?も、この時の私には無かったからだ。 「……元?でしたか? シロウ」 何故そんな言葉を選んだのか、それは判らない。ただこの時はそう聞くのが正しい。それだけは間違いないと確信していた。 「ああ……」 シロウはわたしの言葉に力?く?いてくれた。 「あれからも俺は頑張っている。出?ない事、?かない事はいっぱいあるけれど、俺は、俺が大切だと信じた物を汚したりはしていない。大丈夫だ、セイバ?」 ああ……これで私は確信した。力?く?摯で、決して枉げられる事など出?ない程?い言葉なのに、そこにはほんの僅かだが空疎な響きが感じられた。シロウだ、この目の前のシロウは間違いなくシロウだ。けれど、私のシロウではない……だが、それが判っていても心が?れた。どうしようもないほど?れていた。何故なら同時に、このシロウが“私”を愛してくれているシロウでもあると確信したからだ。 「シロウ……私は……行かなければいけない」 だが。いや、だからこそ私は拒まねばならない。私は“私”ではないのだから。 「そうか、判った。セイバ?有難う」 まっすぐな、透けるほどまっすぐな瞳。泣きたくなるほど嬉しく、泣きたくなるほど誇らしく、泣きたくなるほど悲しい瞳だった。“私”はこの人をこれほど高めたのか、“私”はこの人にこれほどのものを遺したのか、そして“私”はこの人をこれほどまで…… 「シロウ!」 だから私は思わず叫んでしまった。この世界のシロウに私は何を?える事も、何を言う事も出?ない。今、シロウの目の前に居ることさえ幻に過ぎない、夢のような物に過ぎないのだ。何故なら、私は“私”ではないのだから……だが、それでも?、出?る事は無いのだろうか、何か、何か手立ては無いのだろうか? 「セイバ??」 そんな私の姿に、士?が心配そうな表情で半?前だけ前に出た。ああ、やはりシロウはシロウだ。私のシロウと同じだ。どんな時も、何があろうと何時だって優しく暖かい……自分の重荷には?づかず、何時だって人の重荷にだけ?を使う…… 「……!」 それで?が付いた。そう、やれる事があった。確かに私には何も出?ない、何も言えない。だが、託す事は出?る。 「シロウ、皆は……元?ですか?」 「皆? ああ、皆嫌になる位元?だぞ。遠坂は相?わらず遠坂だし、藤ねえは言わずもがなだ。イリヤだって同じさ、最近は?と一?に俺の世話を?きたがって困る位だ」 ああ……安堵で膝が挫けそうになる。希望はあった。シロウは一人ではない。彼女たちが傍に居るならば、シロウは決して…… 「シロウ、お願いがあります」 「なんだ? セイバ?」 薄暗がりの中から、きらきらと虹色の光が?がる中。私はシロウとの間の半?を詰めた。もう怖くない。 「彼女たちを大切にしてください。そして信じてください」 「セイバ??」 虹色の光に包まれながら、私は士?の?にそっと手を?れた。無理をしないで、自分を大切に、何故なら貴方は…… 「とても大切な人だから。?えていてください。貴方は私にとっても、彼女たちにとっても、とても大切な人。貴方は……貴方が思っているよりも……ずっと大事な人なのです……」   「最後にシロウは?いてくれたと思います」 「……セイバ?」 私はシロウに全てを話した。これは甘えだ。何故なら私は今、私のシロウに…… 「俺もね、セイバ?に?った」 「え?」 私の驚愕を他所に、シロウはわたしの肩に手を置くと、淡?と“私”との出?いを語り?けた。霧に包まれた木立での“私”との出?い。“私”が私でないとわかった時の驚愕。“私”がシロウに愛されていたと聞いた時の衝?。そして、“私”がその時?に全てを終えた存在だと知った時の思い…… 「だから、俺は“セイバ?”に謝った」 「“私”に? 何故ですか?」 「“俺”はね、“セイバ?”の答えを見つけることが出?たらしいんだ。でも俺はまだ見つけていないから。本?にすまない。セイバ?は“俺”の?にそこまでしてくれたのに……俺はセイバ?にも“セイバ?”にも何にも出?なかった」 そのまま私にまで頭を下げるシロウ。暫く私は??に取られてしまった。確かにその心遣いはとても嬉しい。ですがシロウ、貴方はそちらに頭が行きますか…… 「でも何故か知らないけど“セイバ?”は俺に言ってくれた。“有難う、シロウ”って」 本?で判らないのだろう。更にそう付け加えて??に首を傾げるシロウ。私は徐?にこみ上げてくる笑いの?作を堪えながら、シロウを見つめる事しか出?なかった。ああ、やはりシロウはシロウだ。“私”は?づいたのだ。だから私のためにシロウに?を言ってくれたのだ。なのに、とうのシロウは?づいていない。だめだ……もう我慢できない…… 「な! なんだよセイバ?。何でいきなり笑うんだよ!」 「いえ……良いのです。シロウはやっぱりシロウなのですね」 私はむくれるシロウを前に思い切り笑い?げてしまった。ああ、“私”も判ったのだ。シロウはシロウだと。だからこそ?が付いたのだろう、私がシロウに愛されている事を。だから私はひとしきり笑い終えた後、シロウに向かって最高の笑みを浮かべて言う事が出?た。 「有難う、シロウ」 私を、愛してくれて。 END -------------------------------------------------------------------------------- 平行世界での、Britain一行のお話でした。最初、おおさまのけん で書き始め、魔法?係から あかいあくま でいくかと?更しましたが、やはり最後の締めはセイバ?でしたので おうさまのけん として書き上げてみました。?は若干取りこぼしがあるのですが、どうにも纏め切れませんでした。?念。        또 走る。 ただひたすら走る。 何も見えない暗闇の中を、俺はただひたすら走る。 多分、これは夢なのだろう。なにせ何も見えないどころか、何も感じないのだ。そんな、何もかもが曖昧な霧に包まれた闇の中を、それでも俺は一心に走っていた。 ただ、目標だけははっきりしている。何も見えない、何も感じないはずなのに、目蓋だけは進み行く先が眩しいと感じていたからだ。だからそこがきっと目標。きっとそこが俺の行き着く所。 ああ、もうすぐだ。 見えない視界の全てが眩しさに包まれるていく。何故か、其?はそんなに良い所ではないだろうという確信はあったが、それでもやはり俺は其?に向かって?け?んで行った。 「――――――」 「……ん? ああ」 と、そこで目が?めた。やたら眩しい。それはそうだろう。八月の太陽が?っ向から俺の顔を照らしているのだ。よくもまぁ、今まで?ていられたもんだと思う。?かしい?名を告げる車?放送を聞き逃していたら、もう暫く?ていたんじゃないだろうか。……ん? 車?放送? 「やばっ、のんびりしてる場合じゃなかった。遠坂! 起きろ! 着いたぞ!」 そこで漸く?が付いた。俺は大慌てで肩に頭を預けて、心地よげに?息を立てている遠坂を叩き起こした。 「……ふえ……なに? ……きゃ! ちょ、ちょっとぉ!」 「急げ、降りるぞ」 そのまま?ぼけ眼の遠坂を車外に放り出し、俺はキャリ?とボストンバックを?ぎ上げて、微かな空?音と共に閉じようとする自動ドアを滑り?けた。 「ふぅ……」 何とか間に合った。今、正に冬木の?を走り去ろうとする列車を?目に、俺はやれやれとばかりに荷物を下ろして?っ?な空を見上げた。 「ああ、いい天?だな……」 冷房の?いた車?からみれば、異世界じゃないかと思うほどねっとりと暑い大?。シャツの下では早くも汗が噴き出している。けど、これこそが日本の夏って奴だ。冬木の街は、倫敦に渡ってから二度目になる俺達の??を、前回と同?にこれでもかというほど照りつける太陽で出迎えてくれていた。 「――っ!」 と、ほっと一息ついたのも束の間。次の瞬間、背筋に走った?寒に俺はすばやく身を?した。 「避けたわね……」 ?分とこう言う事になれちまったなぁ。と嫌な感慨を抱きながら振り返ると、そこには不機嫌そうに片足立ちになり、パンプスを履きなおそうとしている遠坂の姿。遠坂、凶器はよせ、凶器は…… 「待て、遠坂。?かった。でも、?り越すよりはいいだろ?」 そんな思いが顔に出たのだろう、半眼にした目を更に?めて履きかけのパンプスをもう一度手に取った遠坂に、俺は慌てて?手を前に後退った。 「にしたって、やりかたってのがあるでしょうがぁ!」 いかん、よっぽど?起きが?かったのか目が据わってる。さて、どうやって宥めたもんだろうか……         ぼうれいのおきみやげ  「紫陽花の聖女」 -Karen Hortensia- Fate/In Britain外?-7 前編 Magdalene         結局、?前のパ?ラ?でジャンボサイズのパフェを奢らされる事で折り合いをつけたのだが、奢ると言っても財布の出何?は結局一つだ。果たしてこんな事に意味があるんだろうかと首を傾げていると、遠坂に女心がわからないと突っ?まれた。 「まったく、士?と付き合いだしてから夏って言うのは碌な事がないわ……」 で、散???された?句、溜息交じりでの締めの言葉がこれだ。 「俺のせいじゃないぞ」 確かにあの聖杯??の後、遠坂と付き合いだしてからの夏は何時も何かしらの?動がつき物になっていた。去年は例の?の事件だったし、一昨年は一昨年で俺たちの倫敦行きの前後に一?動あった。そして三年前、あの聖杯??直後の夏は…… 「そうか、あれからもう三年か……」 遠坂の言葉に誘われて、ここ?年の夏のことを思い出しながら、俺はふとどでかいパフェの器を飾る紫陽花(オルテンシア)の透かし彫りに目を留めた。 「……いやなこと思い出させないでよ」 そんな俺の視線を追って、透かし彫りの意味に?が付いたのか、遠坂は先ほどとはまた違った表情で眉を?める。 「でもあれはそんな大事だったか?」 とはいえ俺にとって、あの事は眉を?めたくなるような出?事ではなかった。まぁ、ちょっと不可思議ではあったが、何?か?かしい思い出でもあった。 「わたしにとっては大事だったの! ……考えてみたら、あいつ引き?んだのも士?じゃない!」 「引き?んだはないだろ? どのみち遠坂と?係なかったわけじゃないんだし」 三年前の夏。確かにあの少女と最初に?わりを持ったのは俺だったが、彼女の役割を考えれば?かれ早かれ遠坂だって?わりになったのは間違いない。 「そりゃそうだけど…… 士?、あんたなんだってあんなのと?わりになったのよ?」 「あんなのって、そこまで言うか? まぁ……偶然と成り行きかな?」 理解は出?るが納得は出?ない。そんな顔で?れる遠坂を前に、俺は苦笑しながら三年前の夏に思いを馳せた。そう、あれはあの聖杯??から半年ほどたった頃。今日のように夏の太陽が、これでもかとばかりに照りつける日の午後だった。   ?時の俺は言わずと知れた高校の三年。世間一般の受?生同?に、俺も進?準備に大童の日?を送っていた。尤も、一般の高校三年の夏とは些か趣きは異なっていた。第一進?先は日本でさえない。しかも一?最高?府ではあるが一般の大?ではなく、魔術の?院(時計塔)に行くのだ。よって、受?の?の夏期講座などは?然あるわけもなく、俺は師匠たる遠坂の家に?りっきりで、魔術の基礎やら語?の?鑽やらに勤めていた。まぁ遠坂とは、この時?にそういう?係になっていたのだから、人によっては羨ましいと思えるだろうが、遠坂さんはまず第一に魔術師であり、第二に極めつけの苛めっ子なのである。つまり甘い幻想など微塵もなく、俺は朝から晩まで完膚なきまでに叩きのめされる日?を送っていたというわけだ。 「ああ、良い天?だ……」 そんなわけでこの日、久方ぶりに新都に買い物に出かけていた俺は、曰く言いがたい開放感に包まれていた。喩えその買い物の?容が、?り切りでついに?きた衛宮家、更には遠坂家の生活必需品の買出しであってもその?持ちは?らない。その上、遠坂さんが今日一日、倫敦行きの各種手?きのために家を空けているとなると?更だ。これで今日はのんびり出?ると、俺はらしくもなく浮ついた?持ちで買い物?りの道を、深山町まで散?がてらに?いて?ろうとしていた。と、その時だ。 「…………へっ?」 いきなり何の前?れもなく俺の鼻先、三十センチと離れていない場所に、?い小柄な人影が降って湧いてきたのだ。それまでの無警戒が?ってか、?を突かれた俺はその人影を前に完全に固まってしまった。 「…………」 俺の狼狽を他所に、降って湧いた姿勢のまま微動だにしない人影。よくよく見れば、それは何?か不思議な雰??を持った少女だった。色素の薄い肌、銀の?に肌同?色素の薄い琥珀――いや金色――の瞳。?いベレ?と丈の長い?服は何?かの制服だろうか? 「――なに?」 と、固まったまま、まじまじと不?なまでにその少女を見据え?けているだけだった俺に、少女は冷やかな一?を放つと、小首を傾げその金色の瞳でじっと見返してきた。機械のように冷やかで透徹で、何もかも見透かしているような瞳…… 「な、なにって! ……君、一?何者だよ。っていうか一?何?から湧いて出た?」 ?瞬、言葉もなくその瞳に釘付けにされていた俺だったが、その言葉で漸く我に返るやいなや、慌てて身を引きながらこれまた不?な言葉で叫んでしまった。何故かその瞳に見据えられていると、心?の?まで見透かされてしまうような……そんな不安感が募ってきて、どうにも??されてしまったせいだ。 「沸いて出たとは?分なお言葉ですね。私は道を尋ねようと思って、?をかけただけなのですが?」 そんな俺の不?な言葉に、一瞬だけ眉根を寄せた少女だったが、?座に元の冷徹な表情に?ると、視線を?く車道側に振って見せた。 「あ、ああ……」 そこには、どこぞの軍用車かって程でかくてごつい一台のトラックが止まっていた。よくよく見ると、助手席のドアが開いている。成程、つまり…… 「本?に降って湧いたんだな……」 思わず感心してしまった。二階とは言えないまでも俺の視線の高さだ。如何に?を?いてたって言っても、目にも止まらなかった。殆どノ?モ?ションで俺の前に飛び降りてきたわけか。 「納得して頂いたようなので本題に入ります。この街に??があるはずなのですが、どちらにあるのかご存知ではありませんか?」 そんな俺の感心に何?か憮然としながらも、少女は淡?と用件を切り出してきた。成程、?服は修道院の法衣かなにかか、つまりこの娘はシスタ?ってわけだ。 「??? 知ってる事は知っているけど……」 そんな納得をしながらも、俺の返事は何?か言葉尻を濁した物になってしまっていた。新都の??。それはつまり言峰??。そこに?して俺は柵が多すぎた。俺が十年前のあの地獄を?け出した場所。俺が“衛宮士?”に生まれ?わった場所。そしてあの“言峰”が本?にしていた場所……今でこそ主は代わって居るが、それでも俺にとって行き辛い場所である事にはかわりはない。 「では案?していただけますね」 そんな俺の葛藤を余所に、少女はそれは良かったとばかりに?くと、?み掛けるようににっこりと微笑んで見せた。 「うっ…… わ、わかった。案?する」 正直?り?ではなかったのに、何故かその笑みに??され、俺は上擦った?で承諾してしまった。何の邪?もない?げでさえある微笑。だってのに……そこにはどうしても逆らえないような。そんな?迫感があったのだ。そう、例えて言えば。 ――衛宮士?が困っている人を、たかが自分の?持ちの問題程度の事で放って置く、そんなことを言うはずありませんね? 言外にそういわれたような、そんな?持ちにさせられる笑みだったのだ。   というわけで俺は、恐らくシスタ?か何かであろうこの少女を連れて、??へ向かうことになった。 「…………」 だが妙な違和感がある。道案?のはずなのに、少女は俺と?んで?いているのだ。いや、ちょっと待てよ? 何で?いてるんだ? さっきまでこの娘が?っていたトラックは? あれに?っていくんじゃなかったのか? 「車なら先に??に向かわせました」 そんな疑問が表情に出たのだろう。少女は相?わらずの冷?な?音で?えてくれた。成程、そういうわけか……って、待て待て! 「それじゃあ君は!」 「はい、??の場所は知っています。?に丁度いい機?だったので、貴方と話をしようと思って呼び止めただけです」 しれっと犯行を自供する犯人。 「お! お前は!」 「――カレン」 余りの事に怒鳴りつけかけた俺の耳に、何?か上質な音?を思わせる音色が響いた。 「え?」 「カレン?オルテンシア。私の名前です」 ?びれもせず名?る少女に、俺は毒?を?かれてしまった。 「あっ……と俺の名前は」 「知っています。衛宮士?。この街に住まう非公認の魔術師で、聖杯??の生存者。貴方の事は、こちらに?る前に調べました」 「俺を、調べた?……」 散??弄されながらも、未だ弛緩していた俺の精神が、いきなり冷水をかぶせられたように緊張した。 「どういうことだ? 俺と君は初見だろう。何でそんなことをするんだ?」 今のカレンと言う少女の言葉。それは、どう考えても彼女がただのシスタ?でないことを示している。俺は僅かに距離をとり、警戒心を露にした。 「初見だからこそ事前に調査するのですが? 衛宮士?、貴方は自分というものを正確に把握していません。今の言いようでは自分が無害な人間だと主張しているように聞こえます」 が、カレンはそんな俺を何?吹く風とばかりに、却ってじろりと?みつけてくる。なんか??される。かなり失?なことを言われてるような?がするのに、それでも?ごめんなさいと謝りたくなる。 「え……いや……その……」 無害とは?言できないけど、有害ってほどじゃないと…… 「……だからこそ、呼び止めたのです。貴方には??が必要です」 と、一瞬言いよどんだ俺に、カレンは僅かに見下すような視線で言い放った。 「ろ、???」 「道??明します。とにかくまず??に向かいます。良いですね」 「あ……はい」 結局、俺はカレンに??されたまま、なし崩しに??に先導されることになってしまった。あれ? ??に案?するのは俺の方じゃなかったのか?……   「じゃあディ?ロ司?さんは?られるんだ」 「元?こちらの??は、司?級の聖職者が赴く所ではありません。司??の仕事はあの??の後始末。それが終われば後任に引き?いで?られるのは?然です」 ??への道行で、俺はカレンがこの街に赴いた理由の?明を受けた。あの聖杯??の後始末を請け負ったディ?ロ司?の後を受けて、冬木??に赴いた後任代理。それが、この硝子細工のように響く名を持った少女の役割なのだそうだ。 「じゃあ君も代行者って奴なのか?」 「いいえ、私は代行者ではありません。あくまで表向きの??についての後任。その代理です」 しかも期限付きだと言葉を重ねる。 「前任者は優れた代行者だったそうですが、私には異端を?罪する?限も、?力もない。私は??の命を受け、この町の調査をしに?ただけの見習いです」 成程、見習いか。それで納得した。確かのカレンには人を威?する、なんとも言いようがない迫力はあるが、それでも?ると折れそうなほど華奢な少女だ。現に今も怪我でもしているのだろう、法衣の影から白い包?が?けるし消毒臭じみた香りも漂ってくる。こんな娘が、??の??部隊。異端を一方的に排除する殺し屋だなんて思えない。ましてや、言峰と同類なんて思いたくもない。第一そんなことあっては……っ! 「衛宮士?。貴方はやはり傲慢で不遜です」 と、そんなことを思い?いていると、いきなりカレンは俺の??まで踏み?んで?るや否や、頭を?手で?んで自分の方へ?し曲げてきた。 「私は貴方に見下される謂れも、哀れまれる謂れもありません。確かに私は一介の修道女ですが、適任でもあるからこそ派遣されたのです。私に?えられた勤めは、第五次聖杯??において消失したとされる聖杯の有無を、身?を以て確認する事。ただ祈る事だけでなしうる仕事ではありません」 「すまん、?かった。その……君が自分の仕事に誇りを持ってる事はわかったから、手を離してくれ」 「……それでも納得はしていないという目ですね。全く、だから傲慢だというのです」 そのまま、??の?力行使だとヘッドパットでも炸裂しかねないほどの視線で?みつけながらも、カレンは何?か諦めたように俺の頭を解放してくれた。 「……すまん」 「改悛の余地がない謝罪は不要です」 そんなわけで、もう一つ謝ったがにべもない。確かにカレンの言うとおりだ。枉げる事は出?ないしその?もない以上、これ以上の謝罪は正に傲慢だろう。そんなこんなで、俺たちの二人の間にはなんとも?まずい雰??が漂ってしまったのだが、それでも俺はあえて言葉を?けた。カレンの言葉にどうしても?に掛かることがあったからだ。 「それにしても聖杯の調査たって、あれはもう終わったことだろ?」 「衛宮士?。貴方のもう一つの罪は、不遜だと言いませんでしたか?」 案の定、カレンにもう一?みされてしまった。ここから先は??の事情、一介の非公認魔術師風情が聞いて良いことでは無いというわけだ。だが、いくら不遜で傲慢といわれても、事が聖杯である以上簡?に引き下がる事は出?ない。俺は、カレンの不思議な迫力がある瞳に?っ向から視線をぶつけた。 「……良いでしょう、貴方も無?係ではない。ただ貴方が思っているほど大事では無いと思います」 しぶしぶ話してくれたカレンの言葉によると、??が?んでいるのは明確な聖杯の波動とは若干違う物であるということだ。聖杯という??そのものは先の聖杯??で?たれた。何せ、その聖杯の??というのが一人の少女の心?だったのだ。それが引き?かれ、別人に移し植えられた上に暴走させられ、更にセイバ?の聖?(エクスカリバ?)で叩き?されたのだ。俺の胸にちくりと刺さる思い出と共に、あの聖杯は失われた。それは確?であるという。 「じゃ、何を調査するんだ?」 「聖杯の本?が、??であるという話は聞いていますね?」 「ああ、それは知っている」 「降ろされるべき寄り代を失い。聖杯はもはや降臨する事はない。ですが、聖杯の本?そのものが完全に消えたというわけではないらしいのです」 俺たち現世の人間が?れる事の出?ない何?かで、今?聖杯の本?と?されるべきものが脈動しているらしい。??が?んだ波動とはそういうものだという。 「現?のままでは、現世に?がりを持たない聖杯の波動など問題ではない。本?はそうなのですが……」 本??がらぬはずのその聖杯と俺たちの世界とで、極?短時間ながらか細いリンクのような物が?測された。カレンが派遣されたのは、それの確認と調査のためだという。 「しかし、そんなもの君で判るのか?」 ?然の疑問だ。そんな雲か霞みたいなもの、言っては?いが見習いに何とかなるものなのか? 「衛宮士?。貴方は?魔憑きという言葉を知っていますか?」 またぞろ傲慢だ不遜だといわれると?悟していたのだが、カレンの口から出たのは意外な言葉だった。 「?魔憑き?」 知ってはいる。人に人以外の“何か”が取り憑き、人の?面から崩?させる呪いの一つ。日本で言えば狐憑きの類だ。色?な種類があるが、西洋では一般に?魔憑きと?される。ある日突然善良な人の?面に?くい、物理的な暴力でなく醜?な感情を生のまま引き摺りだすことで、理性の皮一枚下では良識というものが如何に?善に?ちているか、如何に脆い物かを露骨に表わし、人の世の常識を、“普通の世界”を脅かし?けると言う代物だ。それだけでもかなり厄介な存在なのだが、事はそれで終わらない。最後には、精神面だけでなく肉?面までも?異してしまう。取り憑いた“もの”が、憑かれた人の身?で己の姿を表現しようとするのだ。尤もこれは完成される事はまずない。西洋の?魔は?じてエキセントリックだ。到底、人の?の?化程度で追?できない。?然のようにその途中で命を落としてしまうためだ。 「まさか……」 だが時には、その?化に最後まで追?できてしまう者もいる。魔術師が、その秘術の果てに吸血鬼に?容するように、食われながら逆に食らい憑き、咀嚼し消化し、その果てに異形として生き延びる異端も存在するという。 「それは誤解です。私自身が?魔憑きではありませんし、?魔憑きになる事もありえません」 ?魔は健全で??な身?にしか宿らない。自分は?魔?師の助手であるとカレンは言った。 「? それは判ったけど、じゃあなんで?魔憑きが出てくるんだ?」 「端的に言えば、私には?魔憑きが移るのです」 ?魔憑き。それは言ってみれば人に?魔という毒が宿る病?だという。尤も、病?とは言っても本?感染性はない。だが、?感の?い人間が?の存在を感じ取れるように、魔に近づいただけで?障を引き起こしてしまう人間もいる。それが自分だと、カレンは言う。 「師は被虐?媒?質と言っていました」 更にさらりと、恐ろしいことをなんでもない事の?に言ってのける。 「…………」 そこまで聞いて、カレンがなんで?魔?師の“助手”なのか合点がいった。?魔憑きで最も厄介な存在は、育ちきるまで憑いた人の中で?れている奴。つまり?現した時は?に手?れって奴だ。だから、?現する前に、?れた?魔を見つけなければならない……視界が?まり胸糞が?くなる。例え倣岸と言われようと不遜と言われようと、この感情を殺す?はない。誰も?づかぬうちに、?魔に?づき?障をおこして血を流す。要するにカレンは?山のカナリヤ(生きた探知機)だというわけなのだ。 「?にする事はありません、これはいわば私の天職です」 だがカレンは、ただ淡?とそんな運命を受け入れるようにそう言うだけだった。 「だからって!」 だから俺は思わず激?した。そんなこと……人を道具みたいに扱うことを、苦しみ血を流すことを天職だなんていうことを、?って見ているわけにはいかない。 「困った人ね……」 更に言い募ろうとする俺に、カレンは何?か?れた視線で向き直ると、?摯で、それでいて突き放すような口調で言い切った。 「人のために?くし、人のために血を流す。それをどうして貴方が憤るの?」 「――っ!」 いきなり言葉が出なくなってしまった。優しいまでの?音なのに、凍った針を急所に突き立てるような?く冷たい言葉。それは衛宮士?の生き方。自分の生き方を人がしているのを見て、何故憤る? それは自分の生き方が間違っていると言う事ではないのか? カレンは、そう言ってのけたのだ。 「話を?しましょう。私がどうやって?された聖杯を探るかでしたね?」 打ち拉がれ、それでも必死で堪える俺を冷ややかに見据えながら、カレンの話を?いた。 「聖杯の本?を?魔に見立てるわけです。あれが碌な物でない事はご承知でしょう」 冬木の街が聖杯と言う?魔に憑かれているという?定の元、カレンというカナリアを放ち、聖杯と言う?魔を燻りだそうと言う事らしい。 「つまり、君ならもしここに聖杯が?されているなら判るって言うことか……」 「私以外には出?ないことです。聖杯と言う?魔が、もしこの地に何らかの形で?わっているならば、私には感じ取れます」 そしてもしその?わりがない、或いは大過ないならばカレンには感知できないだろう。だから期間限定なのだという。長くて一月、それまでに何もないならば、??は聖杯は消失したと判?すると言うことだ。 「判った。短い間だが、その間に俺に出?ることなら何でも協力する」 となればだ、俺がやる事は一つだ。その間、このどこか尊大ながらも硝子細工のように華奢な少女に助力する。衛宮士?にとって、それ以外の選?肢はありえない。 「衛宮士?ならそう言ってくれると思っていました」 それにカレンは、初めてと言っていいくらい優しい笑みで?えてくれた。ただ……その……今この瞬間、背筋に走った?寒は何だったんだろう? 確かに優しい笑みなんだが、その直前垣間見たように思えた、何?かここの前任者を思わせる形に歪んだ唇は何だったんだろう?   それは??についた直後に判明した。 「ではまず、ここからはじめてもらいます」 ??の講堂に立ち、晴れがましいまでの笑みを浮かべるカレンを前に、俺は今日何度目かの?然自失を??していた。カレンから最初に言い付かった助力は、なんと引越しの手?いだったのだ。いや、それはいい。カレン自身の私物は、さすが修道女で極?少ない。問題は…… 「…………」 ??の講堂?しと?べ立てられた無?の?鍮のパイプや磨かれた木製部品、そして機械部品の??だ。 「……ぱいぷおるがん?」 「良くわかりましたね。ひとつ好感を持ちました、衛宮士?」 そう、それは??と言いう建造物にはつき物の?器。パイプオルガンの部品であった。とはいえ、それはよほどの大??の話。以前ここに置いてあったのは、確かエレクト?ンだったはず…… 「ちょ、ちょっとまて! これをどうしろと?」 「組み立てられませんか? 調べた情報によれば、こういった??は得意だとありましたが?」 「冗談じゃ……っ!」 こんなでかぶつ、出?るわけない。そう?けようとした刹那、カレンは何?か見下すような、それでいて?しそうな笑みを浮かべたまま、俺の言葉を遮るように言いやがった。 「ああ、無理ですか。そうですね、これは精緻にして正規の?器。そこいらのガラクタとはわけが違います」 「…………」 ちくしょう……ガラクタはなぁ、ガラクタでいいとこいっぱいあるんだぞ…… 「まぁ見て判るのと、組み上げるのとはまた別物。別に?にする事はありません、衛宮士?」 更に、何?かで見たような薄ら笑いを浮かべながらカレンの言葉は?く。こうまで言われて、そのとおり出?ませんなんて、俺が今まで積み上げてきたガラクタ達の誇りにかけても言える?がない。俺は、如何にも出?るわけが無いという視線と、所詮、衛宮士?などはその程度だと言う嘲りの?った微笑みを前に、必死でパイプオルガンの部品を解析して行った。 「……やってやる。ただし時間はかかるぞ」 結果は何とかぎりぎり、?くか?かないかの境界線。?かないなら、どんなに嘲られ見下されても仕方がないが、こうなっては後には引けない。俺は搾り出すように承諾の?を上げた。 「それでは、せめて私が聖杯の有無を判定するまでには完成させてください」 こうして心ならずも俺は暫くの間、??通いを?ける事になってしまったのだった。   「何?が偶然と成り行きよ! それってあからさまに狙ってるじゃない」 と、ここまでつらつらとそんな思い出を話していたら、遠坂が憮然とした表情で突っ?んできた。 「そ、そうかな?」 「そうかなじゃないわよ。なんかあの頃、士?が妙に??に行ってると思ったら、そういうわけね……」 「そういうわけって…… 言ってなかったっけ?」 「聞いてない! 第一あの女、わたしにはそんなこと一言も言ってなかったの! くそっ、只者じゃないとは判ってたけど……ああもう! 苦手だからって避けてたのがミスね」 「へぇ、遠坂もカレンのこと苦手だったんだ」 「……まあね、あいつってなんていうか、その……こう、心の隙を突いてくるっていうか、そう言うとこあるじゃない。そういうやつって苦手って言うか、嫌いって言うか……」 漸く綺?と?が切れたって言うのに、と遠坂さんは口を尖らせて半眼で俺を?めつけて?る。 「まぁ、確かにそう言うところはあると思うけど。あの娘の育ち考えたら、それでもまっすぐ育ってる方だと思うぞ」 ?む相手がちょっと違うぞとは思ったものの、多少は事情を知っている俺としては、カレンの弁護をする事にした。 「そんなこと?係ないわよ!」 途端、パフェの器を引っくり返さんばかりにテ?ブルを叩いて突っ?んでくる遠坂さん。良かったな食い終わった後で。 「っていうか、士?。あんたどうしてあいつの身の上話まで知ってるのよ……」 「いや。まぁ、なんというか……偶然と成り行きかな?」 更に?い顔を益??くさせ、邪眼のレベルにまで高めた視線を突きつけてくる遠坂に、俺はパフェの器を立て直しながら再び記憶を反芻した。   あれはカレンと出?ってから暫くたった後、俺が大橋の袂にある臨海公園で?日振りの安寧を?しんでいた時の事だった。?のところあれ以?、ただでさえ忙しかった俺の生活は、??でのパイプオルガン作成が加わったため、寸時も休まる暇のない苛斂誅求の日?と化していた。肉?の疲?もさることながら、なにせ相手はあの遠坂さんとカレンさんなのだ。最早、俺の精神はいっぱいいっぱいを通り越し、引っくり返って更に表返る所まで?ていた。それがこの日、遠坂はやはり倫敦行きの手配のために留守。更にカレンも“仕事”の外出中と言う事で、ぽっかりとまるで台風の目のような自由時間が降って湧いていたのだ。そんなわけで、俺はこれ幸いと弁?片手に臨海公園で、お日?相手に安逸な日常と言う最高の贅?を味わっていたところだった。 「ああ、いい天?だ……」 ?夏のお日?はこれでもかとばかりに照りつけてくるが、そんなもの遠坂のこんな事も出?ないのかって目や、カレンのどうなるか判らないけれどせいぜい頑張る事ですねって視線に比べれば、春風のように心地よかった。 「…………」 と、弁?を?げようとしたところで突然不安になった。 ――衛宮士?に、こんな幸福は勿?無い―― 何?かでそんな?が響いたような?がしたのだ。しかも、うら若い女性の癖に何?か嗜虐心に富んだ赤い人や、敬虔な癖に絶?腹に何か一物持ってるだろうって笑みを浮かべるような銀の人の?でだ。俺は慌てて左右を見渡した。良し、異常なし。赤い服も、?い法衣も見?たらない。用心のために上や下も見る。?然、後ろも振り返り確りと確認する。 「?のせいか……」 何?にも異常はなかった。俺はほっとして正面を向いた、その時だ。 「?分と?動不審な事をするのですね、衛宮士?」 ……正面にいた。 何時の間にか俺の?正面に、夏だと言うのに長袖の?い法衣を纏ったカレンが、何か?質者でも見るような視線で俺を見下していた。 「私の顔に何か? 普通に話しかけろといわれたので、ごく普通に話しかけたつもりなのですが?」 げんなりとその顔を見据えていた俺に、カレンは文句があったら言ってみろといわんばかりの口調で言葉を?ける。 「いきなり現れて、どこが普通だよ……」 ってそれよりだ。 「言われたって、誰にさ? 俺がそんなこと言ったっけ?」 「あ……いえ、そういえば誰にでしょうか」 途端、カレンは一瞬狐にでもつままれたような表情になり、?いてそれまでの倣岸さが?のように、視線を不安げにさ迷わせ出した。 「俺に聞くなよ」 「申し?ありません、確か……私の得意な方法で?をかけ(釣上げ)た人に、次からは普通にしろと言われたような…… おかしな話ですね。確かに、貴方(衛宮士?)とはそんな出?いはしていなかった」 「確りしろよ、見習いでも余人には?似の出?ない(オンリ??ワン の)見習いなんだろ?」 「その点に?しては問題ありません」 が、そんなお?ごかしを言った途端、カレンは元の何?かで見た事のあるような冷ややかで見透かすような視線に?ると、何?か?しそうに口元を綻ばせた。 「見張りがいなくなるや否や、?を緩ませて彷徨い出す人と違って、私はきちんと仕事を進めています」 ……痛い所を突いてくる。別に俺は……?みません、?を緩ませて彷徨ってました。 「で、何の用だ? オルガンのことなら??には行ったぞ。でも、留守だったのはそっちだろ」 思わず謝りそうになった俺だったが、考えてみれば謝る謂れなんかこれっぽっちもなかった。俺は下がりかけた頭を逆に反らし、挑むような視線でカレンに食い下がった。 「別に用件と言う程の事はありません。オルガンにしても留守中まで??に勤しめとは申しません。本?ならば見かけても通り過ぎるべきだったのですが……」 そんな俺の視線を一向に?にした素振りさえ見せず、はなはだ失?なまでの物言いでそこまで?えたカレンだったが、ここでほんの少しだけ恥ずかしげな視線になると小?でぽつりと付け加えた。 「貴方が幸福そうだったので、つい……」 「へ?」 一瞬、何か不?な物が背筋を走った。このことに?れてはいけない。藪を突いて蛇を出すようなことをしてはいけない。そう、いけないいけないとは思いつつ、それでも俺は何か引き?まれるように聞き返してしまった。 「その……つい、なんなんだ?」 「……嗜虐心が刺激されてしまいました……」 カレンは恥ずかしげな?でそう告げると、後は開き直ったかのように一?に言い切った。 「さしたる理由も無く目に見えて幸福そうでしたので、現?を知らせてあげたくなったのです。人生とは?な物ではなく、常に苦しみ悶え自虐に押しつぶされるもの。その見せ掛けの幸福は、私の一息でたやすく消し去ってしまえる物だ、と」 「ええと……その……」 俺ってそこまで君に嫌われてたの? 「別に貴方が嫌いだとか、憎いとか言うわけではありません」 思わず頭を抱えそうになった俺に、カレンは取って付けた?に言葉?けた。 「ただ私は幸福そうな人を見ると、その皮を?いで見たくなるのです。……以前から兆候はあったのですが、この街に?てから本格化したような。……もしかすると、これが私の趣味なのでしょうか?」 そして最後には、困ったような顔で俺に尋ねさえしてくる。いや、そんなこと聞かれても俺の方が困る。ただ、これだけは言える。それは…… 「……最?だな」 「私も同感です。いったい誰に似たのやら」 俺のげんなりしたような言葉に、同じくげんなりした表情で、手を組んで祈るように?くカレン。一瞬、妙な親近感が湧いた。まるで同じ敵を持った同盟者だと言うか、敵の敵は味方だというか、そんなちょっと複?な親近感だ。 「まぁ、それはもう良い。それより?飯まだだろ? こんなとこで?ったのも何かの?だ、一?に食わないか?」 そんな親近感のせいでもないだろうが、俺は?持ちを改めて弁?を取り出すと、カレンを?食に誘うことにした。 「わ、私とですか?」 「他にはいないだろ?」 驚くカレンを余所に、俺は三段重ねのお重を公園の芝生の上に?げて行った。どのみち調子に?って作りすぎたんだ、一人で食うには多すぎる。 「ですが、その……」 だが、カレンは珍しく?然と突っ立ったまま、何?か煮え切らない表情でぼそぼそと?いているだけだ。 「別に、これで?柔しようってわけでもないぞ?」 「そういう心配はしていません。これが?なら毒でも盛られている危?がありますが、衛宮士?に?してその心配もしていません」 えらい言われようである。いくらなんでも遠坂がそんなことを……まぁ、しないとは?言できないが、ともかくそういう?ではないらしい。 「あ、もしかして宗?上の理由で食えない物があるのか? それとも粗食に勤しむべきって戒律があるとか」 「いいえ、そういった制限はありません、ですが……」 どうにも理由がわからない。?も言葉を濁らすカレンに、はっきり言ってくれなきゃ判らないと首を傾げながら視線を送ると、とうとうカレンは?念したように溜息を付くと口を開いた。 「結構なご馳走のようなのですが、私が食べても恐らく味がわからないと思います」 「へ?」 「……衛宮士?に、婉曲な表現は通じないと思いますのではっきり言います。甘いか辛いかどちらかはっきりした味以外、私には判別できないのです」 「じゃ、例えば?前のクルック?番館の百倍カレ?とか、江?前屋のスペシャル三色大判?とかじゃ無いとダメって事か?」 「そのどちらも食べましたが、少しばかり薄味でした。?いてこの街で口にあったものと言えば、商店街にある泰山と言う中華料理店の麻婆豆腐か、フル?ルと言う洋菓子店の砂糖漬けトリプルベリ?クレ?プくらいでしょうか」 うわぁ、?魔でさえ一?で昇天するという灼熱の溶岩と、天使さえ一口で悶絶死すると言う極甘の果?。激辛と激甘、冬木における魔界の極?と天上の地獄と?される二品だ。もうこれは偏食とか、偏った嗜好とか、そういった問題を通り越している。 「……最?だな」 そう、それは人外魔境。最早人間の食いもんじゃない。 「衛宮士?。それはどういう意味でしょうか」 だが素直な感想に、今度は共感を得られなかったようだ。カレンは、思い切りむっとした表情で?みつけてきた。尤も、それは今までの冷徹で何?か人を嘲笑したような表情とは違い、?相?の少女が拗ねたような顔だった。成程、人が一番素直な感情を?すのは、趣味と嗜好についてだとは良く言ったもんだ。 「?かった。流石に俺もそいつには付き合えない。今日はあれで勘弁してくれ」 だから俺は素直に頭を下げ、公園の外れで店を?げる移動式のジェラ?ドショップを指し示した。 「え? その……奢っていただけるのですか?」 「まあな、?を?くしたようだし。それに飯を誘ったのは俺だろ?」 誘った以上最後まで完遂したい。意地と言うより、これは俺の趣味みたいなもんだ。 「判りました。それではご馳走になりましょう」 その?持ちが通じたのだろう。これまた?相?の微笑を浮かべると、カレンは快く承諾してくれた。 「よし、じゃあちょっと待っててくれ」 こうして俺たちは、方や三段重ねのお重、方や四段重ねのイタリアンジェラ?ドと言う、一風代わった?わった?食を取る事になったのだった。   -------------------------------------------------------------------------------- お久しぶりでございます。Britain 再?第一?はhollow絡みの外?。かの聖女?の登場と相成りました。彼女と同じ立ち居地の人物に?するSSは一度書いてはいたのですが、これはまぁ、所謂“??史”になってしまいましたので、リメイクの意味も?めて書いてみました。“あの”物語と違う世界の同じ時間軸で、あの聖女?にどのような出?事があったのか? Britain流に料理したお話です。「本?に、普通の食事はダメなんだな……」 試しに食べてみた俺の弁?にはまるっきり無表情である一方、四段重ねで砂糖を塗した?なイタリアンジェラ?ドには幸せそうに口元を綻ばすカレンに、俺は思わず?いてしまった。 「ですからダメという?ではありません。味がわからないだけです……」 それにカレンは、さも不本意そうに?えを返す。 「こう言うこと聞くのもなんだけど、?質かなにかなのか?」 「いいえ。まぁ、今までの生活のつけと言ったところでしょう」 「あ、ああ……」 ちょっと拙い話題だった。カレンの仕事は?魔?いの助手、しかも?障を身に受ける“?山のカナリヤ”役なのだ。今も見え?れする包?や、かすかな消毒臭からも察せられるように、生半可な苦行ではない。 「前にも言いましたが?にしないように。??から修道院をたらい回しにされて得た天職ですから」 だってのにカレンは、何?か自慢げなまでにとんでもない言葉で自分の生い立ちを評して見せた。 「なんだよ、それ……」 「なんだとは……簡潔にして??。中?言いえて妙だと、私は?に入っているのですが?」 更に、余りの事に眉を?めた俺に、カレンはまるで俺がそう評してくれたとでも言いたげな視線で口を尖らせる。 「すまん、でも、それじゃ何がなんだかわからないぞ?」 「仕方ありません、さして面白い話でもないのですが、もう一度お話しましょう」 全く心?たりはなかったものの、何故かこっちの方が?いような?がして思わず謝ってしまった俺に、カレンは溜息混じりに「??から修道院をたらい回しにされて、そこで天職を得た」話をしてくれた。         ぼうれいのおきみやげ  「紫陽花の聖女」 -Karen Hortensia- Fate/In Britain外?-7 後編 Magdalene         それは、なんとも?が滅入るような話だった。父も定かでない彼女を生み、あまつさえ信徒にあるまじき罪である自殺を遂げた母。そんな母子に、全く何の感慨も持たず顔を見せることさえなく消えうせてしまった父。神への愛以外何物も知らず、彼女に洗?さえ施さずただの厄介な?として育てた神父。そして彼女に余人にはない聖痕を認めるや否や、純?な道具として修道院と言う牢獄に?ぎとめた??。そこには彼女の、カレン?オルテンシアと言う少女の自我を、人としての存在を認めるものは一切なかった。 カレンはそんな話を淡?と語った。自分を生み捨てにした父母を恨む事もなく、祈る以外何も?えてくれなかった神父を憎む事もなく、自分を便利な道具として扱うだけだった修道院を厭うことなく、それらの全てを別に辛いと思う事もなく。?がりではない。?際それを語る表情を見ればわかる。?に思い出と言う本の頁を捲り、音?する。カレンの表情からは、それ以上の意味は一切汲み取れなかった。 「そして私は、その聖痕(さいのう)を生かす道。?魔?いの助手として?く事になりました」 そして、この仕事もまた地獄だった。魔を?う道具として彼女が付き?った師は、中でもとりわけの最前線(アヴァンギャルド)を受け持つ司祭であった。故にその行く先には、紛い物や比較的?い段階の?魔憑きなどはなく、常に?性と呼ばれる最?の?魔の所業だけが待っていた。最早そこは、憑依者だけで無く周?の人さえも?異した人外の地。無論、肉?の?異ではない、そんなものが始まれば、?に終わっている。そこは、人が人の形のまま人以外の何かに?っていく世界、人の精神が醜?な何かに取って代わられた世界、肉で無く魂を腐らせる世界だった。 そんな世界で、常人ならば一月と持たない異常な?場で、彼女は?い?いた。しかも淡?と、異常と超常の修羅場をまるで日常の??のように。 「…………」 だが、聞いている方は堪ったものではない。何?か?れているんじゃないかと心配になってくるほど、淡?と?絶な話を物語るカレンに代わって、俺の腸が煮えくり返ってくる。人は、そんな生き方をしちゃいけない……どんな人でも、人は人として生き、人として逝かねばならない…… 「誤解のないように言っておきますが、別に?制されたわけではありません。これは私自身で選んだ道です」 そんな俺にカレンは、どうして貴方はそんなにも傲慢で不遜なのでしょうねと、諦めたような口調で語りかけてきた。 「なんでさ!?」 「同じだから」 「え?」 「私にとっては?も外も同じ事。ならば有意義な生き方をすべきでしょう」 ?もつのる俺に、カレンは先ほどと同じ淡?と祈るように口調で言葉を?ける。彼女の聖痕は、人の心に差した魔に反?する。心に魔の差さぬ人間など聖人に他ならない。つまり、彼女にとってごく普通の“日常”も、?魔?いの“異常”も、結局“同じ”というわけだ。 「自分がハンデを背負っている事は承知しています。ですが、こうして生まれついた以上、その定めの中で生き?こうと思います。恨んだところでなにも始まりません」 「でも……その治すとか、?質改善するとか……」 「治療法は?見されていませんし、治そうと言う希望もありません。自分は不幸であると嘆けるだけで十分です。それに」 カレンはここで、あの冷笑的で人を見下した物とも、?相?の少女の物とも違う笑みを浮かべた。そう、例えるなら、それは慈母の笑みだ。 「私は確かに傷を負いますが、それは私の傷で無く誰かのもの。憐れみこそすれ恨む謂れはありません」 故に天職。ああ、確かにそうだ。カレンはわかっている。この生き方が何?か歪んでいることを、自分に何?か欠けた所があることを。けどこの生き方の末、誰かが助かるなら、誰かが救われるなら、それは決して間違ったことではない。煮えたぎっていた腸がすっと冷えてくる、代わりに頭をぎりぎり締め付けるような頭痛が襲ってくる。 「失念していました。衛宮士?、貴方は我慢のできない人でしたね」 そんな俺に、カレンは慈母の笑みを崩さぬまま?摯で、それでいて何?か?倒される表情で向き直ってきた。 「何故そんなに他人のことばかりで嘆くの? 憤るの? 確かに私の?んできた道は安逸ではありませんでした。結果、ご存知のように些か味?の嗜好が偏ってしまうような事もありました。ですが、それでも私には美味しいと感じる物がある、?しいと感じる事がある、ちょっとした我?を通した事もある、自分の欲望が皆無と言うわけではありません」 そのまま、まるで諭すように自分はそんな生き方を、生きてきた道を決して疎んじてはいないと、限られた選?肢の中、精一杯自分らしく生きてきたと言う。 「――ですが、衛宮士?」 そして…… 「貴方はどうして生きることを?しめないの?」 言葉の刃を突きつけて?た。 「貴方には自分に返る欲望がない。だから嬉しい事はあっても?しい事はない。常に自分の心が叫んでいる。“そんな幸せは衛宮士?にはふさわしくない”」 「そ、それは……」 「例え他人の?で聞こえても、それは貴方自身の?。貴方自身の思いを映した鏡に過ぎない。だって、本?のその人たちは決してそんなこと言わないもの」 カレンに言い?は通じない。?摯な瞳で、慈母の愛で次?と俺の皮が?ぎ取られる。 「自分には?えず隣人に?える?身の鑑、世界は正しくあれと祈るよう?な在り方。貴方の生き?はいつだって他人の?だけ。例え自分自身を奪われても、そのこと自?を憂いはしない。それどころか、自分を奪った?者が、?物の生を生きる方を憂う」 何?かしら遠い目でカレンの言葉は?く。俺の知らない事象で、紛れも無く俺自身の??(たましい)を切開していく。 「もう誰もそんな貴方を責めたりしない。責めるのは貴方自身だけ。ねぇ。そんなに人?みの幸せってつまらないの?」 ……いや、そんな事はない。人?みの幸せ、月?みの幸福。それがとても素晴しい物だって事には間違いはない。 ただ…… それだけでは足りないのだ。 それだけでは我慢できない。命の分だけ幸せであって欲しい。頑張った奴は、一生懸命生きる奴は、必ず報われなきゃいけない。ささやかな幸福くらいでは割が合わない。 ああ…… つまり、俺は…… 「傲慢で不遜だな……」 「そう、それが貴方の罪。でも誰も貴方を罰してくれない。だって間違っていないから。だからなのね、貴方は何時だって貴方自身で貴方を責める」 その通りだ。自分自身の欲望なら悔い改められる。だが、俺が欲しいのは他人の幸せだ。悔い改められない、悔い改めるわけにはいかない。最後まで完遂しなきゃいけない。 「すまない、カレン」 だから俺は謝った。俺の罪を俺の罪?を引き出し、?摯に諭してくれたカレンに感謝しつつも、決して改悛することが出?ないことを謝った。 「元より、私の小言くらいであなたの十年?の生き方が?るとは思っていませんでしたが、約束でしたから」 「約束?」 「ええ、今一度貴方を諭すと」 誰とは言わなかったが、カレンは一瞬とても優しい笑みを浮かべると、話は終わったと立ち上がった。 「ただ、?目元と思いましたが、お蔭で一つの方向が見えました」 そして、その笑みをとっても素敵で邪な物に?えて、俺に微笑みかけてきた。 「あの……それって一?どういう意味なのでしょうか?」 後ろ毛が逆立ち、背筋を絶?零度で逆撫でされながら、俺はそんな素敵なカレンさんに尋ねてみた。 「別に衛宮士?をどうこうしようと思ったわけではありません。それについては約束も果たしましたし、これ以上の??は無?でしょう。ただ、私の主務は聖杯の?測ですが、この??の表の代行も託されています。ですから、ちょっとそちらの仕事にも精を出そうと思ったまでです」 怯える子羊のよう俺に、カレンは慈母の愛と?父の嗜虐がない混ぜになった笑みを浮かべ、冷ややかに見下しつつ?えてくださる。 「まぁ、一言で言えば??の庶務の整理と、迷える子羊の善導でしょうか」 そして最後に、とても?しそうに謎掛けじみた言葉を言い?し、カレンは公園を去って行った。     「……??の庶務の整理と、迷える子羊の善導ですってぇ……」 と、ここまで話してふと目をあげると、遠坂さんがぶつぶつとその二言を繰り返しておられる。 「と、遠坂?」 なんかとっても怖い、藪を突いて蛇を出すのは本意ではないが、それでも俺はついつい?をかけてしまった。 「結局、あれは全部あんたのせいだったのねっ!」 途端、噴火する遠坂火山。ちょっと待て、お前一?なに言ってるんだ!? 「なにも減ったくれもないわよ! 士?だって居たでしょうが!」 「俺も居た? ……あ、もしかして……」 遠坂に?幕に、慌てて記憶をまさぐった俺は一つの出?事を思い出した。 「もしかしなくてもあれよ。わたしとあんた、それにあの女が同席したのはあれ一回だけでしょ?」 「そりゃそうだけど、あれってそんな大事だったのか? そりゃ確かにえらく?呑ではあったけど?」 そして、目いっぱい悔しそうな遠坂には?いが、かなり愉快な出?事でもあった。 「……あの時は、士?に全部?明できない事情があったの。いいわ、ちょっと思い出してみなさい。最後に、あいつがなにやらかしたか?えてあげるから」 そんな俺に遠坂は、少しばかりすまなそうにしながらも、あんたよからぬこと考えてるでしょうと言った視線で口を尖らし、話を?けることを促した。確かあれは、公園での出?いから更に半月ほど後。そろそろ夏も終わりを迎えようとしていた頃の事だった。   その頃には?にパイプオルガンの組み立ても終わり、??に通う理由はなくなっていたのだが、それでも俺は足繁く??に顔を出していた。勿論、カレンの仕事に協力するためだったのだが、何故かその都度カレンは??を留守にしており、一向に出?えなかった。まぁ、それまでの?緯を考えて、こいつは俺のお節介な生き?に?する一種の?言じゃないかとは思ったが、だからと言って止めるわけにはいかない。そんなわけでこの?日、意地のように顔を出す俺と、計った?に??を留守にするカレンの不思議な追いかけっこが?いていたのだった。 それがこの日、いきなりとんでもないところで顔を合わすことになってしまった。 「こんにちは衛宮士?。こんなところで?うとは奇遇ですね」 確かに奇遇だ、こんなとこで?うなんて思考の片隅にさえなかった。ここは遠坂邸の客間。遠坂の魔術講座の?に訪れた俺の目の前で、カレンはしれっとした顔でお茶を喫んでいたのだ。 「あら? 衛宮くん。シスタ??カレンの事をご存知なの?」 そしてその正面で、華麗に微笑んでいられるのが遠坂さん。その氷の視線が、更に?度を下げて俺の方を向いた。 「へ? あ、ああ……顔見知りだぞ。?は……」 「ミスタ?衛宮には、この街に到着した時にお世話になりました。大??さくで親切な人柄の方です」 一瞬、??されたが良く考えてみたら俺が責められる謂れは全くない。とにかくきちんと?明しようと口を開くと、?座にカレンさんが妙になれなれしく飛びきり優しげな微笑で、ねぇとばかりに俺に向かって可愛らしく小首を傾げてくださいました。 「それでは、紹介の必要はありませんわね。お互い良く知っているようだから」 そんなわけで、遠坂さんは聞く耳持たず?筋立てながら微笑んでいらっしゃいます。お前ら、?むから俺に話させてください…… 「それで、本日はどのようなご用件で? 確か、最初に相互不干?を約定として定めたはずでしたが?」 言葉の接ぎ?を失って立ち?む俺に、後でじっくり聞くからとにっこりと?い視線を送り、まず遠坂が口火を切った。つまり、不法侵入者はとっとと出てけと言うわけだ。 「確かに、??の監督代理と協?の管理者との間の相互不干?は取り決めました」 だが、カレンは動じない。御?御尤もと?きながらも落ち着いた口調で遠坂の言葉に反論する。 「ですが本日は、冬木における??の司祭代理として、??の信徒たる遠坂??の元に??の職務執行の?に?った次第なのです」 一瞬、?を突かれたように顔を見合す遠坂と俺。確か、遠坂は別に??の信徒であるわけじゃないとか言ってなかったっけ? 「わたしは別に??の……」 「ええ、?はここ十年ほど??には?ても、儀式にも秘蹟にも??していません。ですが、幼?洗?と堅信は御尊父が存命のうちに?ませております。間違いありませんね?」 ?を取り直し、訝しげに問い正そうとした遠坂の言葉に、カレンは待っていましたとばかりに言葉を被せる。 「そうなのか、遠坂?」 「うっ……うん。言峰の前の代までは、家と??はいい?係だったし、璃正おじ?には可愛がってもらってたし……」 ぐっと詰まった遠坂に小?で話しかけてみると、別に正式に宗旨替えをしたという?ではなく、カレンの言葉どおり全く活動はしていなかったものの、書類上は??の信徒のままであったらしい。 「それは結構。そうである以上、例え本人がなんと言おうと、??は信徒を手放したりはいたしません」 よき羊飼いは、迷える子羊を決して見放さない。執念深く見つけ出し必ずや元の群に引きずり?す。そう、喩え破門にされたとしても“背?者”として、??の記?の中では永遠に生きる事になる。魂の契約は永遠普遍。それが??だと言うわけだ。 「勝手な事を言ってくれるわね……」 だが、遠坂さんはただでは負けを認めないようだ。さすが往生際が?い。 「それじゃ、今から柳洞寺にでも?け?もうかしら? 流石に??徒になったら?が切れるんじゃないかしら?」 「??としては、別にそれでもかまいませんが……」 そんな遠坂の憎まれ口に、カレンはさも?念そうに顔を伏せながら、にやりと見透かすような笑みを浮かべて?いて見せた。 「??に籍があれば、?の?籍に?係なく冠婚葬祭をつつがなく執り行えるのに……」 「ぐっ……」 不思議な事に、何故かこの?きで遠坂さんが詰まってしまった。 「どうしたんだ、遠坂?」 「あんたはいいの! 先のことだし……わたしだけが心得てればいいのっ!」 で、思い切り疑問符を浮かべて聞いてみたら、これまた何故か遠坂に怒鳴られてしまった。全く、わけが判らない。 「……わかったわ、そっちの方が有利だし。一?信徒って事にしといてあげる」 「ご理解が早くて助かります」 思い切り悔しそうな遠坂に、如何にも取ってつけたようにほっと笑みこぼれて見せるカレン。結局、口ではなんと言おうとも遠坂はカレンに蹂?されてしまったようだ。 「それで? ??の職務執行ってなに?」 「遺言の執行。早い話が形見分けと言う奴です」 「形見? ??の人間で形見を受け取るような知り合い居ないわよ?」 「それを聞いたら、さぞ故人は悲しむでしょう」 カレンは笑みを浮かべたまま、遠坂の疑問に嘆いてみせる。悲しんでくれたらどんなに嬉しいだろう、なんだかそうとでも言っているような明るい嘆き方だ。 「ええと、それで誰の形見なんだ?」 とはいえこのままでは話が進まない。なんだかとっても?は進まなかったが、俺が話を進める事にした。 「冬木??の前任者。つまり言峰綺?の遺品です」 一瞬、沈?が遠坂家を包んだ。俺も遠坂もカレンの言葉を理解できなかった。いや、理解したくなかったが正解だろう。あ、あの言峰の遺品だって?…… 「そんな物、危なっかしくて受け取れるわけないわよ!」 だがそれも束の間、先に我に返った遠坂が、?然のように猫をかなぐり捨てて、カレンに詰め寄る。?持ちはわかる。言峰の遺品。しかも遠坂宛なんて、どんな呪いが?められているかわかったもんじゃない。 「ご不審は察しますが、一??査の結果どのような呪式も?められていない事を確認してあります。まぁ、言峰綺?はあれでも正式な聖職者。直接的な呪を送りつけるほどの愚者では無かったようです」 それにカレンは落ち着いて、良く聞けば身も蓋もない物言いで、どの品もただの“もの”に過ぎないと確約した。 「……わかったわ。その言い?だと、あんたあいつの味方だけは絶?しそうにないし、見るだけ見てあげる」 どうやら遠坂も、カレンの言葉の端?に見える前任者への?しようもない思いに?が付いたらしい。不承不承ながら、形見分けと言う行事を始める事を承諾した。 「では、まずこちらからご?ください」 それにカレンは、待っていましたとばかりに持?のトランクから、どうやら衣?箱のようなものを取り出し徐に蓋を開けた。 「………… え?」 一瞬、鬼が出るか蛇が出るかと息を呑んでいた俺だったが、中身が目に入った途端拍子?けしてしまった。そこに?められていたのは、白いブラウスと紺のスカ?ト、それに蒼いリボンと?いタイツという一?いの洋服。何故か下着類まで?っているのには些か赤面したが、これには見?えがある。 「これって、セイバ?の着てた服じゃないか……」 そう、これはあの聖杯??の間、??に成れぬセイバ?の?に遠坂が用意した服だ。しかし、どうしてこんなもんが言峰の形見なんだ? 「……プレゼントだったの……」 そんな俺の?きに、何故か?っ赤になりふるふると震える遠坂が搾り出すように?える。 「へ?」 「あいつの誕生日プレゼントだったのよ! それも?年?年おんなじ服ばっか!」 それは……言峰ってやっぱり?った奴だったんだな…… 「はい。遺言では遠坂??が二十?になるまで?年誕生日に贈るようにとなっていましたが、流石に??もそんなに暇ではありません。幸い服は各年分全て?っていましたので、この際ですから全てこの場にてお渡しします」 そんな俺たちの狂?を?牙にもかけず、カレンは事務的なまでの口調で、トランクから次?に衣?箱を取り出し積み上げていく。 「……くっ」 その全てが同じ服。いや、サイズが微妙に違う。成程、遠坂の成長を予測した上で造らせたのか。何故か、ブラのサイズだけ全て一?ってのが中?趣がふか…… 「衛宮くん。あんまりおかしな事考えてると……殺すわよ……」 い……などとは、ちっとも全然考えてないぞ。だから遠坂、命だけはお助けを…… 「?に入っていただけたようで、さぞ故人も喜ばれる事でしょう」 そこにカレンが取ってつけたような笑みを浮かべながら、葬儀屋の司?のような科白で茶?を入れてくる。 「これの何?が喜んでるように見えるのよ! こんな物あんたに上げるから持って?りなさい!」 「お?持ちは有難いのですが、他のサイズはともかく胸だけはきつすぎるようなので、ご遠慮します」 ?然、激?する遠坂だが、カレンは容赦ない。心ある人なら決して口に出?ない言葉をしれっと言って下さいます。 「……まあ、いいわ。受け取りましょう」 そのまま苛烈な視殺?に突入かと思ったが、?を食い縛りながら引いたのは遠坂だった。 「おや、?分簡?に引き下がられるのですね?」 「ふん。このまま粘ったら、それだけあんたがこの家に長居する事になるじゃない。幸い何時もと同じ服みたいだし。受け取った以上は、煮ようが?こうがこっちの勝手にして良いわけだし」 「?然です。?方もお引渡した以上、その後の?遇については一切??しません。さすがは?、賢明な判?だと思います」 ……なんか、持て余したテロリストを押し付けあう二大?の政治的な決着みたいな展開だ。この服自?には罪は無いと思うけどな、セイバ?にも似合ってたし。 「で、これで終わり?」 「いいえ。まだあります」 衣?箱を手早く引き取りながら終わったなら早く?れと促す遠坂に、カレンはそう簡?には?ってやるもんかとにっこりと微笑み返し、今度はトランクから一冊の冊子を取り出した。 「じゃ、さっさと渡して頂戴」 だが、それを見てうんざりした顔で手を伸ばしかけた遠坂から、カレンはさっとその本を遠ざけた。 「?念ですが、これは遠坂??への?渡品ではありません」 そして、何故か俺を差し招いた。 「俺?」 「なんで士?に?」 どう考えても、俺が言峰の遺品を受け取るような筋はないんだが…… 「衛宮士?氏への名指しではありませんが……」 そんなわけではてと首を傾げていると、カレンは巧妙に遠坂と距離を置きながら俺に近寄ってきた。 「遺言に、言峰綺?死亡時に遠坂??に一番近しい男性に渡すようにと指示がありましたので」 そして、にっこりというよりにやりに近い笑みを浮かべ、その冊子を何?か?引に俺の手に取らせる。 「いやまぁ……そう言われればそうかな?」 「否定は出?ないわね……」 流石にカレンの前で遠坂と俺が?人と言うか、そういう?係だとは公言できない。俺たちは全て判ってますとでも言いたげなカレンの視線を前に、互いに言葉を濁すしかなかった。 「で? 何なんだこの本……っ!?」 そんなわけでなんとも?恥ずかしくて、照れ?しのようにその冊子を開いた途端、俺は硬直してしまった。一言で言えば、それは子供時代の遠坂の??が?められたアルバムだった。だが、ただのアルバムではない。なにせ普通のスナップ??など一枚もないのだ。恐らく遠坂邸の庭の木陰だろう、?の?椅子で涎をたらしながら??をしている幼い遠坂の?姿。下着一枚でぼうっとベッドに座っている?ぼけ眼の可愛らしい遠坂。公園だろうか? 空き地で二桁に及ぶ男の子を伸してその上で胸を張る少女時代の遠坂。うわぁ、これは風呂上りのオ?ルヌ?ドじゃないか……つまりはそういう類の??ばかりなのだ。しかも、その全ての??に言峰の注?つきと言う凝りようだ。言うなれば、こいつは“言峰綺?編纂 遠坂?、愛の成長記?” とでも言うような珠玉の??集だったのだ。 「士?、どうしたの?」 と、思わず見入っていた俺の肩口から、遠坂が心配そうに?きこんできた。 「え? うわぁ! 遠坂! 拙い!」 飛び上がらんばかりに驚いて、慌ててアルバムを閉じる俺。しまった! どじった…… 「……なにが拙いって? 怪しいわね、ちょっと見せなさい」 案の定、遠坂さんに思い切り怪しまれてしまった。ジリジリと迫ってくる遠坂さん。ふふふ、やだなぁ遠坂さん、右手の魔術刻印が輝いてますよ、それって絶?やりすぎですよ。カレン、君も止めて――って、?しそうだね。ああ、そうか。?しいと感じる事があるって言ってたな。そういや、味?同?思いっきり偏ってた趣味だったなぁ…… ああ…… ?しんでくれて何よりだ…… 「なによ! これっ!」 とまあ、そんなこんなで暗?した俺の意識を?ましたのは、アルバムを手に?っ赤になって叫んでいる遠坂の叫び?だった。 「??!」 そして、そんな俺に遠坂さんの理不?な?が襲い掛かってくる。??って、それは俺が言峰から…… 「いいから! ??なんだから!」 とはいえ泣く子と遠坂さんには勝てない。特に、?目で恥も外聞も無くなった遠坂さんには。 「それは困ります」 だが、それもカレンさんには通じない。それは正式に衛宮士?氏に受け取ってもらわねばならないと、市役所の小役人のような頑なさを?に?しそうに演じておられる。 「いいの! こいつはわたしのなんだから! こいつの物もわたしの物なの!」 それに追い詰められた遠坂がついに切れた。うわぁ、遠坂イ(ジャイアニ)ズム爆?。 「成程、それはつまり……」 と、ここで何故かカレンがそれまで演技をかなぐり捨て、してやったりの笑みを浮かべた。 「衛宮士?については、?が全責任を負うということでもありますね?」 「――っ!」 一瞬で遠坂の顔から、アルバムの件での愚かしくも微笑ましい激情がすっかり消えうせた。 「元から……そのつもりよ」 そして、あの聖杯??の時にしばしば見せた、同じように頑なながらも?摯で冷?な表情に代わると、何か誓いでも口にするようにはっきりときっぱりと言い切って見せる。 「それを聞いて安心しました。その決意を心得ておられるようならば、これをお見せしても大丈夫でしょう」 それに?えるように、カレンも??な面持ちになり。これが最後と一枚の封筒をテ?ブルに載せると、遠坂に向かって滑らせた。 「これは、言峰綺?の正式な遺品と言うわけはありませんが。?、貴方が受け取って?理すべき物です」 そして、そのまま遠坂がその中身を確認するのをじっと見据えて?ける。 ぎりっ そんな何?か息詰まる?況の中、封筒の中身を確認した遠坂の肩がかすかに震え、??をかみ締めるような音が響いた。 「遠坂?」 「大丈夫よ、士?」 だが、思わす俺が?け寄った時には封筒は再び閉じられ、遠坂もまた、封筒を開ける以前の冷?な表情に?っていた。 「……判ったわ。つまり、大仕事をするなら自分の足元を固めろっていいたいわけね」 「すぐにとは申しませんが、それ位してもらわなければ、衛宮士?は微動だにしないでしょう」 「そうね、こいつ最?だから」 「それについては同意します。全く、とんでもない怪物(バケモノ)ですね」 ……いつの間にか女二人に、共通の敵を見出したような親近感が生じている。まぁ、仲良くなってくれるのは平和でいいんだが、人を怪物呼ばわりはないんじゃないか? 「それでは用件も終わった事ですし、お暇します。次に?う事があるなら……」 「綺?の遺産?理が終わった時ってわけね?」 「そうなりますね。その時こそ、私の任務が完全に達せられた時と言う事ですから」 そして最後に、カレンは遠坂となにやら怪しい??を交わし、遠坂邸を去っていった。   そういえばあの封筒、結局なんだったんだろう。遠坂は時期が?れば話すって言ってたし、俺としてもその時を待つだけだと思っていたんだが、すっかり忘れてたな…… 「ん? どうした遠坂?」 そんなことを思い出しながら、ここまで話し終わってみれば、またも遠坂はなにやらぶつぶつ?きながら頭を抱えている。 「……遺産?理が終わったら……そうだった、終わってたんだ……」 遺産?理? ああそういえば最後そんな?話してたな。 「どういうことだ?」 「ねぇ、士?。わたし達が今回二人だけで?ってきたわけ、?えてる?」 「ああ、ルヴィアさんやセイバ?たちと一?でも良かったんだが、神父さんの事だろ?」 本?、今年の??は前年同?、遠坂家エ?デルフェルト家,そして新たに加わったマキリ家の三家合同の?省になるはずだった。それが急遽?更になったのは、去年の夏、あの?の事件で大怪我をして以?どうも?調の思わしくなかった神父さんが、今年とうとう退任する事になった?だ。冬木の??は、知っての通りただの??ではない。特に今は遠坂に代わり冬木の?脈管理もしている以上、引?ぎには正式な管理者である遠坂の立?いも必要。そんなわけで、俺たち二人だけ一足早く??となったわけだが。 「それが、どうかしたのか?」 「どうかじゃないわよ、すぐ??に行くわよ!」 なにがどうしてそうなるのか全く判らない。とはいえ、とっとと席を立ってずんずん進む遠坂さんを放っても置けない。俺は大急ぎで?計を?ませ、まるで敵地に進軍するように勢いで??に向かう遠坂の後を追いかける事にした。 「士?、?い!」 遠坂さんは結構足が速い。漸く追いついたのは、??へは後は坂を上がるだけといった交差点の手前での事だった。 「?いは良いんだが、なんでそんなに急ぐのさ?」 「なんでって……ああ、そっか。士?にはまだ話して無かったわね……」 何故か妙に急く遠坂さんに、俺がはてと首をかしげて尋ねてみると、遠坂はあっと?が付いたように小さく?くと、?まなそうに切り出してきた。 「あの封筒ね。?は……わたし達家族の??が入っていたの」 「わたし達って、遠坂の?」 「うん。わたしと父さんと母さんと……?の、みんながみんな笑ってるような……極?普通のスナップ??がね……」 「……そうか」 それがどうしたんだ? 事情を知らない人間が聞いたらそれだけの??だったのだろう。だが、今の俺は遠坂が魔術師の家系だってことを知っている。そして、?が他家に出され、そこでどんな生活を送ってきたかを……遠坂は、そんな??を見せられるまで、自分の家族が普通の家族として存在していた事があったなんて知らなかっただろう。そして、それは魔術師の家族としてあってはならないこと、そうでなければ幼い頃たった一人で?された遠坂が、他家に出された?が余りに悲?すぎる。 ――それがあったのだよ、君たちは二人ともご?親に愛されていたのだよ―― 言峰は、あの亡?はそれを涅槃の向こうから?って見せたのだ。 「じゃあカレンは……」 同時にあの銀色の少女の笑みが?裏に浮かぶ、あの何?か言峰と同質の笑み。まさかカレンも全て承知の上でその??を…… 「ああ、あいつの事情は違うわ。あいつ綺?を出汁に、わたしに?破かけただけだから」 あいつの事だから?しまなかったわけじゃないだろうけど、と遠坂は憎?しげながらも納得したような口ぶりで、俺に苦笑して見せた。何故かほっとした。カレンは確かに言峰によく似たところがあるが、それでも一番肝の部分で違う。俺はあの少女の慈母にも似た笑みを思い出しながらも?いた。何?か歪んではいても、カレンの喜びは言峰のように完全に?逆ではなく、まだ正のベクトルを向いていた。 「そうか、だから”遺産?理”なのか……」 それで合点がいった。カレンは遠坂に?の事を何とかしろと言う思いを?めて、あの??を渡したんだな。無論、それを手に悶?とする遠坂を?しむ事も忘れずに。 「ま、それだけじゃないけどね。でも士?、だからって安心しないでよ。あいつは責め苦は人を前に進める?ではあっても、責め苦そのものを?しんでないわけじゃないんだから」 そんなほっとした俺に、遠坂は?難しげに換言してくる。確かに言い得て妙だけど、それってなにもカレンだけじゃないぞ、どっかの誰かさんもそっくりだ。 「ともかく、絶?あいつには心なんか許しちゃ?目なんだから、そんな事したらぱっくり食われるわよ」 そんな思いが顔に出たのだろう、遠坂さんは俺を半眼で?みながらびしっと指を突きつけてきた。 「わかった。わかったけど何で今更そんな事を? カレンはもう居ないんだぞ?」 そう、あの?動の直後。カレンは仕事は終わったと?っていった。そしてその後、今の神父さんが赴任してきたわけだ。 「へぇ、そう? じゃあ今響いている音はなにかしら? これって一?誰が?いてるのかしら?」 そう思い遠坂に問い正したのだが、遠坂は如何にも人を見下した視線で俺を見据えると、?く顎を上げて坂の上を指し示した。 「へ?」 街の?踏は?に途絶え、すでにこ?りは閑?な住宅街だ。そして今、そこに流れているのは良く澄んだそれでいて重厚な音色。まるでステンドグラス越しに講堂に差す光のようなその調べは、紛れも無く坂上の??から響いていた。それは…… 「……ぱいぷおるがん?」 「そうね、それ以外ないわ。さ、急ぐわよ」 「お、おう」 この調べには聞き?えがある。そう、これは俺がただ一度だけ聞いた調べ。俺が組み上げカレンが?いたパイプオルガンの調べだ。   「遠坂?、衛宮士?。まずは無事のご??をお祝い申し上げます」 俺たちが??の講堂の扉を開けるのと、曲が終わるのはほぼ同時。そのまま振り向いた紫陽花の少女は、まるで待っていたかの俺たちに??祝いの??を送って寄越した。 「やっぱり、あんただったわけ……」 「なにがやっぱりなのか判りませんが、この度モ?ラ?師に代わり、正式にこの??の管理者に赴任しました、カレン?オルテンシアと申します」 そして、そのまましれっと着任の??をしてのける。 「ふうん、正式って事は“代理”は取れたわけ?」 「はい。ここ三年間の勤め、更には先回の冬木赴任の甲斐もあって??を預かる資格を得る事が出?ました。?も遺産?理を終えられたようですね」 それに負けるものかと、嫌みったらしく代理の部分に力を?めて言い放った遠坂だったが、カレンはそれに、例の遺産?理と言う部分に力を?めて?えを返してきた。 「ま、まあね」 「些か時間が掛かったようですね。?ならば、倫敦に赴く前に方をつけると思っていましたが…… まあお蔭?でこうして私も間に合った次第です」 更に、思いのほかお甘いようでと、喉の?でくくっと笑うカレンさん。 「ぐっ……」 それに、思い切り苦?を?み潰すような表情の遠坂さん。まぁ確かに?の事に?しては、無事解決したとはいえ遠坂は思いっきり及び腰だったからな。何?でどう知ったかは判らないが、この問題ではカレンの方が押し?味である。 「とはいえ、これで言峰綺?の?したものは、全て?算されたと言ってよいでしょう。おめでとうございます、遠坂?」 「はん、あんたにお?を言われる筋合いじゃないわよ」 「そうでもないのです。結局、私のこの街での勤めとは、須らく言峰綺?と言う男の?した物(置き土産)の事後?理(後始末)のようなものだったのですから」 何?か疎ましそうにそう話を締めくくったカレンは、そのままなんと言い返そうかと?軋りしている遠坂の脇をすり?け、俺の傍らまで?みを進めてきた。 「衛宮士?。貴方は如何でしたか?」 そして??で?格な聖職者の視線で、俺を?っ向から見据えた。 「俺は……」 余りに漠然とした問い。一?なにを尋ねられているのかさっぱりだったが、それが俺とカレン、そして遠坂の三人に?わる何か大事な事だというのは確かだろう。俺は、カレンの全て見通すような金色の瞳を前に、必死で自分の中に、ここでカレンと別れてからの三年間の記憶に意識を沈めていった。 ……ああ 遠坂とセイバ?の三人で倫敦に渡っていった時の思い出。ルヴィアさんやミ?ナさん、そしてランスとの出?い。カ?ティスにイライザちゃん、ジュリオと過ごした日?。あの日以?、遠坂と共にあった日?はなんと波?に富み、?がしくも充?した日?だったのだろう。俺はそんな思い出を胸に、目の前のカレンから、恨めしげにそれでいて何?か心配そうに俺を見据えている遠坂へと視線を移した。 お前と付き合いだしてから、とんでもない事ばかりだったのは、別に夏だけってわけじゃなかったなぁ…… ?む暇も無く、思い切り引っ張りまわされた。けどあいつが、そしてセイバ?達がいてくれたお蔭で、俺は思い切り突っ走る事も出?た。確かに俺は今でもまだ歪んだままだ、空っぽで?物だらけののままだ。だがそれでも?、今は確かな指針がある。空っぽの中に、?物の中に唯一つだけ本物がある。俺は、俺の中にあるただ一本の?の柄にそっと手を伸ばした。 あの夏の出?事以?、俺の生活はあの時以上に息付く間もなく大童な日?の連?だ。遠坂と一?に時を過ごすってのは?大抵の事じゃない。本?に命が幾つあっても足りないような事ばかりだ。 だがそれでも?、そんな日?は決して辛い事ばかりじゃなかった。俺は…… 「?しいって事を、知ったよ」 そう、?しかった。嬉しいだけでなく、?しかった。もう、?引なまでにみんなから寄ってたかって?しまされた。本?にお前ら、少しは遠慮しろよ…… 俺は、俺の中で?ってそっぽを向くみんなの代わりに、目の前で口を尖らす遠坂に苦笑して見せた。 「それでは、これにて言峰綺?の遺産に?する、全ての?理が終わった事を宣言します」 そんな俺たちの前で、カレンは一つ?くと重?しく宣告を下した。 そうか、そういうことか…… それで漸く俺は、“遺産?理”と言う言葉の?意を理解した。遠坂が受け取ったものや、?の??だけが言峰が遺したものではなかった。第四次、第五次という二つの聖杯??で大きくその存在を?えられてしまった俺もまた、ある意味言峰の遺産だったと言う事か…… そんな感慨に浸っていると、カレンが飛び切り優しい慈母の笑みを浮かべ、俺に祝?を送ってくれた。 「衛宮士?。これで貴方も漸く少しは人間に近づけたようですね」 祝ってくれるのは良いんだけどね、カレンさん。俺の事、化け物呼ばわりはないだろ? 遠坂も?いてないで何とか言ってくれよ……     -------------------------------------------------------------------------------- 天上の?曲が、講堂に響き渡る。高き天の下、?き地に?ちる遍く生命を歌い上げる喜びと祈りの調べ。それは以前、一度だけ?いた事のある?曲と同じ物。地に生きる全ての命に安逸と休息を?える神を?え、神の導きに?いまどろみに生きる喜びを詠うものだった。ただ、前回と違う部分が少しある。本?、演奏者の感情など欠片も?められるべきでない?美歌なのに、今日の演奏は微かに感情らしきものが?められているように感じた。休息と安逸に詠っていながら、それでいて今日の演奏には?行の思いが?められているのだ。 ――ずっとここにいれば良いのに、ここならずっと安逸に浸っていられるのに、それでも貴方は行くのですね。――あそこは決してそんな好い所では無いというのに、それでも貴方は行くのですね。 なんというか……こう、??で華麗な響きなのにも?わらず、拗ねて突き放すような、ロックか何かの方が似合いそうな感情も?められているような?がする…… 「御??、感謝します」 最後の最後を、そんな感情をぶつけるように何?かディスト?ションじみた不協和音で締め、一風?わった?美歌は終わった。 「いや……良い演奏だったと思うけど、?わった?美歌だな」 「本?は許されない事なのですが、少しアレンジしてみました」 良いのかシスタ?がそんなことで? まぁ上手いから良いか。 「おや? 衛宮士?、貴方に音?がわかるのですか?」 そんな事をポツリと?いたら、カレンがお馴染みの人を見下す視線で嫌味を言ってきた。 「いや、音?はわからない」 俺はそんな嫌味に素直に?え、カレンの背後に屹立するパイプオルガンに視線を向けた。 「でも、こいつの?持ちはわかる。こいつは君の演奏を喜んでいた。君はこいつのただの所有者や使用者じゃない。紛れも無く“?い手”だ」 そう、こいつは俺が手ずから組み上げたあのパイプオルガンだ。精緻な機械、?史ある機械。そういったものには魂や精神こそないが、積み上げられた?史と蓄積された??による思いのような物が宿っている。起源にまでさかのぼる構造解析を天性とする俺には、今では武器でなくても、そんな思いを汲み取る事くらいはできるようになっていた。 「え……」 間違いない。うんと?きカレンに視線を?すと、とても珍しい光景を目にする事になった。 「あ……その……過分なお褒めの言葉、感謝します……」 照れてますよ、カレンさん。これは新鮮。やっぱり、人間の本性が出るのは趣味や嗜好の問題なんだな。 「お、音?に?してだけは特例として指導者を用意していただきました。何かと問題はありましたが……」 そして、どこか誇らしげに正規の?育を受けていたことを明かした。成程、我?を通した事ってこのことだな。きっと思いっきり?情張ったんだろうなぁ、しれっとした顔で。 「……それはともかく。良いのですか? 衛宮士?。?を放って置いて」 そんなわけで、これは良いものを見せてもらったと微笑んでいたら。カレンは、何故かむっとしたような表情になり、俺にちくりと苦言をいってきた。 「別に放っているわけじゃないぞ。遠坂はもうここに用がないから?った。俺はまだ君に聞きたい事があるから?った。それだけだ」 うん、間違いない。 「……衛宮士?。貴方は女心が判らないと言われた事はありませんか?」 だってのに、カレンはうんざりしたような表情で質問を返してきた。いや、それはしょっちゅう言われてるけど。 「……愚問でした。さて、では私に尋ねたい事とは、どのような事なのでしょうか?」 そして失?にも俺の返事を待たず自分だけで納得すると、改めて俺がここに?った理由を問いただしてくる。 「ああ、それなんだが。カレン、君は……」 それに俺は三年前の、今日の出?事を反芻しながら、さてどう話したもんかと言葉を探しつつずっと考えていた疑問をぶつけてみた。 「どうして、俺の?にこんなに骨を折ってくれたんだ?」 そう、それが聞きたかった。??後の再?。遠坂に託した言峰の遺産?理。一見それは??の仕事のように見える。そして、それは遠坂と、そして?だけの問題であるかのようも見える。だが、カレンは今日この場で、言峰の遺産?理を俺の言葉で締めた。正しくないくせに間違ってもいない俺が、?り?んでいた袋小路から?け出せた事を最後の締めに持ってきてくれた。?いて言えば、それはまるで俺を助けるために、あえて言峰の遺産問題に手を付け、遠坂を引っ張り出したように見えるのだ。?側からは決して改悛できない俺を、外側から遠坂?と言う存在を以て動かそうとしたかのように見えるのだ。 「俺はあの時、君の手助けをするって言ったのに結局なにも出?なかった。そのパイプオルガンを組んだだけだ。それに俺は別に信徒でもない。確かに君はある意味、人を助けるのが仕事だろうけど、俺みたいに無闇やたらにするってわけじゃないだろ?」 だが、その理由がわからない。遠坂に、息するように人助けするといわれた俺が言うのもなんだが、こんなことしたって何の得にもならない。如何にカレンが聖職者とは言え、こんな面倒をする事は……あっ 「まさか、カレン。君は言峰の……」 一つだけ思いついた。 「それは違います」 だが俺の思いついた事を、カレンは明確に、それでいて僅かにずらした言葉で否定した。 「如何に私が聖職者でも、好き好んでわざわざ前任者の尻拭いをする事はありません。……まあ、結果的にはそうなってしまいましたが」 判りきった事は言うまでもない。そんな口調だ。 「じゃあ、なんで?」 「“情けは人の?ならず”」 そして更に尋ねる俺に、三年前、時折見せてくれた、どうしようもなく優しい表情で?えてくれた。 「人に情けをかけるのは、結局廻りまわって自分が救われるためと言う諺ですね。私はこれが事?である事を貴方に?えたかっただけ」 そしてその表情のまま、?くようにそう言うと、?かしむように俺に話しかけてきた。 「衛宮士?。三年前、ここで私が最後に尋ねた事を?えていますか?」 「? ……ああ、あれか……」   あれは三年前、カレンがこの??を立ち去る前日。別れの??代わりに、ここで俺が組み上げたオルガンの演奏を聞かせてくれた時のことだ。今日と同じ、??で華麗な響き。ただ今日と違って。それは?範を一?も出ない硬く?しい演奏でもあった。 「なあ、カレン。本?に……終わったのか?」 そんな頑なな演奏のせいか、それともその日のカレンがほっとしながらも、何?か?げな――そう、丁度祭りの終ったあとの寂しげな雰??のような、そんな空?を纏っていた?か、俺は聞かずもがなのことを聞いてしまった。 「はい、終わりました。未だ“聖杯”と言うべき物は存在しますが、その中身はもうこの世界には存在しません」」 きっぱりと?えるカレン。だがそこに僅かな迷いがあった。判ってはいるし理解もしている。だが納得しきれない。そんな迷いだ。 「ただ……その……衛宮士?。一つ、貴方に尋ねても宜しいでしょうか?」 だからだろう。一瞬の沈?の後、カレンは何?かすがるような視線で俺に話しかけてきた。 「俺に?」 「はい、恐らく貴方にしか判らない」 「そういう事なら何でも聞いてくれ」 「では、お言葉に甘えて……」 そしてカレンの口から放たれた問いは、なんとも意外なものだった。 「……英?の?件?」 「はい、その……衛宮士?ならわかる。何故か判りませんが、そんな確信があったもので……」 「そう言われても……」 だが、俺には心?たりがあった。 ああ、カレンは正しい。こいつは俺と、あとは恐らく遠坂しか判らない……いや、知らない事だろう。 「……逃れられない運命から、命を?い取ること?」 「ああ、そうだ。それだけだ」 そう、たったそれだけ。俺は知っている。英?の?件は、なにも?史に名を?すことや目に見える偉業を遂げる事ではない。たとえ一つでも良い。決して助からないはずの命を助ける。それによって、人は人を越え英?になる。いや世界は英?を手に入れるのだ。俺は……俺の末路(ア?チャ?)からそれを知(?わ)った。 「ああ……」 途端、カレンの顔から鬱屈が消えた。理解し判ってはいたものが、漸く納得できたって顔だ。 「そんなに良いもんじゃないぞ?」 とはいえ俺としては苦言を呈せざるをえない。なにせ、俺は英?ってのが碌なもんじゃない(あいつみたいなもの)と知っているのだ。 「でも……」 だが、それでもカレンは微笑んで見せた。何?か遠い目で、ああ良かったと。 「誰からも忘れ去られるより、無に?するよりは良いと思います」 そして一?、今度は遠坂さんとも何?か通じる、いつもの含み?載の表情で俺に微笑みかけてきた。 「衛宮士?、いっそ放っておいてやろうかとも思っていましたが、お蔭で考えが定まりました」 「? いや、お役に立てて嬉しいぞ」 一瞬ぞくっとしたが、どうやらその笑みの向く先は俺ではないようだ。俺はほっとして。 「では衛宮士?。最後の??を申し付けます。宜しいですね」 ……どうやら、俺も完全に除外されていたわけではないらしい。なんだか?ったらとても後が怖いような?がして、俺は素直にその申し付けを引き受ける事になってしまった。   「…………」 「どうやら思い出してくれたようですね」 「ああ、思い出した。あれはあれで大?だったんだぞ?」 カレンに申し付けられた最後の??。町外れの洋館の調査と、そこで見つけた一人の女性。そしてその後の?動までを思い出し、俺は思い切り?い顔でカレンを?みつけてやった。ああそうだった、思い出したぞ。三年前の夏の?動ってのは、なにもカレンの一件だけじゃなかったんだ。 「ですが、それで一つの命が助かった。よい事ではないですか」 「人事だと思って……」 「人事ではありません。結局、それも含めて貴方のお節介で私の仕事(言峰の遺産の?理)は完了した。それにね、衛宮士?。貴方は知らないだろうけど、貴方は貴方の生き方で一つの魂を解き放ったのよ?」 だからこそ、自分は衛宮士?の?に骨を折る?になったのだと言う。 「さっぱり判らんぞ?」 「判らなくても良い。知っていてくれれば」 カレンはそう言うと、くすくすと笑いながら視線を??の天蓋を覆うステンドグラスに向けた。円を描き、無?の宗??に飾られたステンドグラス。それはまるで、無?にある?多の世界の欠片を?ぎ合わせて出?ているかのように見える。そこを通し?夏の陽光が、講堂に降り注いでいる。 ……ああ つられて見上げ、そのまぶしさに目を瞬かせた俺は、ふとさっき見た夢を思い出した。 ――何故か、其?はそんなに良い所ではないだろうという確信はあったが、――それでもやはり俺は其?に向かって?け?んで行った。 ああ、そういうことか。何?か俺の知らない、俺の?われない世界で一つの出?事があった。そいつもまた、ある意味言峰の遺産だったのかもしれない。それを恐らく“カレン”は?理した。俺の知らない俺のお節介と共に。それは俺の知らない何か、俺の知らない誰か。だが、今、俺は知っている。 ――お前は、今、其?にいるんだな――   END -------------------------------------------------------------------------------- 「記憶の在? Ver.k(小さなk)」hollow remixです。あの物語のあの結末を、私なりの解?で?み解き。それを私も書いた物語のアレンジとして書き上げてみました。結局カレンはあの物語でも、言峰の衣鉢を?いでいるんですよね。あの物語での言峰のスタンスは「未だ生み出されざる聖杯の中身の誕生を見定め、祝福する」ことでしたから。この御話、私にとって久しぶりに純?なSSでした。なにせ構造そのものが起承承結、?の部分はそのまま全部hollow に委ねている?ですから。それはともかく、これで私も漸く?ってくることが出?ました。これからもどうか御??に。 ps.ちなみに夏にした理由は、どう考えても本?あの作品は夏の話だったと思ったからです。ですよねぇ(笑) 번역부탁     ', 'https://cboard.net/sitemap/og_image.php?text=페이트 번역 부탁&link=https://cboard.net/k/11_110812_59413511', '2007.12.06')
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작성일 2007.12.06댓글 1건
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「…………」

暗い闇。何一つ確かな物のない混沌の如き闇の中で、金色と?紅の言?が、色彩の和音を奏でていた。
二つの色彩は、紡ぎだされる旋律に合わせる?に二つの三角に別れ、四方を?み地に五芒、天に六芒の星を描き出す。

「――!」

瞬間、二つの旋律が?けた。
?けた旋律は二つから三つに、三つから四つに、次?と色彩を加え、ついには闇の中に七色の虹を屹ち上げた。

「本?に宜しいんですの?」

僅かな沈?の後、虹色に照らされた金色がほっとしたような息使いで?いた。

「熟慮の結果よ。わたしとあんた、二人が一年かけての解析で目が出なかったんだし、こうなったら??で形にするしか使い道ないもの」

それに、紅がどこか憮然と?えを返す。

「確かに……目の前に結論が見えている?に思えても、そこに踏み?む度に更に向こうに遠のいていく……まるで逃げ水ですわ。理屈はわかるんですけれど……」

「理屈で魔法に?くなら世話ないわよね」

僅かに弛緩した空?の中、照らし出された金色――ルヴィアゼリッタ?エ?デルフェルトの口惜しそうな言葉に、?紅――遠坂?は自嘲混じりに肩をすくめて?えた。

「それじゃ、とっとと片付けちゃいましょう。それに、いざとなったら……」

「またシェロに創ってもらうとでも? それこそ、そんなことが出?たら世話がないですわ」

そう、確かにこれは士?が創ったもの。だが決して士?“?り”で創った物ではない。これは士?が創らされるべく授けられた物でもあるのだ。現にあれ以?、士?はこれの再投影には成功していない。だが……

「あいつ出?目だから、もしかしたらってのはあるのよねぇ」

「シェロですものねぇ」

二人は同時に自分たちの施術を忘れ、一人の?年の顔を思い浮かべ苦笑した。理と知を至上とする魔術師として些か不本意ではあるが、何の根?もない?なのに、彼なら何とかしてしまう。そんな?がしてしまったからだ。
彼は決して諦めない。諦めない限り、挫けない限り前に進む事は出?る。それになにより、士?は馬鹿だからなぁ……

「ま、そんなわけで?悟は出?てるわ。始めましょう」

「なにが、そんなわけか今一つわかりませんけど、それならわたくしにも否はありませんわ」

一瞬の弛緩、本番前のちょっとした息?きを終え、二人の間に再び緊張がみなぎる。

「――――Anfang(セット)」

「――――En Garand(レディ)」

二人の呪に合わせ、七色の虹に見えない力が?束する。
万華鏡の如く移ろい浮かぶ七色の刃。模造(フェイク)とはいえ、今まさに?石?(ゼルレッチ)に力が宿った。

 

 

 


おうさまのけん 
「?の王」 -King Aruthoria- 第九話 前編
Saber 

 

 

 

「――同調、開始(トレ?ス?オン)」

薄暗い闇の中で、俺はただ一点に意識を集中しつつ言い慣れた呪を紡いだ。
途端、一心に見つめていたフラスコの底で小さな魔法陣が浮かび上がり、淀んでいた乳白色の液?が波打った。
俺は背骨を貫く、?けた火箸を突き刺されるような感?を意識下に押しやりながら、更に呪を重ねる。

「――重力、?離(テイク?オフ)……」

呪を待っていたかのように魔法陣に?が宿り、乳白色の波はその?りに照らされて更に大きく立ち上がった。そしてそのまま、まるで映?機を逆回しするように、フラスコの中央で球となって浮かび上がっていく。

「――精?、開始(バトルオ?ダ??リセット)」

俺はそこにもう一つの呪を重ねた。すると魔法陣に照らされた乳白色の液球は一つまた一つと色を加え、ついに万華鏡のように移ろいながら虹色に輝く球へとその姿を?えていった。

「……」

フラスコの中でゆらゆら?れる虹色の液球を見据え、一呼吸だけ置く。背筋を貫く痛みも感じ慣れた疼きへと?り、俺の回路は意識せずとも順調に魔法陣へと魔力を流し?けていく。よし、大丈夫だ。

「――編制、開始(レッツ?コンバイン)」

俺は魔法陣に十分魔力が行渡ったのを確認して、最後の呪を送る。魔法陣からの?りが徐?に色合いを?え、うねうねと蠢く虹色の液球は魔法陣の?化に合わせるようにその色合いを薄れさせていく。
ここまで?れば、後は魔法陣が勝手に仕事を進めてくれる。それを確認し、俺は一つ?いた。

「……ふう」

「お疲れ?です。シロウ」

と、漸く一息ついて背筋を伸ばしたところで、俺は目の前で優しく微笑む聖翠の瞳と鉢合わせてしまった。

「あ、セイバ?。その……何時からそこに?」

「シロウがそのフラスコを見詰めだした?りからです。何か施術だったようなので、邪魔をしては?いと思い終わるまで待っていました」

暫し見とれてしまった俺のいかにもとってつけたような言葉に、セイバ?は手に持ったトレイを作業台の隅に置きながら、苦笑交じりに?えてくれた。
フラスコをって事は施術の最初の頃からじゃないか、三十分近く待たせちまったのか。

「ついでと言ってはなんですが、お茶を淹れてきました、どうやら施術も終わったようですし、一休みする頃合では?」

俺がしまったと臍を?んでいる間にも、セイバ?は手際よくお茶の用意を進める。

「あ、すまない。お茶くらい自分で淹れたのに」

「今日はシロウも?も工房にお?りでしたから、こんな時くらい私に淹れさせて欲しい」

そりゃ?い事をしたと、慌てて俺も手?おうとしたのだが、セイバ?はするりと俺の手を遮り、どこか?しそうにお茶を淹れてくれた。

「わかった。それじゃ有難く頂く。でも俺だけってのは嫌だな。セイバ?も付き合ってくれ」

「はい、では私も御一?させていただきます」

こうして俺は、自分の工房で徐?に色合いを?える液球を?んで、セイバ?とお茶を?む事になった。

 


「旨いなこれ、セイバ?が作ったのか?」

「いえ、私にはまだこれほどの物は作れません、シュフラン殿から頂いた品です」

?かいミルクティ?と手作りのクッキ?。長時間の施術で些か疲れた?と頭に、そのほんのりとした甘さがなんとも心地良い。俺はセイバ?と、料理やらお菓子やらといったとりとめのない話をしながらその心地よさを?しんだ。
英?と魔術師の話としてはどうよって?容かもしれないが、殺伐とした世界の中でそんな何でもない日常がある事が、何故か妙に嬉しく感じていた。
と、ここまで浸っていて、俺はもう一人の魔術師の事に思い至った。拙い拙い、あいつの事をすっかり忘れてたなんて言ったら、後で何を言われるか……

「そういや遠坂は? あいつの?子はどうなんだ?」

「小一時間ほど前に工房を?いた時には、まだ施術の?っ最中のようでした」

なんでもかなり大掛かりな施術の佳境に入っていたらしく、流石のセイバ?も?をかけるきっかけを?めなかったと言う。

「頑張ってるなぁ。一昨日の晩ルヴィアさんの家から?ってきてから、?りっぱなしだったっけ?」

そろそろ年度末。今期の?究の仕上げって事らしく、この一週間ほど遠坂はルヴィア?とお互いの工房を往復する?日を送っていた。どうやらそれが佳境に入ったらしい、頑張るのは良いけど無理しなきゃ良いんだが……

「それはシロウも同じでは? 二人とも、食事もそこそこで作業に?頭していたように見受けられましたが?」

などと感想を漏らしたら、セイバ?は俺に向かって何?か恨めしげな視線を向けてきた。あ、こっちも拙い……

「あ、いや、すまん。俺も今ちょっと忙しかったから…… そうだ、今日はなにかセイバ?の好きなものを……」

?座にその視線の意味がなんであるかを悟った俺は、慌ててセイバ?に弁解をした。
遠坂同?、俺もこの一週間はえらく忙しかった。
理由も遠坂と同じ、年度末の試?やらレポ?トのた?だ。それは遠坂ほど?門的でも深くもないが、それでも結構きついものがあった。せめてもの救いは、去年のように遠坂やルヴィア?に付きっ切りで補習を受けなきゃならない程は、酷くなかった事くらいだ。。
まあ、そんなわけでセイバ?の言う通り、俺も遠坂も手早く食事を?ます時くらいしか顔を合わせていない。で?然、食事も手早く作れて手早く?ませられる物が?いていた。ようするに……些か?だったわけだ。

「シロウ、前?から思っていたのですが、私について食事にだけ注意を?っていれば良いと考えていませんか?」

が、この弁解は何故かセイバ?さんの?に障ってしまったらしい。目を半眼にしてずいと身を?り出して迫っていらっしゃいます。

「い、いや、そんな事はないぞ。ただこのところ食事がちょっといい加減だったかなと……」

「食事などどうでも……いえ、それよりです! ?の心配も良いですが、自分も余り無理をしないようにして欲しいと言いたいのです! 食事は?しては、きちんと作って頂ければ文句はありません!」

ああ、そういうことか。心配してくれてたんだな。確かにちょっと根を詰めすぎていたかもしれない。

「すまない、心配かけた。今日の夕食はしっかり作る」

俺はその事に感謝して、素直に頭を下げた。
心配してくれて有難う。でもな、セイバ?。どうでも良いと言い切れなかったり、“きちんと”にアクセント入れてたりするとこ見ると、やっぱりそっちにも文句あったんじゃないか?

「そうではないと何度言えば……お願いします……」

?もなにか言いたそうなセイバ?だったが、俺がしっかり正面向いて頭を下げたら、ぼそぼそ?きながらも納得してくれたようだ。わかったわかった、?飯から頑張るから。

 


「ところでシロウ。それは何なのでしょう? いつものガラクタいじりとは趣が違うようですが」

今日の食事をきちんと作ることを約束して何とか宥めすかし、ほっと一息ついていると、セイバ?は今度は作業台の上のフラスコを視線で示しながら尋ねてきた。

「ガラクタは酷いぞ。いつもやってる事だって、魔術の修行もあるんだからな」

「つまり、ガラクタ弄りもあるわけですね?」

だが、いつもなら素直にそうですかと?いてくれるセイバ?なのに、今日は何故か微妙に絡んでくる。やっぱりまだ根に持ってるんだね……

「いや、まぁ……そうだけど」

俺はそんなどこか見透かすようにつんと視線を向けてくるセイバ?に、僅かたじろぎながら工房を見渡した。
そこかしこに置かれた品?。如何にもな魔術の道具や、殆ど化?の道具と?らないような?金術の機材や素材もある事はあるが、大半は一?何時のもんだろうってな時計や?動機(エンジン)、それ以上に古そうな?れた家具や道具たちばかりだ。
ううむ、確かにこれじゃ冬木の衛宮邸(いえ)にあった?と、何?が違うのかって聞かれても返答に困る。現にセイバ?はそんな目で俺を見てるし。

「でも、ほら、こんなのは中?日本じゃ見つけられないんだぞ?」

だがそれでも?、俺は反論せざるを得なかった。
英?ってとこは、流石にこういった古道具に?しては日本よりはるかに充?している。なにせ、ごくごく普通に百年二百年物の道具や機械が今でも現役で?っているくらいだ。だから、たとえ?れていたり部品が足りないガラクタのような品物であっても、修理する道具や部品は探せばいくらでも見つけることが出?る。つまり一旦作られた道具は例え?れても直して、手を加えて最後まで使い切ることが出?るのだ。俺にとってこれほど素晴らしい事はない。

「わかりました。シロウは本?にガラクタが好きなのですね」

だから、そんな事を切?と訴えていたのだが、セイバ?さんは何故かどんどん、どんどん?れたような顔になっていく。なんか?然としないなぁ。

「いや、そうじゃなくてだな……」

俺はまた何か間違ってしまったようだ。だが、だがしかし、これは間違っているかもしれないが正しいんだ。俺は更に、そこかしこの品?を?際に手に取り、?れるを通り越して引き始めたセイバ?に向かって?例を示しながら、必死で抵抗を?ける事にした。
それになにより……ああ、くそ! そうだよ! 俺はガラクタ弄りが好きだよ!

「ほら、見てくれセイバ?。これ百年近く前の?燃機?(ガソリンエンジン)なんだけど、キャブレタ?が……」

結局、ガラクタフェチについてはカミングアウトさせられた俺だったが、それでもこの道具類の素晴らしさだけはセイバ?に判って貰いたくて、必死で解?を繰り?げた。なあセイバ?、百年物の機械類とか三百年物の道具とか、長年にわたって人の手で使われ?けた物ってのは本?に凄いものなんだぞ?

「はいはい、凄いです凄いです」

だが、セイバ?さんは聞いちゃくれません。なにか遠坂のような胡散臭そうな目で俺の手の品物を一瞥するだけで、俺の言う事なんか綺麗さっぱり右から左に流してくれる。くそお、俺だってセイバ?の食欲には理解を示してるんだから、俺のほうにも少しは理解を示して欲しいぞ。

「よし、じゃこっちはどうだ? 二百年前の洗濯機で……」

「それよりシロウ、結局これは何だったのですか?」

ここまで?たら後には引けない。諦めない限り挫けない限り前に進めると、俺は?明を?けようと意??んだ。しかし、セイバ?は、やっぱりそんな俺を全くと言っていいほど取り合わずに、目の前のフラスコを興味深げに突つきながら?明を遮ってくる。
何か?然としない。俺の手に取った道具たちはスル?で、そっちには興味深げで……別に俺は魔術師になりたいわけじゃないんだぞ。そりゃガラクタ使いになりたいわけでもないけど……

「シロウ、何をぶつぶつ言っているのですか?」

そんな事を考えていたら、?の?省癖(?面モ?ド)がうつってしまったのですか? とセイバ?に苦笑されてしまった。さらに趣味について?きになるとこなども、最近二人は似てきましたね、と諭すような口調で付け加えてくる。
はて? 確かに俺のガラクタ好きは趣味かもしれないけど、遠坂になんか趣味ってあったっけ? そう思って聞き返したら、セイバ?はどこか暗い表情で視線を逸らすと、何事か小さく?いた。うっ、こ、これは……

「こ、これなんだがなセイバ?、万物融化?(アルカヘスト)ってやつなんだ!」

その?きが耳に入った途端、俺は本能的に話題を逸らしていた。

「シロウ、話を逸らそうとしていませんか?」

「そ、そんな事はないぞ! 第一こいつについて聞きたがってたのはセイバ?だろ?」

「それはそうですが……」

ともかく、俺はセイバ?のどこか?然としないと言った表情を敢えて無視して、万物融化?(アルカヘスト)の?明を?けた。とにかく今はさっきの話題を?けてはいけない。
何せセイバ?の言う遠坂の趣味は、「……無?使い……」だったのだから。

 


「ほほう、全てを溶かす液?ですか」

「ああ、パラケルススって人が見つけたらしい。こいつの作成が祖材科(マテリアル?ハ?メストロジ?)の最終考査なんだ」

俺は、漸く興味を目の前のフラスコに?してくれたセイバ?に、頭の中で授業のおさらいをしながら?明を?けた。
“全ては一にして、一は全て”
魔術の?ての源はこれだ。一は?てであると同時に?てに一は存在する。この“一”こそは根源。そして魔術師は自分の中にある“一”つまり魔術回路を通してそこに向かう。そして一般的な?金術師とは、自らを含めて?ての中に存在する“一”を抽出し、それを用いて根源への道を開こうとする魔術師の事なのだ。俗に言う“賢者の石”って奴は、この抽出された“一”の結晶というわけだ。
そしてこの万物融化?(アルカヘスト)。全ての物を“氷に湯をかけたように”溶かすこの液?は、この?金術の究極の目標、賢者の石を作り出す?に必須の祖材だ。
尤も、?てに一が含まれているといったって、科?のように元素として中に入っているわけじゃない。あくまで“?念”としてその痕跡があるってだけだ。だからもし“一”を取り出したければ、科?的でなく?念的に存在を分解し“一”を抽出しなければならない。だから、こいつも?ての物を溶かすって言っても、化?的な分解でなく?念を溶解する魔術的な物質ってわけだ。

「しかしシロウ、?てを溶かせる液?というのは、些かおかしくありませんか? ?てを溶かせる以上、それを?める容器すら溶かしてしまうように思えますし、そんなものを扱う事も不可能なのでは?」

とはいえセイバ?の言うとおり、“何でも溶かす物をどうやって治めるか?”という問題から、こいつは“表”の世界じゃ製造不可能、つまり存在しない物だって言われてきた。そう、普通ならそんなものあるはずがない。

「だからこうやって扱うんだ」

だが俺たちは魔術師。俺はセイバ?に、フラスコの底に描かれた魔法陣を指し示しながら話を?けた。

「成程、宙に浮かして作り上げるわけですか」

「そうなんだ。こうやって宙に浮かして仕上げて、更にそいつを加工して、溶かしたい物以外は溶けない?にするってわけさ」

重力呪で固定し最後の工程を成し、?念を付?して特定?念のみを溶かす溶液に仕上げる。こいつが今期の俺に課された課題だった。

「つまり、これは金?用なのですね」

そして目の前で、虹色から金色に?りながらフラスコの底に落ちていく液球は、さまざまな?念を添付して“金”の?念を溶解出?るように加工されたものだ。

「おう。一?溶かして、今度はそいつを蒸留して別の物に組み替えるって事も出?るんだぞ」

俺は更に、こいつの使い道についてもセイバ?に?明した。
物質を?念に融解し、それを蒸留添加し別の物質の?念に組み上げ固める。つまりこれが物質?成、?義の?金術って奴だ。

「おお!」

と、そこまで話したところでセイバ?の目の色が?った。

「つ、つまり。これで金が作れるのですね!?」

そこに食いついたか……
?持ちはわかる。セイバ?にはいつも金で苦?かけてきたからなぁ。主に遠坂が。

「一?これだけあれば、一キロの鉛を金に作り?えることくらいなら出?るな」

俺は、それがまるで財?の山であるかのように、きらきらとフラスコに目を輝かせているセイバ?に苦笑しながら“事?”を話した。

「ただしこいつを作るのには、それと同じ重さの金以上の金(かね)がかかるし、鉛の?念溶液から金を蒸留するのにもやっぱり同じくらいの金がかかるんだ」

「くっ…… つまり」

金を作るのに、金の?値の二倍以上の金(かね)がかかるってわけだ。?念。

「考えてみれば、これをシロウが作れるという事は?も作れるという事。もし安?に金が作れるのならば、とうに?が作っていましたね……」

そう、?は俺も最初にこの事を聞いた時に、遠坂に同じような事を尋ねてみたのだ。だが?えは?然、今の俺の答えと一?。
あの時の遠坂の?に口惜しそうな顔は、いま目の前に居るセイバ?の悔しそうな顔と甲乙付けがたいものだったなぁ。

 


「ああ、二人とも。ここにいたんだぁ」

などと、二人?って遠坂の顔を思い出しつつ溜息をついたところに、工房の入り口からとうの遠坂さんが顔を?かせてきた。

「?、施術は終わったのですか?」

「おわったぁ……」

入って?いと促すと、遠坂はセイバ?ににへらと嬉しそうに笑いながら手を振り、そのまま俺の方に何?か?束無げな足取りでやって?る。

「おいおい、大丈夫か?」

俺は慌てて立ち上がり、そんな遠坂に?み寄った。
何をやっていたかは知らないが、よっぽど大?な施術だったのだろう。ふらふらとかなり危なっかしい。

「だいじょうぶぅ」

全然大丈夫くない。表情だって思いっきり無防備。?起きでもないのに、こういう遠坂は非常に珍しい。俺は、流石に心配になって遠坂の腑?けた顔を?き?んだ。

「とお……っ!」

「……!」

「んっ……へへへ」

だが、これが拙かった。遠坂と目が合った途端、遠坂の瞳が??っぽく光り、俺の唇はずっと柔らかくて?かい唇に塞がれてしまったのだ。

「ぷはっ! こ、こら、遠坂! いきなりなんだってんだ!」

「士?分のほきゅう」

「な、なんだよ、その士?分ってのは!?」

「士?分は士?分よ。士?に含まれてて、わたしには必須の成分なんだから」

セイバ?の視線が痛いほど感じられる中ほぼ一分、遠坂は俺の唇を離してくれなかった。しかも漸く離してくれたと思ったら、今度は逃がす物かとばかりにがっちりと抱きついて俺の胸に顔を埋ながら、意味不明な事をほざきやがる。

「ふう、補給完了。やっぱり士?分は?くわねぇ」

そんなこんなで、結局俺が解放されたのは、最初に不意打ちを食らわされてから五分近く?った後だった。
士?分ってのが一?どんな物かは知らないが、遠坂の奴はさっきとは打って?わってきりっとした表情で、足取りもしっかりした物に?っていた。心なしか血色もよくなったように思える。それに引き換えこっちは不意打ちの混?と、セイバ?の冷ややかな視線で一?に消耗してしまった。本?に何か吸い取られたのかもしれない。
いやまあ、その……別に嫌だったってわけでもないんだが……

「?、シロウ。二人が仲が良いのは大?良い事だと思いますが、お互いまだ?生の身。衝動的な家族計?だけはしないようお願いします」

と、そこに追い討ちをかけるように、セイバ?がとっても綺麗な笑顔でとんでもない事を言ってきやがった。

「セ、セイバ?! 家族計?って……」
「あ、それなら大丈夫。ちゃんと考えてるから」

余りの事に思わず?を上げかけた俺だったが、その?に遠坂の更にとんでもない科白が被さってきた。

「こっちで子作りの予定はないわよ? そういう事は、やっぱり時計塔での修?が終わった後ね」

「と、遠坂さん?」

「おお、それでは!?」

「うん、日本に?ってから。二人は欲しいわね」

「それは?しみです。是非、私にも二人の子を抱かせて頂きたい」

「お~い……」

「勿論よ。セイバ?にも子供の?育とか、手?ってもらいたいし」

「ああ、それは良い。?とシロウの子供ですから、男の子でも女の子でもさぞや可愛い事でしょう」

「……」

なんだか思いっきり顔に血が上って、言葉も無い俺を他所に?しげに未?設計を語る遠坂とセイバ?。
そうか、子供は二人か。やっぱり男と女が良いなぁ、衛宮邸(俺の家)も遠坂邸(遠坂の家)も?いから部屋には困らないし。あ、でも庭は衛宮邸(俺の家)の方が?いなぁ……って、そんなこと考えてる場合じゃない!

「ちょ、ちょっと待て!」

危うく現?逃避するとこだった。俺はそんな話一度も?いたことが無いぞ。そ、そんな、遠坂と俺の子供なんて……
俺は話が手?れになる前に、大慌てて二人の話に割って入った。

「遠坂! そ、そういう事をだな、勝手に決めるな!」

だが、勢い?んで割り?んだ途端、俺はそれまで和???とお?りしていた女の子二人に、凄まじい視線で?みつけられてしまった。

「なに? 士?子供嫌い? わたしじゃ?目?」

「いや、子供は嫌いじゃないし、遠坂がそう言ってくれるのは嬉しいけど……」

「シロウ、まさかやる事をやっておいて責任逃れをしようなどと……」

「ば、馬鹿! そんなわけないだろ! そ、その……遠坂との間に子供が出?たら、俺はきちんと責任を取る!」

と、ここまで言ってしまって端と?が付いた。
いつの間にか遠坂が、口の端を吊り上げる?に人の?い笑みを浮かべ、俺のことを?しげに見据えて居るのだ。一方セイバ?はセイバ?で、何か臍をかむような恨みがましい視線を俺に向けてたりする。

「よかった。有難う士?。それじゃ、士?分の補給も終わったことだし、後はよろしくね。わたしは夕方まで?るから」

そのまま?に?足げに工房を後にする遠坂さん。後に?った俺とセイバ?は?然とするだけだ。

「……シロウは?に甘い……」

セイバ?さん、散?引っ?き回されて、結局誤魔化されたのはあなたも一?なんですけど?

 


「シロウ、こちらは終わりました」

前庭から窓越しにセイバ?の?が響いてくる。顔を上げると、倫敦には珍しい?空の下ずらりと?んだ洗濯物の列を背にやれやれといった顔でセイバ?が苦笑しながらこちらに向かってくる所だった。

「おう、掃除の方もあらかた片付いたぞ、そろそろ?飯にしよう」

「ああ、その言葉を待っていました」

そろそろ頃合も良い、そう思って?えを返したら、途端にセイバ?の苦笑が零れんばかりに輝く笑みに取って代わった。?に見事な?りっぷりだ。
セイバ?、君もカミングアウトしたんだね……
俺はそんなことを考えながら、掃除機を止め腰を伸ばした。
あの後、暫し?然としていた俺たちだったが、結局どちらともなく苦笑しながら顔を合わせ、この一週間ばかりで溜まった家事を片付ける事になった。
セイバ?が頑張ってくれていたとはいえ、今のセイバ?は前と違って家事以外にも、バイトやら何やらと色?とやらねばならない事が結構ある。最低限の手入れはしてくれていたが、それでも片付けなければならない物や洗濯物はかなり溜まっていたのだ。

「全く、一番散らかすのは?だというのに」

「そういうな、あいつの後始末は俺たちの仕事だろ?」

俺は約束に反して簡?になってしまった?食を作りながら、セイバ?の愚痴に?えた。
誰かが突っ走った時、後ろを支えるのは?った二人の仕事。俺たち三人には、何時とは無しにそんな約束じみたものが出?上がっていたのだ。

「それは判っていますが、甘えるなら甘えるでもう少し上手く甘えて欲しい」

だが、俺の何?か諦?交じりの?えが?に入らなかったのか、セイバ?は?く口を尖らせて恨みがましい視線を向けてきた。
尤も文句の言い?にある通り、セイバ?だってその事は判っている。片付けを始める前にそっと?いた?室で、着替えもせず泥のように眠っていた遠坂の姿。俺たちを散?引っ?き回し、余裕綽?で立ち去った遠坂だったが、?際はこの一週間の施術の繰り返しで本?に精根?き果てていたのだろう。全く、意地っ張りな奴だ。

「まあ、遠坂が甘え下手だってのは確かだがな」

「素直に甘えてくれば良いのです。?が甘えてくれる事自?は良い事と思っています」

そう、確かに遠坂は出?る奴で、なんでもそつなく熟せる優等生だ。だが同時にどうしようもなく危なっかしいところも持っている。
ずっと一人で頑張ってきた弊害だろう、なんでも?りでやろうとしすぎるのだ。まぁ、それについては目の前に居るセイバ?も一?だけど。

「シロウ、それはシロウも一?です」

と、そんな事を話したら、セイバ?は溜息混じりに切り返してきた。そ、そうなのか? 自?は無いんだが……

「なんにせよ、苦?はあるけど遠坂が甘えてくれるのは嬉しいぞ。あいつは頑張りすぎだからな、セイバ?もだけど」

「はいはい、それでは私も精?甘えさせていただきます」

甘える事はともかく、これからは少しだけ一人で突っ走る事は?もうと心に留め、俺は出?上がった?食をセイバ?に差し出した。
セイバ?も多分同じ?持ちなのだろう。自分から甘えるなんて、昔のセイバ?なら例え冗談でも口にしない言葉だ。それが出たって事は、それだけ俺たちはセイバ?から信用されている、好ましく思われているという事だ。それは、とても嬉しい事だった。

「……シロウは?に甘い……」

尤も、それはセイバ?が手渡した?食に?づくまでだった。
やっぱりチ?ズとハムだけのサンドウィッチは拙かったかなぁ……

 


――ただ今??した。おお、相?わらず主と王は仲睦まじいな。

そんな少しばかり?呑な空?の中で?食を取っていると、庭に面した窓から嫌味なぐらい堂?とした物腰の鴉(ランス)が舞い?んで?て、悠然と居間のソファ?に羽を休めた。

「ランス……貴方の目にはこの?子が“仲睦まじい”と映るのですか?」

――いやいや、多少ぎすぎすするくらいは、男女の仲では親愛の?と思いましてな。それより、魔女殿は?

だが、流石は最?の騎士。この程度の嫌味ではびくともしないらしい。

「遠坂なら自分の部屋で?てるが、なんか用事か?」

セイバ?がランスの言葉がわかることや、ランスの泰然自若たる態度がちょっと羨ましかったりする事は取り合えず置いておいて、俺は珍しく遠坂を探すランスに問いかけた。
こいつと遠坂は些か相性が?い。寄ると?ると口喧?をしているような?がする。まぁルヴィア?と遠坂の例を見るまでもなく、別に嫌い合ってるってわけじゃないようだけど。

――ふむ、?はルヴィアゼリッタ?からの?け物があるのだ。

ああ、思い出した。先週だったか、遠坂の奴にランスを借りるからって言われたな。って、もしかして今までずっと借りられっぱなしだったのか?

――如何にも、いや魔女殿は人使いが荒い。

そのことを尋ねると、ランスはいかにもやれやれと言った口調で?緯を話してくれた。俺も忙しさにかまけてすっかり忘れてたけど、道理でこの所ランスの姿を見かけなかったわけだ。
なんでもこの一週間、二人が一?で居るときを除いて、殆ど四六時中ルヴィア?と遠坂の間の連絡使(ク?リエ)として飛び回らされていたそうだ。全く、?が付かなかった俺も?いけど、人の使い魔をそこまでこき使うか? 流石にこれは、一本釘を刺しとかなきゃいけないなぁ。

「それでシロウ。どうしますか?」

「どうしますって、これは一?がつんとだな……」

「いえ、ルヴィアゼリッタからの?け物です。?を起こしてきましょうか?」

「あ、ええと……」

ああ、そうだった。遠坂は?てたんだ。そのことに?が付くと同時に、俺の?裏にさっき?いた?室の?子が思い浮かんだ。あの完璧主義者の遠坂が、着替えもせずに泥のようにベッドに倒れこんでいた。
あいつの事だ、もし一人なら無理してでもきちんと着替えて、それから眠りに付いただろう。それが、あんなに無防備に……

「いや、それはまだ良いだろう。取敢えずルヴィアさんからの?け物は工房に置いておいて、遠坂が起きて?たら一?がつんと言ってやるぞ」

うん、これで良い。?分と頑張ってたみたいだし、今起こしちゃ可哀相だしな。文句は文句、これはこれだ。

「……なにさ?」

そうと決まればと早速と、俺はランスからルヴィア?からの?け物を受け取ろうと手を伸ばしたのだが、ランスは頭を伏せて全身を震わせているし、セイバ?はセイバ?でこめかみを抑えて溜息をついている。

―― ……いやいや……主よ、流石に主だ。

「……やっぱり、シロウは?に甘い」

そ、そうかなぁ……

 


――主よ、ここはやはり一?がつんと言ったほうが良いぞ。

散?二人に笑われたり拗ねられたりした?句、漸くランスから?け物を受け取った俺は、そいつを遠坂の工房に納めようと扉を開けた。
で、扉を開けた直後のランスの科白がこれだ。?際俺も一瞬、今すぐ遠坂を叩き起こして一?どやしつける誘惑に?られた。

―― これは魔女のばあさんの呪いか何かかな?

「一時間ほどでどうしてここまで……」

「遠坂ぁぁぁっ!」

いっそ見事だと頭を振るランスに、がっくりと膝を付くセイバ?。そして部屋の??に思わず?を上げていた俺。そこは正に地獄の釜の底といった?態だった。
いつもだってお世?にも整理されているとは言いがたい遠坂の工房だったが、今日は事の外酷い。扉から中央にある作業台に?く細い通路を除いて、床一面に一?今まで何?に仕舞ってあったんだってほどの量の魔具や素材が、思いっきり引っくり返されているのだ。どう考えても工房にあった棚や櫃に?まりそうに無い量だ。まぁ勿論、ここにある棚や櫃は見かけ通りの容量じゃないから、きちんと片付ければ?まるのだろうが……

――して主。如何する?

「……片付ける。お前も手?え」

俺はセイバ?の抗議?悟で、腹に力を入れなおしランスに?えた。無論、後で遠坂にはしっかりと話をつけるつもりだが、遠坂の後片付けが俺たちの仕事だって思いは?っていない。それに何より、今遠坂を起こしても、この??の片付けには何の意味も無い。むしろ邪魔だったりする。

「?は片付けに不自由な人ですから……」

が、案に相違してセイバ?は、がっくりと肩を落としポツリと一言だけ?いただけで、苦笑しながらも俺同?よしとばかりに立ち上がってきた。

「その、良いのかセイバ?」

俺としては、また“シロウは?に甘い”と?みつけられる事くらい?悟していたので、こいつにはちょっと拍子?けする思いだ。

「仕方ありません。?とて好きで散らかしたわけではないと思います。それだけぎりぎりの施術であったのでしょう」

尤も、そんな思いもセイバ?の?恥ずかしげに漏らした一言で、すっかり氷解していた。

――?に甘いのは私も一?ですから。

俺はそんな?きに苦笑しながら、セイバ?と共に工房の後片付けを始める事にした。結局、俺たちは?ってあいつに甘かったって事らしい。

「よし、それじゃとっとと片付けちまおう」

「はい、シロウ」

尤も、これが終ったあと遠坂にたっぷりと??食らわせてやろうってのも、俺たち共通の思いだってのは言うまでも無かった。

 


「シロウ、これは?」

「ええと……そいつは?がってるっぽいな。一旦置いておいて、その先の道具を一山持ってきてくれ。そっちはこの櫃に?まるはずだから」

こうして遠坂の工房の片づけを始めた俺たちだったが、作業はかなり難航していた。
なにせ、ここは一流の魔術師の工房。如何に弟子(おれ)と使い魔(セイバ?)だからって全部が全部判るわけじゃない。しかも無造作に置かれた道具類が管(パイプ)や魔術線(パス)であちこちに?がったままだったりする。そんなわけで、俺たちとしては如何にも危なっかしそうな物には手を?れず、判る物だけを整理する事になったのだ。

「……こんな物かな?」

「余り片付きませんでしたね」

それでも何とか、中央の作業台周りを?して片付け終わったのだが、そこかしこに未着手(アンタッチャブル)の道具類を?して、?食いの整理にならざるを得なかった。

「まぁ仕方ないさ、とっとと終わらせちまおう。セイバ?、足元に?を付けてな」

「はい、シロウも?をつけてください」

ともかく手を動かさなければ始まらない。
俺たちは、他の場所同?にいまだ?がったままの機材を巧みに避けながら、この工房最後の秘境、魔術書や?物の密林と化した作業台を、文明の光を以って開拓に挑んだ。

「うわぁ……」

艱難辛苦の末、何とか遠坂が作業していた?りの?掘を終えた俺は、眼前に展開された光景に思わず感嘆の?を上げてしまった。
遠坂が精根?き果てるはずだ。工房中の道具や魔具を引っ張り出しての施術だって、これなら納得できる。出?れば、もう少し段取り良くやってもらいたかったけどな……

「どうしたのですか? シロウ」

などと感心していたら、手が止まっていますよと?い叱責の?った視線のセイバ?が、足元の障害物をひょいひょい避けながら俺の傍らまで進んできた。

「すまん、セイバ?。ちょっとな。こいつを見てくれよ」

俺はそんなセイバ?を手招きし、作業台の一角で大量のフラスコが危なっかしく積み重ねられている?りを見るようにと促した。

「こちらですか? ……! シロウ、これはまさか……」

そこにあるのは、小さなビロ?ドの台に置かれた一見何の?哲も無い乳白色の?玉。だが、その周?の?石屑や拳二つほどの長さの柄を目にすると、セイバ?の顔色が?った。

「そう、そのまさかだ」

そいつは紛れもなく、嘗て俺が投影した?石?(ゼルレッチ)の成れの果てだった。遠坂の奴、模造品(フェイク)とはいえ魔法の設計?を分解しやがったのだ。

「思い切ったことをする物ですね……」

「ああ、遠坂がぶっ倒れるわけだ」

俺たちは改めて工房を、作業台を見渡して溜息を付いた。案の定、工房中の魔具や道具は?てこの一角に?がれている。

「多分こいつを使ったんだろうな」

感嘆しているセイバ?に、俺は更に周?のフラスコを示しながら話を?けた。

「これは……先ほどシロウが扱っていたフラスコに似ていますね?」

「ああ、理屈は同じだ。万物融化?(アルカヘスト)。それの加工溶液だ」

?石?の設計?と言っても、俺の作った模造品は外側だけの伽藍堂だ。つまり材質や構成はともかく、魔術的には?念の?っていないただの品物に過ぎなかった。
勿論、如何に遠坂といえども、魔法の?念を再構築して模造品を本物になんてできるわけが無い。だから遠坂は各種の万物融化?(アルカヘスト)の溶液を?使し、一旦?石?そのものを溶解して、その?念構造を分析添付することで、模造品の素材部分から限りなく本物に近い品を“削りだ”(再 構 築)してのけたのだ。

「で、多分こいつがルヴィアさんの分だな」

更に俺は、さっきランスから受け取った小さな皮袋を、遠坂の?玉の脇に置いて?げて見せた。中に入っていたのは色とりどりの六つの?玉。恐らく何かの術式で模造品を二つに分け、分?して再構成したのだろう。

「つまり、二人はついに魔法に挑むのですか?」

「そこまでは判らないけど、それに近い事を企んでるだろうな。こいつらはもう?物じゃない」

模造品とはいえ、魔法?から削りだした純度の高い構成物。?にこいつらは俺が創った模造品とは全く別のものに?っていた。今まで遠坂とルヴィア?がやってきたことを考えれば、また一?魔法に近づく試みである事は確かだろう。

「ま、詳しい事は遠坂が起きてから聞くとして、整理の方を片付けちまおう」

「はい、シロウ」

遠坂やルヴィア?からこいつの話を聞くのはそれから。俺はそう思い、?玉の周?にシャンペンタワ?のように不安定な?態に置かれたフラスコの群に視線を移した。

「あ……」

途端俺の視線は、幾重にも積み重ねられたフラスコ群の一角に釘付けになってしまった。
丁度中央?り。そろそろ魔力が切れかけているのだろうか、底に描かれた魔法陣が点滅しているそのフラスコには……

「あ、あの馬鹿ぁ!!」

虹色に輝く万物融化?(アルカヘスト)の原液がふらつきながら浮いていたのだ。

「と、とと――同調、開始(トレ?ス?オン)!」

だが、頭を抱えている暇は無い。俺は慌ててそのフラスコに飛びつくと、大急ぎで魔術回路を開いて魔法陣へと魔力を流し?んだ。

「……ふう……」

何とか間に合ったようだ。輝きを取り?した魔法陣を確認し、俺はほっと息をついた。大丈夫、フラスコの中央に浮かぶ液球も、ふらつきを止め安定していく。
危なかった。なにせこいつは“?てを溶かす”んだ、?然フラスコの底なんてあっという間に?けてしまう。しかも回りは?念溶液の詰まったフラスコだらけ。次?に突き?け、混ざり合った?念がどんな結果を生み出すかなんて……考えるだけで恐ろしくなる。
しかし、これでまた遠坂へのお小言の種が?えた。あいつ、原液の保存?理しないで?やがったな。

「シロウ!」

「え? あっ……」

だが、ほっとしたのもつかの間。俺はセイバ?の?で再び絶句してしまった。
先ほどまで微妙なバランスで積み重なっていたフラスコの群が、今にも崩れそうに?れているのだ。
しまった……今度は俺のドジだ。そりゃシャンペンタワ?から無造作に?ん中のグラス?いたら崩れるよなぁ……

「セ、セイバ?!」

「はい!」

?けてる場合じゃなかった。はっと?が付いた俺の叫びに、セイバ?は?座に?えてくれる。素早く作業台に?け上がりフラスコを……っと、拙い。

「あ、?石踏むなよ!」

「判っています!」

踏み?んだ足先を素早くずらし、セイバ?は何とか崩れかけたフラスコの塔を取り押さえてくれた。……のだが。

「シロウ、動かないでください」

?手を?げ、しっかりとフラスコの塔を押さえ?んだ英?の?足は、文字通り俺の?肩にかかっていた……

「わ、判った……」

とはいえ?ったな。これじゃ身動きが取れない。

――おお、相?わらず主と王は仲睦まじいな。

どうしたものかと頭を抱えていたところに、嫌味なぐらい堂?とした物腰の鴉が、悠然と作業台の上に舞い降りてきた。

「ランス……お前の目にはこれが“仲睦まじい”って見えるのか?」

ランスの奴だ。何時にも?して落ち着き?ったこの態度が無性に腹が立つ。

――いやなに、ちょっとした妬みだ。主は我(わたし)より先に王を呼んだのでな。

「あ……その、?かった」

そう言われると面目ない。俺はランスに素直に謝った。確か現役を差し置いて前任者に?をかけられたら、やっぱり?分が良いもんじゃないだろう。

――ああ、主よ。我(わたし)も大人?なかった。

良かった。ランスもわかってくれた。これで一件……

「シロウ! ランス! 遊んでいる場合ではありません、この?況を!」

落着するわきゃなかった。俺はセイバ?の怒?で我に返り、大急ぎでランスに指示を飛ばした。

「そ、そうだ。ランス、遠坂を……」

――それなら心配無用。

だが、鴉になっても流石は完璧の騎士。俺がセイバ?に向かって叫んだのとほぼ同時に、ランスは遠坂を起こしに行ってくれていたと言う。

――見られよ主よ、魔女殿がやってきた。

「……もう、なによぉ。いきなり……」

と、そこに早速、遠坂の奴が工房の?口に姿を現した。やれやれ助かった、ナイスだランス。

「ああ、?……っ!」

「遠坂、良く?てくれた、?は……っ!」

だが、俺とセイバ?はふらふらと?み寄ってくる遠坂の姿に、言葉を失ってしまった。

「あ、セイバ?、シロウ? なんか面白そうな事してる……」

とろんとした目つき、危なっかしい足元。遠坂……お前まだ?ぼけてるな……

「わたしも混ぜなさい」

ああ。
俺はいっそ感心した。?ぼけていても遠坂は遠坂だ。「混ぜて」じゃなく「混ぜなさい」。こんな時でも、口から出るのは命令形だ。

「……おはよ、しろう」

だが、そんな現?逃避も、遠坂がにっこりと笑いながら俺の胸に思いっきり?重を掛けて飛び?んできた途端、ものの見事に吹き飛ばされていた。

「と、遠坂!」

「シ、シロウ!」

肩にセイバ?、手にフラスコ、そして胸に遠坂。僅かに?秒。それが限界だった。ああ、切嗣(おやじ)すまない。俺は、たった二人の女の子さえ支えきれなかった。

「きゃ!」

「ぐっ! セイバ?!」

「は、はい!」

ついに崩れた俺たちの人間ピラミッド。だが、それでも諦めるわけにはいかない。俺は?ぼけた遠坂を何とか?腕で抱きかかえて庇いながら、最後の希望をセイバ?に託した。

―― 速!――

次の瞬間?い閃光が走った。
作業台に押し倒されしたたか背中を打った俺だったが、一瞬だけ今の?況を忘れセイバ?の姿に見惚れてしまった。
バランスを崩した時、どうやらただずり落ちるのではなく、あえて俺の肩を蹴り上げて自分の望む軌道を描くように調整したらしい。崩れるフラスコを次?と?い上げ胸に抱きかかえて行くセイバ?。よし、これなら何とか無事に切り?けられそうだ。

「シ、シロウ! フラスコを!」

なんとかなる、そう思ってほっと息をつこうとしたところで、セイバ?が目を見開いて俺に向かって叫び?を上げた。
フラスコ? それなら今セイバ?が最後の一個を……

「あ……」

不思議に思い、倒れたまま首を曲げてセイバ?に視線を送って?が付いた。
?っ飛びするセイバ?と、遠坂を胸に抱きかかえて倒れながら見上げるような形になった俺の丁度中間?り。そう、作業台の上、例の?玉の?上?りだ。

―― ?……

くるくると回?しながら落ちていく一?のフラスコが、まるでスロ?モ?ションのように俺の瞳に映っていた。
しまった、遠坂を抱き抱えた時に、手に持ったフラスコ放り投げちまってた!
それでも、まだまだ間に合う。俺とセイバ?は、同時にそのフラスコに手を伸ばした。
そう、確かに間に合ったはずだ。
もし、フラスコが回?せずに落ちていたら十分間に合ったろう。或いはフラスコの中身があんな物でなかったら……

―― 零……

だが、フラスコは回?していた。そしてフラスコの中身は、万物融化?(アルカヘスト)の原液って言う碌でもない液?だった。
底に描かれた重力呪によって固定されていた液球は、回?の遠心力により振り回され、呪を振りほどいてそのままフラスコの側面を溶かし、作業台に置かれた?玉に向かって弧を描いていく。

「つぅ!」

「くっ!」

更に万物融化?(アルカヘスト)は、俺とセイバ?が伸ばした手をも融過し軌道の終着点、?玉に吸い?まれて行った。

―― ?!――

そして閃光。
融過した液に?玉が?れるのと、そこに俺とセイバ?の伸ばした掌が被さっていくのとほぼ同時に、俺とセイバ?の掌を透くように七色の閃光が立ち上り、瞬く間に工房全?を包み?んで行った。


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大?長らくお待たせしました。Fate/In Britainの新作です。
魔法に挑む遠坂さんと、それを支える士?くんとセイバ?さん。
とはいえ、魔法に挑むって大仕事に挑んでいる割には、遠坂さんはいつもどおりのだだ漏れっぷりのようです。シロウとセイバ?苦?しています。
その苦?が報われるか否か、後編をお?しみください。
「多重次元屈折現象(キシュア?ゼルレッチ)」という物がある。
遠坂の家における魔術師としての祖にして、魔法使いたるキシュア?ゼルレッチ?シュバインオ?グ師。こいつは、この魔法使いが使う第二魔法――無限に列なる?行世界を自由に制御する則――の一形態で、これまた遠坂の家に宿題として?えられた課題、?石?によって制御しうる魔法なのだと言う。
ちなみにこの魔法の前提になっている「平行世界」。俺たちの世界とほぼ同一で、ほんの少しだけ選んだ選?肢が違っていた世界ってのは、合わせ鏡のように無窮に存在しているらしい。
つまり、「多重次元屈折現象」と言うのは、今現在俺たちが生きている「この世界」と殆ど?り無い他の「隣の世界」との間に穴を開け、そっちの物を勝手に使ってしまえる則の事なのだそうだ。

尤も、遠坂やルヴィア?をしても、そんなことをそう簡?に出?るわけじゃない。
それでも何とか「隣の世界」を?く事くらいまでは行きたいと必死で頑張って、漸くその?口まではたどり着いたといったところらしい。
そして遠坂たちは今回、その?口から一?中へと踏み?む施術を行う……?だった。

“?だった”と言うのは。それがちょっとした手違いで、違った結末に向かってしまったからだ。

 

 

 


おうさまのけん 
「?の王」 -King Aruthoria- 第九話 後編
Saber 

 

 

 

「シロウ! ?! 無事ですか!?」

どのくらい意識を失っていただろう。俺の目を?ましたのは、そんなセイバ?の?だった。

「ああ、なんとか……つっ!」

立ち上がろう手を付いた所で掌に痛みが走る。慌てて引き?してみるとそこには綺麗な孔になった傷と血まみれの?玉。どうやら無意識のうちに?み取っていたようだ。

「あたたたた……もう、なんだったの?」

僅かに?れて、俺の腕の中で遠坂も身じろぎを始めた。今度は?とぼけてはいないらしく、少しばかり不機嫌な目つきではあったが、俺に向かってはっきりとした?い視線を送ってくる。

「いや、俺にもさっぱり。セイバ?、あれからどうなったんだ?」

とはいえ、俺も意識を失っていたもんでさっぱりわからない。俺は改めて身を起こし、遠坂を床に下ろしながらセイバ?に尋ねてみた。

「あれからも何も、一瞬だけおかしな光に包まれただけで。私にもさっぱり……」

だが、セイバ?も首を傾げるだけだ。そう言われて改めて見渡すと、確かに、別に?った?子は見られない。?わったところと言えば、恐らくセイバ?が立ち上がるときに片付けたのだろう、作業台の上にフラスコの列がきちんと?んでいる事くらいだ。

「あれ?」

いや、それだけかな? なんか工房全?が妙に小ざっぱりして無いか?

「ああもう、いきなり叩き起こしといて何の?ぎ? きっちり?明して欲しいわね」

だが、そう思ってもう一度見渡そうとしたところで、遠坂に首を引っつかまれ、?正面から?みつけられてしまった。まぁ言いたい事はわかるが、こればっかりは聞き捨てなら無い。

「?……」

「ちょっと待て、遠坂」

幸い?害はなかったようだけど、こうなったのは誰のせいですか?
俺とセイバ?は視線にそんな思いを?め、逆に遠坂を?み返してやった。

「な、なによ……」

「なによ、じゃないだろ?」

「そ、そりゃあ、工房を散らかしっぱなしだった事とか、ランスを?って借り?けてた事は?かったと思ってるわよ……」

ほほう、そっちについては確信犯、いや故意犯だったってわけか。

「それはいい」

そう、それについては俺もセイバ?も決着が付いている。

「ランスの事は俺が放っておいたのもいけないし、工房の後片付けも、この通りほぼ終わった。その後の事だ」

俺は綺麗に整頓された工房?を指し示しながら、もう一度遠坂の顔を?き?んだ。

「へ?」

だが、遠坂はきょとんとした顔で、俺とセイバ?の顔を交互に見つめるだけだ。そうかそうか、お前?えてないんだな……

「?、それよりもこの工房に入ってきた時からの事を思い出して頂きたい」

「えっと、それってランスの奴に起こされてからって事?」

「そうだ」

「ええと……」

暫くはてなマ?クを浮かべて、可愛らしく小首をかしげていた遠坂だったが、俺とセイバ?の無言の?力に、流石に少しばかり??されたらしく、指折り?えながら自分の行動を反芻しだした。

「あいつに起こされて……ここに?たら、士?とセイバ?がなんか人間ピラミッドみたいなことしてて、面白そうだなって……あっ!」

ここで漸く思い出したようだ。遠坂はしまったとばかりに手を口に?て、作業台のフラスコ、セイバ?の顔、俺の顔と順番に視線を彷徨わせ出した。

「えっと……もしかして……わたしのせい?」

「そうだ!」
「そうです!」

「ご、ごめん」

頭を抱えて謝る遠坂を、俺たちは暫くの間?み据え?けてやった。

 


「とにかくごめん。わたしの不注意だったわ」

「まぁ、?起きだったしな」

とはいえ、深?と頭を下げる遠坂を前に、俺もセイバ?も何時までも?んでいるわけには行かなかった。迷惑をかけたら素直に謝る、失敗したら反省する。これもまた俺たちの間での約束だった。

「ところで、士?。さっきの光だけど、なんだったのかしら?」

「遠坂、そっちは俺たちが謝らなきゃならない」

となれば今度はこっちの番だ。俺はランスがルヴィア?からの?け物を持ってきたところから、工房の片付け、フラスコの崖崩れ、そして最後に取りこぼしたフラスコから零れ落ちた万物融化?(アルカヘスト)が、あの?玉に降りかかった事までを遠坂に?明した。

「そ……それじゃ、わたしの石は?」

「それならここにある。取敢えず無事っぽいけど……」

流石に、話の最後の頃には遠坂の顔色が?っていた。だから俺は、少しでも安心させようと掌に?まっていた?玉を手渡した。

「士?……」

だが遠坂は石を持ったまま、安心どころか今度は不安そうな顔になって俺の顔を見詰めてくる。はて?

「怪我したの?」

「え? ああ言ったろ、液を受けようとしたんだけど溶かされちまったんだ」

どうやら俺の怪我を心配してくれたようだ。大?有難いのだが、それでも結局あんな事になってしまっただけに、どうにも後ろめたい。

「そっか、だから原液じゃなくなって……。有難う士?。石は無事みたい」

遠坂はそう言うと、ハンケチを取り出して俺の掌を縛りながら治癒の呪まで掛けてくれる。なんか、こう……凄くこそばゆい。

「いや、感謝される謂れは無いぞ。それどころか謝らなきゃいけないくらいだ。俺がしっかりフラスコを持ってれば、端っからこんな事にはならなかった」

「でも、それってわたしが抱きついたからでしょ? やっぱりわたしのせいよ」

「それはさっき決着付いたろ? 俺の仕挫りだ」

「士?は頑固ね……」

「……遠坂だって同じだろ?」

お互い一?も?らず、ついに?み合うようになってしまった俺と遠坂。が、次の瞬間お互いに噴き出していた。

「馬鹿みたい、お互い?って事にしましょ」

「だな、何やってたんだろう?」

本?に馬鹿みたいだ。俺たちはひとしきり笑いあった後、何時しか肩を寄せ合って見詰め合っていた。

「士?、?……」

と、ここでセイバ?の?が割ってはいってきた。し、しまった!

「セ、セイバ?。忘れてたわけじゃないぞ!」

「そ、そうよ。別にじゃれあってたわけでもないのよ?」

慌ててセイバ?に向き直って必死に弁解する俺と遠坂。

「いえ、そうではないのです」

だがセイバ?は俺たちのそんな?子を一?みこそしたものの、一つ咳?いしただけで?摯な表情に?ると、作業台の一角を指し示した。

「……え?」

「……へ?」

なんだろう? セイバ?の指先に誘われるように視線を移した俺たちは、途端、言葉を失って顔を見合わせてしまった。

「それでは、あれは一?何なのでしょう?」

俺同?に、万物融化?(アルカヘスト)に透化されて血塗られたセイバ?の指先が指し示した場所、些か血で汚れたビロ?ドの台の上には、紛れもなく俺が手に取った物と同じ乳白色の?玉が置いてあったのだから。

 

 

「どうだった? 遠坂」

余りに予想外の出?事に、暫く?然と面付き合わせていた俺たちだったが、何時までもそんな事はしていられない。とにかく、一?どうなっているのか、遠坂が早速調べる事になった。

「それが、ちょっと不思議なの。?方とも本物っぽいのよ、少しだけ違うんだけど……」

だが結果は、ほぼ同一と言う、益?分けのわらない物だった。
尤も、石そのものが若干?化した事は不思議で無いと言う。確かに、俺とセイバ?の混ざった?念溶液を浴びて、あんな光を?したのだ、元のままと言う方がおかしいだろう。
なんでも、最初は俺の血を溶かした溶液を被った事で、一種の投影じみた複製が作られたのかとも思ったらしいのだが、それなら全く同じになるはずなので、その??は除外って事になったらしい。
それにまあ、武器でないしかも??の?物をここまで完璧に複製なんて、俺にだって出?はしない。

「しかし、では何故このようなことが?」

「やっぱり、溶液を被った事で何らかの反?が起こったと思う。ちょっと本格的に調べてみるわ」

そう言うと、遠坂は立ち上がって本格的な?査のために、そこいら中の道具を引っ?き回しだした。

「ちょっと待て、遠坂」

「何が欲しいか言って頂ければ、私達が用意します」

このままじゃ、またさっきの二の舞だ。俺とセイバ?は、遠坂を押し止めようと慌てて立ち上がった。

――主よ。

と、後ろから遠坂を羽交い絞めしたところで、工房の入り口から怪訝そうな表情のランスが飛び?んできた。

「なんだランス。今ちょっと取り?んでるんだが」

――?は些か?にかかることがあってな、?て欲しい。

「?は今、遠坂の破?活動を阻止しているとこなんだが、後じゃ拙いか?」

――ふむ、では主よ。ちと?りを見渡してもらいたい。おかしいと思わぬか?

ランスの言葉に俺は、破?活動って何よ! と言う遠坂の?を右から左に流しながら、?りを見渡してみる事にした。
ええと……別に?ったところは……あれ?

「工房が……きちんとしすぎています……」

俺同?に、ランスの言葉に?って周りを見渡していたセイバ?が不振そうに?く。そうか、セイバ?もやっぱりそう思うか。

「確かにそうだな。さっき片付けた時は、遠坂が思いっきり出?目に道具を?べてたんでぐちゃぐちゃだったけど……」

「今のここは、まるで士?か私が手?ったかのようにきちんとしています……」

「……整理が不自由で?かったわね……」

取敢えず、遠坂の?言は聞き流してランスにその?りを尋ねてみると、ランスも同じように感じて他の部屋を回ってみていたのだと言う。

「それで、どうだったんだ?」

――?際に見てもらったほうが早かろう。

俺たちは、?もぶつぶつと文句を言っている遠坂を引き摺りながら、ランスの言葉に?い他の部屋を見て廻る事にした。

 


「本?だ、お前の檻が無い」

――それだけではない。我(わたし)の集めた?集物はおろか羽一本落ちておらん。

自分の居た痕跡が無い。ランスにそう聞いて確認のために?った俺の部屋には、確かにランスがいたという?が何一つ?っていなかった。しかも、それは持ち去られたとか消えたとかではない。最初からそんな物は無かったとでも言いたいような?態なのだ。

「遠坂、こっちは?」

「やっぱりランスの食器は無かったわ。それに……セイバ?の食器も」

居間に?って、?房を調べてもらっていた遠坂の答えも一?だ。それどころかこっちにはセイバ?の物さえ…… え?

「……なんだって?」

ちょっと待て! セイバ?のものも無い? 俺は大急ぎで?房に飛び?むと、片っ端から食器棚を開けて回った。
無い、無い、無い、ない、ない、ない……
俺の食器、遠坂の食器、客用の食器、特別な時のための取って置きの食器。そういったものは全部きちんとあるのに、セイバ?とランスの?の品だけが綺麗さっぱり消えてる。
いや、違う。棚はきちんと整理されているし、空いているスペ?スがあるわけでもない。そう、まるで最初からそんな物は無かったかのように……

「一?どう言う事さ!?」

「怒鳴らないで、士?。ちょっと考えてみるから」

思わず怒鳴ってしまった俺を、遠坂の冷?な?が遮る。尤も遠坂も平?ではない。口元に手を?て、何か考え?んでいる表情には、抑えては居るが苦?を?み潰したような苦?が窺える。お蔭で少しだけだが落ち着くことが出?た。そうだな、俺たちが焦ってどうする? この?態で一番不安なのは……

「セイバ??」

と、そこに自分の部屋を確認に行っていたセイバ?も?ってきた。何?か足元が?束無ず、顔だって少し蒼い。ってことは……

「はい……私の部屋は物置になっていました……」

やっぱり……
俺と遠坂は、暫し顔を見合わると互いに?き合った。セイバ?はきっと不安になっている。俺たちが支えないと。

「セイバ?、大丈夫だ。俺たちが何とかする」

「そうよセイバ?。これって間違いなくさっきの事件が原因よ。何としてでも解決して見せるから」

「シロウ? ??」

だが、セイバ?に?け寄った俺たちの言動は、セイバ?が不審に思うほど何?か浮き足立った物だった。
そんなセイバ?の表情で俺たちは我に返った。なにしてるんだ? 俺たちが焦ってどうする? これじゃ却ってセイバ?が不安になっちまう。なんでこんなに……
そう思い遠坂と顔を合わせて?が付いた。何の事は無い。不安なのは俺たちの方だった。セイバ?の痕跡の無いこの部屋を目の?たりにした事で、セイバ?を失う不安に?られていたのだ。
だからだろう、俺たちはその時セイバ?が返してくれた笑顔に、本?に力付けられた。

「私は大丈夫です。シロウ、?、有難う」

「あ、いや……うん、いいんだ別に。ひとまず落ち着こう……そうだ、お茶でも淹れようか」

「そ、そうね、わたしもちょっと調べ物してくる」

それはとても綺麗で、とても優しくて、とても暖かい笑顔だった。

 


「大?判ったわ。まぁ推測だけど」

セイバ?の笑顔で?を取り直し、紅茶を入れて一息ついたところで、工房や自室を引っ?き回していた遠坂が?ってきた。

「早かったな」

「うん、やっぱりちょっと?ぼけてたみたい。落ち着いて考えれば、そう難しいことじゃなかったわ」

とはいえ、紅茶一杯淹れる間に判るなんて、たいした物だと聞いてみたら、遠坂は手に持ったアルバムやら手帳やらを脇に置き、居間のソファ?に腰をおろした。

「それで、一?どういうことだったのでしょう?」

「“ここ”はね、セイバ?の居ない世界なの」

セイバ?から紅茶を受け取りながらの遠坂の何?ない言葉。俺は思わず息を呑んだ。

「ちょっと待て、どういうことなんだ!?」

「落ち着きなさい、士?。“わたし達”のセイバ?が居ないわけじゃないんだから」

だが、勢い?んだ俺は遠坂にぴしゃりと制されてしまった。とうのセイバ?も?しい表情であるが暗さは無い。なんだか予測していたような顔つきだ。

――成程、「多重次元屈折現象」か……

そこに、俺同?セイバ?と遠坂の顔を交互に見据えていたランスの意識が流れ?んできた。

「“多重次元屈折現象”?」

「そう、つまりここはセイバ?のいない、正確に言えばセイバ?の居なくなった?行世界って事ね」

そんなランスの言葉を反芻した俺に、遠坂が良く出?ましたと脇に置いた手帳を手渡してくる。

「なんだ、これ?」

「日記、って言うかメモみたいなものよ。“聖杯??”の時のね」

そう言いながらの遠坂に示された頁には、確かにあの?いの記?が記されていた。ア?チャ?の召喚、衛宮邸での俺やセイバ?との出?い、??の?いとア?チャ?の裏切り、最後の決?。そして勤めを果たしたセイバ?が…… え?

「遠坂、これ……」

「そ、わたし達の記憶と違うわよね」

俺の言葉に、遠坂は更に?きをと視線を落とした俺の手から手帳を?き取ると、パタンと閉じ言葉を?けた。

「ここはセイバ?があの後まで?らずに消えてしまった世界。まぁこの家を見る限り、わたしと士?は倫敦に?てるみたいだし、それ以外は余り?ってないみたいだけど」

更に遠坂は、何故かランスの事を一?みしてから俺たちに視線を?した。

「じゃここは、別の世界だっていうのか? でもどうして?」

「だから、“多重次元屈折現象”よ? 士?、判ってたんじゃないの?」

「あ、いや……その……」

あんた何言ってるの? と眉を?めて迫ってくる遠坂。なんか、こうランスの言葉を鸚鵡返ししただけですって言えない雰??だ……

「成程、つまり?はあの石を使って。?石?を再現しようとしていたのですね?」

そこに今まで?っていたセイバ?が、?きながら割り?んでくれた。

「あぁ、そこまで大事は考えてなかったわ。?石?の類感で、隣の世界を?ければなぁ……って位だったんだけど」

「それが、あの事故でこんな事になっちまったってわけか」

「そっ、そういう事ね」

多分、俺の組成が遠坂の家系として認識され、英?(セイバ?)の組成と化合して世界に穴を穿ち、俺たちをこの世界に放り?んでしまったのではないかと言うのだ。
そこまで聞いて漸く俺も理解できた。
つまり遠坂がやろうとしていた魔法への挑?が、偶然に偶然が重なって全く違った、それでいて一種の魔法じみた現象を起こしてしまったと言う事らしい。

「現?はわかりました。それで、これからどうするのですか?」

「勿論、わたし達の元居た世界に?るわよ」

セイバ?の問いかけに遠坂は明確に?えた。それはそうだろう。第一この世界にだって俺や遠坂は居たはず。俺たちと入れ替わったのか、それとも?に今この時点でここに居ないだけなのか、或いは俺たちに?かれて他の何?かに飛ばされたのか。それはわからないが、何時までもここに居るわけにはいかないってのも事?だ。俺たちはこの世界の異分子だ。何が起こるかわかったもんじゃない。

「その……出?るのか?」

だが、その方法ってのが俺には見?すらつかない。ここに?ちまったって事だって、本?のところ完全に理解しているとは言い切れないところがある。

「やってみなきゃ判らない。でもヒントはあるわ」

尤も、流石に遠坂は俺とは違うらしい。例の二つの?玉を取り出して、徐に解?を始めた。

「この二つね。さっきちょっと削って確かめたんだけど、基本的に同じなんだけど?念構成に少しだけ違いがあったの」

「どんな違いなんだ?」

「うん、ルヴィアから受け取った石あったでしょ? わたし達の??では、わたしの石を基石に、ルヴィアの石を一種のアンテナにしてそれぞれ別の平行世界へのラインを手繰ろうと思ってたの……」

今、この二つの?玉のうち一つには、あの時ルヴィア?から?いた石の中の、とある一つの?念が混在していると言う事らしいのだ。

「恐らくクリ?ンな方はわたし達の世界の石。で、こっちの混じった方はこの世界にあった石でしょうね」

遠坂の推測ではあの?光の瞬間、もろもろの偶然により“多重次元屈折現象”のような現象がおこり、?測のためのラインだけでなくルヴィア?の石の?念までをこっちの世界に飛ばしてしまったのではないかと言う事らしい。

「それが、万物融化?(アルカヘスト)の影響でこっちの基石に融合しちゃって、基石同士の共鳴で穴が?がってわたし達ごとこっちに飛ばされたんだと思うの」

「それで、どうやって?るんだ?」

「類感の逆用を使おうと思うわ」

俺たちがこっちに?た理由はわかった。だが、俺には?り方の方はさっぱり見?が付かないと尋ねてみたら。遠坂は混ざっていると言ったほうの?玉を指し示して?明を?けた。

「こいつはこっちの世界の石に、わたし達の世界の石が混じった?態よね? つまり石は今の私たちの?態そのものなの」

俺たちが今この世界で安定しているのは、この石に類感しているからだと遠坂は類推したのだ。

「成程、じゃそっからルヴィアさんの石の?念を?けば……」

「そ、私たちの存在はこの世界で不安定になる。で、それをこっちのわたしたちの世界の石に溶け?ませれば……」

「類感の作用で元の世界に放り出されるってわけか」

「そういう事。勿論、平行世界移動なんてとんでもない事しようってんだから、補助のための施術はがっちり固めなきゃいけないけど」

それはそうだろう、ただ理屈だけで魔法に?くなら世話は無い。俺は遠坂の顔をもう一度?正面から見据えなおした。

「出?るのか?」

「理屈だけだったら躊躇したでしょうね」

そんな俺の疑問に、僅かに肩を?めて苦笑して見せた遠坂だったが、次の瞬間その瞳に自信をみなぎらせて言い切りやがった。

「でも、偶然とはいえ?際にわたし達はこうやって平行世界移動をした。?績がある以上、一度穴が開いた以上わたしはやり遂げて見せるわ」

見事な物だ。一?の躊躇も無い。だとすれば俺のやる事は一つだ。俺は俺同?に遠坂をじっと見据えていたセイバ?と?きあった。

「?がやるというならば否はありません」

「ああ、何でも言ってくれ。俺たちに手助けできることなら何でもやるぞ」

「有難う。士?、セイバ?」

こうして俺たちは自分たちの世界に、セイバ?がちゃんといる世界に?る?に、魔法と言うとんでもない事業に挑む事になった。

 


「遠坂、万物融化?(アルカヘスト)できたぞ」

「?、私の方はいつでも」

「うん、わたしの方も準備完了。それじゃ始めるわよ」

俺たちはそれから、工房中の機材や道具を?動員して、大車輪で施術の準備を整えた。
何せここは別世界、結局は他人の物ってことで、俺としてはこうした道具類を勝手に使うのは少しばかり抵抗があったのだが、遠坂に言わせるとわたしの物をわたしが使って何が?いって事らしい。なんだか詭弁くさくもあるが、背に腹は?えられない。許せ、この世界の遠坂。

「――――Anfang(セット)」

そして施術が始まった。
術の規模そのものはそう大きくない。基本は、遠坂とルヴィア?が行おうとしていた施術に、俺とセイバ?の血を溶かして作った万物融化?(アルカヘスト)の?念溶液を加える事で再構成したもので、術に必要な陣や構成そのものは、元?石に刻み付けてあるのだそうだ。
考えてみれば、俺たちがここに飛ばされた事件自?、そういった準備があったからこそ起こったことなのだろう。

「――Einmal kehren wir heim.(ただ  一度  ?らん)――Doch anders wird niemals Ein Ziel erreicht.(今はただ  其れだけを  求めん)」

遠坂の呪が進む。まずは基石からのルヴィア?の石の?念分離だ。
俺とセイバ?が息を詰めて見守る中、遠坂は?手に持ったフラスコから、基石に向かって?かに俺とセイバ?の?念溶液を、滴らせていく。

「え?」

その瞬間、遠坂の奴がいきなり呪を止めて素っ頓狂な?を上げた。

―― ?!――

同時にあの時と同じ虹色の閃光が立ち上る。ちょ、ちょっと待て! こんな事は予定に無いぞ!

「遠坂!」

「?!」

慌てて遠坂に?け寄った時には、俺たち全員、再びあの閃光に包まれてしまっていた。

 


「?! シロウ!」

「俺は無事だ。遠坂!?」

閃光は一瞬。今度は俺も意識を失わなかった。

「……」

遠坂も無事のようだ。ただ?けたような顔で突っ立っている?り、今の事態が完全に予想外の出?事だって事が窺える。これは拙い。俺は遠坂の肩を?み思いっきり怒鳴りつけた。

「しっかりしろ! 遠坂!」

「……え? ……あ……うん」

俺の怒?で漸く我に返った遠坂の顔が、見る見る蒼くなっていく。

「な、なんだったのよ……今の……」

「おかしな事が起こっちまったってのは確かだ。とにかく、何が起こったかしっかり確かめよう」

「そ、そうね。?けてる場合じゃなかった」

やっぱりこいつは不意打ちにはめっぽう弱い。だが、同時に切り替えの早さも遠坂の長所だ。こうして一時だけでも支えてやれば、すぐに立ち直ってくれる。

「シロウ、?」

――主よ。

と、そこにセイバ?とランスの微かに緊張した?が響いて?た。

「どうした……え?」

それで?が付いた。
今、俺たちのいるのは遠坂の工房のはずなのだが、それが妙に?いのだ。

「ちょっと見てくる」

どうやら、俺たちはまた別の世界に飛ばされてしまったようだ。少なくともさっきの世界や、俺たちの世界じゃない。俺は早足で工房を後にし、家の中を確認して廻った。

「シロウ、どうでした?」

「……やっぱり、ここはうちじゃない」

セイバ?の心配そうな?に迎えられ、工房に?ってきた俺の顔は少しばかり蒼かったと思う。ここは確かに倫敦ではあるようだったが、俺たちの“遠坂邸(うち)”ではなかった。
多分、俺たちの住んでいた物と同じアパ?トメントだとは思う。だが、部屋?も全?のスペ?スもせいぜい半分と言ったところだ。更に言えば、どう見てもここには一人しか住んでいなかった。

「ごめん士?。わたし勘違いしてた。これ見て」

そこに遠坂が、?しい表情で?み寄ってきた。手には例の?玉。俺はそれを、ただ促されるままに受け取っていた。

?士?にも判ると思うけど、赤い反射がさっきのルヴィアの石の痕跡ね。それに蒼い反射が加わってるでしょ?」

確かに、乳白色だったその石には、微かな赤い?反射と蒼い?反射が加わり、何?か神秘的な色合いをかもし出していた。

「多分、これがわたしたちの世界の、士?が持ってた方の石ね。わたしの推測は間違ってた。ラインを?って?移してたのはルヴィアの石じゃなくわたしの方の石だったみたい。それだけじゃないわ」

遠坂は?明しながら、工房の隅にある小さな窓に向かうと徐に窓を引き開けた。

「?、これは……」

――ほほう……

俺と同?に、遠坂の?明を聞いていたセイバ?達が驚愕の?を上げた。
それはそうだろう、そこには文字通りの?空。漆?のまさに“何も無い”?態が?がっていたのだ。

「世界と世界の?間よ。この部屋自?一つの世界となって、そこにぽっかり浮いてるってわけ」

遠坂は?重に窓を閉め、俺たちに向き直った。さっきまでの?空は消え、窓に映る風景はいつもの人や車が行きかう倫敦の街に?っていた。

「固有結界ですね……」

「そう、士?の力ね。恐らく士?の?念から構築したんだと思うわ」

それを確認するようなセイバ?の?きに、遠坂が?いた。

「さっきは外まで確認しなかったから?づかなかったけど、恐らくわたし達は純?に平行世界を移動したんじゃないわね。士?やセイバ?の?念に共鳴する平行世界の影を世界の?間に投影し、同じように士?の結界能力を抽出して泡沫世界を構築。そこにわたしたちを送り?んでた。そういうことだと思うわ」

「それでは、?。その石そのものが」

「そう、どんな偶然か知らないけど、この石自身がこんな魔法じみた現象を引き起こせる遺物(ア?ティフィクト)になっちゃってるって事」

恐らく、素材として?際に魔法を行使できるであろう?石?の設計?を使ったことが一番の原因だろうと、遠坂は難しい表情で付け加えた。

「では、それを使えば元の世界に?れるのですか?」

「完成すればね。?念だけどこれはまだ未完成。後四つ、?間に浮かんでる世界の種を拾い集めなきゃ?目みたい」

遠坂はそこまで言うと、腕を組み?しい表情で?空を?んだ。つまり、後四回。こういった世界に行かなければいけないって事らしい。俺は正直怖?を奮った。勿論、あの不可思議な移動が怖いわけじゃない。そこで見るものが怖かったのだ。

「じゃ、早速施術に入るわよ。ここにいたって始まらないんだから。って……士?、どうしたの?」

ここで漸く遠坂が俺の異常に?がついた。セイバ?も心配そうに俺の顔を?き?んでくる。そしてランスは……ああ、こいつは?が付いたか。?しい表情で俺の顔を?んでやがる……

「なぁ、遠坂。この世界……っていうか本物のこの世界ってのは?際にあるんだな?」

「そういう事だけど。なに?」

俺の唐突な質問に、遠坂は訝しげに眉を?める。俺は一瞬だけ躊躇したが、それでも手に持った??立てを遠坂に手渡した。

「ああ、ここは遠坂しか倫敦に?なかった世界って事らしい」

「この工房見たときからそれくらい、見?ついて……っ!」

何を言っているの? と益?不審そうな顔で??立てを受け取った遠坂だったが、その??立てに視線を移した途端、表情が一?した。

「……そっか、ここだったのね」

?しく結んだ口元、何?か寂しげな目元、それで居て微かに嬉しげな?かしげな?顔。一瞬、俺はそれを遠坂に見せたことを後悔した。
何の?哲も無いはずの??。今より少しだけ成長した俺と遠坂が?っているだけの??。だが、その??の中の俺は、??い肌と純白の頭?を持っていたのだ。

「?、シロウ……」

遠坂の肩越しに??立てに?き?んだセイバ?も、一瞬息を呑んで心配そうに俺たちの顔を見渡している。
長いようで、ほんの僅かな沈?の後、遠坂は??立てを伏せるように作業台の上に置き、微かに顔を伏せた。

「さあ、作業を始めるわよ」

だがそれすらも一瞬。再び顔を上げた遠坂はいつもの、自信に溢れ何者をも恐れない遠坂に?っていた。

「い、良いのか? 遠坂?」

俺は思わず聞き返してしまった。玄肌白?の俺。恐らくさっきの世界同?セイバ?が還り、遠坂とも何度か交差しながらも別に道を進んでしまった俺だ。あの俺はあいつ(ア?チャ?)だ。あいつになるだろう俺だ。
俺はあいつと遠坂が、ただのサ?ヴァントとマスタ?以上の?係であったことを知っている。遠坂は、あいつがあいつになってしまった運命を怒っていた。それこそ火の出るほどの怒りを抱いていた。それを、そうなるだろうあいつ(俺)の姿を目の?たりにしたってのに、良いのか? 遠坂?

「良いって、なにが?」

「何がって……」

だが、挑むような遠坂の問いかけに、俺は言葉に詰まってしまった。
そう、どうする事も出?ない。それを見たからって、俺たちに何が出?るってわけではない。これは別の世界での出?事だ。更に言えば、今俺たちが居るここさえもその世界の影にしか過ぎない。

?で、でも遠坂!」

なんとも出?ない事はわかっている。だがそれでも胸の?えが取れない、何とかなるんじゃないか、何とかしたい。その思いが胸に溢れる。

「士?の?持ちはわかるわ。でもね」

そんな俺の口を指先で塞ぎ、遠坂は今一度??立てを手に取った。そして俺の口元から指を離し、まず??の中の俺を、そして俺の胸元を指差した。

「こいつはわたしの士?じゃない。わたしの士?はこいつよ」

そして、??の中の“遠坂”を何?か寂しげに指差した。

「それにね、士?。わたしはこいつの“わたし”じゃないの。こいつの“わたし”はここにいるわ」

「遠坂……」

俺は??盾の中の俺と遠坂に視線を落とした。
つんと顎を上げ、見上げているのに見下すような視線で、何?か人の?い笑みを浮かべる遠坂。そしてそんな遠坂を仕方ないとばかりに苦笑しながら見つめる俺。
ああ……そういう事か……
俺は遠坂が何を言いたいのか理解した。??の中の“俺たち”が、一?何?で俺たちと違った運命を選んだかはわからない。だが、それはこの世界の“俺たち”が?み、苦しみ?み取った運命の?だ。
だとすれば、その運命を選ばなかった俺たちに何が出?る、何が言える。これから先どんな運命を?むとしても、それはこの世界の“俺たち”だけが?みえる事なのだ。
俺たちに出?る事は、この世界の事はこの世界を?み取った“俺たち”に任せ、俺たちの世界で精一杯、俺たち自身の運命を?み取っていくことだけだろう。

「判った遠坂。それじゃ、俺たちの世界に?ろう」

俺たちは?って?きあい、もう一度世界を越える準備を始めた。俺たちの世界に向かって旅立つ?に。

 


―― ?!――

工房に虹色の閃光が溢れた。

「ぶはっ!」

「きゃ!」

「ふう……」

七色の光が晴れた時、そこには四つの影が生まれていた。

「?、ここは?」

「ええと……」

セイバ?の?に、遠坂が何?か疲れた?子で腰をさすりながら?えを返し、工房を見渡す。

――ううむ、主よ。?に見事な混沌ぶりだな。

「ああ、そうだな」

そんな?子を眺めながら。俺はランスのどこか皮肉げに響く?に?えた。確かに、この全く統一性の無い?然さはあの?かしい“俺たちの”遠坂の工房だ。

「わたしの部屋はありました」

――我のケ?ジもあるな。

「食器もちゃんと全員分確認っと、士?そっちは?」

「おう、ちゃんと“外”もある」

とにかく家中を?け回り、片っ端から知人に連絡を取りまくった俺たちは、漸くここが“俺たちの世界”である事を確認し、ふらふらと居間のソファ?へと雪崩れ?んだ。

「?ってきたのね」

「皆、無事で何よりです」

「何度か死に掛けたからなぁ……」

あの後巡った四つの世界は、確かに俺たちの世界と近似の世界ではあったが、それ以前の二つと違って空間軸も時間軸もかなりばらばらな世界だった。木乃伊に追いかけられたり、大聖杯に?み?みかけたりと、かなり波?に飛んだ世界の??。
特に最後の世界など、俺たちは全員が違う世界に飛ばされてしまったらしく、遠坂があの?玉を完成させて全員を纏めてここに引っ張ってくれなければ、一?どうなっていた事か……

「ですが、シロウと?の子供時代は大?可愛らしいかった。二人の子供を抱きあげるのが?しみです」

「そ、そんな事もあったわね……」

「あ、あれはなぁ……」

確か三度目か四度目の世界だ。そこの公園で、俺たちは今にも?みあいの喧?を始めようかと言う、赤毛の男の子と??の女の子を見かけたのだ。
とは言っても?際、直接二人が喧?していたわけでもなさそうだった。こっそり?いて見ていた?況からすると、二人でへこました苛めっ子の?遇でもめていたらしい。言わずもがなだが“俺”が?健派で、“遠坂”が過激派だった。
まぁ結局俺たちが手を出すまでも無く、上手い事落ち着いたようだったが……遠坂、いくら苛めっ子だからって、小?生を逆さ?は酷いぞ……

「なによ、良いじゃない。別に、命まで取ろうってんじゃないんだから。女の子泣かすような奴は、あれでもまだ足りない位よ」

そんなことをこそっと漏らしたら、目の前の遠坂がこんな事を言いながら?みつけてきた。お前、全然?ってないんだな……
まあ、そんなこんなで皆へとへとだった。俺たちは?ってソファ?に深く身を沈め、暫くの間は一時の休息を?しんだ。

「それでは、お茶でも淹れましょう」

とはいえ、何時までもへたってはいられない。まず立ち上がったのはセイバ?だった。

「俺も手?うぞ」

最近とみにセイバ?がお茶を淹れる回?が?えていた。腕の方もめきめき上がってはいたが、そう?度?度セイバ?にお茶汲みさせるわけにはいかない。

「いえ、シロウは?を」

だが、立ち上がりかけた俺はセイバ?にそっと制されてしまった。そのまま苦笑しながら向けられた視線の先で遠坂は……

「…………」

ぐっすりとお休みになられていた。

「全く、?るならちゃんと片付けてから?ろよな」

俺はセイバ?の好意に甘えてお茶汲みを任せ、そんな遠坂の手から、今にも零れ落ちそうな小さな?玉をそっと取り上げた。
きらきらと虹色に輝く準魔法玉(デミ?ゼルレッチ)。
その力で送り出すべき泡沫世界こそ?て消えてしまってはいたが、それでも?この石は俺が作り出した伽藍堂(フェイク)の?石?や、遠坂たちが挑もうとした施術よりも、更に一?魔法に踏み?んだ力を秘めていると言う。

「遠坂は凄いな」

俺は、この小さな?玉を幾重にも包みこみながら、溜息を漏らした。何せ遠坂はこんなとんでもない代物を、偶然と失敗、思い付きとやっつけ仕事の中から?み取って魅せたのだ。

「やっぱり、俺は遠坂に甘いかな?」

?玉を工房に?め、代わりに持ってきたタオルケットを遠坂に掛けながら、俺は?くようにそんな言葉を口にしていた。

「ええ、シロウは?に甘い」

そんな俺に苦笑しながら、セイバ?は入れてきた紅茶を差し出してくれた。

「ですが、シロウは誰にでも甘い」

更に半眼になって、拗ねるような口調で付け加えてくださる。ははは……

だが、何時までも笑ってはいられなかった。

「だからシロウ。私も甘えさせて頂きます」

一瞬だけ決意を?めたように瞼を閉じたセイバ?が、再び開けた瞳には、何?までも?摯な光が湛えられていただから。

 

 


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「だからシロウ。私も甘えさせて頂きます」

言ってしまった。口にしてしまった。私はこれからシロウに甘える。これは?とも、ルヴィアゼリッタや?とも違った甘え方だ。もしかしたら、これはシロウを傷つけてしまうかもしれない、裏切ってしまうかもしれない甘え方だ。
だがそれでもこの時、私はシロウに甘える事を我慢できなかった。

 


「セ……セイバ?なのか?」

あの時。最後の世界に、皆が別?に飛ばされてしまった時。私が飛ばされた先は、薄暗いほんの僅かな光しか差さぬ小さな?の中だった。

「……シロウ?」

そこにシロウが居た。草臥れたつなぎを着て、倫敦のシロウの工房と?らぬほどのガラクタに?まれたシロウが、?然と私を見つめていた。

「セイバ?!」

「っ!」

私はそこでいきなり抱きすくめられてしまった。
避けられなかった。いや、もしかしたら避けたくなかったのかもしれない。?く逞しい腕の中で、私は身動き一つ出?なくなってしまった。一言、そう一言?くので精一杯だった。

「シロウ……その……困る」

「あ。す、すまないセイバ?。いきなりで驚いて……また?えるなんて思ってもいなかったからな」

また?えるなんて? その?えを聞いた途端、私は?の自由を取り?した。同時に心の中で何かが爪?かれた。ああ……

「セイバ??」

私は微かに緩んだシロウの腕をすり?け、一?距離を置いた。それ以上近づく勇?も、それ以上離れる勇?も、この時の私には無かったからだ。

「……元?でしたか? シロウ」

何故そんな言葉を選んだのか、それは判らない。ただこの時はそう聞くのが正しい。それだけは間違いないと確信していた。

「ああ……」

シロウはわたしの言葉に力?く?いてくれた。

「あれからも俺は頑張っている。出?ない事、?かない事はいっぱいあるけれど、俺は、俺が大切だと信じた物を汚したりはしていない。大丈夫だ、セイバ?」

ああ……
これで私は確信した。力?く?摯で、決して枉げられる事など出?ない程?い言葉なのに、そこにはほんの僅かだが空疎な響きが感じられた。
シロウだ、この目の前のシロウは間違いなくシロウだ。けれど、私のシロウではない……
だが、それが判っていても心が?れた。どうしようもないほど?れていた。何故なら同時に、このシロウが“私”を愛してくれているシロウでもあると確信したからだ。

「シロウ……私は……行かなければいけない」

だが。いや、だからこそ私は拒まねばならない。私は“私”ではないのだから。

「そうか、判った。セイバ?有難う」

まっすぐな、透けるほどまっすぐな瞳。泣きたくなるほど嬉しく、泣きたくなるほど誇らしく、泣きたくなるほど悲しい瞳だった。
“私”はこの人をこれほど高めたのか、“私”はこの人にこれほどのものを遺したのか、そして“私”はこの人をこれほどまで……

「シロウ!」

だから私は思わず叫んでしまった。この世界のシロウに私は何を?える事も、何を言う事も出?ない。今、シロウの目の前に居ることさえ幻に過ぎない、夢のような物に過ぎないのだ。何故なら、私は“私”ではないのだから……
だが、それでも?、出?る事は無いのだろうか、何か、何か手立ては無いのだろうか?

「セイバ??」

そんな私の姿に、士?が心配そうな表情で半?前だけ前に出た。
ああ、やはりシロウはシロウだ。私のシロウと同じだ。どんな時も、何があろうと何時だって優しく暖かい……自分の重荷には?づかず、何時だって人の重荷にだけ?を使う……

「……!」

それで?が付いた。そう、やれる事があった。確かに私には何も出?ない、何も言えない。だが、託す事は出?る。

「シロウ、皆は……元?ですか?」

「皆? ああ、皆嫌になる位元?だぞ。遠坂は相?わらず遠坂だし、藤ねえは言わずもがなだ。イリヤだって同じさ、最近は?と一?に俺の世話を?きたがって困る位だ」

ああ……
安堵で膝が挫けそうになる。希望はあった。シロウは一人ではない。彼女たちが傍に居るならば、シロウは決して……

「シロウ、お願いがあります」

「なんだ? セイバ?」

薄暗がりの中から、きらきらと虹色の光が?がる中。私はシロウとの間の半?を詰めた。もう怖くない。

「彼女たちを大切にしてください。そして信じてください」

「セイバ??」

虹色の光に包まれながら、私は士?の?にそっと手を?れた。無理をしないで、自分を大切に、何故なら貴方は……

「とても大切な人だから。?えていてください。貴方は私にとっても、彼女たちにとっても、とても大切な人。貴方は……貴方が思っているよりも……ずっと大事な人なのです……」

 


「最後にシロウは?いてくれたと思います」

「……セイバ?」

私はシロウに全てを話した。これは甘えだ。何故なら私は今、私のシロウに……

「俺もね、セイバ?に?った」

「え?」

私の驚愕を他所に、シロウはわたしの肩に手を置くと、淡?と“私”との出?いを語り?けた。
霧に包まれた木立での“私”との出?い。“私”が私でないとわかった時の驚愕。“私”がシロウに愛されていたと聞いた時の衝?。そして、“私”がその時?に全てを終えた存在だと知った時の思い……

「だから、俺は“セイバ?”に謝った」

「“私”に? 何故ですか?」

「“俺”はね、“セイバ?”の答えを見つけることが出?たらしいんだ。でも俺はまだ見つけていないから。本?にすまない。セイバ?は“俺”の?にそこまでしてくれたのに……俺はセイバ?にも“セイバ?”にも何にも出?なかった」

そのまま私にまで頭を下げるシロウ。暫く私は??に取られてしまった。確かにその心遣いはとても嬉しい。ですがシロウ、貴方はそちらに頭が行きますか……

「でも何故か知らないけど“セイバ?”は俺に言ってくれた。“有難う、シロウ”って」

本?で判らないのだろう。更にそう付け加えて??に首を傾げるシロウ。私は徐?にこみ上げてくる笑いの?作を堪えながら、シロウを見つめる事しか出?なかった。
ああ、やはりシロウはシロウだ。“私”は?づいたのだ。だから私のためにシロウに?を言ってくれたのだ。なのに、とうのシロウは?づいていない。だめだ……もう我慢できない……

「な! なんだよセイバ?。何でいきなり笑うんだよ!」

「いえ……良いのです。シロウはやっぱりシロウなのですね」

私はむくれるシロウを前に思い切り笑い?げてしまった。ああ、“私”も判ったのだ。シロウはシロウだと。だからこそ?が付いたのだろう、私がシロウに愛されている事を。
だから私はひとしきり笑い終えた後、シロウに向かって最高の笑みを浮かべて言う事が出?た。

「有難う、シロウ」

私を、愛してくれて。


END


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平行世界での、Britain一行のお話でした。
最初、おおさまのけん で書き始め、魔法?係から あかいあくま でいくかと?更しましたが、やはり最後の締めはセイバ?でしたので おうさまのけん として書き上げてみました。
?は若干取りこぼしがあるのですが、どうにも纏め切れませんでした。?念。 

 

 

 

走る。

ただひたすら走る。

何も見えない暗闇の中を、俺はただひたすら走る。

多分、これは夢なのだろう。
なにせ何も見えないどころか、何も感じないのだ。そんな、何もかもが曖昧な霧に包まれた闇の中を、それでも俺は一心に走っていた。

ただ、目標だけははっきりしている。
何も見えない、何も感じないはずなのに、目蓋だけは進み行く先が眩しいと感じていたからだ。
だからそこがきっと目標。きっとそこが俺の行き着く所。

ああ、もうすぐだ。

見えない視界の全てが眩しさに包まれるていく。
何故か、其?はそんなに良い所ではないだろうという確信はあったが、それでもやはり俺は其?に向かって?け?んで行った。

「――――――」

「……ん? ああ」

と、そこで目が?めた。
やたら眩しい。それはそうだろう。八月の太陽が?っ向から俺の顔を照らしているのだ。よくもまぁ、今まで?ていられたもんだと思う。?かしい?名を告げる車?放送を聞き逃していたら、もう暫く?ていたんじゃないだろうか。……ん? 車?放送?

「やばっ、のんびりしてる場合じゃなかった。遠坂! 起きろ! 着いたぞ!」

そこで漸く?が付いた。俺は大慌てで肩に頭を預けて、心地よげに?息を立てている遠坂を叩き起こした。

「……ふえ……なに? ……きゃ! ちょ、ちょっとぉ!」

「急げ、降りるぞ」

そのまま?ぼけ眼の遠坂を車外に放り出し、俺はキャリ?とボストンバックを?ぎ上げて、微かな空?音と共に閉じようとする自動ドアを滑り?けた。

「ふぅ……」

何とか間に合った。
今、正に冬木の?を走り去ろうとする列車を?目に、俺はやれやれとばかりに荷物を下ろして?っ?な空を見上げた。

「ああ、いい天?だな……」

冷房の?いた車?からみれば、異世界じゃないかと思うほどねっとりと暑い大?。シャツの下では早くも汗が噴き出している。けど、これこそが日本の夏って奴だ。
冬木の街は、倫敦に渡ってから二度目になる俺達の??を、前回と同?にこれでもかというほど照りつける太陽で出迎えてくれていた。

「――っ!」

と、ほっと一息ついたのも束の間。次の瞬間、背筋に走った?寒に俺はすばやく身を?した。

「避けたわね……」

?分とこう言う事になれちまったなぁ。と嫌な感慨を抱きながら振り返ると、そこには不機嫌そうに片足立ちになり、パンプスを履きなおそうとしている遠坂の姿。遠坂、凶器はよせ、凶器は……

「待て、遠坂。?かった。でも、?り越すよりはいいだろ?」

そんな思いが顔に出たのだろう、半眼にした目を更に?めて履きかけのパンプスをもう一度手に取った遠坂に、俺は慌てて?手を前に後退った。

「にしたって、やりかたってのがあるでしょうがぁ!」

いかん、よっぽど?起きが?かったのか目が据わってる。さて、どうやって宥めたもんだろうか……

 

 

 

 

ぼうれいのおきみやげ 
「紫陽花の聖女」 -Karen Hortensia- Fate/In Britain外?-7 前編
Magdalene  

 

 

 

結局、?前のパ?ラ?でジャンボサイズのパフェを奢らされる事で折り合いをつけたのだが、奢ると言っても財布の出何?は結局一つだ。
果たしてこんな事に意味があるんだろうかと首を傾げていると、遠坂に女心がわからないと突っ?まれた。

「まったく、士?と付き合いだしてから夏って言うのは碌な事がないわ……」

で、散???された?句、溜息交じりでの締めの言葉がこれだ。

「俺のせいじゃないぞ」

確かにあの聖杯??の後、遠坂と付き合いだしてからの夏は何時も何かしらの?動がつき物になっていた。
去年は例の?の事件だったし、一昨年は一昨年で俺たちの倫敦行きの前後に一?動あった。そして三年前、あの聖杯??直後の夏は……

「そうか、あれからもう三年か……」

遠坂の言葉に誘われて、ここ?年の夏のことを思い出しながら、俺はふとどでかいパフェの器を飾る紫陽花(オルテンシア)の透かし彫りに目を留めた。

「……いやなこと思い出させないでよ」

そんな俺の視線を追って、透かし彫りの意味に?が付いたのか、遠坂は先ほどとはまた違った表情で眉を?める。

「でもあれはそんな大事だったか?」

とはいえ俺にとって、あの事は眉を?めたくなるような出?事ではなかった。まぁ、ちょっと不可思議ではあったが、何?か?かしい思い出でもあった。

「わたしにとっては大事だったの! ……考えてみたら、あいつ引き?んだのも士?じゃない!」

「引き?んだはないだろ? どのみち遠坂と?係なかったわけじゃないんだし」

三年前の夏。確かにあの少女と最初に?わりを持ったのは俺だったが、彼女の役割を考えれば?かれ早かれ遠坂だって?わりになったのは間違いない。

「そりゃそうだけど…… 士?、あんたなんだってあんなのと?わりになったのよ?」

「あんなのって、そこまで言うか? まぁ……偶然と成り行きかな?」

理解は出?るが納得は出?ない。そんな顔で?れる遠坂を前に、俺は苦笑しながら三年前の夏に思いを馳せた。
そう、あれはあの聖杯??から半年ほどたった頃。今日のように夏の太陽が、これでもかとばかりに照りつける日の午後だった。

 


?時の俺は言わずと知れた高校の三年。世間一般の受?生同?に、俺も進?準備に大童の日?を送っていた。
尤も、一般の高校三年の夏とは些か趣きは異なっていた。第一進?先は日本でさえない。しかも一?最高?府ではあるが一般の大?ではなく、魔術の?院(時計塔)に行くのだ。
よって、受?の?の夏期講座などは?然あるわけもなく、俺は師匠たる遠坂の家に?りっきりで、魔術の基礎やら語?の?鑽やらに勤めていた。
まぁ遠坂とは、この時?にそういう?係になっていたのだから、人によっては羨ましいと思えるだろうが、遠坂さんはまず第一に魔術師であり、第二に極めつけの苛めっ子なのである。
つまり甘い幻想など微塵もなく、俺は朝から晩まで完膚なきまでに叩きのめされる日?を送っていたというわけだ。

「ああ、良い天?だ……」

そんなわけでこの日、久方ぶりに新都に買い物に出かけていた俺は、曰く言いがたい開放感に包まれていた。
喩えその買い物の?容が、?り切りでついに?きた衛宮家、更には遠坂家の生活必需品の買出しであってもその?持ちは?らない。その上、遠坂さんが今日一日、倫敦行きの各種手?きのために家を空けているとなると?更だ。
これで今日はのんびり出?ると、俺はらしくもなく浮ついた?持ちで買い物?りの道を、深山町まで散?がてらに?いて?ろうとしていた。
と、その時だ。

「…………へっ?」

いきなり何の前?れもなく俺の鼻先、三十センチと離れていない場所に、?い小柄な人影が降って湧いてきたのだ。
それまでの無警戒が?ってか、?を突かれた俺はその人影を前に完全に固まってしまった。

「…………」

俺の狼狽を他所に、降って湧いた姿勢のまま微動だにしない人影。よくよく見れば、それは何?か不思議な雰??を持った少女だった。
色素の薄い肌、銀の?に肌同?色素の薄い琥珀――いや金色――の瞳。?いベレ?と丈の長い?服は何?かの制服だろうか?

「――なに?」

と、固まったまま、まじまじと不?なまでにその少女を見据え?けているだけだった俺に、少女は冷やかな一?を放つと、小首を傾げその金色の瞳でじっと見返してきた。
機械のように冷やかで透徹で、何もかも見透かしているような瞳……

「な、なにって! ……君、一?何者だよ。っていうか一?何?から湧いて出た?」

?瞬、言葉もなくその瞳に釘付けにされていた俺だったが、その言葉で漸く我に返るやいなや、慌てて身を引きながらこれまた不?な言葉で叫んでしまった。
何故かその瞳に見据えられていると、心?の?まで見透かされてしまうような……そんな不安感が募ってきて、どうにも??されてしまったせいだ。

「沸いて出たとは?分なお言葉ですね。私は道を尋ねようと思って、?をかけただけなのですが?」

そんな俺の不?な言葉に、一瞬だけ眉根を寄せた少女だったが、?座に元の冷徹な表情に?ると、視線を?く車道側に振って見せた。

「あ、ああ……」

そこには、どこぞの軍用車かって程でかくてごつい一台のトラックが止まっていた。
よくよく見ると、助手席のドアが開いている。成程、つまり……

「本?に降って湧いたんだな……」

思わず感心してしまった。二階とは言えないまでも俺の視線の高さだ。如何に?を?いてたって言っても、目にも止まらなかった。殆どノ?モ?ションで俺の前に飛び降りてきたわけか。

「納得して頂いたようなので本題に入ります。この街に??があるはずなのですが、どちらにあるのかご存知ではありませんか?」

そんな俺の感心に何?か憮然としながらも、少女は淡?と用件を切り出してきた。
成程、?服は修道院の法衣かなにかか、つまりこの娘はシスタ?ってわけだ。

「??? 知ってる事は知っているけど……」

そんな納得をしながらも、俺の返事は何?か言葉尻を濁した物になってしまっていた。
新都の??。それはつまり言峰??。
そこに?して俺は柵が多すぎた。
俺が十年前のあの地獄を?け出した場所。俺が“衛宮士?”に生まれ?わった場所。そしてあの“言峰”が本?にしていた場所……
今でこそ主は代わって居るが、それでも俺にとって行き辛い場所である事にはかわりはない。

「では案?していただけますね」

そんな俺の葛藤を余所に、少女はそれは良かったとばかりに?くと、?み掛けるようににっこりと微笑んで見せた。

「うっ…… わ、わかった。案?する」

正直?り?ではなかったのに、何故かその笑みに??され、俺は上擦った?で承諾してしまった。
何の邪?もない?げでさえある微笑。
だってのに……そこにはどうしても逆らえないような。そんな?迫感があったのだ。
そう、例えて言えば。

――衛宮士?が困っている人を、たかが自分の?持ちの問題程度の事で放って置く、そんなことを言うはずありませんね?

言外にそういわれたような、そんな?持ちにさせられる笑みだったのだ。

 


というわけで俺は、恐らくシスタ?か何かであろうこの少女を連れて、??へ向かうことになった。

「…………」

だが妙な違和感がある。
道案?のはずなのに、少女は俺と?んで?いているのだ。いや、ちょっと待てよ? 何で?いてるんだ? さっきまでこの娘が?っていたトラックは? あれに?っていくんじゃなかったのか?

「車なら先に??に向かわせました」

そんな疑問が表情に出たのだろう。少女は相?わらずの冷?な?音で?えてくれた。
成程、そういうわけか……って、待て待て!

「それじゃあ君は!」

「はい、??の場所は知っています。?に丁度いい機?だったので、貴方と話をしようと思って呼び止めただけです」

しれっと犯行を自供する犯人。

「お! お前は!」

「――カレン」

余りの事に怒鳴りつけかけた俺の耳に、何?か上質な音?を思わせる音色が響いた。

「え?」

「カレン?オルテンシア。私の名前です」

?びれもせず名?る少女に、俺は毒?を?かれてしまった。

「あっ……と俺の名前は」

「知っています。衛宮士?。この街に住まう非公認の魔術師で、聖杯??の生存者。貴方の事は、こちらに?る前に調べました」

「俺を、調べた?……」

散??弄されながらも、未だ弛緩していた俺の精神が、いきなり冷水をかぶせられたように緊張した。

「どういうことだ? 俺と君は初見だろう。何でそんなことをするんだ?」

今のカレンと言う少女の言葉。それは、どう考えても彼女がただのシスタ?でないことを示している。俺は僅かに距離をとり、警戒心を露にした。

「初見だからこそ事前に調査するのですが? 衛宮士?、貴方は自分というものを正確に把握していません。今の言いようでは自分が無害な人間だと主張しているように聞こえます」

が、カレンはそんな俺を何?吹く風とばかりに、却ってじろりと?みつけてくる。
なんか??される。かなり失?なことを言われてるような?がするのに、それでも?ごめんなさいと謝りたくなる。

「え……いや……その……」

無害とは?言できないけど、有害ってほどじゃないと……

「……だからこそ、呼び止めたのです。貴方には??が必要です」

と、一瞬言いよどんだ俺に、カレンは僅かに見下すような視線で言い放った。

「ろ、???」

「道??明します。とにかくまず??に向かいます。良いですね」

「あ……はい」

結局、俺はカレンに??されたまま、なし崩しに??に先導されることになってしまった。
あれ? ??に案?するのは俺の方じゃなかったのか?……

 


「じゃあディ?ロ司?さんは?られるんだ」

「元?こちらの??は、司?級の聖職者が赴く所ではありません。司??の仕事はあの??の後始末。それが終われば後任に引き?いで?られるのは?然です」

??への道行で、俺はカレンがこの街に赴いた理由の?明を受けた。
あの聖杯??の後始末を請け負ったディ?ロ司?の後を受けて、冬木??に赴いた後任代理。それが、この硝子細工のように響く名を持った少女の役割なのだそうだ。

「じゃあ君も代行者って奴なのか?」

「いいえ、私は代行者ではありません。あくまで表向きの??についての後任。その代理です」

しかも期限付きだと言葉を重ねる。

「前任者は優れた代行者だったそうですが、私には異端を?罪する?限も、?力もない。私は??の命を受け、この町の調査をしに?ただけの見習いです」

成程、見習いか。
それで納得した。確かのカレンには人を威?する、なんとも言いようがない迫力はあるが、それでも?ると折れそうなほど華奢な少女だ。現に今も怪我でもしているのだろう、法衣の影から白い包?が?けるし消毒臭じみた香りも漂ってくる。
こんな娘が、??の??部隊。異端を一方的に排除する殺し屋だなんて思えない。ましてや、言峰と同類なんて思いたくもない。第一そんなことあっては……っ!

「衛宮士?。貴方はやはり傲慢で不遜です」

と、そんなことを思い?いていると、いきなりカレンは俺の??まで踏み?んで?るや否や、頭を?手で?んで自分の方へ?し曲げてきた。

「私は貴方に見下される謂れも、哀れまれる謂れもありません。確かに私は一介の修道女ですが、適任でもあるからこそ派遣されたのです。私に?えられた勤めは、第五次聖杯??において消失したとされる聖杯の有無を、身?を以て確認する事。ただ祈る事だけでなしうる仕事ではありません」

「すまん、?かった。その……君が自分の仕事に誇りを持ってる事はわかったから、手を離してくれ」

「……それでも納得はしていないという目ですね。全く、だから傲慢だというのです」

そのまま、??の?力行使だとヘッドパットでも炸裂しかねないほどの視線で?みつけながらも、カレンは何?か諦めたように俺の頭を解放してくれた。

「……すまん」

「改悛の余地がない謝罪は不要です」

そんなわけで、もう一つ謝ったがにべもない。
確かにカレンの言うとおりだ。枉げる事は出?ないしその?もない以上、これ以上の謝罪は正に傲慢だろう。
そんなこんなで、俺たちの二人の間にはなんとも?まずい雰??が漂ってしまったのだが、それでも俺はあえて言葉を?けた。カレンの言葉にどうしても?に掛かることがあったからだ。

「それにしても聖杯の調査たって、あれはもう終わったことだろ?」

「衛宮士?。貴方のもう一つの罪は、不遜だと言いませんでしたか?」

案の定、カレンにもう一?みされてしまった。ここから先は??の事情、一介の非公認魔術師風情が聞いて良いことでは無いというわけだ。
だが、いくら不遜で傲慢といわれても、事が聖杯である以上簡?に引き下がる事は出?ない。
俺は、カレンの不思議な迫力がある瞳に?っ向から視線をぶつけた。

「……良いでしょう、貴方も無?係ではない。ただ貴方が思っているほど大事では無いと思います」

しぶしぶ話してくれたカレンの言葉によると、??が?んでいるのは明確な聖杯の波動とは若干違う物であるということだ。
聖杯という??そのものは先の聖杯??で?たれた。何せ、その聖杯の??というのが一人の少女の心?だったのだ。
それが引き?かれ、別人に移し植えられた上に暴走させられ、更にセイバ?の聖?(エクスカリバ?)で叩き?されたのだ。
俺の胸にちくりと刺さる思い出と共に、あの聖杯は失われた。それは確?であるという。

「じゃ、何を調査するんだ?」

「聖杯の本?が、??であるという話は聞いていますね?」

「ああ、それは知っている」

「降ろされるべき寄り代を失い。聖杯はもはや降臨する事はない。ですが、聖杯の本?そのものが完全に消えたというわけではないらしいのです」

俺たち現世の人間が?れる事の出?ない何?かで、今?聖杯の本?と?されるべきものが脈動しているらしい。??が?んだ波動とはそういうものだという。

「現?のままでは、現世に?がりを持たない聖杯の波動など問題ではない。本?はそうなのですが……」

本??がらぬはずのその聖杯と俺たちの世界とで、極?短時間ながらか細いリンクのような物が?測された。カレンが派遣されたのは、それの確認と調査のためだという。

「しかし、そんなもの君で判るのか?」

?然の疑問だ。そんな雲か霞みたいなもの、言っては?いが見習いに何とかなるものなのか?

「衛宮士?。貴方は?魔憑きという言葉を知っていますか?」

またぞろ傲慢だ不遜だといわれると?悟していたのだが、カレンの口から出たのは意外な言葉だった。

「?魔憑き?」

知ってはいる。
人に人以外の“何か”が取り憑き、人の?面から崩?させる呪いの一つ。日本で言えば狐憑きの類だ。
色?な種類があるが、西洋では一般に?魔憑きと?される。
ある日突然善良な人の?面に?くい、物理的な暴力でなく醜?な感情を生のまま引き摺りだすことで、理性の皮一枚下では良識というものが如何に?善に?ちているか、如何に脆い物かを露骨に表わし、人の世の常識を、“普通の世界”を脅かし?けると言う代物だ。
それだけでもかなり厄介な存在なのだが、事はそれで終わらない。最後には、精神面だけでなく肉?面までも?異してしまう。
取り憑いた“もの”が、憑かれた人の身?で己の姿を表現しようとするのだ。
尤もこれは完成される事はまずない。西洋の?魔は?じてエキセントリックだ。到底、人の?の?化程度で追?できない。?然のようにその途中で命を落としてしまうためだ。

「まさか……」

だが時には、その?化に最後まで追?できてしまう者もいる。
魔術師が、その秘術の果てに吸血鬼に?容するように、食われながら逆に食らい憑き、咀嚼し消化し、その果てに異形として生き延びる異端も存在するという。

「それは誤解です。私自身が?魔憑きではありませんし、?魔憑きになる事もありえません」

?魔は健全で??な身?にしか宿らない。自分は?魔?師の助手であるとカレンは言った。

「? それは判ったけど、じゃあなんで?魔憑きが出てくるんだ?」

「端的に言えば、私には?魔憑きが移るのです」

?魔憑き。それは言ってみれば人に?魔という毒が宿る病?だという。尤も、病?とは言っても本?感染性はない。
だが、?感の?い人間が?の存在を感じ取れるように、魔に近づいただけで?障を引き起こしてしまう人間もいる。それが自分だと、カレンは言う。

「師は被虐?媒?質と言っていました」

更にさらりと、恐ろしいことをなんでもない事の?に言ってのける。

「…………」

そこまで聞いて、カレンがなんで?魔?師の“助手”なのか合点がいった。
?魔憑きで最も厄介な存在は、育ちきるまで憑いた人の中で?れている奴。つまり?現した時は?に手?れって奴だ。だから、?現する前に、?れた?魔を見つけなければならない……
視界が?まり胸糞が?くなる。
例え倣岸と言われようと不遜と言われようと、この感情を殺す?はない。
誰も?づかぬうちに、?魔に?づき?障をおこして血を流す。要するにカレンは?山のカナリヤ(生きた探知機)だというわけなのだ。

「?にする事はありません、これはいわば私の天職です」

だがカレンは、ただ淡?とそんな運命を受け入れるようにそう言うだけだった。

「だからって!」

だから俺は思わず激?した。そんなこと……人を道具みたいに扱うことを、苦しみ血を流すことを天職だなんていうことを、?って見ているわけにはいかない。

「困った人ね……」

更に言い募ろうとする俺に、カレンは何?か?れた視線で向き直ると、?摯で、それでいて突き放すような口調で言い切った。

「人のために?くし、人のために血を流す。それをどうして貴方が憤るの?」

「――っ!」

いきなり言葉が出なくなってしまった。優しいまでの?音なのに、凍った針を急所に突き立てるような?く冷たい言葉。
それは衛宮士?の生き方。自分の生き方を人がしているのを見て、何故憤る? それは自分の生き方が間違っていると言う事ではないのか? 
カレンは、そう言ってのけたのだ。

「話を?しましょう。私がどうやって?された聖杯を探るかでしたね?」

打ち拉がれ、それでも必死で堪える俺を冷ややかに見据えながら、カレンの話を?いた。

「聖杯の本?を?魔に見立てるわけです。あれが碌な物でない事はご承知でしょう」

冬木の街が聖杯と言う?魔に憑かれているという?定の元、カレンというカナリアを放ち、聖杯と言う?魔を燻りだそうと言う事らしい。

「つまり、君ならもしここに聖杯が?されているなら判るって言うことか……」

「私以外には出?ないことです。聖杯と言う?魔が、もしこの地に何らかの形で?わっているならば、私には感じ取れます」

そしてもしその?わりがない、或いは大過ないならばカレンには感知できないだろう。
だから期間限定なのだという。長くて一月、それまでに何もないならば、??は聖杯は消失したと判?すると言うことだ。

「判った。短い間だが、その間に俺に出?ることなら何でも協力する」

となればだ、俺がやる事は一つだ。その間、このどこか尊大ながらも硝子細工のように華奢な少女に助力する。衛宮士?にとって、それ以外の選?肢はありえない。

「衛宮士?ならそう言ってくれると思っていました」

それにカレンは、初めてと言っていいくらい優しい笑みで?えてくれた。
ただ……その……
今この瞬間、背筋に走った?寒は何だったんだろう? 確かに優しい笑みなんだが、その直前垣間見たように思えた、何?かここの前任者を思わせる形に歪んだ唇は何だったんだろう?

 


それは??についた直後に判明した。

「ではまず、ここからはじめてもらいます」

??の講堂に立ち、晴れがましいまでの笑みを浮かべるカレンを前に、俺は今日何度目かの?然自失を??していた。
カレンから最初に言い付かった助力は、なんと引越しの手?いだったのだ。
いや、それはいい。
カレン自身の私物は、さすが修道女で極?少ない。問題は……

「…………」

??の講堂?しと?べ立てられた無?の?鍮のパイプや磨かれた木製部品、そして機械部品の??だ。

「……ぱいぷおるがん?」

「良くわかりましたね。ひとつ好感を持ちました、衛宮士?」

そう、それは??と言いう建造物にはつき物の?器。パイプオルガンの部品であった。
とはいえ、それはよほどの大??の話。以前ここに置いてあったのは、確かエレクト?ンだったはず……

「ちょ、ちょっとまて! これをどうしろと?」

「組み立てられませんか? 調べた情報によれば、こういった??は得意だとありましたが?」

「冗談じゃ……っ!」

こんなでかぶつ、出?るわけない。そう?けようとした刹那、カレンは何?か見下すような、それでいて?しそうな笑みを浮かべたまま、俺の言葉を遮るように言いやがった。

「ああ、無理ですか。そうですね、これは精緻にして正規の?器。そこいらのガラクタとはわけが違います」

「…………」

ちくしょう……
ガラクタはなぁ、ガラクタでいいとこいっぱいあるんだぞ……

「まぁ見て判るのと、組み上げるのとはまた別物。別に?にする事はありません、衛宮士?」

更に、何?かで見たような薄ら笑いを浮かべながらカレンの言葉は?く。
こうまで言われて、そのとおり出?ませんなんて、俺が今まで積み上げてきたガラクタ達の誇りにかけても言える?がない。
俺は、如何にも出?るわけが無いという視線と、所詮、衛宮士?などはその程度だと言う嘲りの?った微笑みを前に、必死でパイプオルガンの部品を解析して行った。

「……やってやる。ただし時間はかかるぞ」

結果は何とかぎりぎり、?くか?かないかの境界線。?かないなら、どんなに嘲られ見下されても仕方がないが、こうなっては後には引けない。俺は搾り出すように承諾の?を上げた。

「それでは、せめて私が聖杯の有無を判定するまでには完成させてください」

こうして心ならずも俺は暫くの間、??通いを?ける事になってしまったのだった。

 


「何?が偶然と成り行きよ! それってあからさまに狙ってるじゃない」

と、ここまでつらつらとそんな思い出を話していたら、遠坂が憮然とした表情で突っ?んできた。

「そ、そうかな?」

「そうかなじゃないわよ。なんかあの頃、士?が妙に??に行ってると思ったら、そういうわけね……」

「そういうわけって…… 言ってなかったっけ?」

「聞いてない! 第一あの女、わたしにはそんなこと一言も言ってなかったの! くそっ、只者じゃないとは判ってたけど……ああもう! 苦手だからって避けてたのがミスね」

「へぇ、遠坂もカレンのこと苦手だったんだ」

「……まあね、あいつってなんていうか、その……こう、心の隙を突いてくるっていうか、そう言うとこあるじゃない。そういうやつって苦手って言うか、嫌いって言うか……」

漸く綺?と?が切れたって言うのに、と遠坂さんは口を尖らせて半眼で俺を?めつけて?る。

「まぁ、確かにそう言うところはあると思うけど。あの娘の育ち考えたら、それでもまっすぐ育ってる方だと思うぞ」

?む相手がちょっと違うぞとは思ったものの、多少は事情を知っている俺としては、カレンの弁護をする事にした。

「そんなこと?係ないわよ!」

途端、パフェの器を引っくり返さんばかりにテ?ブルを叩いて突っ?んでくる遠坂さん。良かったな食い終わった後で。

「っていうか、士?。あんたどうしてあいつの身の上話まで知ってるのよ……」

「いや。まぁ、なんというか……偶然と成り行きかな?」

更に?い顔を益??くさせ、邪眼のレベルにまで高めた視線を突きつけてくる遠坂に、俺はパフェの器を立て直しながら再び記憶を反芻した。

 


あれはカレンと出?ってから暫くたった後、俺が大橋の袂にある臨海公園で?日振りの安寧を?しんでいた時の事だった。
?のところあれ以?、ただでさえ忙しかった俺の生活は、??でのパイプオルガン作成が加わったため、寸時も休まる暇のない苛斂誅求の日?と化していた。
肉?の疲?もさることながら、なにせ相手はあの遠坂さんとカレンさんなのだ。最早、俺の精神はいっぱいいっぱいを通り越し、引っくり返って更に表返る所まで?ていた。
それがこの日、遠坂はやはり倫敦行きの手配のために留守。更にカレンも“仕事”の外出中と言う事で、ぽっかりとまるで台風の目のような自由時間が降って湧いていたのだ。
そんなわけで、俺はこれ幸いと弁?片手に臨海公園で、お日?相手に安逸な日常と言う最高の贅?を味わっていたところだった。

「ああ、いい天?だ……」

?夏のお日?はこれでもかとばかりに照りつけてくるが、そんなもの遠坂のこんな事も出?ないのかって目や、カレンのどうなるか判らないけれどせいぜい頑張る事ですねって視線に比べれば、春風のように心地よかった。

「…………」

と、弁?を?げようとしたところで突然不安になった。

――衛宮士?に、こんな幸福は勿?無い――

何?かでそんな?が響いたような?がしたのだ。しかも、うら若い女性の癖に何?か嗜虐心に富んだ赤い人や、敬虔な癖に絶?腹に何か一物持ってるだろうって笑みを浮かべるような銀の人の?でだ。
俺は慌てて左右を見渡した。良し、異常なし。赤い服も、?い法衣も見?たらない。
用心のために上や下も見る。?然、後ろも振り返り確りと確認する。

「?のせいか……」

何?にも異常はなかった。俺はほっとして正面を向いた、その時だ。

「?分と?動不審な事をするのですね、衛宮士?」

……正面にいた。

何時の間にか俺の?正面に、夏だと言うのに長袖の?い法衣を纏ったカレンが、何か?質者でも見るような視線で俺を見下していた。

「私の顔に何か? 普通に話しかけろといわれたので、ごく普通に話しかけたつもりなのですが?」

げんなりとその顔を見据えていた俺に、カレンは文句があったら言ってみろといわんばかりの口調で言葉を?ける。

「いきなり現れて、どこが普通だよ……」

ってそれよりだ。

「言われたって、誰にさ? 俺がそんなこと言ったっけ?」

「あ……いえ、そういえば誰にでしょうか」

途端、カレンは一瞬狐にでもつままれたような表情になり、?いてそれまでの倣岸さが?のように、視線を不安げにさ迷わせ出した。

「俺に聞くなよ」

「申し?ありません、確か……私の得意な方法で?をかけ(釣上げ)た人に、次からは普通にしろと言われたような…… おかしな話ですね。確かに、貴方(衛宮士?)とはそんな出?いはしていなかった」

「確りしろよ、見習いでも余人には?似の出?ない(オンリ??ワン の)見習いなんだろ?」

「その点に?しては問題ありません」

が、そんなお?ごかしを言った途端、カレンは元の何?かで見た事のあるような冷ややかで見透かすような視線に?ると、何?か?しそうに口元を綻ばせた。

「見張りがいなくなるや否や、?を緩ませて彷徨い出す人と違って、私はきちんと仕事を進めています」

……痛い所を突いてくる。別に俺は……?みません、?を緩ませて彷徨ってました。

「で、何の用だ? オルガンのことなら??には行ったぞ。でも、留守だったのはそっちだろ」

思わず謝りそうになった俺だったが、考えてみれば謝る謂れなんかこれっぽっちもなかった。俺は下がりかけた頭を逆に反らし、挑むような視線でカレンに食い下がった。

「別に用件と言う程の事はありません。オルガンにしても留守中まで??に勤しめとは申しません。本?ならば見かけても通り過ぎるべきだったのですが……」

そんな俺の視線を一向に?にした素振りさえ見せず、はなはだ失?なまでの物言いでそこまで?えたカレンだったが、ここでほんの少しだけ恥ずかしげな視線になると小?でぽつりと付け加えた。

「貴方が幸福そうだったので、つい……」

「へ?」

一瞬、何か不?な物が背筋を走った。
このことに?れてはいけない。藪を突いて蛇を出すようなことをしてはいけない。
そう、いけないいけないとは思いつつ、それでも俺は何か引き?まれるように聞き返してしまった。

「その……つい、なんなんだ?」

「……嗜虐心が刺激されてしまいました……」

カレンは恥ずかしげな?でそう告げると、後は開き直ったかのように一?に言い切った。

「さしたる理由も無く目に見えて幸福そうでしたので、現?を知らせてあげたくなったのです。人生とは?な物ではなく、常に苦しみ悶え自虐に押しつぶされるもの。その見せ掛けの幸福は、私の一息でたやすく消し去ってしまえる物だ、と」

「ええと……その……」

俺ってそこまで君に嫌われてたの?

「別に貴方が嫌いだとか、憎いとか言うわけではありません」

思わず頭を抱えそうになった俺に、カレンは取って付けた?に言葉?けた。

「ただ私は幸福そうな人を見ると、その皮を?いで見たくなるのです。……以前から兆候はあったのですが、この街に?てから本格化したような。……もしかすると、これが私の趣味なのでしょうか?」

そして最後には、困ったような顔で俺に尋ねさえしてくる。
いや、そんなこと聞かれても俺の方が困る。ただ、これだけは言える。それは……

「……最?だな」

「私も同感です。いったい誰に似たのやら」

俺のげんなりしたような言葉に、同じくげんなりした表情で、手を組んで祈るように?くカレン。
一瞬、妙な親近感が湧いた。まるで同じ敵を持った同盟者だと言うか、敵の敵は味方だというか、そんなちょっと複?な親近感だ。

「まぁ、それはもう良い。それより?飯まだだろ? こんなとこで?ったのも何かの?だ、一?に食わないか?」

そんな親近感のせいでもないだろうが、俺は?持ちを改めて弁?を取り出すと、カレンを?食に誘うことにした。

「わ、私とですか?」

「他にはいないだろ?」

驚くカレンを余所に、俺は三段重ねのお重を公園の芝生の上に?げて行った。どのみち調子に?って作りすぎたんだ、一人で食うには多すぎる。

「ですが、その……」

だが、カレンは珍しく?然と突っ立ったまま、何?か煮え切らない表情でぼそぼそと?いているだけだ。

「別に、これで?柔しようってわけでもないぞ?」

「そういう心配はしていません。これが?なら毒でも盛られている危?がありますが、衛宮士?に?してその心配もしていません」

えらい言われようである。いくらなんでも遠坂がそんなことを……まぁ、しないとは?言できないが、ともかくそういう?ではないらしい。

「あ、もしかして宗?上の理由で食えない物があるのか? それとも粗食に勤しむべきって戒律があるとか」

「いいえ、そういった制限はありません、ですが……」

どうにも理由がわからない。?も言葉を濁らすカレンに、はっきり言ってくれなきゃ判らないと首を傾げながら視線を送ると、とうとうカレンは?念したように溜息を付くと口を開いた。

「結構なご馳走のようなのですが、私が食べても恐らく味がわからないと思います」

「へ?」

「……衛宮士?に、婉曲な表現は通じないと思いますのではっきり言います。甘いか辛いかどちらかはっきりした味以外、私には判別できないのです」

「じゃ、例えば?前のクルック?番館の百倍カレ?とか、江?前屋のスペシャル三色大判?とかじゃ無いとダメって事か?」

「そのどちらも食べましたが、少しばかり薄味でした。?いてこの街で口にあったものと言えば、商店街にある泰山と言う中華料理店の麻婆豆腐か、フル?ルと言う洋菓子店の砂糖漬けトリプルベリ?クレ?プくらいでしょうか」

うわぁ、?魔でさえ一?で昇天するという灼熱の溶岩と、天使さえ一口で悶絶死すると言う極甘の果?。激辛と激甘、冬木における魔界の極?と天上の地獄と?される二品だ。
もうこれは偏食とか、偏った嗜好とか、そういった問題を通り越している。

「……最?だな」

そう、それは人外魔境。最早人間の食いもんじゃない。

「衛宮士?。それはどういう意味でしょうか」

だが素直な感想に、今度は共感を得られなかったようだ。カレンは、思い切りむっとした表情で?みつけてきた。
尤も、それは今までの冷徹で何?か人を嘲笑したような表情とは違い、?相?の少女が拗ねたような顔だった。
成程、人が一番素直な感情を?すのは、趣味と嗜好についてだとは良く言ったもんだ。

「?かった。流石に俺もそいつには付き合えない。今日はあれで勘弁してくれ」

だから俺は素直に頭を下げ、公園の外れで店を?げる移動式のジェラ?ドショップを指し示した。

「え? その……奢っていただけるのですか?」

「まあな、?を?くしたようだし。それに飯を誘ったのは俺だろ?」

誘った以上最後まで完遂したい。意地と言うより、これは俺の趣味みたいなもんだ。

「判りました。それではご馳走になりましょう」

その?持ちが通じたのだろう。これまた?相?の微笑を浮かべると、カレンは快く承諾してくれた。

「よし、じゃあちょっと待っててくれ」

こうして俺たちは、方や三段重ねのお重、方や四段重ねのイタリアンジェラ?ドと言う、一風代わった?わった?食を取る事になったのだった。

 

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お久しぶりでございます。
Britain 再?第一?はhollow絡みの外?。かの聖女?の登場と相成りました。
彼女と同じ立ち居地の人物に?するSSは一度書いてはいたのですが、これはまぁ、所謂“??史”になってしまいましたので、リメイクの意味も?めて書いてみました。
“あの”物語と違う世界の同じ時間軸で、あの聖女?にどのような出?事があったのか? Britain流に料理したお話です。
「本?に、普通の食事はダメなんだな……」

試しに食べてみた俺の弁?にはまるっきり無表情である一方、四段重ねで砂糖を塗した?なイタリアンジェラ?ドには幸せそうに口元を綻ばすカレンに、俺は思わず?いてしまった。

「ですからダメという?ではありません。味がわからないだけです……」

それにカレンは、さも不本意そうに?えを返す。

「こう言うこと聞くのもなんだけど、?質かなにかなのか?」

「いいえ。まぁ、今までの生活のつけと言ったところでしょう」

「あ、ああ……」

ちょっと拙い話題だった。
カレンの仕事は?魔?いの助手、しかも?障を身に受ける“?山のカナリヤ”役なのだ。今も見え?れする包?や、かすかな消毒臭からも察せられるように、生半可な苦行ではない。

「前にも言いましたが?にしないように。??から修道院をたらい回しにされて得た天職ですから」

だってのにカレンは、何?か自慢げなまでにとんでもない言葉で自分の生い立ちを評して見せた。

「なんだよ、それ……」

「なんだとは……簡潔にして??。中?言いえて妙だと、私は?に入っているのですが?」

更に、余りの事に眉を?めた俺に、カレンはまるで俺がそう評してくれたとでも言いたげな視線で口を尖らせる。

「すまん、でも、それじゃ何がなんだかわからないぞ?」

「仕方ありません、さして面白い話でもないのですが、もう一度お話しましょう」

全く心?たりはなかったものの、何故かこっちの方が?いような?がして思わず謝ってしまった俺に、カレンは溜息混じりに「??から修道院をたらい回しにされて、そこで天職を得た」話をしてくれた。

 

 

 

 

ぼうれいのおきみやげ 
「紫陽花の聖女」 -Karen Hortensia- Fate/In Britain外?-7 後編
Magdalene  

 

 

 

それは、なんとも?が滅入るような話だった。
父も定かでない彼女を生み、あまつさえ信徒にあるまじき罪である自殺を遂げた母。
そんな母子に、全く何の感慨も持たず顔を見せることさえなく消えうせてしまった父。
神への愛以外何物も知らず、彼女に洗?さえ施さずただの厄介な?として育てた神父。
そして彼女に余人にはない聖痕を認めるや否や、純?な道具として修道院と言う牢獄に?ぎとめた??。
そこには彼女の、カレン?オルテンシアと言う少女の自我を、人としての存在を認めるものは一切なかった。

カレンはそんな話を淡?と語った。
自分を生み捨てにした父母を恨む事もなく、祈る以外何も?えてくれなかった神父を憎む事もなく、自分を便利な道具として扱うだけだった修道院を厭うことなく、それらの全てを別に辛いと思う事もなく。
?がりではない。?際それを語る表情を見ればわかる。
?に思い出と言う本の頁を捲り、音?する。カレンの表情からは、それ以上の意味は一切汲み取れなかった。

「そして私は、その聖痕(さいのう)を生かす道。?魔?いの助手として?く事になりました」

そして、この仕事もまた地獄だった。
魔を?う道具として彼女が付き?った師は、中でもとりわけの最前線(アヴァンギャルド)を受け持つ司祭であった。
故にその行く先には、紛い物や比較的?い段階の?魔憑きなどはなく、常に?性と呼ばれる最?の?魔の所業だけが待っていた。
最早そこは、憑依者だけで無く周?の人さえも?異した人外の地。
無論、肉?の?異ではない、そんなものが始まれば、?に終わっている。
そこは、人が人の形のまま人以外の何かに?っていく世界、人の精神が醜?な何かに取って代わられた世界、肉で無く魂を腐らせる世界だった。

そんな世界で、常人ならば一月と持たない異常な?場で、彼女は?い?いた。
しかも淡?と、異常と超常の修羅場をまるで日常の??のように。

「…………」

だが、聞いている方は堪ったものではない。何?か?れているんじゃないかと心配になってくるほど、淡?と?絶な話を物語るカレンに代わって、俺の腸が煮えくり返ってくる。
人は、そんな生き方をしちゃいけない……どんな人でも、人は人として生き、人として逝かねばならない……

「誤解のないように言っておきますが、別に?制されたわけではありません。これは私自身で選んだ道です」

そんな俺にカレンは、どうして貴方はそんなにも傲慢で不遜なのでしょうねと、諦めたような口調で語りかけてきた。

「なんでさ!?」

「同じだから」

「え?」

「私にとっては?も外も同じ事。ならば有意義な生き方をすべきでしょう」

?もつのる俺に、カレンは先ほどと同じ淡?と祈るように口調で言葉を?ける。
彼女の聖痕は、人の心に差した魔に反?する。心に魔の差さぬ人間など聖人に他ならない。
つまり、彼女にとってごく普通の“日常”も、?魔?いの“異常”も、結局“同じ”というわけだ。

「自分がハンデを背負っている事は承知しています。ですが、こうして生まれついた以上、その定めの中で生き?こうと思います。恨んだところでなにも始まりません」

「でも……その治すとか、?質改善するとか……」

「治療法は?見されていませんし、治そうと言う希望もありません。自分は不幸であると嘆けるだけで十分です。それに」

カレンはここで、あの冷笑的で人を見下した物とも、?相?の少女の物とも違う笑みを浮かべた。そう、例えるなら、それは慈母の笑みだ。

「私は確かに傷を負いますが、それは私の傷で無く誰かのもの。憐れみこそすれ恨む謂れはありません」

故に天職。
ああ、確かにそうだ。
カレンはわかっている。
この生き方が何?か歪んでいることを、自分に何?か欠けた所があることを。
けどこの生き方の末、誰かが助かるなら、誰かが救われるなら、それは決して間違ったことではない。
煮えたぎっていた腸がすっと冷えてくる、代わりに頭をぎりぎり締め付けるような頭痛が襲ってくる。

「失念していました。衛宮士?、貴方は我慢のできない人でしたね」

そんな俺に、カレンは慈母の笑みを崩さぬまま?摯で、それでいて何?か?倒される表情で向き直ってきた。

「何故そんなに他人のことばかりで嘆くの? 憤るの? 確かに私の?んできた道は安逸ではありませんでした。結果、ご存知のように些か味?の嗜好が偏ってしまうような事もありました。ですが、それでも私には美味しいと感じる物がある、?しいと感じる事がある、ちょっとした我?を通した事もある、自分の欲望が皆無と言うわけではありません」

そのまま、まるで諭すように自分はそんな生き方を、生きてきた道を決して疎んじてはいないと、限られた選?肢の中、精一杯自分らしく生きてきたと言う。

「――ですが、衛宮士?」

そして……

「貴方はどうして生きることを?しめないの?」

言葉の刃を突きつけて?た。

「貴方には自分に返る欲望がない。だから嬉しい事はあっても?しい事はない。常に自分の心が叫んでいる。“そんな幸せは衛宮士?にはふさわしくない”」

「そ、それは……」

「例え他人の?で聞こえても、それは貴方自身の?。貴方自身の思いを映した鏡に過ぎない。だって、本?のその人たちは決してそんなこと言わないもの」

カレンに言い?は通じない。?摯な瞳で、慈母の愛で次?と俺の皮が?ぎ取られる。

「自分には?えず隣人に?える?身の鑑、世界は正しくあれと祈るよう?な在り方。貴方の生き?はいつだって他人の?だけ。例え自分自身を奪われても、そのこと自?を憂いはしない。それどころか、自分を奪った?者が、?物の生を生きる方を憂う」

何?かしら遠い目でカレンの言葉は?く。俺の知らない事象で、紛れも無く俺自身の??(たましい)を切開していく。

「もう誰もそんな貴方を責めたりしない。責めるのは貴方自身だけ。ねぇ。そんなに人?みの幸せってつまらないの?」

……いや、そんな事はない。
人?みの幸せ、月?みの幸福。それがとても素晴しい物だって事には間違いはない。

ただ……

それだけでは足りないのだ。

それだけでは我慢できない。命の分だけ幸せであって欲しい。頑張った奴は、一生懸命生きる奴は、必ず報われなきゃいけない。ささやかな幸福くらいでは割が合わない。

ああ…… つまり、俺は……

「傲慢で不遜だな……」

「そう、それが貴方の罪。でも誰も貴方を罰してくれない。だって間違っていないから。だからなのね、貴方は何時だって貴方自身で貴方を責める」

その通りだ。
自分自身の欲望なら悔い改められる。だが、俺が欲しいのは他人の幸せだ。悔い改められない、悔い改めるわけにはいかない。最後まで完遂しなきゃいけない。

「すまない、カレン」

だから俺は謝った。
俺の罪を俺の罪?を引き出し、?摯に諭してくれたカレンに感謝しつつも、決して改悛することが出?ないことを謝った。

「元より、私の小言くらいであなたの十年?の生き方が?るとは思っていませんでしたが、約束でしたから」

「約束?」

「ええ、今一度貴方を諭すと」

誰とは言わなかったが、カレンは一瞬とても優しい笑みを浮かべると、話は終わったと立ち上がった。

「ただ、?目元と思いましたが、お蔭で一つの方向が見えました」

そして、その笑みをとっても素敵で邪な物に?えて、俺に微笑みかけてきた。

「あの……それって一?どういう意味なのでしょうか?」

後ろ毛が逆立ち、背筋を絶?零度で逆撫でされながら、俺はそんな素敵なカレンさんに尋ねてみた。

「別に衛宮士?をどうこうしようと思ったわけではありません。それについては約束も果たしましたし、これ以上の??は無?でしょう。ただ、私の主務は聖杯の?測ですが、この??の表の代行も託されています。ですから、ちょっとそちらの仕事にも精を出そうと思ったまでです」

怯える子羊のよう俺に、カレンは慈母の愛と?父の嗜虐がない混ぜになった笑みを浮かべ、冷ややかに見下しつつ?えてくださる。

「まぁ、一言で言えば??の庶務の整理と、迷える子羊の善導でしょうか」

そして最後に、とても?しそうに謎掛けじみた言葉を言い?し、カレンは公園を去って行った。

 

 

「……??の庶務の整理と、迷える子羊の善導ですってぇ……」

と、ここまで話してふと目をあげると、遠坂さんがぶつぶつとその二言を繰り返しておられる。

「と、遠坂?」

なんかとっても怖い、藪を突いて蛇を出すのは本意ではないが、それでも俺はついつい?をかけてしまった。

「結局、あれは全部あんたのせいだったのねっ!」

途端、噴火する遠坂火山。ちょっと待て、お前一?なに言ってるんだ!?

「なにも減ったくれもないわよ! 士?だって居たでしょうが!」

「俺も居た? ……あ、もしかして……」

遠坂に?幕に、慌てて記憶をまさぐった俺は一つの出?事を思い出した。

「もしかしなくてもあれよ。わたしとあんた、それにあの女が同席したのはあれ一回だけでしょ?」

「そりゃそうだけど、あれってそんな大事だったのか? そりゃ確かにえらく?呑ではあったけど?」

そして、目いっぱい悔しそうな遠坂には?いが、かなり愉快な出?事でもあった。

「……あの時は、士?に全部?明できない事情があったの。いいわ、ちょっと思い出してみなさい。最後に、あいつがなにやらかしたか?えてあげるから」

そんな俺に遠坂は、少しばかりすまなそうにしながらも、あんたよからぬこと考えてるでしょうと言った視線で口を尖らし、話を?けることを促した。
確かあれは、公園での出?いから更に半月ほど後。そろそろ夏も終わりを迎えようとしていた頃の事だった。

 


その頃には?にパイプオルガンの組み立ても終わり、??に通う理由はなくなっていたのだが、それでも俺は足繁く??に顔を出していた。
勿論、カレンの仕事に協力するためだったのだが、何故かその都度カレンは??を留守にしており、一向に出?えなかった。
まぁ、それまでの?緯を考えて、こいつは俺のお節介な生き?に?する一種の?言じゃないかとは思ったが、だからと言って止めるわけにはいかない。
そんなわけでこの?日、意地のように顔を出す俺と、計った?に??を留守にするカレンの不思議な追いかけっこが?いていたのだった。

それがこの日、いきなりとんでもないところで顔を合わすことになってしまった。

「こんにちは衛宮士?。こんなところで?うとは奇遇ですね」

確かに奇遇だ、こんなとこで?うなんて思考の片隅にさえなかった。
ここは遠坂邸の客間。遠坂の魔術講座の?に訪れた俺の目の前で、カレンはしれっとした顔でお茶を喫んでいたのだ。

「あら? 衛宮くん。シスタ??カレンの事をご存知なの?」

そしてその正面で、華麗に微笑んでいられるのが遠坂さん。その氷の視線が、更に?度を下げて俺の方を向いた。

「へ? あ、ああ……顔見知りだぞ。?は……」

「ミスタ?衛宮には、この街に到着した時にお世話になりました。大??さくで親切な人柄の方です」

一瞬、??されたが良く考えてみたら俺が責められる謂れは全くない。とにかくきちんと?明しようと口を開くと、?座にカレンさんが妙になれなれしく飛びきり優しげな微笑で、ねぇとばかりに俺に向かって可愛らしく小首を傾げてくださいました。

「それでは、紹介の必要はありませんわね。お互い良く知っているようだから」

そんなわけで、遠坂さんは聞く耳持たず?筋立てながら微笑んでいらっしゃいます。
お前ら、?むから俺に話させてください……

「それで、本日はどのようなご用件で? 確か、最初に相互不干?を約定として定めたはずでしたが?」

言葉の接ぎ?を失って立ち?む俺に、後でじっくり聞くからとにっこりと?い視線を送り、まず遠坂が口火を切った。つまり、不法侵入者はとっとと出てけと言うわけだ。

「確かに、??の監督代理と協?の管理者との間の相互不干?は取り決めました」

だが、カレンは動じない。御?御尤もと?きながらも落ち着いた口調で遠坂の言葉に反論する。

「ですが本日は、冬木における??の司祭代理として、??の信徒たる遠坂??の元に??の職務執行の?に?った次第なのです」

一瞬、?を突かれたように顔を見合す遠坂と俺。
確か、遠坂は別に??の信徒であるわけじゃないとか言ってなかったっけ?

「わたしは別に??の……」

「ええ、?はここ十年ほど??には?ても、儀式にも秘蹟にも??していません。ですが、幼?洗?と堅信は御尊父が存命のうちに?ませております。間違いありませんね?」

?を取り直し、訝しげに問い正そうとした遠坂の言葉に、カレンは待っていましたとばかりに言葉を被せる。

「そうなのか、遠坂?」

「うっ……うん。言峰の前の代までは、家と??はいい?係だったし、璃正おじ?には可愛がってもらってたし……」

ぐっと詰まった遠坂に小?で話しかけてみると、別に正式に宗旨替えをしたという?ではなく、カレンの言葉どおり全く活動はしていなかったものの、書類上は??の信徒のままであったらしい。

「それは結構。そうである以上、例え本人がなんと言おうと、??は信徒を手放したりはいたしません」

よき羊飼いは、迷える子羊を決して見放さない。執念深く見つけ出し必ずや元の群に引きずり?す。そう、喩え破門にされたとしても“背?者”として、??の記?の中では永遠に生きる事になる。
魂の契約は永遠普遍。それが??だと言うわけだ。

「勝手な事を言ってくれるわね……」

だが、遠坂さんはただでは負けを認めないようだ。さすが往生際が?い。

「それじゃ、今から柳洞寺にでも?け?もうかしら? 流石に??徒になったら?が切れるんじゃないかしら?」

「??としては、別にそれでもかまいませんが……」

そんな遠坂の憎まれ口に、カレンはさも?念そうに顔を伏せながら、にやりと見透かすような笑みを浮かべて?いて見せた。

「??に籍があれば、?の?籍に?係なく冠婚葬祭をつつがなく執り行えるのに……」

「ぐっ……」

不思議な事に、何故かこの?きで遠坂さんが詰まってしまった。

「どうしたんだ、遠坂?」

「あんたはいいの! 先のことだし……わたしだけが心得てればいいのっ!」

で、思い切り疑問符を浮かべて聞いてみたら、これまた何故か遠坂に怒鳴られてしまった。全く、わけが判らない。

「……わかったわ、そっちの方が有利だし。一?信徒って事にしといてあげる」

「ご理解が早くて助かります」

思い切り悔しそうな遠坂に、如何にも取ってつけたようにほっと笑みこぼれて見せるカレン。結局、口ではなんと言おうとも遠坂はカレンに蹂?されてしまったようだ。

「それで? ??の職務執行ってなに?」

「遺言の執行。早い話が形見分けと言う奴です」

「形見? ??の人間で形見を受け取るような知り合い居ないわよ?」

「それを聞いたら、さぞ故人は悲しむでしょう」

カレンは笑みを浮かべたまま、遠坂の疑問に嘆いてみせる。
悲しんでくれたらどんなに嬉しいだろう、なんだかそうとでも言っているような明るい嘆き方だ。

「ええと、それで誰の形見なんだ?」

とはいえこのままでは話が進まない。なんだかとっても?は進まなかったが、俺が話を進める事にした。

「冬木??の前任者。つまり言峰綺?の遺品です」

一瞬、沈?が遠坂家を包んだ。
俺も遠坂もカレンの言葉を理解できなかった。いや、理解したくなかったが正解だろう。あ、あの言峰の遺品だって?……

「そんな物、危なっかしくて受け取れるわけないわよ!」

だがそれも束の間、先に我に返った遠坂が、?然のように猫をかなぐり捨てて、カレンに詰め寄る。?持ちはわかる。言峰の遺品。しかも遠坂宛なんて、どんな呪いが?められているかわかったもんじゃない。

「ご不審は察しますが、一??査の結果どのような呪式も?められていない事を確認してあります。まぁ、言峰綺?はあれでも正式な聖職者。直接的な呪を送りつけるほどの愚者では無かったようです」

それにカレンは落ち着いて、良く聞けば身も蓋もない物言いで、どの品もただの“もの”に過ぎないと確約した。

「……わかったわ。その言い?だと、あんたあいつの味方だけは絶?しそうにないし、見るだけ見てあげる」

どうやら遠坂も、カレンの言葉の端?に見える前任者への?しようもない思いに?が付いたらしい。不承不承ながら、形見分けと言う行事を始める事を承諾した。

「では、まずこちらからご?ください」

それにカレンは、待っていましたとばかりに持?のトランクから、どうやら衣?箱のようなものを取り出し徐に蓋を開けた。

「………… え?」

一瞬、鬼が出るか蛇が出るかと息を呑んでいた俺だったが、中身が目に入った途端拍子?けしてしまった。
そこに?められていたのは、白いブラウスと紺のスカ?ト、それに蒼いリボンと?いタイツという一?いの洋服。何故か下着類まで?っているのには些か赤面したが、これには見?えがある。

「これって、セイバ?の着てた服じゃないか……」

そう、これはあの聖杯??の間、??に成れぬセイバ?の?に遠坂が用意した服だ。しかし、どうしてこんなもんが言峰の形見なんだ?

「……プレゼントだったの……」

そんな俺の?きに、何故か?っ赤になりふるふると震える遠坂が搾り出すように?える。

「へ?」

「あいつの誕生日プレゼントだったのよ! それも?年?年おんなじ服ばっか!」

それは……言峰ってやっぱり?った奴だったんだな……

「はい。遺言では遠坂??が二十?になるまで?年誕生日に贈るようにとなっていましたが、流石に??もそんなに暇ではありません。幸い服は各年分全て?っていましたので、この際ですから全てこの場にてお渡しします」

そんな俺たちの狂?を?牙にもかけず、カレンは事務的なまでの口調で、トランクから次?に衣?箱を取り出し積み上げていく。

「……くっ」

その全てが同じ服。
いや、サイズが微妙に違う。成程、遠坂の成長を予測した上で造らせたのか。何故か、ブラのサイズだけ全て一?ってのが中?趣がふか……

「衛宮くん。あんまりおかしな事考えてると……殺すわよ……」

い……などとは、ちっとも全然考えてないぞ。だから遠坂、命だけはお助けを……

「?に入っていただけたようで、さぞ故人も喜ばれる事でしょう」

そこにカレンが取ってつけたような笑みを浮かべながら、葬儀屋の司?のような科白で茶?を入れてくる。

「これの何?が喜んでるように見えるのよ! こんな物あんたに上げるから持って?りなさい!」

「お?持ちは有難いのですが、他のサイズはともかく胸だけはきつすぎるようなので、ご遠慮します」

?然、激?する遠坂だが、カレンは容赦ない。心ある人なら決して口に出?ない言葉をしれっと言って下さいます。

「……まあ、いいわ。受け取りましょう」

そのまま苛烈な視殺?に突入かと思ったが、?を食い縛りながら引いたのは遠坂だった。

「おや、?分簡?に引き下がられるのですね?」

「ふん。このまま粘ったら、それだけあんたがこの家に長居する事になるじゃない。幸い何時もと同じ服みたいだし。受け取った以上は、煮ようが?こうがこっちの勝手にして良いわけだし」

「?然です。?方もお引渡した以上、その後の?遇については一切??しません。さすがは?、賢明な判?だと思います」

……なんか、持て余したテロリストを押し付けあう二大?の政治的な決着みたいな展開だ。この服自?には罪は無いと思うけどな、セイバ?にも似合ってたし。

「で、これで終わり?」

「いいえ。まだあります」

衣?箱を手早く引き取りながら終わったなら早く?れと促す遠坂に、カレンはそう簡?には?ってやるもんかとにっこりと微笑み返し、今度はトランクから一冊の冊子を取り出した。

「じゃ、さっさと渡して頂戴」

だが、それを見てうんざりした顔で手を伸ばしかけた遠坂から、カレンはさっとその本を遠ざけた。

「?念ですが、これは遠坂??への?渡品ではありません」

そして、何故か俺を差し招いた。

「俺?」

「なんで士?に?」

どう考えても、俺が言峰の遺品を受け取るような筋はないんだが……

「衛宮士?氏への名指しではありませんが……」

そんなわけではてと首を傾げていると、カレンは巧妙に遠坂と距離を置きながら俺に近寄ってきた。

「遺言に、言峰綺?死亡時に遠坂??に一番近しい男性に渡すようにと指示がありましたので」

そして、にっこりというよりにやりに近い笑みを浮かべ、その冊子を何?か?引に俺の手に取らせる。

「いやまぁ……そう言われればそうかな?」

「否定は出?ないわね……」

流石にカレンの前で遠坂と俺が?人と言うか、そういう?係だとは公言できない。俺たちは全て判ってますとでも言いたげなカレンの視線を前に、互いに言葉を濁すしかなかった。

「で? 何なんだこの本……っ!?」

そんなわけでなんとも?恥ずかしくて、照れ?しのようにその冊子を開いた途端、俺は硬直してしまった。
一言で言えば、それは子供時代の遠坂の??が?められたアルバムだった。
だが、ただのアルバムではない。なにせ普通のスナップ??など一枚もないのだ。
恐らく遠坂邸の庭の木陰だろう、?の?椅子で涎をたらしながら??をしている幼い遠坂の?姿。下着一枚でぼうっとベッドに座っている?ぼけ眼の可愛らしい遠坂。公園だろうか? 空き地で二桁に及ぶ男の子を伸してその上で胸を張る少女時代の遠坂。うわぁ、これは風呂上りのオ?ルヌ?ドじゃないか……
つまりはそういう類の??ばかりなのだ。しかも、その全ての??に言峰の注?つきと言う凝りようだ。
言うなれば、こいつは“言峰綺?編纂 遠坂?、愛の成長記?” とでも言うような珠玉の??集だったのだ。

「士?、どうしたの?」

と、思わず見入っていた俺の肩口から、遠坂が心配そうに?きこんできた。

「え? うわぁ! 遠坂! 拙い!」

飛び上がらんばかりに驚いて、慌ててアルバムを閉じる俺。しまった! どじった……

「……なにが拙いって? 怪しいわね、ちょっと見せなさい」

案の定、遠坂さんに思い切り怪しまれてしまった。ジリジリと迫ってくる遠坂さん。
ふふふ、やだなぁ遠坂さん、右手の魔術刻印が輝いてますよ、それって絶?やりすぎですよ。
カレン、君も止めて――って、?しそうだね。ああ、そうか。?しいと感じる事があるって言ってたな。そういや、味?同?思いっきり偏ってた趣味だったなぁ…… ああ…… ?しんでくれて何よりだ……

「なによ! これっ!」

とまあ、そんなこんなで暗?した俺の意識を?ましたのは、アルバムを手に?っ赤になって叫んでいる遠坂の叫び?だった。

「??!」

そして、そんな俺に遠坂さんの理不?な?が襲い掛かってくる。??って、それは俺が言峰から……

「いいから! ??なんだから!」

とはいえ泣く子と遠坂さんには勝てない。特に、?目で恥も外聞も無くなった遠坂さんには。

「それは困ります」

だが、それもカレンさんには通じない。それは正式に衛宮士?氏に受け取ってもらわねばならないと、市役所の小役人のような頑なさを?に?しそうに演じておられる。

「いいの! こいつはわたしのなんだから! こいつの物もわたしの物なの!」

それに追い詰められた遠坂がついに切れた。うわぁ、遠坂イ(ジャイアニ)ズム爆?。

「成程、それはつまり……」

と、ここで何故かカレンがそれまで演技をかなぐり捨て、してやったりの笑みを浮かべた。

「衛宮士?については、?が全責任を負うということでもありますね?」

「――っ!」

一瞬で遠坂の顔から、アルバムの件での愚かしくも微笑ましい激情がすっかり消えうせた。

「元から……そのつもりよ」

そして、あの聖杯??の時にしばしば見せた、同じように頑なながらも?摯で冷?な表情に代わると、何か誓いでも口にするようにはっきりときっぱりと言い切って見せる。

「それを聞いて安心しました。その決意を心得ておられるようならば、これをお見せしても大丈夫でしょう」

それに?えるように、カレンも??な面持ちになり。これが最後と一枚の封筒をテ?ブルに載せると、遠坂に向かって滑らせた。

「これは、言峰綺?の正式な遺品と言うわけはありませんが。?、貴方が受け取って?理すべき物です」

そして、そのまま遠坂がその中身を確認するのをじっと見据えて?ける。

ぎりっ

そんな何?か息詰まる?況の中、封筒の中身を確認した遠坂の肩がかすかに震え、??をかみ締めるような音が響いた。

「遠坂?」

「大丈夫よ、士?」

だが、思わす俺が?け寄った時には封筒は再び閉じられ、遠坂もまた、封筒を開ける以前の冷?な表情に?っていた。

「……判ったわ。つまり、大仕事をするなら自分の足元を固めろっていいたいわけね」

「すぐにとは申しませんが、それ位してもらわなければ、衛宮士?は微動だにしないでしょう」

「そうね、こいつ最?だから」

「それについては同意します。全く、とんでもない怪物(バケモノ)ですね」

……いつの間にか女二人に、共通の敵を見出したような親近感が生じている。
まぁ、仲良くなってくれるのは平和でいいんだが、人を怪物呼ばわりはないんじゃないか?

「それでは用件も終わった事ですし、お暇します。次に?う事があるなら……」

「綺?の遺産?理が終わった時ってわけね?」

「そうなりますね。その時こそ、私の任務が完全に達せられた時と言う事ですから」

そして最後に、カレンは遠坂となにやら怪しい??を交わし、遠坂邸を去っていった。

 


そういえばあの封筒、結局なんだったんだろう。
遠坂は時期が?れば話すって言ってたし、俺としてもその時を待つだけだと思っていたんだが、すっかり忘れてたな……

「ん? どうした遠坂?」

そんなことを思い出しながら、ここまで話し終わってみれば、またも遠坂はなにやらぶつぶつ?きながら頭を抱えている。

「……遺産?理が終わったら……そうだった、終わってたんだ……」

遺産?理? ああそういえば最後そんな?話してたな。

「どういうことだ?」

「ねぇ、士?。わたし達が今回二人だけで?ってきたわけ、?えてる?」

「ああ、ルヴィアさんやセイバ?たちと一?でも良かったんだが、神父さんの事だろ?」

本?、今年の??は前年同?、遠坂家エ?デルフェルト家,そして新たに加わったマキリ家の三家合同の?省になるはずだった。
それが急遽?更になったのは、去年の夏、あの?の事件で大怪我をして以?どうも?調の思わしくなかった神父さんが、今年とうとう退任する事になった?だ。
冬木の??は、知っての通りただの??ではない。特に今は遠坂に代わり冬木の?脈管理もしている以上、引?ぎには正式な管理者である遠坂の立?いも必要。
そんなわけで、俺たち二人だけ一足早く??となったわけだが。

「それが、どうかしたのか?」

「どうかじゃないわよ、すぐ??に行くわよ!」

なにがどうしてそうなるのか全く判らない。
とはいえ、とっとと席を立ってずんずん進む遠坂さんを放っても置けない。俺は大急ぎで?計を?ませ、まるで敵地に進軍するように勢いで??に向かう遠坂の後を追いかける事にした。

「士?、?い!」

遠坂さんは結構足が速い。漸く追いついたのは、??へは後は坂を上がるだけといった交差点の手前での事だった。

「?いは良いんだが、なんでそんなに急ぐのさ?」

「なんでって……ああ、そっか。士?にはまだ話して無かったわね……」

何故か妙に急く遠坂さんに、俺がはてと首をかしげて尋ねてみると、遠坂はあっと?が付いたように小さく?くと、?まなそうに切り出してきた。

「あの封筒ね。?は……わたし達家族の??が入っていたの」

「わたし達って、遠坂の?」

「うん。わたしと父さんと母さんと……?の、みんながみんな笑ってるような……極?普通のスナップ??がね……」

「……そうか」

それがどうしたんだ? 事情を知らない人間が聞いたらそれだけの??だったのだろう。だが、今の俺は遠坂が魔術師の家系だってことを知っている。そして、?が他家に出され、そこでどんな生活を送ってきたかを……
遠坂は、そんな??を見せられるまで、自分の家族が普通の家族として存在していた事があったなんて知らなかっただろう。
そして、それは魔術師の家族としてあってはならないこと、そうでなければ幼い頃たった一人で?された遠坂が、他家に出された?が余りに悲?すぎる。

――それがあったのだよ、君たちは二人ともご?親に愛されていたのだよ――

言峰は、あの亡?はそれを涅槃の向こうから?って見せたのだ。

「じゃあカレンは……」

同時にあの銀色の少女の笑みが?裏に浮かぶ、あの何?か言峰と同質の笑み。まさかカレンも全て承知の上でその??を……

「ああ、あいつの事情は違うわ。あいつ綺?を出汁に、わたしに?破かけただけだから」

あいつの事だから?しまなかったわけじゃないだろうけど、と遠坂は憎?しげながらも納得したような口ぶりで、俺に苦笑して見せた。
何故かほっとした。カレンは確かに言峰によく似たところがあるが、それでも一番肝の部分で違う。俺はあの少女の慈母にも似た笑みを思い出しながらも?いた。
何?か歪んではいても、カレンの喜びは言峰のように完全に?逆ではなく、まだ正のベクトルを向いていた。

「そうか、だから”遺産?理”なのか……」

それで合点がいった。カレンは遠坂に?の事を何とかしろと言う思いを?めて、あの??を渡したんだな。無論、それを手に悶?とする遠坂を?しむ事も忘れずに。

「ま、それだけじゃないけどね。でも士?、だからって安心しないでよ。あいつは責め苦は人を前に進める?ではあっても、責め苦そのものを?しんでないわけじゃないんだから」

そんなほっとした俺に、遠坂は?難しげに換言してくる。
確かに言い得て妙だけど、それってなにもカレンだけじゃないぞ、どっかの誰かさんもそっくりだ。

「ともかく、絶?あいつには心なんか許しちゃ?目なんだから、そんな事したらぱっくり食われるわよ」

そんな思いが顔に出たのだろう、遠坂さんは俺を半眼で?みながらびしっと指を突きつけてきた。

「わかった。わかったけど何で今更そんな事を? カレンはもう居ないんだぞ?」

そう、あの?動の直後。カレンは仕事は終わったと?っていった。そしてその後、今の神父さんが赴任してきたわけだ。

「へぇ、そう? じゃあ今響いている音はなにかしら? これって一?誰が?いてるのかしら?」

そう思い遠坂に問い正したのだが、遠坂は如何にも人を見下した視線で俺を見据えると、?く顎を上げて坂の上を指し示した。

「へ?」

街の?踏は?に途絶え、すでにこ?りは閑?な住宅街だ。そして今、そこに流れているのは良く澄んだそれでいて重厚な音色。まるでステンドグラス越しに講堂に差す光のようなその調べは、紛れも無く坂上の??から響いていた。それは……

「……ぱいぷおるがん?」

「そうね、それ以外ないわ。さ、急ぐわよ」

「お、おう」

この調べには聞き?えがある。そう、これは俺がただ一度だけ聞いた調べ。俺が組み上げカレンが?いたパイプオルガンの調べだ。

 


「遠坂?、衛宮士?。まずは無事のご??をお祝い申し上げます」

俺たちが??の講堂の扉を開けるのと、曲が終わるのはほぼ同時。
そのまま振り向いた紫陽花の少女は、まるで待っていたかの俺たちに??祝いの??を送って寄越した。

「やっぱり、あんただったわけ……」

「なにがやっぱりなのか判りませんが、この度モ?ラ?師に代わり、正式にこの??の管理者に赴任しました、カレン?オルテンシアと申します」

そして、そのまましれっと着任の??をしてのける。

「ふうん、正式って事は“代理”は取れたわけ?」

「はい。ここ三年間の勤め、更には先回の冬木赴任の甲斐もあって??を預かる資格を得る事が出?ました。?も遺産?理を終えられたようですね」

それに負けるものかと、嫌みったらしく代理の部分に力を?めて言い放った遠坂だったが、カレンはそれに、例の遺産?理と言う部分に力を?めて?えを返してきた。

「ま、まあね」

「些か時間が掛かったようですね。?ならば、倫敦に赴く前に方をつけると思っていましたが…… まあお蔭?でこうして私も間に合った次第です」

更に、思いのほかお甘いようでと、喉の?でくくっと笑うカレンさん。

「ぐっ……」

それに、思い切り苦?を?み潰すような表情の遠坂さん。
まぁ確かに?の事に?しては、無事解決したとはいえ遠坂は思いっきり及び腰だったからな。
何?でどう知ったかは判らないが、この問題ではカレンの方が押し?味である。

「とはいえ、これで言峰綺?の?したものは、全て?算されたと言ってよいでしょう。おめでとうございます、遠坂?」

「はん、あんたにお?を言われる筋合いじゃないわよ」

「そうでもないのです。結局、私のこの街での勤めとは、須らく言峰綺?と言う男の?した物(置き土産)の事後?理(後始末)のようなものだったのですから」

何?か疎ましそうにそう話を締めくくったカレンは、そのままなんと言い返そうかと?軋りしている遠坂の脇をすり?け、俺の傍らまで?みを進めてきた。

「衛宮士?。貴方は如何でしたか?」

そして??で?格な聖職者の視線で、俺を?っ向から見据えた。

「俺は……」

余りに漠然とした問い。一?なにを尋ねられているのかさっぱりだったが、それが俺とカレン、そして遠坂の三人に?わる何か大事な事だというのは確かだろう。
俺は、カレンの全て見通すような金色の瞳を前に、必死で自分の中に、ここでカレンと別れてからの三年間の記憶に意識を沈めていった。

……ああ

遠坂とセイバ?の三人で倫敦に渡っていった時の思い出。ルヴィアさんやミ?ナさん、そしてランスとの出?い。カ?ティスにイライザちゃん、ジュリオと過ごした日?。
あの日以?、遠坂と共にあった日?はなんと波?に富み、?がしくも充?した日?だったのだろう。
俺はそんな思い出を胸に、目の前のカレンから、恨めしげにそれでいて何?か心配そうに俺を見据えている遠坂へと視線を移した。

お前と付き合いだしてから、とんでもない事ばかりだったのは、別に夏だけってわけじゃなかったなぁ……

?む暇も無く、思い切り引っ張りまわされた。
けどあいつが、そしてセイバ?達がいてくれたお蔭で、俺は思い切り突っ走る事も出?た。
確かに俺は今でもまだ歪んだままだ、空っぽで?物だらけののままだ。
だがそれでも?、今は確かな指針がある。空っぽの中に、?物の中に唯一つだけ本物がある。
俺は、俺の中にあるただ一本の?の柄にそっと手を伸ばした。

あの夏の出?事以?、俺の生活はあの時以上に息付く間もなく大童な日?の連?だ。遠坂と一?に時を過ごすってのは?大抵の事じゃない。本?に命が幾つあっても足りないような事ばかりだ。

だがそれでも?、そんな日?は決して辛い事ばかりじゃなかった。俺は……

「?しいって事を、知ったよ」

そう、?しかった。嬉しいだけでなく、?しかった。もう、?引なまでにみんなから寄ってたかって?しまされた。
本?にお前ら、少しは遠慮しろよ……

俺は、俺の中で?ってそっぽを向くみんなの代わりに、目の前で口を尖らす遠坂に苦笑して見せた。

「それでは、これにて言峰綺?の遺産に?する、全ての?理が終わった事を宣言します」

そんな俺たちの前で、カレンは一つ?くと重?しく宣告を下した。

そうか、そういうことか……

それで漸く俺は、“遺産?理”と言う言葉の?意を理解した。
遠坂が受け取ったものや、?の??だけが言峰が遺したものではなかった。第四次、第五次という二つの聖杯??で大きくその存在を?えられてしまった俺もまた、ある意味言峰の遺産だったと言う事か……

そんな感慨に浸っていると、カレンが飛び切り優しい慈母の笑みを浮かべ、俺に祝?を送ってくれた。

「衛宮士?。これで貴方も漸く少しは人間に近づけたようですね」

祝ってくれるのは良いんだけどね、カレンさん。俺の事、化け物呼ばわりはないだろ? 遠坂も?いてないで何とか言ってくれよ……

 

 


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天上の?曲が、講堂に響き渡る。
高き天の下、?き地に?ちる遍く生命を歌い上げる喜びと祈りの調べ。
それは以前、一度だけ?いた事のある?曲と同じ物。
地に生きる全ての命に安逸と休息を?える神を?え、神の導きに?いまどろみに生きる喜びを詠うものだった。
ただ、前回と違う部分が少しある。
本?、演奏者の感情など欠片も?められるべきでない?美歌なのに、今日の演奏は微かに感情らしきものが?められているように感じた。
休息と安逸に詠っていながら、それでいて今日の演奏には?行の思いが?められているのだ。

――ずっとここにいれば良いのに、ここならずっと安逸に浸っていられるのに、それでも貴方は行くのですね。
――あそこは決してそんな好い所では無いというのに、それでも貴方は行くのですね。

なんというか……こう、??で華麗な響きなのにも?わらず、拗ねて突き放すような、ロックか何かの方が似合いそうな感情も?められているような?がする……

「御??、感謝します」

最後の最後を、そんな感情をぶつけるように何?かディスト?ションじみた不協和音で締め、一風?わった?美歌は終わった。

「いや……良い演奏だったと思うけど、?わった?美歌だな」

「本?は許されない事なのですが、少しアレンジしてみました」

良いのかシスタ?がそんなことで? まぁ上手いから良いか。

「おや? 衛宮士?、貴方に音?がわかるのですか?」

そんな事をポツリと?いたら、カレンがお馴染みの人を見下す視線で嫌味を言ってきた。

「いや、音?はわからない」

俺はそんな嫌味に素直に?え、カレンの背後に屹立するパイプオルガンに視線を向けた。

「でも、こいつの?持ちはわかる。こいつは君の演奏を喜んでいた。君はこいつのただの所有者や使用者じゃない。紛れも無く“?い手”だ」

そう、こいつは俺が手ずから組み上げたあのパイプオルガンだ。精緻な機械、?史ある機械。そういったものには魂や精神こそないが、積み上げられた?史と蓄積された??による思いのような物が宿っている。
起源にまでさかのぼる構造解析を天性とする俺には、今では武器でなくても、そんな思いを汲み取る事くらいはできるようになっていた。

「え……」

間違いない。うんと?きカレンに視線を?すと、とても珍しい光景を目にする事になった。

「あ……その……過分なお褒めの言葉、感謝します……」

照れてますよ、カレンさん。
これは新鮮。やっぱり、人間の本性が出るのは趣味や嗜好の問題なんだな。

「お、音?に?してだけは特例として指導者を用意していただきました。何かと問題はありましたが……」

そして、どこか誇らしげに正規の?育を受けていたことを明かした。
成程、我?を通した事ってこのことだな。きっと思いっきり?情張ったんだろうなぁ、しれっとした顔で。

「……それはともかく。良いのですか? 衛宮士?。?を放って置いて」

そんなわけで、これは良いものを見せてもらったと微笑んでいたら。カレンは、何故かむっとしたような表情になり、俺にちくりと苦言をいってきた。

「別に放っているわけじゃないぞ。遠坂はもうここに用がないから?った。俺はまだ君に聞きたい事があるから?った。それだけだ」

うん、間違いない。

「……衛宮士?。貴方は女心が判らないと言われた事はありませんか?」

だってのに、カレンはうんざりしたような表情で質問を返してきた。いや、それはしょっちゅう言われてるけど。

「……愚問でした。さて、では私に尋ねたい事とは、どのような事なのでしょうか?」

そして失?にも俺の返事を待たず自分だけで納得すると、改めて俺がここに?った理由を問いただしてくる。

「ああ、それなんだが。カレン、君は……」

それに俺は三年前の、今日の出?事を反芻しながら、さてどう話したもんかと言葉を探しつつずっと考えていた疑問をぶつけてみた。

「どうして、俺の?にこんなに骨を折ってくれたんだ?」

そう、それが聞きたかった。
??後の再?。遠坂に託した言峰の遺産?理。一見それは??の仕事のように見える。そして、それは遠坂と、そして?だけの問題であるかのようも見える。
だが、カレンは今日この場で、言峰の遺産?理を俺の言葉で締めた。
正しくないくせに間違ってもいない俺が、?り?んでいた袋小路から?け出せた事を最後の締めに持ってきてくれた。
?いて言えば、それはまるで俺を助けるために、あえて言峰の遺産問題に手を付け、遠坂を引っ張り出したように見えるのだ。
?側からは決して改悛できない俺を、外側から遠坂?と言う存在を以て動かそうとしたかのように見えるのだ。

「俺はあの時、君の手助けをするって言ったのに結局なにも出?なかった。そのパイプオルガンを組んだだけだ。それに俺は別に信徒でもない。確かに君はある意味、人を助けるのが仕事だろうけど、俺みたいに無闇やたらにするってわけじゃないだろ?」

だが、その理由がわからない。
遠坂に、息するように人助けするといわれた俺が言うのもなんだが、こんなことしたって何の得にもならない。
如何にカレンが聖職者とは言え、こんな面倒をする事は……あっ

「まさか、カレン。君は言峰の……」

一つだけ思いついた。

「それは違います」

だが俺の思いついた事を、カレンは明確に、それでいて僅かにずらした言葉で否定した。

「如何に私が聖職者でも、好き好んでわざわざ前任者の尻拭いをする事はありません。……まあ、結果的にはそうなってしまいましたが」

判りきった事は言うまでもない。そんな口調だ。

「じゃあ、なんで?」

「“情けは人の?ならず”」

そして更に尋ねる俺に、三年前、時折見せてくれた、どうしようもなく優しい表情で?えてくれた。

「人に情けをかけるのは、結局廻りまわって自分が救われるためと言う諺ですね。私はこれが事?である事を貴方に?えたかっただけ」

そしてその表情のまま、?くようにそう言うと、?かしむように俺に話しかけてきた。

「衛宮士?。三年前、ここで私が最後に尋ねた事を?えていますか?」

「? ……ああ、あれか……」

 


あれは三年前、カレンがこの??を立ち去る前日。別れの??代わりに、ここで俺が組み上げたオルガンの演奏を聞かせてくれた時のことだ。
今日と同じ、??で華麗な響き。ただ今日と違って。それは?範を一?も出ない硬く?しい演奏でもあった。

「なあ、カレン。本?に……終わったのか?」

そんな頑なな演奏のせいか、それともその日のカレンがほっとしながらも、何?か?げな――そう、丁度祭りの終ったあとの寂しげな雰??のような、そんな空?を纏っていた?か、俺は聞かずもがなのことを聞いてしまった。

「はい、終わりました。未だ“聖杯”と言うべき物は存在しますが、その中身はもうこの世界には存在しません」」

きっぱりと?えるカレン。だがそこに僅かな迷いがあった。
判ってはいるし理解もしている。だが納得しきれない。そんな迷いだ。

「ただ……その……衛宮士?。一つ、貴方に尋ねても宜しいでしょうか?」

だからだろう。一瞬の沈?の後、カレンは何?かすがるような視線で俺に話しかけてきた。

「俺に?」

「はい、恐らく貴方にしか判らない」

「そういう事なら何でも聞いてくれ」

「では、お言葉に甘えて……」

そしてカレンの口から放たれた問いは、なんとも意外なものだった。

「……英?の?件?」

「はい、その……衛宮士?ならわかる。何故か判りませんが、そんな確信があったもので……」

「そう言われても……」

だが、俺には心?たりがあった。

ああ、カレンは正しい。こいつは俺と、あとは恐らく遠坂しか判らない……いや、知らない事だろう。

「……逃れられない運命から、命を?い取ること?」

「ああ、そうだ。それだけだ」

そう、たったそれだけ。
俺は知っている。英?の?件は、なにも?史に名を?すことや目に見える偉業を遂げる事ではない。
たとえ一つでも良い。決して助からないはずの命を助ける。それによって、人は人を越え英?になる。いや世界は英?を手に入れるのだ。
俺は……俺の末路(ア?チャ?)からそれを知(?わ)った。

「ああ……」

途端、カレンの顔から鬱屈が消えた。理解し判ってはいたものが、漸く納得できたって顔だ。

「そんなに良いもんじゃないぞ?」

とはいえ俺としては苦言を呈せざるをえない。なにせ、俺は英?ってのが碌なもんじゃない(あいつみたいなもの)と知っているのだ。

「でも……」

だが、それでもカレンは微笑んで見せた。何?か遠い目で、ああ良かったと。

「誰からも忘れ去られるより、無に?するよりは良いと思います」

そして一?、今度は遠坂さんとも何?か通じる、いつもの含み?載の表情で俺に微笑みかけてきた。

「衛宮士?、いっそ放っておいてやろうかとも思っていましたが、お蔭で考えが定まりました」

「? いや、お役に立てて嬉しいぞ」

一瞬ぞくっとしたが、どうやらその笑みの向く先は俺ではないようだ。俺はほっとして。

「では衛宮士?。最後の??を申し付けます。宜しいですね」

……どうやら、俺も完全に除外されていたわけではないらしい。なんだか?ったらとても後が怖いような?がして、俺は素直にその申し付けを引き受ける事になってしまった。

 


「…………」

「どうやら思い出してくれたようですね」

「ああ、思い出した。あれはあれで大?だったんだぞ?」

カレンに申し付けられた最後の??。町外れの洋館の調査と、そこで見つけた一人の女性。そしてその後の?動までを思い出し、俺は思い切り?い顔でカレンを?みつけてやった。
ああそうだった、思い出したぞ。三年前の夏の?動ってのは、なにもカレンの一件だけじゃなかったんだ。

「ですが、それで一つの命が助かった。よい事ではないですか」

「人事だと思って……」

「人事ではありません。結局、それも含めて貴方のお節介で私の仕事(言峰の遺産の?理)は完了した。それにね、衛宮士?。貴方は知らないだろうけど、貴方は貴方の生き方で一つの魂を解き放ったのよ?」

だからこそ、自分は衛宮士?の?に骨を折る?になったのだと言う。

「さっぱり判らんぞ?」

「判らなくても良い。知っていてくれれば」

カレンはそう言うと、くすくすと笑いながら視線を??の天蓋を覆うステンドグラスに向けた。
円を描き、無?の宗??に飾られたステンドグラス。
それはまるで、無?にある?多の世界の欠片を?ぎ合わせて出?ているかのように見える。
そこを通し?夏の陽光が、講堂に降り注いでいる。

……ああ

つられて見上げ、そのまぶしさに目を瞬かせた俺は、ふとさっき見た夢を思い出した。

――何故か、其?はそんなに良い所ではないだろうという確信はあったが、
――それでもやはり俺は其?に向かって?け?んで行った。

ああ、そういうことか。
何?か俺の知らない、俺の?われない世界で一つの出?事があった。
そいつもまた、ある意味言峰の遺産だったのかもしれない。それを恐らく“カレン”は?理した。俺の知らない俺のお節介と共に。
それは俺の知らない何か、俺の知らない誰か。だが、今、俺は知っている。

――お前は、今、其?にいるんだな――

 

END


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「記憶の在? Ver.k(小さなk)」hollow remixです。
あの物語のあの結末を、私なりの解?で?み解き。それを私も書いた物語のアレンジとして書き上げてみました。
結局カレンはあの物語でも、言峰の衣鉢を?いでいるんですよね。あの物語での言峰のスタンスは「未だ生み出されざる聖杯の中身の誕生を見定め、祝福する」ことでしたから。
この御話、私にとって久しぶりに純?なSSでした。なにせ構造そのものが起承承結、?の部分はそのまま全部hollow に委ねている?ですから。
それはともかく、これで私も漸く?ってくることが出?ました。これからもどうか御??に。

ps.ちなみに夏にした理由は、どう考えても本?あの作品は夏の話だったと思ったからです。ですよねぇ(笑)

번역부탁

 


 


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profile_image 익명 작성일 -

「…………」

어두운 어둠. 무엇하나 확실한 것이 없는 혼돈 (와) 같은 어둠 중(안)에서, 금빛과? 다홍색의 말? 하지만, 색채의 화음을 연주하고 있었다.
2개의 색채는, 방희생타 되는 선율에 맞추어? 에 2개의 삼각에 헤어져 사방을? 보고 땅에 5망, 하늘에 6망의 별을 그려낸다.

「――!」

순간, 2개의 선율이? 자리수.
? 자리수 선율은 2개에서 3개에, 3개(살)에서 4개에, 다음? (와)과 색채를 더해 마침내 어둠안에 칠색의 무지개를 흘올렸다.

「본? 에 좋어요?」

얼마 안되는심? 의 후, 무지개색에 비추어진 금빛이 안심한 것 같은 숨값어치? 있었다.

「심사숙고의 결과야. 나와 너, 두 명이 일년 걸친 해석으로 눈이 나오지 않았다 해, 이렇게 되면(자)??그리고 형태로 할 수 밖에 용도 없는 것」

게다가, 다홍색이 어딘가 낙담과? 네를 돌려준다.

「확실히……눈앞에 결론이 보이고 있어? 에 생각되어도, 거기에 밟아? 도에 더욱 저 편에 멀어져 가는……마치 도망수예요. 도리는 압니다 하지만……」

「도리로 마법으로? 구라면 주선 없어요」

불과에 이완 한 하늘? 의 안, 비추어진 금빛 르비아제릿타? 에? 델 펠트의 분한 것 같은 말에,? 다홍색--원판? (은)는 자조 섞임에 어깨를 움츠려? 천민.

「그러면, 냉큼 정리합시다. 게다가, 만약의 경우가 되면……」

「또 시로에 만들어 주다고? 그야말로, 그런 일이 출? 등 다루기 쉽어요」

그래, 확실히 이것은 사? 하지만 만든 것. 하지만 결코 사? “? ”로 만든 것은 아니다. 이것은 사? 하지만 창등 될 수 있도록 하사할 수 있었던 것이라도 있다. 실제로 저것이? , 사? (은)는 이것의 재투영에는 성공하지 않았다. 하지만……

「저녀석출? 눈이니까, 혹시라고 하는 것은 있어」

「시로인거야 」

두 명은 동시에 우리들의 시술을 잊어 한사람의? 해의 얼굴을 떠올리고 쓴웃음했다. 리와 지를 지상으로 하는 마술사로서 조금 본의가 아닌 것은 않지만, 무슨뿌리? 도 없어? 그런데, 그라면 어떻게든 해 버린다. 그런? 하지만 해 버렸기 때문에다.
그는 결코 단념하지 않는다. 단념하지 않는 이상 꺾이지 않는 한 앞으로 나아가는 일은 출? . 거기에 최상, 사? (은)는 바보같기 때문에……

「뭐, 그래서? 오는 출? 비쳐요. 시작합시다」

「뭐가, 그런 (뜻)이유인가 좀 더 모르지만, 그렇다면 나에게도 반대는 없지 않아요」

일순간의 이완, 실전전의 약간의 숨? 나무를 끝내 두 명의 사이에 다시 긴장이 넘친다.

「――――Anfang(세트)」

「――――En Garand(레이디)」

두 명의 주에 맞추어 칠색의 무지개로 보이지 않는 힘이? 다발 한다.
만화경 (와) 같이 변화 떠오르는 칠색의 칼날. 모조(가짜)라고 해도, 지금 확실히? 돌? (제르렛치)에 힘이 머물었다.

 

 

 


왕님의 검 
「? 의 왕」 -King Aruthoria- 제9이야기 전편
Saber 

 

 

 

「――동조, 개시(트레이닝? 스? 온)」

어슴푸레한 어둠 중(안)에서, 나는 다만 일점에 의식을 집중하면서 말해 익숙해진 주를 뽑았다.
순간, 열심히 응시하고 있던 플라스크의 바닥에서 작은 마법진이 떠올라, 요도응으로 있던 유백색의 액? 하지만 물결쳤다.
나는 등뼈를 관철하는,? 자리수 부젓가락을 찔리는 것 같은 감? (을)를 의식하에 밀어 내면서, 더욱 주를 거듭한다.

「――중력,? 리(테이크? 오프)……」

주를 기다리고 있었는지와 같이 마법진에게? 하지만 머물어, 유백색의 물결은 그? 에 비추어져 더욱 크게 일어섰다. 그리고 그대로, 마치 영? 기를 역돌려 하도록(듯이), 플라스크의 중앙에서 공이 되어 떠올라 간다.

「――정령? , 개시(바트르오? 다??리셋트)」

나는 거기에 하나 더의 주를 거듭했다. 그러자(면) 마법진에 비추어진 유백색의 액구는 1개 또 1개(살)로 색을 더해 마침내 만화경과 같이 변화면서 무지개색에 빛나는 공으로 그 모습을? 네라고 말했다.

「……」

플라스크 중(안)에서 하늘하늘? 무지개색의 액구를 응시해 1 호흡만 둔다. 등골을 관철하는 아픔도 느끼고 익숙해진 아픔나무로? , 나의 회로는 의식하지 않고와도 순조롭게 마법진으로 마력을 흘려? 라고 간다. 좋아, 괜찮다.

「――편제, 개시(렛트? 콤바인)」

나는 마법진에게 충분히 마력이 골고루 미친 것을 확인해, 마지막 주를 보낸다. 마법진으로부터의? 가 서? 에 색조를? 네, 꾸불꾸불준구 무지개색의 액구는 마법진의? 화에 맞추도록(듯이) 그 색조를 희미해지게 해 간다.
여기까지? , 후는 마법진이 마음대로 일을 진행시켜 준다. 그것을 확인해, 나는 1살? 있었다.

「……식」

「피로? 입니다. 시로우」

라고 점구 중단해 등골을 폈더니, 나는 눈앞에서 상냥하게 미소짓는 성취의 눈동자와 하치 맞추어 버렸다.

「아, 세이바?. 그……몇시부터 거기로?」

「시로우가 그 플라스크를 응시하기 시작했어? 리카등입니다. 무엇인가 시술이었던 것 같아서, 방해를 한다면? 실 다 생각할 때까지 기다리고 있었습니다」

잠깐 정신없이 봐 버린 나의 그야말로 잡아 붙인 것 같은 말에, 세이바? (은)는 손에 가진 트레이를 작업대의 구석에 두면서, 쓴웃음 섞여에? 네라고 주었다.
플라스크를이라는 것은 시술의 최초의 무렵부터가 아닌지, 30분가깝게 대처세의 재능 기다렸는가.

「그 다음에라고 말해입니다만, 차를 엄라고 왔습니다, 아무래도 시술도 끝난 것 같고, 좀 쉬는 때에서는?」

내가 끝냈다고 제를? 응으로 있는 동안에도, 세이바? (은)는 솜씨 자주(잘) 차의 준비를 진행시킨다.

「아, 미안하다. 차 정도 스스로 엄의 것에」

「오늘은 시로우도? 도 공방에? 였기 때문에, 이런 때 정도 나에게 엄시켰으면 좋겠다」

그렇다면? 있고 일을 했다고, 당황해 나도 손? 구토했지만, 세이바? 와 나의 손을 차단해, 어딘가? 할 것 같게 차를 엄라고 주었다.

「알았다. 그러면 고맙게 받는다. 그렇지만 나만이라고 하는 것은 싫다. 세이바? 도 교제해 주고」

「네, 그럼 나도 1? 하겠습니다」

이렇게 해 나는, 자신의 공방에서 서? 에 색조를? 액구를? 응으로, 세이바? (와)과 차를? 일이 되었다.

 


「맛있다 이것, 세이바? 하지만 만들었는지?」

「아니요 나에게는 아직 이 정도의 물건은 만들 수 없습니다, 슈후란전으로부터 받은 물건입니다」

? 보람 미르크티? (와)과 손수 만든 쿠키?. 장시간의 시술로 조금 지쳤어? (와)과 머리에, 그 책김으로 한 달콤함이 정말 마음 좋다. 나는 세이바? 라고 요리든지 과자든지라고 말했다고 세우고가 없는 이야기를 하면서 그 기분 좋음을? 죽었다.
영? (와)과 마술사의 이야기로서는 어떻게 따라? 용일지도 모르지만, 살벌로 한 세계 중(안)에서 그렇게 아무것도 아닌 일상이 있는 것이, 왜일까 묘하게 기쁘게 느끼고 있었다.
라고 여기까지 잠겨 있어, 나는 또 한사람의 마술사의 일에 생각이 미쳤다. 변변치않은 변변치않은, 저녀석의 일을 완전히 잊고 있었던이라고 말하면(자), 다음에 무슨 말을 해질까……

「창의나 원판은? 저녀석의? 아이는 어때?」

「소1시간 정도 전에 공방을? 있었을 때에는, 아직 시술의? 한중간과 같았습니다」

뭐든지 꽤 대대적인 시술의 가경에 들어가 있던 것 같고, 유석의 세이바? 도? (을)를 걸치는 계기를? 째 없었다고 말한다.

「노력하고 있는. 그저께의 밤르비아씨의 집으로부터? 라고 오고 나서,? 없음이었지?」

이제 연도말. 금기의? 구의 마무리는 일인것 같고, 이 일주일간(정도)만큼 원판은 르비아? (와)과 서로의 공방을 왕복해? 날을 보내고 있었다. 아무래도 그것이 가경에 들어간 것 같은, 노력하는 것은 좋지만 무리하지 않으면 좋지만……

「그것은 시로우도 같은 것은? 두 사람 모두, 식사도 적당히로 작업에? 머리 하고 있던 것처럼 보여졌습니다만?」

등과 감상을 흘리면(자), 세이바? (은)는 나를 향해 무엇? 인가 원망할 수 있는 끊임없는 시선을 향하여 왔다. 아, 여기도 변변치않다……

「아, 아니, 미안. 나도 지금 조금 바빴으니까…… 그렇다, 오늘은 무엇인가 세이바? (이)가 좋아하는 것을……」

? 자리에 그 시선의 의미가 어째서 있을까를 깨달은 나는, 당황해 세이바? 에 변명을 했다.
원판 동? , 나도 이 일주일간은 대단하고 바빴다.
이유도 원판과 같은, 연도말의 시? (이)든지 리포트? 트? (이)다. 그것은 원판(정도)만큼? 문적이어도 깊은 것도 아니지만, 그런데도 상당히 힘든 것이 있었다. 적어도의 구제는, 작년과 같이 원판이나 르비아? 에 쭉 붙어 있음으로 보습을 받지 않으면 안 될 수록은, 심하지 않았던 것 정도다..
뭐, 그래서 세이바? (이)가 말하는 대로, 나도 원판도 재빠르게 식사를? 시 정도 밖에 얼굴을 맞대지 않았다. 그리고? 연, 식사도 재빠르게 만들 수 있어 재빠르고? 다투어지는 것이? 있고 있었다. 도록 하는에……조금? 였던 것이다.

「시로우, 전? (으)로부터 생각하고 있었습니다만, 나에 대해 식사에만 주의를? 라고 있으면 좋다고 생각하고 있지 않습니까?」

하지만, 이 변명은 왜일까 세이바? 씨의? 에 방해되어 버린 것 같다. 눈을 반안으로 해 쓱 몸을? 내 강요하고 계십니다.

「있고, 아니, 그런 일은 없어. 다만 요즈음 식사가 조금 적당이었는지와……」

「식사등 꼭……아니요 그것보다입니다! ? 의 걱정도 좋습니다만, 자신도 남아 무리를 하지 않게해 주었으면 한다고 말하고 싶습니다! 식사는? 해서는, 제대로 만들어 받을 수 있으면 불평은 없습니다!」

아, 그런 것인가. 걱정해 주고 있었어. 확실히 조금 뿌리를 너무 채우고 있었을지도 모른다.

「미안한, 걱정 끼쳤다. 오늘의 저녁식사는 확실히 만든다」

나는 그 일에 감사해, 솔직하게 고개를 숙였다.
걱정해 주어 고맙습니다. 그렇지만, 세이바?. 꼭 좋다고 단언할 수 없기도 하고, “제대로”에 엑센트 넣기도 하는 곳 보면(자), 역시 그쪽에도 불평 있었지 않은가?

「그렇지 않다고 몇번 말하면……부탁합니다……」

? 도 무엇인가 말하고 싶다고 하는 세이바? (이었)였지만, 내가 확실히 정면 향해 고개를 숙이면(자), 소근소근? 오면서도 납득해 준 것 같다. 안 안,? 밥으로부터 노력하기 때문에.

 


「곳에서 시로우. 그것은 무엇이겠지요? 평소의 잡동사니사리와는 정취가 다른 것 같습니다만」

오늘의 식사를 제대로 만들 것을 약속해 어떻게든 유째 비워 두어, 안심 중단하고 있으면(자), 세이바? (은)는 이번은 작업대 위의 플라스크를 시선으로 가리키면서 물어 왔다.

「잡동사니는 심해. 언제나 하고 있는 일도, 마술의 수행도 있기 때문에」

「즉, 잡동사니농도 있는 것이군요?」

하지만, 평상시라면 솔직하게 합니까와? 있어 주는 세이바? 그런데, 오늘은 왜일까 미묘하게 관련되어 온다. 역시 아직 원한을 품고 있어……

「아니, 아무튼……그렇지만」

나는 그런 어딘가 간파하도록(듯이) 개응과 시선을 향하여 오는 세이바? 에, 불과 뒷걸음질치면서 공방을 바라보았다.
여기저기에 놓여진 물건?. 과연마술의 도구나, 대부분 화? 의 도구와? 들 없는 것 같은? 금 방법의 기재나 소재도 있는 일은 있지만, 대부분은 1? 몇시의 것일 것이다는시계나? 동기(엔진), 그 이상으로 낡은 것 같은? 가구나 도구들 뿐이다.
낳는다, 확실히 이래서야 후유키의 마모루궁저(집)에 있었어? 라고 무엇? 하지만 다른지는 (들)물어도 대답이 곤란한다. 실제로 세이바? (은)는 그런 눈으로 나를 보고 있고.

「 그렇지만, 이봐요, 이런 건은 안? 일본은 찾아낼 수 없야?」

하지만 그런데도? , 나는 반론 하지 않을 수 없었다.
영? 라는 곳은, 유석에 이러한 고물에? 해 일본보다 아득하게 충? 하고 있다. 여하튼, 꿀꺽꿀꺽 보통으로 백년2백년물의 도구나 기계가 지금도 현역으로? 라고 있을 정도다. 그러니까, 비록? 라고 도달해 부품이 부족한 잡동사니와 같은 물건이어도, 수리하는 도구나 부품은 찾으면 얼마든지 찾아내는 것이 출? . 즉 일단 만들어진 도구는 비유? 라고도 고쳐, 손봐 끝까지 다 사용하는 것이 출? 의 것이다. 나에게 있어 이 정도 훌륭한 일은 없다.

「알았습니다. 시로우는 본? 에 잡동사니를 좋아합니다」

그러니까, 그런 일을 절? (이)라고 호소하고 있었지만, 세이바? 씨는 왜일까 자꾸자꾸, 자꾸자꾸? 같은 얼굴이 되어 간다. 어쩐지? 연으로 하지 않다.

「아니, 그렇지 않아다……」

나는 또 무엇인가 잘못해 버린 것 같다. 하지만, 하지만 그러나, 이것은 잘못되어 있을지도 모르지만 올바르다. 나는 더욱, 여기저기의 물건? (을)를? 때에 손에 들어,? 를 넘겨 당기기 시작한 세이바? (으)로 향해? 예를 나타내면서, 필사적으로 저항을? 차는 일로 했다.
거기에 최상……아, 똥! 그래!  나는 잡동사니농를 좋아해!

「이봐요, 봐 줘세이바?. 이것 백년 가깝게 전의? 연기? (가솔린엔진)이지만, 캐브레타? 하지만……」

결국, 잡동사니 페티시즘에 대해서는 카밍 아웃 당한 나였지만, 그런데도 이 도구류의 훌륭함 만일 수 있는은 세이바? 에 알아 받고 싶고, 필사적으로 해? (을)를 융통? 나막신. 세이바? , 백년물의 기계류라든지 3백년물의 도구라든지, 오랜 세월에 걸쳐서 사람의 손으로 사용되고? 자리수물이라고 하는 것은 본? 에 굉장한 것다?

「네네, 굉장합니다 굉장합니다」

하지만, 세이바? 씨는 (들)물으면 주지 않습니다. 무엇인가원판과 같이 어쩐지 수상한 것 같은 눈으로 나의 손의 물건을 시선을 돌림 하는 것만으로, 나가 말하는 일인가 깨끗함 오른쪽에서 왼쪽으로 흘려 준다. 똥, 나도 세이바? 의 식욕에는 이해를 나타내고 있기 때문에, 나 쪽에도 조금은 이해를 나타냈으면 좋아.

「좋아, 그러면 여기는 어때? 2백 년전의 세탁기로……」

「그것보다 시로우, 결국 이것은 무엇이었던 것입니까?」

여기까지? 등 후에는 파하지 않는다. 단념하지 않는 한 꺾이지 않는 한 앞에 진행하면(자), 나는? 명을? 와 뜻??응이다. 그러나, 세이바? (은)는, 역시 그런 나를 완전히라고 말해도 좋을 정도(수록) 서로 빼앗지 않고 , 눈앞의 플라스크를 흥미심에 툭툭치면서? 명을 차단해 온다.
무엇인가? 연으로 하지 않는다. 나가 손에 든 도구들은 술? 그리고, 그쪽에는 흥미심로……별로 나는 마술사가 되고 싶은 것이 아니야. 그렇다면 잡동사니 사용이 되고 싶은 것도 아닌데……

「시로우, 무엇을 투덜투덜 말합니까?」

그런 일을 생각하고 있으면(자),? 의? 성벽(? 면모? 드)가 옮겨 버렸습니까? (와)과 세이바? 에 쓴웃음되어 버렸다. 한층 더 취미에 대해? 신경쓰이는 곳등도, 최근 두 명은 닮아 왔어요, 라고 설득하는 것 같은 어조로 덧붙여 온다.
(은)는이라고? 확실히 나의 잡동사니를 좋아하는 사람은 취미일지도 모르지만, 원판에무슨 취미는 있었던가? 그렇게 생각해 되물으면(자), 세이바? (은)는 어딘가 어두운 표정으로 시선을 일와 무슨 일인가 작고? 있었다. , 개, 이것은……

「개, 이것이지만세이바? , 만물 융화? (아르카헤스트)(은)는 녀석이야!」

그? 나무가 귀에 들려온 순간, 나는 본능적으로 화제를 일등 하고 있었다.

「시로우, 이야기를 일등 그렇다고 하고 있지 않습니까?」

「, 그런 일은 없어! 제일 진한 개에 대해 듣고 싶어했었던 것은 세이바? 이겠지?」

「그것은 그렇습니다만……」

어쨌든, 나는 세이바? 의 어딘가? 연으로 하지 않는다고 말한 표정을 감히 무시해, 만물 융화? (아르카헤스트)의? 명을? 자리수. 어쨌든 지금은 조금 전의 화제를? 라고는 안 된다.
여하튼 세이바? (이)가 말하는 원판의 취미는, 「……무? 사용……」이었던 것이니까.

 


「편, 모두를 녹이는 액? 입니까」

「아, 파라케르스스는 사람이 찾아낸 것 같다. 진한 개의 작성이 조재과(매테리얼? 하? 메스트로지? )의 최종 고사야」

나는, 점구흥미를 눈앞의 플라스크에? 해 준 세이바? 에, 머릿속에서 수업의 복습을 품질? 명을? 자리수.
“모두는 1으로 해, 1은 모두”
마술의? (이)라고의 근원은 이것이다. 1은? (이)라고인 것과 동시에? (이)라고에 1은 존재한다. 이“1”이야말로는 근원. 그리고 마술사는 자신중에 있는“1”즉 마술 회로를 통해 거기로 향한다. 그리고 일반적인? 금술사란, 스스로를 포함해? (이)라고의 안에 존재하는“1”을 추출해, 그것을 이용해 근원에의 길을 열려고 하는 마술사의 일이다. 일반적으로 말하는“현자의 돌”은 놈은, 이 추출된“1”의 결정이라고 하는 것이다.
그리고 이 만물 융화? (아르카헤스트). 모든 물건을“얼음에 뜨거운 물을 건 것처럼”녹이는 이 액? (은)는, 이? 금 방법의 궁극의 목표, 현자의 돌을 만들어 내? 에 필수의 조재다.
우도,? (이)라고에 1이 포함되어 있다고 해도, 과? (와)과 같이 원소로서 나카에 들어가 있는 것이 아니다. 어디까지나“? 생각”으로서 그 흔적이 있다 라고 뿐이다. 그러니까 만약“1”을 꺼내고 싶다면, 과? 적이지 않고? 생각적으로 존재를 분해해“1”을 추출해야 한다. 그러니까, 진한 개도? (이)라고의 물건을 녹인다 라고 해도, 화? 적인 분해가 아니고? 생각을 용해하는 마술적인 물질은 (뜻)이유다.

「그러나 시로우,? (이)라고를 녹일 수 있는 액? 그렇다고 하는 것은, 조금 이상하지 않습니까? ? (이)라고를 녹일 수 있는 이상, 그것을? 용기조차 녹여 버리는 것처럼 생각되고, 그런 것을 취급하는 일도 불가능하지?」

(이)라고 해도 세이바? (이)가 말하는 대로, “뭐든지 녹이는 것을 어떻게 수습할까? ”(이)라고 하는 문제로부터, 진한 개는“겉(표)”의 세계는 제조 불가능, 즉 존재하지 않는 것이라도 말해져 왔다. 그래, 보통이라면 그런 것 있을 리가 없다.

「그러니까 이렇게 취급한다」

하지만 우리들은 마술사. 나는 세이바? 에, 플라스크의 바닥에 그려진 마법진을 지시하면서 이야기를? 자리수.

「과연, 공중에 띄워 만들어내는 것입니까」

「그렇구나. 이렇게 공중에 띄워 마무리해, 더욱 그 녀석을 가공해, 녹이고 싶은 것 이외는 녹지 않아? (으)로 하는 것」

중력주로 고정해 마지막 공정을 이루어,? 생각을 첨부? 해 특정? 생각만을 녹이는 용액에 마무리한다. 진한 개가 금기의 나에게 부과된 과제였다.

「즉, 이것은 금? 용무군요」

그리고 눈앞에서, 무지개색으로부터 금빛에? 리나 무늬 플라스크의 바닥에 떨어져 가는 액구는, 다양한? 생각을 첨부해“돈”의? 생각을 용해출? 같게 가공된 것이다.

「왕. 1? 녹여, 이번은 그 녀석을 증류해 다른 물건에 새로 짜넣는다 라는 일도 출? 응이다」

나는 더욱, 진한 개의 용도에 대해서도 세이바? 에? 명 했다.
물질을? 생각에 융해해, 그것을 증류 첨가해 다른 물질의? 생각에 짜 올리고 굳힌다. 즉 이것이 물질? 성,? 도리의? 금 방법은 놈이다.

「!」

라고 거기까지 이야기했더니 세이바? 의 눈의 색이? .

「개, 즉. 이것으로 돈을 만들 수 있는 것입니다!」

거기에 물었는지……
? 소유는 안다. 세이바? 에는 언제나 돈으로 근심? 걸쳐 왔기 때문에. 주로 원판이.

「1? 이만큼 있으면, 1킬로의 납을 돈에 만들어? 일 정도라면 출? 인」

나는, 그것이 마치 재? 의 산인것 같이, 반짝반짝 플라스크에 눈을 빛낼 수 있고 있는 세이바? 에 쓴웃음 품질“일? ”(을)를 이야기했다.

「다만 진한 개를 만드는데는, 그것과 같은 무게의 금 이상의 금(겸하고)이 들고, 납의? 생각 용액으로부터 돈을 증류하는데도 역시 같은 정도의 돈이 든다」

「구…… 즉」

돈을 만드는데, 돈의? 값의 2배 이상의 금(겸하고)이 드는 것이다.? 생각.

「생각해 보면, 이것을 시로우를 만들 수 있다고 하는 일은? 도 만들 수 있다고 하는 일. 만약 안? 에 돈을 만들 수 있다면, 벌써? 하지만 만들고 있었어요……」

그래,? (은)는 나도 최초로 이 일을 (들)물었을 때에, 원판에 같은 일을 물어 보았던 것이다. 하지만? 네는? 연, 지금의 나의 대답과 1?.
그 때의 원판의? 에 분한 것 같은 얼굴은, 지금 눈앞에 있는 세이바? 의 분한 것 같은 얼굴과 갑을 붙이기 어려운 것이었다.

 


「아, 두 사람 모두. 여기에 있었다」

등과 두 명? 라는 원판의 얼굴을 생각해 내면서 한숨을 붙은 것에, 공방의 입구로부터 묻는 것 원판씨가 얼굴을? 빌려줄 수 있어 왔다.

「? , 시술은 끝났습니까?」

「끝났다……」

들어가? 실 재촉하면(자), 원판은 세이바? 에에에들과 기쁜듯이 웃으면서 손을 흔들어, 그대로나에게 무엇? 인가? 속무인 발걸음으로 해? .

「이봐 이봐, 괜찮은가?」

나는 당황해 일어서, 그런 원판에? 보고 모였다.
무엇을 하고 있었는가는 모르지만, 상당히 대? 시술이었던 것일 것이다. 흔들흔들 풀고 되어 위태롭다.

「괜찮아」

전혀 괜찮아 구 없다. 표정도 마음껏 무방비.? 일어나기도 아닌데, 이런 원판은 매우 드물다. 나는, 유석에 걱정으로 되어 원판의 내장? 자리수얼굴을? 나무? 응이다.

「과 ……!」

「……!」

「응……에에에」

하지만, 이것이 변변치않았다. 원판과 시선이 마주친 순간, 원판의 눈동자가??같게 빛나, 나의 입술은 훨씬 부드러워서? 보람입술에 찰 수 있어 버렸던 것이다.

「하! 개, 이거 참, 원판!  갑자기 라고 응이다!」

「사? 분의공」

「, 야, 그 사? 나눈은!」

「사? 분은 사? 분이야. 사? 에 포함되어 있어, 나에게는 필수의 성분이니까」

세이바? 의 시선이 아플 정도(수록) 느껴지는 중 거의 1분, 원판은 나의 입술을 떼어 놓아 주지 않았다. 게다가 점구 떼어 놓아 주었다고 생각하면(자), 이번에는 놓치는 것일까하고(뿐)만에 단단히안아 붙어 나의 가슴에 얼굴을 매면서, 의미 불명한 일자리.

「식, 보급 완료. 역시 사? 분은? 뽕나무군요 」

여러가지로, 결국내가 해방된 것은, 최초로 기습을 밥등원 되고 나서 5분 가깝게? 후였다.
사? 나눈이 1? 어떤 물건인가는 모르지만, 원판의 놈은 조금 전은 쳐? 깨어 송곳로 한 표정으로, 발걸음도 견실한 물건에? 라고 있었다. 마음 탓인지 혈색도 좋아진 것처럼 생각된다. 거기에 교환 여기는 기습의 혼? 라고 세이바? 의 서늘한 시선으로 1? 에 소모해 버렸다. 본? 에 무엇인가 빨아 들여졌을지도 모른다.
아니 뭐, 그……별로 싫었던은  것도 아니지만……

「? , 시로우. 두 명이 사이가 좋은 것은 대? 좋은 일이라고 생각합니다만, 서로 아직? 생의몸. 충동적인 가족계? 만일 수 있는은 하지 않게 부탁합니다」

라고 거기에 추격을 걸도록(듯이), 세이바? 하지만 매우 깨끗한 웃는 얼굴로 터무니 없는 것을 말해 나무.

「세, 세이바?! 가족계? 라고……」
「아, 그렇다면 괜찮아. 제대로 생각하고 있으니」

넘치는 일에 무심코? (을)를 올리고 걸친 나였지만, 그? 에 원판의 더욱 터무니 없는 대사가 덮여 왔다.

「여기로 아이 만들기의 예정은 없어요? 그러한 일은, 역시 시계탑에서의 수? 하지만 끝난 후군요」

「과 원판씨?」

「, 그러면!」

「응, 일본에? 라고로부터. 두 명은 갖고 싶네요」

「그것은? 기미입니다. 부디, 나에게도 두 명의 아이를 안고 싶다」

「~있고……」

「물론이야. 세이바? 에도 아이의? 육이라든지, 손? 라고 해도들 아프고」

「아, 그것은 좋다.? (와)과 시로우의 아이이기 때문에, 사내 아이라도 여자 아이라도 필시 사랑스러운 일이지요」

「……」

어쩐지 마음껏 얼굴에 피가 올라, 말도 없는 나를 타처에? 무성해에 미? 설계를 말하는 원판과 세이바?.
그런가, 아이는 두 명인가. 역시 남자와 여자가 좋다, 마모루궁저(나의 집)도 원판저(원판의 집)도? 있고로부터 방에는 곤란하지 않고. 아, 그렇지만 뜰은 마모루궁저(나의 집)가? 좋은……는, 그런 일 생각할 때가 아니다!

「, 조금 기다려라!」

위험하고 현? 도피하는 곳이었다. 나는 그런 이야기 한번도? 있었던 적이 없어. , 그런, 원판과 나의 아이는……
나는 이야기가 손? 가 되기 전에, 큰 당황이라고 두 명의 이야기로 나누어 들어갔다.

「원판! , 그러한 일을이다, 마음대로 결정하지 말아라!」

하지만, 기세? 응으로 나누어? 응이다 순간, 나는 그것까지 화???(와)과? 하고 있던 여자 아이 두 명에게, 굉장한 시선으로? 찾아낼 수 있어 버렸다.

「뭐? 사? 아이 싫어? 나는? 눈?」

「아니, 아이는 싫지 않고, 원판이 그렇게 말해 주는 것은 기쁜데……」

「시로우, 설마 하는 일을 해 두어 책임 피하고를 하자 등과……」

「, 바보! 그렇게 수월한이겠지! , 그……원판과의 사이에 아이가 출? 등, 나는 제대로 책임을 진다!」

라고 여기까지 말해 버려 구석과? 하지만 붙었다.
어느새인가 원판이, 입길을 매달아 올려? 에 사람의? 있고 미소를 띄워 나를? 무성해에 응시해 있다. 한편 세이바? (은)는 세이바? 그리고, 무엇인가 제를 무는 것 같은 원망하는 듯한 시선을 나에게 향하기도 한다.

「좋았다. 고맙습니다 사?. 그러면, 사? 분의 보급도 끝난 것이고, 후는 잘 부탁해. 나는 저녁까지? 로부터」

그대로? 에? 발길질에 공방을 뒤로 하는 원판씨. 후에? 나와 세이바? (은)는? 연으로 할 뿐(만큼)이다.

「……시로우는? 에 달다……」

세이바? 씨, 산? 인? 나무 돌려져, 결국 속여진 것은 당신도 1? 입니다만?

 


「시로우, 이쪽은 끝났습니다」

전정으로부터 창넘어로 세이바? 의? 하지만 영향을 주어 온다. 얼굴을 올리면(자), 륜돈에는 드물어? 하늘아래 죽? 응이다 세탁물의 열을 키에 아휴라고 하는 얼굴로 세이바? 하지만 쓴웃음하면서 이쪽을 향해 오는 곳이었다.

「왕, 청소도 대강 정리되었어, 이제? 밥으로 하자」

「아, 그 말을 기다리고 있었습니다」

이제 때도 좋은, 그렇게 생각해? 네를 돌려주면(자), 바로 그때 세이바? 의 쓴웃음이 흘러넘치듯이 빛나는 미소에 잡아 대신했다.? 에 훌륭한? 다.
세이바? , 너도 카밍 아웃 했군요……
나는 그런 일을 생각하면서, 청소기를 멈추고 피로를 풀었다.
그 후, 잠깐? 연으로 하고 있던 우리들이었지만, 결국 어느 쪽과도 없게 쓴웃음하면서 얼굴을 맞대어 이 일주일간만으로 모인 가사를 정리하는 일이 되었다.
세이바? 하지만 노력해 주고 있었다고는 해도, 지금의 세이바? (은)는 전과 달리 가사 이외에도, 바이트든지 무엇인가색? (와)과 하지 않으면 안 되는 것이 상당히 있다. 최저한의 손질은 해 주고 있었지만, 그런데도 정리하지 않으면 안 되는 것이나 세탁물은 꽤 모여 있었던 것이다.

「완전히, 제일 어지르는 것은? (이)라고 하는데」

「그러한, 저녀석의 뒤처리는 우리들의 일이겠지?」

나는 약속에 반해 간? (이)가 되어 버렸어? 밥을 만들면서, 세이바? 의 푸념에? 천민.
누군가가 힘차게 달렸을 때, 뒤를 지지하는 것은? 두 명의 일. 우리들 세 명에게는, 몇시와는 없이 그런 약속 같아 보인 것이 출? 오르고 있었던 것이다.

「그것은 알고 있습니다만, 감인들 감로 좀 더 능숙하게 응석부렸으면 좋겠다」

하지만, 나의 무엇? 인가 체념? 교사리의? 네가? 에 들어가지 않았던 것일까, 세이바? (은)는? 구 입을 비쭉 내며 원망하는 듯한 시선을 향하여 왔다.
우도 불평의 말해? 에 있는 대로, 세이바? 왜냐하면 그 일은 알고 있다. 정리를 시작하기 전에 살그머니? 있었어? 실에서, 갈아입음도 하지 않고 진흙과 같이 자고 있던 원판의 모습. 우리들을 산? 인? 나무 돌려, 여유작? 그리고 떠난 원판이었지만,? 때는 이 일주일간의 시술의 반복으로 본? 에 정력? 나무 끝나고 있었을 것이다. 완전히, 억지인 놈이다.

「뭐, 원판이 응석부리고 서투르다고 것은 확실하지만」

「솔직하게 응석부려 오면 좋습니다.? 하지만 응석부려 주는 사자? (은)는 좋은 일이라고 생각하고 있습니다」

그래, 확실히 원판은 출? 놈으로, 뭐든지 실수 없이 익을 수 있는 우등생이다. 하지만 동시에 어쩔 수 없고 위태로운 곳도 가지고 있다.
쭉 혼자서 노력해 온 폐해일 것이다, 뭐든지? 로 하려고 너무 한다. 아무튼, 거기에 붙어 눈앞에 있는 세이바? 도 1? 그렇지만.

「시로우, 그것은 시로우도 1? 입니다」

라고 그런 일을 이야기하면(자), 세이바? (은)는 한숨 섞임에 반격해 왔다. , 그런가? 자? (은)는 없지만……

「이든, 근심? (은)는 있지만 원판이 응석부려 주는 것은 기뻐. 저녀석은 너무 노력하기 때문에 , 세이바? 도이지만」

「네네, 그러면 나도 정령? 응석부리겠습니다」

응석부리는 일은 차치하고, 지금부터는 약간 혼자서 힘차게 달리는 일은? 이제(벌써)명심해 나는 출? 올랐어? 밥을 세이바? 에 내몄다.
세이바? 도 아마 같은? 소유일 것이다. 자신으로부터 응석부리다니 옛 세이바? (이)라면 비유 농담에서도 말하지 않는 말이다. 그것이 나와도 일은, 그 만큼 우리들은 세이바? (으)로부터 신용되고 있는, 바람직하게 생각되고 있다고 하는 일이다. 그것은, 매우 기쁜 일이었다.

「……시로우는? 에 달다……」

우도, 그것은 세이바? 하지만 전했어? 밥에? 갈퀴였다.
역시 치? 즈와 햄만의 샌드위치는 변변치않았지……

 


――지금??했다. , 상? 깨지 않고 주와왕은 사이 화목한데.

그런 조금(뿐)만? 탄인 하늘? 중(안)에서? 식을 배달시키고 있으면(자), 뜰에 접한 창으로부터 불쾌한 정도당? (으)로 한 언행의 아(랑스)가 춤추어? 응으로? (이)라고, 유연과 거실의 소파? 에 날개를 쉴 수 있었다.

「랑스……당신의 눈에는 이? 아이가“사이 화목하다”라고 비칩니까?」

――아니아니, 다소 삭막할 정도로는, 남녀의 사이에서는 친애의? (이)라고 생각해서. 그것보다, 마녀전은?

하지만, 유석은 최? 의 기사. 이 정도의 불쾌한 것은 꿈쩍도 하지 않은 것 같다.

「원판이라면 자신의 방에서? 비치지만, 어쩐지 용무인가?」

세이바? 하지만 랑스의 말을 알 수 있는 것이나, 랑스의 태연자약인 태도가 조금 부럽거나 하는 일은 서로 빼앗지 못하고 놓아두어, 나는 드물고 원판을 찾는 랑스에 물어 보았다.
진한 개와 원판은 조금 궁합이? 있고. 모이면(자)? 와 구훤? (을)를 하고 있는 것 같은? 하지만 한다. 아무튼 르비아? (와)과 원판의 예를 볼 것도 없이, 별로 싫은 맞고 있다고  것이 아닌 것 같지만.

――,? (은)는 르비아제릿타? (으)로부터의? 물이 있다.

아, 생각해 냈다. 지난 주였는지, 원판의 놈에게 랑스를 빌리기 때문이라고 말을 들었군. 라고, 혹시 지금까지 쭉 빌려 없음이었는가?

――과연, 아니 마녀전은 사람 다루기가 난폭하다.

그것을 물으면(자), 랑스는 그야말로 아휴라고 한 어조로? 위를 이야기해 주었다. 나도 바쁨에인가 져 완전히 잊었지만, 당연해 이 곳랑스의 모습을 보기 시작하지 않았던 것이다.
뭐든지 이 일주일간, 두 명이 1? 그리고 있을 때를 제외해, 대부분 사시사철 르비아? (와)과 원판의 사이의 연락사(쿠? 리에)로서 나는 일회등 되고 있었다고 한다. 완전히,? 하지만 붙지 않았던 나도? 생포해 사람의 사용마를 거기까지 혹사할까? 유석에 이것은, 한 개못을 회 해 두지 않으면 안된다.

「그래서 시로우. 어떻게 합니까?」

「어떻게 합니다는, 이것은 1? 하지만 개응과다……」

「아니요 르비아제릿타로부터의? 물입니다.? (을)를 일으켜 올까요?」

「아, 음……」

아, 그랬다. 원판은? 응이다. 그것에? 하지만 붙는 것과 동시에, 나의? 뒤에 조금 전? 있었어? 실의? 아이가 생각해 떠올랐다. 그 완벽 주의자의 원판이, 갈아 입지도 못하고 진흙과 같이 침대에 넘어지고 감색으로 있었다.
저녀석의 일이다, 만약 한사람이라면 무리하고서라도 제대로 갈아입어, 그리고 자를 뒤따랐을 것이다. 그것이, 그렇게 무방비에……

「아니, 그것은 아직 좋을 것이다. 취 못하고 르비아씨로부터의? 물은 공방에 놓아두어, 원판이 일어나? 등1? 하지만 개응이라고 말해 주겠어」

응, 이것으로 좋다.? 분으로 노력해 보고 싶고, 지금 일으키면 불쌍하고. 불평은 불평, 이것은 이것이다.

「……뭐?」

그렇다고 정해지면과 조속히와 나는 랑스로부터 르비아? (으)로부터의? 물을 받으려고 손을 뻗었지만, 랑스는 머리를 숙여 전신을 진동시키고 있고, 세이바? (은)는 세이바? 그리고 진한 머리카락을 억제해 한숨을 붙어 있다.

―― ……아니아니……주요해요, 유석에 주요하다.

「……역시, 시로우는? 에 달다」

, 그럴까……

 


――주요해요, 여기는 역시 1? 하지만 개응이라고 말하는 편이 좋아.

산? 두 명에게 비웃음을 당하거나 등질 수 있거나 했어? 구, 점구랑스로부터? 물을 받은 나는, 그 녀석을 원판의 공방에 납입하려고 문을 열었다.
그리고, 문을 연 직후의 랑스의 대사가 이것이다.? 제나도 일순간, 금방 원판을 두드려 일으켜 1? 세게 치는 유혹에? .

―― 이것은 마녀의 할머니의 저주인가 무엇인가일까?

「1시간 정도로 어째서 여기까지……」

「원판!」

차라리 훌륭하다면 머리를 거절하는 랑스에, 푹무릎을 붙는 세이바?. 그리고 방의??에 무심코? (을)를 올리고 있던 나. 거기는 정말로 지옥의 솥의 바닥이라고 했어? 태였다.
언제나래 세? 에도 정리되고 있다고는 말하기 어려운 원판의 공방이었지만, 오늘은 일의 밖 심하다. 문으로부터 중앙에 있는 작업대에? 구 가는 통로를 제외해, 마루 일면에 1? 지금까지 무엇? 에 끝나 있었다고정도의 양의 마구나 소재가, 마음껏 인반복해지고 있다. 어떻게 생각해도 공방에 있던 선반이나 궤에? 그렇게 없는 양이다. 아무튼 물론, 여기에 있는 선반이나 궤는 외관 그대로의 용량이 아니기 때문에, 제대로 정리하면? 만의 것이겠지만……

――해 주. 여하 해?

「……정리한다. 너도 손? 네」

나는 세이바? 의 항의? 오로, 배에 다시 힘을 써 랑스에? 천민. 물론, 다음에 원판에는 제대로 이야기를 붙일 생각이지만, 원판의 뒷정리가 우리들의 일이라고 생각은? 라고 없다. 거기에 무엇보다, 지금 원판을 일으켜도, 이??의 정리에는 어떤 의미도 없다. 오히려 방해이기도 한다.

「? (은)는 정리에 부자유스러운 사람이기 때문에……」

하지만, 안에 상위해 세이바? (은)는, 푹이라고 낙담해 불쑥 한마디만? 받을 수 있고로, 쓴웃음하면서도 암 동? 좋아 토바 만일 일어서 왔다.

「그, 좋은 것인지 세이바?」

나로서는, 또“시로우는? 에 달다”라고? 찾아낼 수 있는 일 정도? 오 하고 있었으므로, 진한 개에는 조금 박자? 하는 생각이다.

「어쩔 수 없습니다.? (와)과라고 좋아해 어지른 것은 아니라고 생각합니다. 그 만큼 최대한의 시술에서 만났겠지요 」

우도, 그런 생각도 세이바? 의? 수치않다 기울 수 있는에 흘린 한마디로, 완전히 빙해하고 있었다.

――? 에 단 것은 나도 1? 그러니까.

나는 그런? 나무에 쓴웃음하면서, 세이바? (와)과 함께 공방의 뒷정리를 시작하는 일로 했다. 결국, 우리들은? 라는 저녀석에게 달았다는 일인것 같다.

「좋아, 그러면 냉큼 정리왕」

「네, 시로우」

우도, 이것이 끝난 뒤 원판에 충분히??밥등 조생이라고 하자고 것도, 우리들 공통의 생각도의는 말할 것도 없었다.

 


「시로우, 이것은?」

「음……그 녀석은? 하지만 비치는 같은데. 일단 놓아두어, 그 앞의 도구를 한 무더기 가져와 줘. 그쪽은 이 궤에? 만은 두이니까」

이렇게 해 원판의 공방의 정리를 시작한 우리들이었지만, 작업은 꽤 난항을 겪고 있었다.
여하튼, 여기는 일류의 마술사의 공방. 여하에 제자(꺾어지고)와 사용마(세이바? )이니까는 전부가 전부 아는 것이 아니다. 게다가 간단하게 놓여진 도구류가 관(파이프)이나 마술선(패스)으로 여기저기에? 아직 충분한다. 그래서, 우리들로서는 과연 위태로운 것 같은 것에는 손을? 두, 아는 것만을 정리하는 일이 되었던 것이다.

「……이런 물건일까?」

「남아 정리되지 않았군요」

그런데도 어떻게든, 중앙의 작업대 주위를? 해 정리하고 끝났지만, 여기저기에 미착손(언터쳐블)의 도구류를? 해,? 밥 있고의 정리가 되지 않을 수 없었다.

「아무튼 어쩔 수 없어, 냉큼 종원등 처세의 재능왕. 세이바? , 발밑에? (을)를 붙여서 말이야」

「네, 시로우도? (을)를 붙여 주세요」

어쨌든 손을 움직이지 않으면 시작되지 않는다.
우리들은, 다른 장소 동? 에 아직도? 의 기재를 교묘하게 피하면서, 이 공방 마지막 비경, 마술서나? 물건의 밀림화한 작업대를, 문명의 빛으로 개척에 도전했다.

「위……」

간난신고의 끝, 어떻게든 원판이 작업하고 있었어? 의? 굴을 끝낸 나는, 눈앞에 전개된 광경에 무심코 감탄의? (을)를 올려 버렸다.
원판이 정력? 나무 끝날 것이다. 공방안의 도구나 마구를 끌기 시작한 시술도, 이것이라면 납득할 수 있다. 출? , 좀 더 절차 좋게 해 주었으면 했지만……

「왜입니까? 시로우」

등과 감탄하고 있으면(자), 손이 멈추어 있어요와? 있고 질책의? 시선의 세이바? 하지만, 발밑의 장애물을 깡총깡총 피하면서 나의 옆으로 나아가 왔다.

「미안, 세이바?. 조금. 진한 개를 봐 주어라」

나는 그런 세이바? (을)를 손짓 해, 작업대의 일각에 대량의 플라스크가 위태롭게 쌓이고 있어? 를 보도록(듯이)라고 재촉했다.

「이쪽입니까? ……! 시로우, 이것은 설마……」

거기에 있는 것은, 작은 비로? 드의 받침대에 놓여진 일견 무슨? 철도 없는 유백색의? 옥. 하지만, 그 주? 의? 석설이나 주먹2개(살)정도의 길이의 (무늬)격을 보면(자), 세이바? 의 안색이? .

「그렇게, 그 설마다」

그 녀석은 요행도 없고, 상이라고 내가 투영 했어? 돌? (제르렛치)의 말로였다. 원판의 놈, 모조품(가짜)이라고 해도 마법의 설계? (을)를 분해해 의 것이다.

「대담한 일을 하는 것이군요……」

「아, 원판넘어지는 것이다」

우리들은 재차 공방을, 작업대를 바라봐 한숨을 붙었다. 아니나 다를까, 공방안의 마구나 도구는? 지렛대의 일각에? 라고 있다.

「아마 진한 개를 사용했을 것이다」

감탄하고 있는 세이바? 에, 나는 더욱 주? 의 플라스크를 나타내면서 이야기를? 자리수.

「이것은……방금전 시로우가 취급하고 있던 플라스크를 닮아 있네요?」

「아, 도리는 같다. 만물 융화? (아르카헤스트). 그것의 가공 용액이다」

? 돌? 의 설계? 이렇게 말해도, 나가 만든 모조품은 외측만의 가람당이다. 즉 재질이나 구성은 차치하고, 마술적으로는? 생각의? 라고 없는 단순한 물건에 지나지 않았다.
물론, 여하에 원판이라고 해도, 마법의? 생각을 재구축 해 모조품을 진짜에는 할 수 있는 것이 없다. 그러니까 원판은 각종의 만물 융화? (아르카헤스트)의 용액을? 사 해, 일단? 돌? 그것을 용해해, 그? 생각 구조를 분석 첨부하는 것으로, 모조품의 소재 부분으로부터 한없이 진짜에 가까운 물건을“깎기다”(재구축) 한 자리수의 것이다.

「으로, 아마 진한 개가 르비아씨의 몫이다」

더욱 나는, 조금 전 랑스로부터 받은 작은 피대를, 원판의? 구슬의 겨드랑이에 두어? 라고 보였다. 나카에 들어가 있던 것은 여러 가지 색의 6개의? 옥. 아마 무엇인가의 방법식에서 모조품을 2개로 나누어 분? 해 복구 이루었을 것이다.

「즉, 두 명은 마침내 마법으로 도전합니까?」

「거기까지는 알지 않지만, 거기에 가까운 일을 기도하고 있을 것이다. 진한 개등은 이제(벌써)? 물건이 아니다」

모조품이라고 해도, 마법? (으)로부터 깎기 낸 순도의 높은 구성물.? 에 진한 개등은 내가 만든 모조품과는 완전히 다른 것에? 라고 있었다. 지금까지 원판과 르비아? 하지만 온 것을 생각하면, 또 1? 마법으로 가까워지는 시도인 일은 확실할 것이다.

「뭐, 자세한 일은 원판이 일어나고 나서 (듣)묻는다고 하여, 정리의 (분)편을 정리왕」

「네, 시로우」

원판이나 르비아? (으)로부터 진한 개의 이야기를 듣는 것은 그리고. 나는 그렇게 생각해,? 구슬의 주? 에 살펜타와? (와)과 같이 불안정한? 태에 놓여진 플라스크의 군에게 시선을 옮겼다.

「아……」

순간나의 시선은, 겹겹이 쌓인 플라스크군의 일각에 못부가 되어 버렸다.
꼭 중앙? . 이제 마력이 끊어지고 걸치고 있는 것일까, 바닥에 그려진 마법진이 점멸하고 있는 그 플라스크에는……

「아, 그 바보!」

무지개색에 빛나는 만물 융화? (아르카헤스트)의 원액이 휘청거리면서 떠 있었던 것이다.

「이라고와와--동조, 개시(트레이닝? 스? 온)!」

하지만, 머리를 움켜 쥐고 있을 틈은 없다. 나는 당황해 그 플라스크에 달려들면(자), 몹시 서둘러 마술 회로를 열어 마법진으로 마력을 흘려? 응이다.

「……식……」

어떻게든 시간에 맞은 것 같다. 빛남을 취해? 한 마법진을 확인해, 나는 안심 한숨 돌렸다. 괜찮아, 플라스크의 중앙에 떠오르는 액구도, 등 다하고를 멈추고 안정되어 간다.
위험했다. 여하튼 진한 개는“? (이)라고를 녹인다”응이다,? 연플라스크의 바닥은 눈 깜짝할  순간에? 라고 끝낸다. 게다가 회전은? 생각 용액이 찬 플라스크투성이. 다음? 에 찌르기? , 서로 섞였어? 생각이 어떤 결과를 낳을까 라고……생각하는 것만으로 무서워진다.
그러나, 이것으로 또 원판에의 잔소리의 종이? 천민. 저녀석, 원액의 보존? 리 하지 않고? (이)나가 선반.

「시로우!」

「네? 아……」

하지만, 안심했던 것도 잠시동안. 나는 세이바? 의? 그리고 다시 절구해 버렸다.
방금전까지 미묘한 밸런스로 겹겹이 쌓이고 있던 플라스크의 군이, 당장 무너질 것 같게? 라고 있다.
큰일난……이번은 나의 얼빠지다. 그렇다면 살펜타와? (으)로부터 간단하게? 응중의 글래스? 있으면(자) 무너져……

「세, 세이바?!」

「네!」

? 비칠 때가 아니었다. 깜짝? 하지만 붙은 나의 절규에, 세이바? (은)는? 자리에? 네라고 준다. 재빠르게 작업대에? 차 오르기 플라스크를……와 변변치않다.

「아,? 돌 밟지 마!」

「알고 있습니다!」

재매입? 응이다 발부리를 재빠르게 비켜 놓아, 세이바? (은)는 어떻게든 무너져 간 플라스크의 탑을 붙잡아 주었다. ……의이지만.

「시로우, 움직이지 말아 주세요」

? 손을? , 제대로 플라스크의 탑을 누름? 응이다 영? 의? 다리는, 문자 그대로 나의? 어깨에 걸려 있었다……

「원, 알았다……」

(이)라고 해도? 선반. 이래서야 동작이 잡히지 않는다.

――, 상? 깨지 않고 주와왕은 사이 화목한데.

어떻게 한 것일까하고 머리를 움켜 쥐고 있던 것에, 불쾌한 정도당? (으)로 한 언행의 아가, 유연과 작업대 위에 춤추듯 내려가 왔다.

「랑스……너의 눈에는 이것이“사이 화목하다”는 보이는지?」

랑스의 놈이다. 몇시에도? 해 침착성? 연의 태도가 공연히 화가 난다.

――싫은에, 약간의 질투다. 주는나( 나)보다 먼저 왕을 불렀으므로.

「아……그,? 샀다」

그런 말을 들으면   면목없다. 나는 랑스에 솔직하게 사과했다. 확실히 현역을 그대로 두어 전임자에게? (을)를 걸칠 수 있으면(자), 역시? 분이 좋은 걸이 아닐 것이다.

――아, 주요해요. 나( 나)도 어른? 없었다.

좋았다. 랑스도 알아 주었다. 이것으로 한 건……

「시로우!  랑스! 놀고 있는 경우가 아닙니다, 이? 황을!」

낙착해요 꺄 없었다. 나는 세이바? 의 로? 그리고 나에게 돌아가, 몹시 서둘러 랑스에 지시를 퍼부었다.

「, 그렇다. 랑스, 원판을……」

――그렇다면 걱정 무용.

하지만, 아가 되어도 유석은 완벽의 기사. 내가 세이바? (을)를 향해 외친 것과 거의 동시에, 랑스는 원판을 일으키러 가 주고 있었다고 한다.

――볼 수 있어라 주요해요, 마녀전이 왔다.

「……이제(벌써), 뭐야. 갑자기……」

라고 거기에 조속히, 원판의 놈이 공방의? 입에 모습을 나타냈다. 아휴 살아난, 나이스다 랑스.

「아,? ……!」

「원판, 자주(잘)? (이)라고 준,? (은)는……!」

하지만, 나와 세이바? (은)는 흔들흔들? 보고 모여 오는 원판의 모습에, 말을 잃어 버렸다.

「아, 세이바? , 시로우? 어쩐지 재미있을 것 같은 일 하고 있다……」

응으로 한 눈초리, 위태로운 발밑. 원판……너 아직? 노망나고 있는……

「 나도 혼합하세요」

아.
나는 차라리 감탄했다.? 노망나고 있어도 원판은 원판이다. 「혼합하며」가 아니고 「혼합하세요」. 이런 때라도, 입으로부터 나오는 것은 명령형이다.

「……안녕, 알자」

하지만, 그런 현? 도피도, 원판이 생긋 웃으면서 나의 가슴에 마음껏? 겹을 걸쳐 나는 일? 응 할 수 있던 순간, 것의 보기좋게 날려 버려지고 있었다.

「과 원판!」

「시, 시로우!」

어깨에 세이바? , 손에 플라스크, 그리고 가슴에 원판. 불과에? 초. 그것이 한계였다. 아, 절 상속인(아버지) 미안하다. 나는, 끊은 두 명의 여자 아이마저 지지하지 못했다.

「꺄!」

「! 세이바?!」

「은, 네!」

마침내 무너진 우리들의 인간 피라미드. 하지만, 그런데도 단념할 수는 없다. 나는? 노망난 원판을 어떻게든? 팔로 껴안아 감싸면서, 마지막 희망을 세이바? (을)를 빙자했다.

―― 속! ――

다음의 순간? 있고 섬광이 달렸다.
작업대에 밀어 넘어뜨려지고 대단한 등을 친 나였지만, 일순간만 지금의? 황을 잊고 세이바? 의 모습에 넋을 잃고 봐 버렸다.
밸런스를 무너뜨렸을 때, 아무래도 다만 흘러내리는 것이 아니라, 굳이 나의 어깨를 차 자신이 바라는 궤도를 그리도록(듯이) 조정한 것 같다. 무너지는 플라스크를 다음? (와)과? 있고 인상가슴에 껴안아 가는 세이바?. 좋아, 이것이라면 어떻게든 무사하게 잘라? 그렇다.

「시, 시로우! 플라스크를!」

어떻게든 되는, 그렇게 생각해 안심 한숨 돌리려고 했더니, 세이바? 하지만 눈을 보고 열어 나를 향해 절규? (을)를 올렸다.
플라스크? 그렇다면 지금 세이바? 하지만 마지막 한 개를……

「아……」

이상하게 생각해, 넘어진 채로 목을 굽혀 세이바? 에 시선을 보내? 하지만 붙었다.
? 날아 하는 세이바? 라고 원판을 가슴에 껴안아 넘어지면서 올려보는 것 같은 형태가 된 나의 꼭 중간? . 그래, 작업대 위, 예의? 구슬의? 상? 다.

―― ? ……

빙글빙글 회? 하면서 떨어져 가는 1? 의 플라스크가, 마치 스로? 모? 숀과 같이 나의 눈동자에 비쳐 있었다.
큰일난, 원판을 껴안았을 때에, 손에 가진 플라스크 던져 던지기기다렸다!
그런데도, 아직도 시간에 맞는다. 나와 세이바? (은)는, 동시에 그 플라스크에 손을 뻗었다.
그래, 확실히 시간에 맞았을 것이다.
만약, 플라스크가 회? 하지 않고 떨어지고 있으면(자) 충분히 시간에 맞았지. 혹은 플라스크의 내용이 저런 물건이 아니었으면……

―― 령……

하지만, 플라스크는 회? 하고 있었다. 그리고 플라스크의 내용은, 만물 융화? (아르카헤스트)의 원액이라고 말하는 녹도 아닌 액? (이었)였다.
바닥에 그려진 중력주에 의해 고정되고 있던 액구는, 회? 의 원심력에 의해 좌지우지되어 주를 풀어 버려 그대로 플라스크의 측면을 녹여, 작업대에 놓여졌어? 구슬로 향해 호를 그려 간다.

「개!」

「구!」

더욱 만물 융화? (아르카헤스트)(은)는, 나와 세이바? 하지만 편 손도 융 보내 궤도의 종착점,? 구슬에 들이마셔? 라고 갔다.

―― ?! ――

그리고 섬광.
융 보낸 액에? 구슬이? 의 것과 거기에 나와 세이바? (이)가 편 손바닥이 덮여 가는 것과 거의 동시에, 나와 세이바? 의 손바닥을 틈이 나도록(듯이) 칠색의 섬광이 솟아올라, 순식간에 공방전? (을)를 소포? 응으로 갔다.


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대? 오랫동안 기다리게 해서 죄송합니다. Fate/In Britain의 신작입니다.
마법으로 도전하는 원판씨와 그것을 지지하는 사? 훈과 세이바? 씨.
그렇다고는 해도, 마법으로 도전한다 라는 큰일에 도전하고 있는 비교적은, 원판씨는 언제나 대로의 것이다다 누락와 같습니다. 시로우와 세이바? 근심? 하고 있습니다.
그 근심? 하지만 보답받는지 아닌지, 후편을? 배어 주세요.
「다중 차원 굴절 현상(키슈아? 제르렛치)」라고 하는 것이 있다.
원판의 집에 있어서의 마술사로서의 선조로 해, 마법사인 키슈아? 제르렛치? 슈바인오? 그사. 진한 개는, 이 마법사가 사용하는 제2 마법--무한하게 나란히 늘어서 있어? 행세계를 자유롭게 제어하는 칙--의 한 형태로, 이것 또 원판의 집에 숙제로서? 얻을 수 있던 과제,? 돌? 에 의해 제어할 수 있는 마법이다라고 말한다.
덧붙여서 이 마법의 전제가 되어 있는 「평행 세계」. 우리들의 세계와 거의 동일해, 아주 조금만 선택한 선거? 지가 차이가 난 세계라고 하는 것은, 거울과 같이 무궁에 존재하고 있는 것 같다.
즉, 「다중 차원 굴절 현상」이라고 말하는 것은, 지금 현재 우리들이 살아 있는 「이 세계」라고 대부분? 없는 다른 「근처의 세계」라는 사이에 구멍을 뚫어 그쪽의 물건을 마음대로 사용해 버릴 수 있는 칙의 일이라고 한다.

우도, 원판이나 르비아? (을)를 해도, 그런 일을 그렇게간? 에 출?  것이 아니다.
그런데도 어떻게든 「근처의 세계」를? 구일 정도까지는 가고 싶으면 필사적으로 노력해, 점똥의? 입까지는 가까스로 도착했다고 한 참 같다.
그리고 원판들은 이번, 그? 입으로부터 1? 안으로 밟아? 시술을 실시해……? (이었)였다.

“? (이었)였다”라고 말하는 것은. 그것이 약간의 착오로, 다른 결말로 향해 버렸기 때문에다.

 

 

 


왕님의 검 
「? 의 왕」 -King Aruthoria- 제9이야기 후편
Saber 

 

 

 

「시로우! ?! 무사합니까!」

어느 정도 의식을 잃고 있었을 것이다. 나의 눈을? 한 것은, 그런 세이바? 의? (이었)였다.

「아, 어떻게든……개!」

일어서자 손을 붙은 곳에서 손바닥에 아픔이 달린다. 당황해 당겨? 해 보면 거기에는 깨끗한 구멍이 된 상처와 피투성이의? 옥. 아무래도 무의식가운데? 보고 취하고 있던 것 같다.

「……이제(벌써), 였어요?」

불과에? 라고, 나의 팔 중(안)에서 원판도 몸를 시작했다. 이번은? 시치미를 떼지는 않는 것 같고, 조금(뿐)만 기분이 안좋은 눈초리였지만, 나를 향해 송곳으로 했어? 있고 시선을 배웅하고 온다.

「아니, 나에게도 전혀. 세이바? , 그때 부터 어떻게 되었다?」

그렇다고는 해도, 나도 의식을 잃고 있던 것으로 전혀 모른다. 나는 재차 성공해, 원판을 마루에 구제하면서 세이바? 에게 물어 보았다.

「그때 부터이고 뭐고, 일순간만 이상한 미츠에 둘러싸인 것만으로. 나에게도 전혀……」

하지만, 세이바? 도 고개를 갸웃할 뿐(만큼)이다. 그렇게 말해져 재차 바라보면(자), 확실히, 별로? ? 아이는 볼 수  없다.? 깨었는데라고 말하면, 아마 세이바? 하지만 일어설 때 정리했을 것이다, 작업대 위에 플라스크의 열이 제대로? 응으로 있는 일 정도다.

「어?」

아니, 그 만큼일까? 어쩐지 공방전? 하지만 묘하게 소해 없는가?

「아 이제(벌써), 갑자기 두드려 오코시 고사 물어라고 무슨? ? 빈틈없이? 명해 주었으면 하네요」

하지만, 그렇게 생각해 한번 더 바라보려고 했더니, 원판에 목을 거머쥐어져? 정면에서? 찾아낼 수 있어 버렸다. 아무튼 말하고 싶은 일은 알지만, 이것뿐은 듣고도 무시함이라면 없다.

「? ……」

「조금 대라고, 원판」

다행히? 해는 없었던 것 같지만, 이렇게 된 것은 누구의 탓입니까?
나와 세이바? (은)는 시선에 그런 생각을? 째, 반대로 원판을? 보고 돌려주었다.

「, 뭐야……」

「뭐야, 가 아닌이겠지?」

「, 그렇다면 아, 공방을 어지르고 있을 뿐이었던 일이라든지, 랑스를? 라는 빌린? 일은? 샀다고 생각하고 있는 원이야……」

편, 그쪽에 대해서는 확신범, 아니 고의범이었다는 (뜻)이유인가.

「그것은 좋다」

그래, 거기에 붙어 나도 세이바? 도 결착이 붙어 있다.

「랑스의 일은 내가 그대로 두었던 것도 안 되고, 공방의 뒷정리도, 이 대로 거의 끝났다. 그 후의 일이다」

나는 깨끗이 정돈된 공방? (을)를 지시하면서, 한번 더 원판의 얼굴을? 나무? 응이다.

「에?」

하지만, 원판은 멍청히 한 얼굴로, 나와 세이바? 의 얼굴을 교대로 응시할 뿐(만큼)이다. 그런가 하는가, 너? 네라고 없다……

「? , 그것보다 이 공방에 들어 왔을 때로부터의 일을 생각해 내 받고 싶다」

「어와 그 거 랑스의 놈때문에 일어나고 나서라는 일?」

「그렇다」

「음……」

잠시는이라고마? 쿠를 띄워, 사랑스럽게 목을 기울 수 있고 있던 원판이었지만, 나와 세이바? 의 무언의? 힘에, 유석에 조금(뿐)만??된 것 같고, 손꼽아헤아림? 네면서 자신의 행동을 반추 하기 시작했다.

「저녀석때문에 일어나……여기에? 등, 사? (와)과 세이바? 하지만무슨 인간 피라미드같은 금년이라고라고, 재미있을 것 같다는……!」

여기서 점구 생각해 낸 것 같다. 원판은 끝냈다고(뿐)만에 손을 입에? (이)라고, 작업대의 플라스크, 세이바? 의 얼굴, 나의 얼굴과 차례로 시선을 방황 조생 냈다.

「어와……혹시……나의 탓?」

「그렇다!」
「그렇습니다!」

「 , 미안」

머리를 움켜 쥐어 사과하는 원판을, 우리들은 잠시의 사이? 보고 자리잡고? (어) 주었다.

 


「어쨌든 미안. 나의 부주의였던 원」

「아무튼,? 일어나기였고」

그렇다고는 해도, 심? 라고 고개를 숙이는 원판을 앞에 두고, 나도 세이바? 도 몇시까지도? 응으로 있을 수는 없었다. 폐를 끼치면(자) 솔직하게 사과하는, 실패하면(자) 반성한다. 이것도 또 우리들의 사이에서의 약속이었다.

「곳에서, 사?. 조금 전의 빛이지만, 였는가 해들?」

「원판, 그쪽은 우리들이 사과하지 않으면 안 된다」

되면 이번은 여기의 차례다. 나는 랑스가 르비아? (으)로부터의? 물을 가져왔는데로부터, 공방의 정리, 플라스크의 절벽 붕괴, 그리고 마지막에 어이없이 진 플라스크로부터 흘러넘치고 떨어진 만물 융화? (아르카헤스트)(이)가, 그? 구슬에 닥친 일까지를 원판에? 명 했다.

「……그러면, 나의 돌은?」

「그렇다면 여기에 있다. 취 못하고 무사 같은데……」

유석에, 이야기의 마지막 무렵에는 원판의 안색이? 라고 있었다. 그러니까 나는, 조금이라도 안심시키려고 손바닥에? 기다리고 있었어? 구슬을 전했다.

「사? ……」

하지만 원판은 돌을 가진 채로, 안심은 커녕 이번은 불안한 듯한 얼굴이 되어 나의 얼굴을 응시해 온다. (은)는이라고?

「상처났어?」

「네? 아 말, 액을 받으려고 했지만 용이나 기다렸다」

아무래도 나의 상처를 걱정해 준 것 같다. 대? 고맙지만, 그런데도 결국 저런 일이 되어 버렸던 만큼, 어떻게도 꺼림칙하다.

「그래, 그러니까 원액이 아니게 되어……. 고맙습니다 사?. 돌은 무사히 보고 싶다」

원판은 그렇게 말하면(자), 손수건을 꺼내 나의 손바닥을 묶으면서 치유의 주까지 걸어 준다. 어쩐지, 이렇게……굉장히 간지럽다.

「아니, 감사받는 까닭은 없어. 그 뿐만 아니라 사과하지 않으면 안된다  정도다. 내가 확실히 플라스크를 가지고 있으면, 구석로부터 이런 일은 되지 않았다」

「 그렇지만, 그 거 내가 안아 붙었기 때문에겠지? 역시 나의 좋은 평판」

「그것은 조금 전 결착부? 나의 사좌다」

「사? (은)는 완고하구나……」

「……원판이라도 같겠지?」

서로1? 도? 들않다, 마침내? 서로 보게 되어 버린 나와 원판. 하지만, 다음의 순간 서로 분출하고 있었다.

「바보 같은, 서로? 라는 일로 합시다」

「이다, 무엇이나 라고 응일 것이다?」

본? 에 바보 같은이다. 우리들은 한 바탕 서로 웃은 후, 몇시 밖에 어깨를 서로 기대어 서로 응시하고 있었다.

「사? ,? ……」

라고 여기서 세이바? 의? 하지만 나누어 갔다 왔다. 해, 큰일났다!

「세, 세이바?. 망라고 익살떨고가 아니어!」

「, 그래요. 따로 장난해 아는 익살떨고도 아니어?」

당황해 세이바? 에 다시 향해 필사적으로 변명하는 나와 원판.

「아니요 그렇지 않습니다」

하지만 세이바? (은)는 우리들의 그런? 아이를 1? 보고야말로 했지만, 1개(살)기침? 있고 한 것만으로? 지인 표정에? 와 작업대의 일각을 지시했다.

「……네?」

「……에?」

일까? 세이바? 의 손가락끝에 이끌리도록(듯이) 시선을 옮긴 우리들은, 순간, 말을 잃어 얼굴을 보류해 버렸다.

「그러면, 저것은 1? 무엇이겠지요?」

암 동? 에, 만물 융화? (아르카헤스트)에 투화 되어 피로 물든 세이바? 의 손가락끝이 지시한 장소, 조금피로 더러워진 비로? 드의 받침대 위에는, 요행도 없게 내가 손에 든 것과 같은 유백색의? 구슬이 놓여져 있었으니까.

 

 

「어땠어요? 원판」

너무 예상외의 출? 일에, 잠시? 연과 상판 맞추고 있던 우리들이었지만, 몇시까지도 그런 일은 하고 있을 수 없다. 어쨌든, 1? 어떻게 되어 있는지, 원판이 조속히 조사하는 일이 되었다.

「그것이, 조금 이상해.? (분)편과도 진짜 같아, 약간 다른데……」

하지만 결과는, 거의 동일이라고 말하는, 이익? 나누기의 짚 없는 것이었다.
우도, 돌그 자체가 약간? 화한 일은 이상하지 않다고 말한다. 확실히, 나와 세이바? (이)가 섞였어? 생각 용액을 받아, 저런 빛을? 했던 것이다, 원인 채라고 말하는 (분)편이 이상할 것이다.
뭐든지, 처음은 나의 피를 녹인 용액을 감싼 일로, 일종의 투영 같아 보인 복제가 만들어졌는지라고도 생각한 것 같지만, 그렇다면 완전히 같게 될 것이므로, 그??(은)는 제외는 일이 된 것 같다.
거기에 뭐, 무기가 아니고일지도??의? 물건을 여기까지 완벽하게 복제는, 나에게래 출? (은)는 하지 않는다.

「그러나, 그럼 왜 이러한 일이?」

「역시, 용액을 감싼 일로 어떠한 반? 하지만 일어났다고 생각한다. 조금 본격적으로 조사해 봐요」

그렇게 말하면(자), 원판은 일어서 본격적인? 사를 위해서(때문에), 그 근방안의 도구를 인? 나무 돌리기 냈다.

「조금 대라고, 원판」

「무엇을 갖고 싶은가 말해 주실 수 있으면, 저희들이 준비합니다」

이대로는, 또 조금 전의 반복된 실패다. 나와 세이바? (은)는, 원판을 말리려고 당황해 일어섰다.

――주요해요.

라고 뒤로부터 원판을 새의 두 날개가  겹쳐지는 곳 매고 했더니, 공방의 입구로부터 의아스러울 것 같은 표정의 랑스가 날아? 응 할 수 있었다.

「뭐야 랑스. 지금 조금 취해? 응 나오는데」

――? (은)는 조금? 에 걸리는 일이 있어서 말이야,? (이)라고 갖고 싶다.

「? (은)는 지금, 원판의 파? 활동을 저지하고 있는 곳이지만, 후는 변변치않은가?」

――, 그럼 주요해요. 좀? 를 바라봐 주었으면 한다. 이상하다고 생각하지 않는인가?

랑스의 말에 나는, 파? 활동은 뭐야! 이렇게 말하는 원판의? (을)를 오른쪽에서 왼쪽으로 흘리면서,? 를 바라보는 일로 했다.
음……별로? 곳은……어?

「공방이……너무 제대로 하고 있습니다……」

암 동? 에, 랑스의 말에? 라는 주위를 바라보고 있던 세이바? 하지만 부진 그렇게? 구. 그런가, 세이바? 도 역시 그렇게 생각할까.

「확실히 그렇다. 조금 전 정리했을 때는, 원판이 마음껏 출? 눈에 도구를? 응으로 질겅질겅이었지만……」

「지금의 여기는, 마치 사? 인가 내가 손? 인가와 같이 제대로 하고 있습니다……」

「……정리가 부자유스러워? 산 원이군요……」

취 못하고, 원판의? 말은 들은체 만체 해 랑스에 그? 를 물어 보면, 랑스도 똑같이 느껴 다른 방을 돌아 보고 있었던 것이다라고 말한다.

「그래서, 어땠어요 응이야?」

――? 때에 보이는 편이 빠를 것이다.

우리들은,? 도 투덜투덜불평하고 있는 원판을 질질 끄고 리나 무늬, 랑스의 말에? 있고 다른 방을 봐 회일로 했다.

 


「본? (이)다, 너의 우리가 없다」

――그것 만이 아니다. 나(내)가 모았어? 집물은 커녕 날개 한 개 떨어지고 있지 않아.

자신이 있던 흔적이 없다. 랑스에 그렇게 (들)물어 확인을 위해서(때문에)? 나의 방에는, 확실히 랑스가 있었다고 해? 하지만 무엇하나? 라고 없었다. 게다가, 그것은 가지고 사라져졌다든가 사라졌다든가는 아니다. 최초부터 그런 물건은 없었다고에서도 말하고 싶은 것 같은? 태다.

「원판, 여기는?」

「역시 랑스의 식기는 없었어요. 거기에……세이바? 의 식기도」

거실에? 라고,? 방을 조사해 주고 있던 원판의 대답도 1? (이)다. 그 뿐만 아니라 여기에는 세이바? 의 물건마저…… 네?

「……라고?」

조금 기다려라! 세이바? 의 것도 없어? 나는 몹시 서둘러? 방으로 날아? 와 닥치는 대로 식기장을 열어 돌았다.
없는, 없는, 없는, 없는, 없는, 없다……
나의 식기, 원판의 식기, 손님용의 식기, 특별한 때를 위한 소중한 것나무의 식기. 그렇게 말한 것은 전부 제대로 있는데, 세이바? (와)과 랑스의? 의 물건만 기려 전혀 사라지고 있다.
아니, 다르다. 선반은 제대로 정리되고 있고, 비어 있는 스페? 스가 있는 것도 아니다. 그래, 전혀 최초부터 그런 물건은 없었는지와 같이……

「1? 어떻게 말하는 일이야!」

「고함치지 말고, 사?. 조금 생각해 보기 때문에」

무심코 고함쳐 버린 나를, 원판의 랭? ? 하지만 차단한다. 우도 원판도 평? (은)는 아니다. 입가에 손을? (이)라고, 무엇인가 생각? 응으로 있는 표정에는, 억제해 있지만 근심? (을)를? 보고 잡은 것 같은 근심? 하지만 엿볼 수 있다. 덕분에 약간이지만 침착하는 것이 출? . 그렇다, 우리들이 초조해 해 어떻게 해? 이? 태로 제일 불안한 것은……

「세이바??」

라고 거기에 자신의 방을 확인하러 가고 있던 세이바? 도? 라고 왔다. 무엇? 인가 발밑이? 속무두, 얼굴도 조금 푸르다. 라고 하는 것은……

「네……나의 방은 헛간이 되어 있었습니다……」

역시……
나와 원판은, 잠깐 얼굴을 중매 깨면(자) 서로? 나무 맞았다. 세이바? (은)는 반드시 불안하게 되어 있다. 우리들이 지지하지 않으면.

「세이바? , 괜찮다. 우리들이 어떻게든 한다」

「그래요 세이바?. 이것은 틀림없이 조금 전의 사건이 원인이야. 뭐라고 하고서라도 해결해 보이기 때문에」

「시로우? ??」

하지만, 세이바? 에? 모인 우리들의 언동은, 세이바? 하지만 의심스럽게 생각하는 만큼 무엇? 인가 안절부절 못한 것이었다.
그런 세이바? 의 표정으로 우리들은 나에게 돌아갔다. 뭐 하고 있어? 우리들이 초조해 해 어떻게 해? 이래서야 오히려 세이바? 하지만 불안으로 되어 버린다. 어째서 이렇게……
그렇게 생각해 원판과 얼굴을 맞대어? 하지만 붙었다. 아무 것도 아니다. 불안한 것은 우리들의 (분)편이었다. 세이바? 의 흔적이 없는 이 방을 눈의? 충분해로 한 일로, 세이바? (을)를 잃는 불안하게? 라고 있었던 것이다.
그러니까일 것이다, 우리들은 그 때 세이바? 하지만 돌려준 웃는 얼굴에, 본? 에 격려할 수 있었다.

「 나는 괜찮습니다. 시로우,? , 고맙습니다」

「아, 아니……응, 좋다 별로. 일단 침착하자……그렇다, 차라도 엄같은가」

「, 그렇구나, 나도 조금 조사 해 온다」

그것은 매우 깨끗해, 매우 상냥해서, 매우 따뜻한 웃는 얼굴이었다.

 


「대? 알았어요. 아무튼 추측이지만」

세이바? 의 웃는 얼굴로? (을)를 고쳐, 홍차를 넣어 중단했더니, 공방이나 자기 방을 인? 나무 돌리고 있던 원판이? 라고 왔다.

「빨랐다」

「응, 역시 조금? 노망나고 있었던 보고 싶다. 침착하고 생각하면, 그렇게 어려운 일이 아니었어요」

그렇다고는 해도, 홍차 한 잔엄사이에 알다니 굉장한 물건이라고 (들)물어 보면(자), 원판은 손에 가진 앨범이든지 수첩이든지를 겨드랑이에 두어, 거실의 소파? 에 걸터앉았다.

「그래서, 1? 무슨 일이었을까?」

「“여기”쳐 세이바? 의 없는 세계야」

세이바? (으)로부터 홍차를 받으면서의 원판의 무엇? 없는 말. 나는 무심코 숨을 삼켰다.

「조금 대라고, 무슨 일이야!」

「침착하세요, 사?. “ 나들”의 세이바? 하지만 없는 것이 아니기 때문에」

하지만, 기세? 응이다 나는 원판에 탁 제지해져 버렸다. 묻는 것 세이바? 도? 주위 표정이지만 어두움은 없다. 어쩐지 예측하고 있던 것 같은 얼굴이다.

――과연, 「다중 차원 굴절 현상」인가……

거기에, 암 동? 세이바? (와)과 원판의 얼굴을 교대로 응시하고 있던 랑스의 의식이 흐름? 응 할 수 있었다.

「“다중 차원 굴절 현상”?」

「그렇게, 즉 여기는 세이바? 의 없는, 정확하게 말하면 세이바? 의 없게 되었어? 행세계는 일이군요」

그런 랑스의 말을 반추 한 나에게, 원판이 자주(잘) 출? 했다고 겨드랑이에 둔 수첩을 전해 온다.

「뭐야, 이것?」

「일기, 라고 말할까 메모같은 것이야. “성배??”의 때의 것」

그렇게 말하면서의 원판에 나타난 페이지에는, 확실히 그? 있고의 기? 하지만 기록되고 있었다. 아? 체? 의 소환, 마모루궁저에서의 나나 세이바? (와)과의 출? 있고,??의? 실아? 체? 의 배반해, 마지막 결정?. 그리고 근무를 완수한 세이바? 하지만…… 네?

「원판, 이것……」

「, 나들의 기억과 다르네요」

나의 말에, 원판은 더욱? 나무를 이라고 시선을 떨어뜨린 나의 손으로부터 수첩을? 나무 취하면(자), 패턴이라고 닫고 말을? 자리수.

「여기는 세이바? 하지만 그 뒤에까지? 들 하지않고서 사라져 버린 세계. 아무튼 이 집을 보는 한, 나와 사? (은)는 륜돈에? 비치는 것 같고, 그 이외는 남아? 라고 없는 것 같지만」

더욱 원판은, 왜일까 랑스의 일을 1? 보고 하고 나서 우리들에게 시선을? 했다.

「잡어개는, 다른 세계라고 말하는지? 그렇지만 어째서?」

「그러니까, “다중 차원 굴절 현상”? 사? , 알고 있었던  것이 아닌거야?」

「아, 아니……그……」

너 무슨 말해? (와)과 눈썹을? 째라고 강요해 오는 원판. 어쩐지, 이렇게 랑스의 말을 흉내 했을 뿐입니다는 말할 수 없는 분??(이)다……

「과연, 즉? (은)는 그 돌을 사용해.? 돌? (을)를 재현 하려고 하고 있었군요?」

거기에 지금까지? 라고 있던 세이바? 하지만,? 오면서 나누기? 응으로 주었다.

「아, 거기까지 대사는 생각하지 않았어요.? 돌? 의 종류감으로, 근처의 세계를? 차면……는 위였지만」

「그것이, 그 사고로 이런 일로 되어 버린 것인가」

「, 그러한 일이군요」

아마, 나의 조성이 원판의 가계로서 인식되어 영? (세이바? )의 조성과 화합해 세계에 구멍을 뚫어, 우리들을 이 세계에 던져? 응으로 끝낸 것은 아닐까 말한다.
거기까지 (들)물어 점구나도 이해할 수 있었다.
즉 원판이 하려 하고 있던 마법에의 도? 하지만, 우연히 우연히가 겹쳐 완전히 다른, 그래서 있어 일종의 마법 같아 보인 현상을 일으켜 버렸다고 하는 일인것 같다.

「현? (은)는 알았습니다. 그래서, 지금부터 어떻게 합니까?」

「물론, 나들 원 있던 세계에? 원이야」

세이바? 의 질문에 원판은 명확하게? 천민. 그것은 그럴 것이다. 제일 이 세계에래 나나 원판은 있었을 것. 우리들과 바뀌었는지, 그렇지 않으면? 에 지금 이 시점에서 여기에 없는 것뿐인가, 혹은 우리들에게? 그라고 다른 무엇? 게 날아갔는가. 그것은 모르지만, 몇시까지도 여기에 있을 수는 없다고 것도 일? (이)다. 우리들은 이 세계의 이단자다. 무엇을 일어날까 안  것이 아니다.

「그……출? 의 것인지?」

하지만, 그방법은의가 나에게는 보고? 조차 붙지 않는다. 여기에? 기다려도 일도, 본? 완전하게 이해하고 있다고는 단언할 수 없는 곳이 있다.

「해 보지 않으면 알지 않는다. 그렇지만 힌트는 있어요」

우도, 유석에 원판은 나와는 다른 것 같다. 예의 2개의? 구슬을 꺼내, 서서히 해? (을)를 시작했다.

「이 2꼬집고. 조금 전 조금 깎아 확인했지만, 기본적으로 같지만? 생각 구성에 약간 차이가 있었어」

「어떤 차이야?」

「응, 르비아로부터 받은 돌 있었겠죠? 나들의??그럼, 나의 돌을 기석에, 르비아의 돌을 일종의 안테나로 해 각각 다른 평행 세계에의 라인을 끌어당기려고 생각했어……」

지금, 이 2개의? 구슬중1개(살)에는, 그 때 르비아? (으)로부터? 있던 돌안의, 어떤 하나의? 생각이 혼재하고 있다고 하는 일인것 같은 것이다.

「아마 구리? 인 (분)편은 나들의 세계의 돌. 그리고, 여기의 섞인 (분)편은 이 세계에 있던 돌이군요」

원판의 추측에서는 그? 빛의 순간, 여러가지의 우연히보다 “다중 차원 굴절 현상”과 같은 현상이 일어나,? 측을 위한 라인 뿐만이 아니라 르비아? 의 돌의? 생각까지를 여기의 세계에 날려 버린 것은 아닐까 말하는 일인것 같다.

「그것이, 만물 융화? (아르카헤스트)의 영향으로 여기의 기석에 융합해 버려서, 기석끼리의 공명으로 구멍이? 하지만은 나들 마다 여기에 날아갔다라고 생각해」

「그래서, 어떻게? 응이야?」

「종류감의 역용을 사용하려고 생각해요」

우리들이 여기에? 이유는 알았다. 하지만, 나에게는? (분)편은 전혀 보고? 하지만 붙지 않는다고 물어 보면(자). 원판은 섞이고 있다고 하는 편의? 구슬을 지시해? 명을? 자리수.

「진한 개는 여기의 세계의 돌에, 나들의 세계의 돌이 섞였어? 태군요? 즉 돌은 지금의 우리의? 태그 자체야」

우리들이 지금 이 세계에서 안정되어 있는 것은, 이 돌에 종류감 하고 있기 때문이라면 원판은 유추 했던 것이다.

「과연, 그러면 그래들 르비아씨의 돌의? 생각을? 보풀……」

「, 우리의 존재는 이 세계에서 불안정하게 된다. 그리고, 그것을 여기의 우리의 세계의 돌에 녹고? 다투면……」

「종류감의 작용으로 원의 세계에 내던져지는 것인가」

「그러한 일. 물론, 평행 세계 이동은 터무니 없는 것 하자고 이니까, 보조를 위한 시술은 단단히 굳히지 않으면 안된다 지만」

그것은 그럴 것이다, 다만 도리만으로 마법으로? 구라면 주선은 없다. 나는 원판의 얼굴을 한번 더? 정면에서 다시 응시했다.

「출? 의 것인지?」

「도리 뿐이라면 주저 했겠지요」

그런 나의 의문에, 불과에 어깨를? 째라고 쓴웃음해 보인 원판이었지만, 다음의 순간 그 눈동자에 자신을 넘치게 해 단언.

「 그렇지만, 우연히는 말해라? 때에 나들은 이렇게 평행 세계 이동을 했다.? 적이 있는 이상, 한 번 구멍이 열린 이상 나는 완수해 보여요」

훌륭한 것이다. 1? 의 주저도 없다. (이)라고 하면 나가 하는 일은 1개다. 나는 암 동? 에 원판을 가만히 확인하고 있던 세이바? (와)과? 나무 있었다.

「? 하지만 한다고 한다면 반대는 없습니다」

「아, 뭐든지 말해 줘. 우리들이 도울 수 있는 것이라면 뭐든지 하겠어」

「고맙습니다. 사? , 세이바?」

이렇게 해 우리들은 우리들의 세계에, 세이바? 하지만 분명하게 있는 세계에? ? 에, 마법이라고 하면(자) 도 아닌 사업에 도전하는 일이 되었다.

 


「원판, 만물 융화? (아르카헤스트) 할 수 있었어」

「? , 제 쪽은 언제라도」

「응, 나도 준비 완료. 그러면 시작해요」

우리들은 그리고, 공방안의 기재나 도구를? 동원해, 대활약으로 시술의 준비를 갖추었다.
여하튼 여기는 별세계, 결국은 타인의 물건은 것으로, 나로서는 이러한 도구류를 마음대로 사용하는 것은 조금(뿐)만 저항이 있었지만, 원판에 말하게 하면(자) 나의 물건을 내가 사용해 무엇이? 말해 일인것 같다. 어쩐지 궤변 냄새가 나기도 하지만, 키에 배는? 얻을 수  없다. 허키, 이 세계의 원판.

「――――Anfang(세트)」

그리고 시술이 시작되었다.
방법의 규모 그 자체는 그렇게 크지 않다. 기본은, 원판과 르비아? 하지만 실시하려 하고 있던 시술에, 나와 세이바? 의 피를 녹여 만든 만물 융화? (아르카헤스트)의? 생각 용액을 더하는 일로 복구 이룬 것으로, 방법에 필요한 진이나 구성 그 자체는, 원? 돌에 조각해 있다 한다.
생각해 보면, 우리들이 여기에 날아간 사건자? , 그렇게 말한 준비가 있었기 때문에 일어난 것일 것이다.

「――Einmal kehren wir heim. (단 한번  ? 들 응)――Doch anders wird niemals Ein Ziel erreicht. (지금은 다만 이것만을 요구하지 않아)」

원판의 주가 진행된다. 우선은 기석으로부터의 르비아? 의 돌의? 생각 분리다.
나와 세이바? 하지만 숨을 죽여 지켜보는 중, 원판은? 손에 가진 플라스크로부터, 기석으로 향해? 게나와 세이바? 의? 생각 용액을, 방울져 떨어지게 해 간다.

「네?」

그 순간, 원판의 놈이 갑자기 주를 멈추어 소엉뚱한? (을)를 올렸다.

―― ?! ――

동시에 그 때와 같은 무지개색의 섬광이 솟아오른다. , 조금 기다려라! 이런 일은 예정에 없어!

「원판!」

「?!」

당황해 원판에? 모였을 때에는, 우리들 전원, 다시 그 섬광에 싸여 버리고 있었다.

 


「?! 시로우!」

「나는 무사하다. 원판!」

섬광은 일순간. 이번은 나도 의식을 잃지 않았다.

「……」

원판도 무사와 같다. 다만? 자리수 같은 얼굴로 우뚝서고 있어? , 지금의 사태가 완전하게 예상외의 출? 일도 일을 엿볼 수 있다. 이것은 변변치않다. 나는 원판의 어깨를? 보고 마음껏 고함쳤다.

「정신차려! 원판!」

「……네? ……아……응」

나의 로? 그리고 점구나에게 돌아간 원판의 얼굴이, 순식간에 푸르게 되어 간다.

「, 였던 것……지금의……」

「이상한 일이 오코시 여기 기다려도 것은 확실하다. 어쨌든, 무엇이 일어났는지 확실히 확인하자」

「, 그렇구나.? 비칠 때가 아니었다」

역시 진한 개는 기습에 끼고 약하다. 하지만, 동시에 변환의 빠름도 원판의 장점이다. 이렇게 해 한때에만 지지해 주면, 곧바로 회복해 준다.

「시로우,?」

――주요해요.

라고 거기에 세이바? (와)과 랑스의 희미하게 긴장했어? 하지만 영향을 주어? .

「어떻게 한……?」

그래서? 하지만 붙었다.
지금, 우리들이 있는 것은 원판의 공방일 것이지만, 그것이 묘하게? 있고 것이다.

「조금 보고 온다」

아무래도, 우리들은 또 다른 세계에 날아가 버린 것 같다. 적어도 조금 전의 세계나, 우리들의 세계가 아니다. 나는 빠른 걸음으로 공방을 뒤로 해, 집안을 확인해 회.

「시로우, 어떻습니까?」

「……역시, 여기는 집이 아니다」

세이바? 의 걱정일 것 같은? 에 맞이할 수 있어 공방에? 라고 온 나의 얼굴은 조금(뿐)만 푸르렀다고 생각한다. 여기는 확실히 륜돈인 것 같았지만, 우리들의“원판저(집)”는 아니었다.
아마, 우리들이 살고 있던 것과 같은 아파? 트먼트라고는 생각한다. 하지만, 방? 도 전? 의 스페? 스도 겨우 반이라고 말한 참이다. 더욱 말하면, 어떻게 봐도 여기에는 한사람 밖에 살지 않았었다.

「미안 사?. 나착각 했다. 이것 보며」

거기에 원판이,? 주위 표정으로? 보고 모여 왔다. 손에는 예의? 옥. 나는 그것을, 다만 촉구받는 대로 받고 있었다.

? 사? 에도 안다고 생각하지만, 붉은 반사가 조금 전의 르비아의 돌의 흔적이군요. 거기에 푸른 반사가 더해지고 있지?」

확실히, 유백색이었다 그 돌에는, 희미한 붉어? 반사와 푸르러? 반사가 더해져, 무엇? 인가 신비적인 색조를 자아내고 있었다.

「아마, 이것이 우리의 세계의, 사? 하지만 가지고 있었던 (분)편의 돌이군요. 나의 추측은 잘못했다. 라인을? 라는? 옮겼었던 것은 르비아의 돌이 아니게 나의 (분)편의 돌이었다 보고 싶다. 그 만큼이 아니어요」

원판은? 명 하면서, 공방의 구석에 있는 작은 창으로 향하면(자) 서서히 창을 당겨 열었다.

「? , 이것은……」

――편……

나와 동? 에, 원판의? 명을 듣고 있던 세이바? 들이 경악의? (을)를 올렸다.
그것은 그럴 것이다, 거기에는 문자 그대로의? 공. 옻나무? 의 확실히“아무것도 없다”? 태가? 하지만은 있었던 것이다.

「세계와 세계의? 사이야. 이 방자? 하나의 세계가 되어, 거기에 뻥 뜨고 있다고 나누고」

원판은? 겹에 창을 닫아 우리들에게 다시 적합했다. 조금 전까지의? 하늘은 사라져 창에 비치는 풍경은 평소의 사람이나 차가 왕래하는 륜돈의 거리에? 라고 있었다.

「고유결계군요……」

「그렇게, 사? 의 힘이군요. 아마 사? 의? 생각으로부터 구축했다라고 생각해요」

그것을 확인하는 것 같은 세이바? 의? 나무에, 원판이? 있었다.

「조금 전은 밖까지 확인하지 않았으니까? 일까 샀지만, 아마 나들은 순? 에 평행 세계를 이동했지 않네요. 사? (이)나 세이바? 의? 생각에 공명하는 평행 세계의 그림자를 세계의? 사이에 투영 해, 똑같이 사? 의 결계 능력을 추출해 포말 세계를 구축. 거기에 우리를 보내? 응 나왔다. 그런 것이라고 생각해요」

「그러면,?. 그 돌그 자체가」

「그렇게, 어떤 우연히인가 모르지만, 이 돌자신이 이런 마법 같아 보인 현상을 일으킬 수 있는 유물(아? 티피크트)가 되어 버리고 있다고 일」

아마, 소재로서? 때에 마법을 행사할 수 있을? 돌? 의 설계? (을)를 사용했던 것이 제일의 원인일거라고, 원판은 어려운 표정으로 덧붙였다.

「에서는, 그것을 사용하면 원의 세계에? 의 것입니까?」

「완성 스치고 용수철.? 생각이지만 이것은 아직 미완성. 후 4개(살),? 사이에 떠올라있는 세계의 종을 주워 모으지 않으면? 눈 보고 싶다」

원판은 거기까지 말하면(자), 팔장을 껴? 주위 표정으로? 하늘을? 응이다. 즉, 후 4회. 이러한 세계에 가지 않으면 안 된다는 것인것 같다. 나는 정직포? (을)를 떨쳤다. 물론, 그 불가사의한 이동이 무서운 것이 아니다. 거기서 보는 것이 무서웠던 것이다.

「그러면, 조속히 시술에 들어가요. 여기에 이르러 시작되지 않기 때문에. 라는……사? , 왜?」

여기서 점구원판이 나의 이상하게? 하지만 붙었다. 세이바? 도 걱정스러운 듯이 나의 얼굴을? 나무? 응으로 온다. 그리고 랑스는……아, 진한 개는? 하지만 붙었는지.? 주위 표정으로 나의 얼굴을? 응 나오고나가 ……

「, 원판. 이 세계……라고 할까 진짜의 이 세계라고 하는 것은? 때에 있는구나?」

「그러한 일이지만. 뭐?」

나의 당돌한 질문에, 원판은 아 무성해에 눈썹을? . 나는 일순간만 주저 했지만, 그런데도 손에 가졌다??주역을 원판에 전했다.

「아, 여기는 원판 밖에 륜돈에? 없었던 세계는 일인것 같다」

「이 공방 보았을 때로부터 그 정도, 보고? 붙어……!」

무슨 말을 하고 있는 거야? (와)과 이익? 의심스러울 것 같은 얼굴로??주역을 받은 원판이었지만, 그??주역에 시선을 옮긴 순간, 표정이 1? 했다.

「……그래, 여기였구나 」

? 까는 묶은 입가, 무엇? 인가 쓸쓸한 듯한 눈매, 그래서 있어 희미하게 기쁜듯하는? 기울 수 있는? 안. 일순간, 나는 그것을 원판에 보인 것을 후회했다.
무슨? 철도 없어야 할??. 지금보다 약간 성장한 나와 원판이? 라고 있을 뿐(만큼)의??. 하지만, 그??안의나는,??있고 피부와 순백의 머리? (을)를 가지고 있었던 것이다.

「? , 시로우……」

원판의 어깨 너머에??주역에? 나무? 응이다 세이바? 도, 일순간 숨을 삼켜 걱정스러운 듯이 우리들의 얼굴을 바라보고 있다.
긴 것 같아, 그저 얼마 안되는심? 의 후, 원판은??주역을 덮도록(듯이) 작업대 위에 두어, 희미하게 얼굴을 숙였다.

「자, 작업을 시작해요」

하지만 그것조차도 일순간. 다시 얼굴을 올린 원판은 평소의, 자신에 흘러넘치고 누구도 무서워하지 않는 원판에? 라고 있었다.

「있고, 좋은 것인지? 원판?」

나는 무심코 되물어 버렸다. 현기 흰색? 의 나. 아마 조금 전의 세계 동? 세이바? 하지만 환, 원판과도 몇번이나 교차하면서도 별로 길로 나아가 버린 나다. 그 나는 저녀석(아? 체? )(이)다. 저녀석이 될 것이다 나다.
나는 저녀석과 원판이, 단순한 사? 바트와 마스터? 이상의? 계인 것을 알고 있다. 원판은, 저녀석이 저녀석이 되어 버린 운명을 화나 있었다. 그야말로 불이 나올 정도의 분노를 안고 있었다. 그것을, 그렇게 될 것이다 저녀석(나)의 모습을 눈의? 충분해로 해도 것에, 좋은 것인지? 원판?

「좋다고, 뭐가?」

「무엇이는……」

하지만, 도전하는 것 같은 원판의 질문에, 나는 말에 막혀 버렸다.
그래, 어떻게 하는 일도 출? 없다. 그것을 보았다고, 우리들에게 무엇이 출? 는 것은 아니다. 이것은 다른 세계에서의 출? 일이다. 더욱 말하면, 지금 우리들이 있는 여기마저도 그 세계의 그림자 너무  있고.

? 그리고, 그렇지만 원판!」

정말 출? 없는 것은 알고 있다. 하지만 그런데도 가슴의? 네가 잡히지 않는, 어떻게든 되지 않은가, 어떻게든 하고 싶다. 그 생각이 가슴에 흘러넘친다.

「사? 의? 소유는 알아요. 그런데」

그런 나의 입을 손가락끝으로 막아, 원판은 한번 더??주역을 손에 들었다. 그리고 나의 입가로부터 손가락을 떼어 놓아, 우선??안의나를, 그리고 나의 가슴 팍을 가리켰다.

「진한 개는 나의 사? (이)가 아니다. 나의 사? (은)는 진한 개야」

그리고,??안의“원판”을 무엇? 인가 쓸쓸한 듯하게 가리켰다.

「거기에, 사?. 나는 진한 개의“ 나”가 아닌거야. 진한 개의“ 나”는 여기에 있어요」

「원판……」

나는??방패안의 나와 원판에 시선을 떨어뜨렸다.
개응과 턱을 올려 올려보고 있는데 업신여기는 것 같은 시선으로, 무엇? 인가 사람의? 있고 미소를 띄우는 원판. 그리고 그런 원판을 어쩔 수 없다고 만에 쓴웃음하면서 응시하는 나.
아……그러한 일인가……
나는 원판을 무슨 말을 하고 싶은 것인지 이해했다.??안의“우리들”이, 1? 무엇? 그리고 우리들과 다른 운명을 선택했는가는 모른다. 하지만, 그것은 이 세계의“우리들”이? 보고, 괴로움? 보고 취한 운명의? (이)다.
(이)라고 하면, 그 운명을 선택하지 않았던 우리들에게 무엇이 출? , 무엇을 말할 수 있다. 지금부터 앞 어떤 운명을? 라고 해도, 그것은 이 세계의“우리들”만이? 보이는 일이다.
우리들에게 출? 일은, 이 세계의 일은 이 세계를? 보고 취한“우리들”에 맡겨 우리들의 세계에서 힘껏, 우리들 자신의 운명을? 보고 취해 가는 것 만일 것이다.

「안 원판. 그러면, 우리들의 세계에? 」

우리들은? 라는? 기합, 한번 더 세계를 넘을 준비를 시작했다. 우리들의 세계로 향해 여행을 떠나? 에.

 


―― ?! ――

공방에 무지개색의 섬광이 흘러넘쳤다.

「하!」

「꺄!」

「식……」

칠색의 빛이 개였을 때, 거기에는 4개의 그림자가 태어나고 있었다.

「? , 여기는?」

「음……」

세이바? 의? 에, 원판이 무엇? 인가 지쳤어? 아이로 허리를 문지르면서? 네를 돌려주어, 공방을 바라본다.

――낳는, 주요해요.? 에 훌륭한 혼돈상이다.

「아, 그렇다」

그런? 아이를 바라보면서. 나는 랑스의 어딘가 야유에 영향을 주어? 에? 천민. 확실히, 이 전혀 통일성이 없어? 연좌파 그? 빌려주어 있고“우리들의”원판의 공방이다.

「 나의 방은 있었습니다」

――나의 케? 지도 있데.

「식기도 분명하게 전원분 확인와 사? 그쪽은?」

「왕, 분명하게“밖”도 있다」

어쨌든 집안을? 돌아, 닥치는 대로 아는 사람에게 마구 연락을 한 우리들은, 점구여기가“우리들의 세계”인 일을 확인해, 흔들흔들거실의 소파? (으)로 눈사태? 응이다.

「? 라고 왔군요」

「모두, 무사하고 최상입니다」

「몇번인가 죽어 걸었기 때문에……」

그 후 둘러싼 4개의 세계는, 확실히 우리들의 세계와 근사의 세계였지만, 그 이전의 2개와 달리 공간축도 시간축도 꽤 뿔뿔이 흩어진 세계였다. 미라가 뒤쫓을 수 있거나 대성배에? 보고? 외관 충분하고와 꽤 물결? 에 난 세계의??.
특히 마지막 세계 등, 우리들은 전원이 다른 세계에 날아가 버린 것 같고, 원판이 그? 구슬을 완성시켜 전원을 모아 여기에 끌어들여 주지 않으면, 1? 어떻게 되어 있던 일인가……

「입니다만, 시로우와? 의 아이 시대는 대? 카이다운가. 두 명의 아이를 안는 것이? 기미입니다」

「, 그런 일도 있던 원이군요……」

「아, 저것은……」

확실히 세번째나 4 번째의 세계다. 그곳의 공원에서, 우리들은 당장? 봐 사랑의 훤? (을)를 시작할까하고 하는, 붉은 털의 사내 아이와??의 여자 아이를 보기 시작했던 것이다.
(이)라고는 말해도? 때, 직접 두 명이 훤? 하고 있던 것에서도 없을 것 같았다. 몰래? 있어 보고 있었어? 황으로부터 하면(자), 둘이서에 왔던 개구장이의? 우로 옥신각신하고 있던 것 같다. 말하지 않는 것이 좋음이지만“나”가? 켄파에서, “원판”이 과격파였다.
아무튼 결국 우리들이 손을 댈 것도 없고, 능숙한 일 침착하는 것 같았다가……원판, 아무리 개구장이이니까는, 소? 생을 반대? (은)는 심해……

「뭐야, 좋지 않다. 별로, 생명까지 취하자고  것이 아니기 때문에. 여자 아이 울리는 것 같은 놈은, 저것에서도 아직 부족한 위야」

그런 일을 개 살그머니 토로하면(자), 눈앞의 원판이 이런 일을 말하면서? 찾아내 왔다. 너, 전혀? 라고 없다……
뭐, 여러가지로 모두 몹시 지침이었다. 우리들은? 라는 소파? 에 깊게 몸을 가라앉혀 잠시의 사이는 한때의 휴식을? 죽었다.

「그러면, 차라도 엄짊어진다」

그렇다고는 해도, 몇시까지도 서투르다는 것은 들어가지지 않다. 우선 일어선 것은 세이바? (이었)였다.

「나도 손? 」

최근 갑자기 세이바? 하지만 차를 엄회? 하지만? 네라고 있었다. 팔도 눈에 띄게 오르고는 있었지만, 그렇게? 번? 번세이바? 에 차 참작해 시킬 수는 없다.

「아니요 시로우는? (을)를」

하지만, 일어서 걸친 나는 세이바? 에 살그머니 제지해져 버렸다. 그대로 쓴웃음하면서 향할 수 있었던 시선의 앞으로 원판은……

「…………」

푹 쉬셔지고 있었다.

「완전히,? 라면 분명하게 정리하고 나서? 좋은」

나는 세이바? 의 호의에 응석부려 차급 보고를 맡겨 그런 원판의 손으로부터, 당장 흘러넘치고 떨어질 것 같은 작은? 구슬을 살그머니 다루었다.
반짝반짝 무지개색에 빛나는 준마법구슬(데미? 제르렛치).
그 힘으로 배웅해야 할 포말 세계야말로? (이)라고 사라져 버리고는 있었지만, 그런데도? 이 돌은 내가 만들어 낸 가람당(가짜)의? 돌? (이)나, 원판들이 도전하려고 한 시술보다, 더욱 1? 마법으로 밟아? 응이다 힘을 은밀한이라고 있다고 한다.

「원판은 굉장한데」

나는, 이 작은? 구슬을 겹겹이 싸 넣으면서, 한숨을 흘렸다. 여하튼 원판은 이런 터무니 없는 대용품을, 우연히 실패, 착상과 날림일중에서? 보고 취해 매료 시켰던 것이다.

「역시, 나는 원판에 달까?」

? 구슬을 공방에? 째, 대신에 가져온 타올 모포를 원판에 걸면서, 나는? 공양에 그런 말을 말하고 있었다.

「예, 시로우는? 에 달다」

그런 나에게 쓴웃음하면서, 세이바? (은)는 넣어 온 홍차를 내며 주었다.

「입니다만, 시로우는 누구라도 달다」

더욱 반안이 되어, 등지는 것 같은 어조로 덧붙여 주신다. 하하하……

하지만, 몇시까지도 웃고 있을 수 없었다.

「그러니까 시로우. 나도 응석부립니다」

일순간만 결의를? 같게 눈시울을 닫은 세이바? 하지만, 다시 연 눈동자에는, 무엇? 까지도? 지인 빛을 가득 채울 수 있고 있었다이니까.

 

 


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「그러니까 시로우. 나도 응석부립니다」

말해 버렸다. 말해 버렸다. 나는 지금부터 시로우에 응석부린다. 이것은? (와)과도, 르비아제릿타나? (와)과도 다른 응석부리는 방법이다. 혹시, 이것은 시로우를 손상시켜 버릴지도 모르는, 배반해 버릴지도 모르는 응석부리는 방법이다.
하지만 그런데도 이 때, 나는 시로우에 응석부리는 일을 참을 수 없었다.

 


「세……세이바? 인가?」

그 때. 마지막 세계에, 모두가 별? 에 날아가 버렸을 때. 내가 날아간 앞은, 어슴푸레한 그저 얼마 안되는미츠 밖에 넣지 않는 작은? 의 안이었다.

「……시로우?」

거기에 시로우가 있었다. 피로연결을 입어, 륜돈의 시로우의 공방과? 정도의 잡동사니에? 시로우가,? 연과 나를 응시하고 있었다.

「세이바?!」

「!」

나는 거기서 갑자기 꽉 껴안을 수 있어 버렸다.
피할 수 없었다. 아니, 혹시 피하고 싶지 않았던 것일지도 모른다.? 구 씩씩한 팔 중(안)에서, 나는 동작1개(살)출? 없어져 버렸다. 한마디, 그렇게 한마디? 구의 것으로 힘껏이었다.

「시로우……그……곤란하다」

「아. , 미안한 세이바?. 갑자기로 놀라……또? 라고 생각하지 않았으니까」

또? 는? 그? 네를 (들)물은 순간, 나는? 의 자유를 취해? 했다. 동시에 마음 속에서 무엇인가가 손톱? 쉬었다. 아……

「세이바??」

나는 희미하게 느슨해진 시로우의 팔을 소매치기? , 1? 거리를 두었다. 그 이상 가까워지는 용? 도, 그 이상 떨어지는 용? 도, 이 때의 나에게는 없었기 때문이다.

「……원? (이었)였습니까? 시로우」

왜 그런 말을 선택했는지, 그것은 알지 않는다. 다만 이 때는 그렇게 (듣)묻는 것이 올바르다. 그 만큼은 틀림없다고 확신하고 있었다.

「아……」

시로우는 나의 말에 힘? 구? 있어 주었다.

「그때 부터도 나는 노력하고 있다. 출? 없는 것,? 가내일은 가득 있지만, 나는, 내가 중요하다고 믿은 것을 더럽히거나 젓가락이라고 없다. 괜찮다, 세이바?」

아……
이것으로 나는 확신했다. 힘? 구? 지로, 결코 왕일 등 출? 없을 수록? 있고 말인데, 거기에는 그저 불과이지만 공허한 영향이 느껴졌다.
시로우다, 이 눈앞의 시로우는 틀림없이 시로우다. 하지만, 나의 시로우는 아니다……
하지만, 그것이 알고 있어도 마음이? . 어쩔 수 없을 정도? 라고 있었다. 왜냐하면 동시에, 이 시로우가“ 나”를 사랑해 주고 있는 시로우이기도 하다고 확신했기 때문에다.

「시로우……나는……가지 않으면 안 된다」

하지만. 아니, 그러니까 나는 거절하지 않으면 안 된다. 나는“ 나”는 아닌 것이니까.

「그런가, 알았다. 세이바? 고맙습니다」

곧바로, 틈이 날 수 있는 만큼 곧바로눈동자. 울고 싶어질 만큼 기쁘고, 울고 싶어질 만큼 자랑스럽고, 울고 싶어질 만큼 슬픈 눈동자였다.
“ 나”는 이 사람을 이 정도 높였는지, “ 나”는 이 사람에게 이 정도의 것을 남겼는지, 그리고“ 나”는 이 사람을 이 정도까지……

「시로우!」

그러니까 나는 무심코 외쳐 버렸다. 이 세계의 시로우에 나는 무엇을? 일도, 무슨 말을 하는 일도 출? 없다. 지금, 시로우의 눈앞에 있는 것 조차 환상에 지나지 않는, 꿈과 같은 물건에 지나지 않는 것이다. 왜냐하면, 나는“ 나”는 아닌 것이니까……
하지만, 그런데도? , 출? 일은 없는 것일까, 무엇인가, 무엇인가 수단은 없는 것일까?

「세이바??」

그런 나의 모습에, 사? 하지만 걱정일 것 같은 표정으로 반? 전만 앞에 나왔다.
아, 역시 시로우는 시로우다. 나의 시로우와 같다. 어떤 때도, 무엇이 있으려고 몇시라도 상냥하고 따뜻한……자신의 무거운 짐에는? 수, 몇시도 사람의 무거운 짐에만? (을)를 사용한다……

「……!」

그래서? 하지만 붙었다. 그래, 할 수 있는 것이 있었다. 확실히 나에게는 굳이 출? 없는, 굳이 말할 수 없다. 하지만, 맡기는 일은 출? .

「시로우, 모두는……원? 입니까?」

「모두? 아, 모두 싫어지는 위원? (이)다. 원판은 상? 깨지 않고 원판이고, 후지 응은 말하지 않는 것이 좋음이다. 이리야라도 같음, 최근에는? (와)과 1? 에 나를 돌보는 것을? 왔지만은 곤란한 위다」

아……
안도로 무릎이 꺾일 것 같게 된다. 희망은 있었다. 시로우는 혼자서는 없다. 그녀들이 옆에 있다면, 시로우는 결코……

「시로우, 부탁이 있습니다」

「뭐야? 세이바?」

박어둠중에서, 반짝반짝 무지개색의 빛이? 중. 나는 시로우와의 사이의 반? (을)를 채웠다. 이제(벌써) 두렵지 않다.

「그녀들을 소중히 해 주세요. 그리고 믿어 주세요」

「세이바??」

무지개색의 미츠에 둘러싸이면서, 나는 사? 의? 에 살그머니 손을? . 무리를 하지 않고, 자신을 소중히, 왜냐하면 당신은……

「매우 소중한 사람이니까.? 네라고 있어 주세요. 당신은 나에 있어서도, 그녀들에 있어서도, 매우 소중한 사람. 당신은……당신이 생각하고 있는 것보다도……훨씬 소중한 사람인 것입니다……」

 


「마지막에 시로우는? 있어 주었다고 생각합니다」

「……세이바?」

나는 시로우에 모두를 이야기했다. 이것은 응석부리고다. 왜냐하면 나는 지금, 나의 시로우에……

「나도, 세이바? 에? 」

「네?」

나의 경악을 타처에, 시로우는 나의 어깨에 손을 두면(자), 담? (와)과“ 나”와의 출? 있고를 이야기? 자리수.
안개에 싸인 나무에서의“ 나”와의 출? 있고. “ 나”가 나가 아니다고 알았을 때의 경악. “ 나”가 시로우에 사랑받고 있었다고 (들)물었을 때의 충?. 그리고, “ 나”가 그 때? 에 모두를 끝낸 존재라고 알았을 때의 생각……

「그러니까, 나는“세이바? ”에 사과했다」

「“ 나”에? 왜입니까?」

「“나”쳐“세이바? ”의 대답을 찾아내는 것이 출? 늘어뜨려 있는이다. 그렇지만 나는 아직 찾아내지 않으니까. 본? 에 미안하다. 세이바? (은)는“나”의? 에 거기까지 해 주었는데……나는 세이바? 에도“세이바? ”에도 아무것도 출? 없었다」

그대로 나에게까지 고개를 숙이는 시로우. 잠시 나는??에 놓쳐 버렸다. 확실히 그 배려는 매우 기쁘다. 그렇지만 시로우, 당신은 그 쪽으로 카시라가 갑니까……

「 그렇지만 왜일까 모르지만“세이바? ”(은)는 나에게 말해 주었다. “고맙습니다, 시로우”는」

본? 그리고 알지 않겠지. 더욱 그렇게 덧붙여??에 고개를 갸웃하는 시로우. 나는 서? 에 복받쳐 오는 웃음의? 사쿠를 참으면서, 시로우를 응시하는 일 밖에 출? 없었다.
아, 역시 시로우는 시로우다. “ 나”는? 있었던 것이다. 그러니까 나를 위해서(때문에) 시로우에? (을)를 말해 주었던 것이다. 그런데, 묻는 것 시로우는? 있지 않았다. 안된다……이제 참을 수 없다……

「! (이)야 세이바?. 무엇으로 갑자기 웃어!」

「말해라……좋습니다. 시로우는 역시 시로우군요」

나는 뾰롱통 해지는 시로우를 앞에 두고 마음껏 웃어? 라고 끝냈다. 아, “ 나”도 알았던 것이다. 시로우는 시로우라면. 그러니까? 하지만 붙었을 것이다, 내가 시로우에 사랑받고 있는 일을.
그러니까 나는 한 바탕 웃어 끝낸 후, 시로우로 향해 최고의 미소를 띄워 말하는 것이 출? .

「고맙습니다, 시로우」

나를, 사랑해 줘.


END


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평행 세계에서의, Britain 일행의 이야기였습니다.
최초, 임금님의 검으로 쓰기 시작해 마법? 계로부터 붉은 어디까지나 갈까하고? 갱 했습니다만, 역시 마지막 합계는 세이바? (이었)였으므로 왕님의 검으로서 다 써 보았습니다.
? (은)는 약간 잡기 엎지름이 있습니다만, 어떻게도 다 모아 수 없었습니다.? 생각. 

 

 

 

?

달린다.

다만 오로지 달린다.

아무것도 안보이는 어두운 곳안을, 나는 다만 오로지 달린다.

아마, 이것은 꿈일 것이다.
여하튼 아무것도 안보이기는 커녕, 아무것도 느끼지 않는 것이다. 그런, 모두가 애매한 안개에 싸인 어둠안을, 그런데도 나는 열심히 달리고 있었다.

다만, 목표만은 뚜렷하다.
아무것도 안보이는, 아무것도 느끼지 않을 것인데, 눈꺼풀만은 진보 행선지가 눈부시다고 느끼고 있었기 때문에다.
그러니까 거기가 반드시 목표. 반드시 거기가 나의 도착하는 곳.

아, 이제 곧이다.

안보이는 시야의 모두가 눈부심에 싸이는이라고 간다.
왜일까, 기? (은)는 그렇게 좋은 곳은 아닐 것이라고 말할 확신은 있었지만, 그런데도 역시 나는 기? (으)로 향해? ? 응으로 갔다.

「――――――」

「……응? 아」

라고 거기서 눈이? .
쓸데없이 눈부시다. 그것은 그럴 것이다. 8월의 태양이? 향으로부터 나의 얼굴을 비추고 있다. 자주(잘)도 아무튼, 지금까지? (이)라고 있을 수 있던 것이라고 생각한다.? 빌려주어 있고? 이름을 고하는 차? 방송을 (들)물어 놓치고 있으면(자), 이제(벌써) 잠시? (이)라고 손상되면 않을까. ……응? 차? 방송?

「, 빈둥거릴 때가 아니었다. 원판! 일어나라! 도착했어!」

거기서 점구? 하지만 붙었다. 나는 몹시 당황하며 어깨에 머리를 맡겨, 마음에? 숨을 세우고 있는 원판을 두드려 일으켰다.

「……피리……뭐? ……꺄! , 조금!」

「급, 내리겠어」

그대로? 노망나고 눈의 원판을 차 밖에 내던져, 나는 캐리? (와)과 보스톤 백을? 올려, 희미한 하늘? 소리와 함께 닫으려고 하는 자동문을 미끄러져? 자리수.

「……」

어떻게든 시간에 맞았다.
지금, 정말로 후유키의? (을)를 달려가려고 하는 열차를? 눈에, 나는 아휴 토바 만일 짐을 내려? ? 하늘을 올려보았다.

「아, 좋은 하늘? (이)다……」

냉방의? 있던 차? (으)로부터 보면, 이세계가 아닐까 생각하는 만큼새와 더운 대?. 셔츠아래에서는 이미 땀이 분출하고 있다. 하지만, 이것이 일본의 여름은 놈이다.
후유키의 거리는, 륜돈에 건너고 나서 두번째가 되는 암들의??(을)를, 전회와 동? 에 이것이라도일까하고 말하는 만큼 내리쬐는 태양으로 마중나가 주고 있었다.

「――!」

라고 안심 중단했던 것도 순간. 다음의 순간, 등골에 달렸어? 한에 나는 재빠르게 몸을? 했다.

「피한 원이군요……」

? 분 이럭저럭 말하는 일에기다렸군. (와)과 싫은 감개를 안으면서 되돌아 보면(자), 거기에는 불기분 그렇게 한쪽 발 서가 되어, 펌프스를 신어 더 그렇다고 하고 있는 원판의 모습. 원판, 흉기는키, 흉기는……

「대라고, 원판.? 샀다. 그렇지만,? 넘는 것보다는 좋은이겠지?」

그런 생각이 얼굴에 나왔을 것이다, 반안으로 한 눈을 더욱? 째라고 신어 내기의 펌프스를 한번 더 손에 든 원판에, 나는 당황해? 손을 앞에 두고 뒤로 물러났다.

「으로 해도, 사용 방법은의가 있겠지만!」

안돼, 상당히? 일어나기가? 샀는지 눈이 거 깨고 있다. 그런데, 어떻게 유것일까……

 

 

 

 

팔 수 있는 있고의 고별선물 
「자양화의 성녀」 -Karen Hortensia- Fate/In Britain외? -7 전편
Magdalene  

 

 

 

결국,? 전의 파? 라? 그리고 점보 사이즈의 파르페를 사등 되는 일로 타협을 붙였지만, 사치한다고 해도 지갑의 출하? (은)는 결국1개(살)이다.
과연 이런 일에 의미가 있을 것인가와 고개를 갸웃하고 있으면(자), 원판에 여자의 마음을 모르면 돌? .

「완전히, 사? (와)과 교제이고라고로부터 여름이라고 말하는 것은 녹인 일이 없어요……」

그리고, 산???되었어? 구, 한숨교사리에서의 합계의 말이 이것이다.

「나의 정사 없어」

확실히 그 성배??의 후, 원판과 교제이고라고로부터의 여름은 몇시라도 뭔가의? 동이 다하고 쓸모 있게 되고 있었다.
작년은 예의? 의 사건이었고, 재작년은 재작년에 우리들 륜돈행의 전후에 1? 동 있었다. 그리고 3년전, 그 성배??직후의 여름은……

「그런가, 그때 부터 이제(벌써) 3년인가……」

원판의 말에 이끌려, 여기? 해의 여름의 일을 생각해 내면서, 나큰 파르페의 그릇을 장식하는 자양화(오르텐시아)의 투각에 눈을 두었다.

「……싫은 일 생각나게 하지 말아 」

그런 나의 시선을 쫓아, 투각의 의미에? 하지만 붙었는지, 원판은 방금전과는 또 다른 표정으로 눈썹을? .

「이기도 할 수 있는은 그렇게 소중했던인가?」

(이)라고 해도나에게 있어, 그 일은 눈썹을? 째 싶어지는 것 같은 출? 일은 아니었다. 아무튼, 조금 불가사의한 것은 않았지만, 무엇? 인가? 빌려주어 있고 추억이기도 했다.

「 나에게 있어서는 소중했어! ……생각해 보면(자), 저녀석 끌어들이어? 응이라든가도 사? (이)가 아니다!」

「당겨? 응이다는 없는이겠지? 어쨌든 원판과? 계 없었던 것이 아니니까」

3년전의 여름. 확실히 그 소녀와 최초로? 를 가진 것은 나였지만, 그녀의 역할을 생각하면? 그조그원판도? 비교적 된 것은 틀림없다.

「그렇다면 그렇지만…… 사? , 너 라고 저런 것과? 비교적 되었어요?」

「저런 올라, 거기까지 말할까? 아무튼……우연히 형편일까?」

이해는 출? 가 납득은 출? 없다. 그런 얼굴로? 원판을 앞에 두고, 나는 쓴웃음하면서 3년전의 여름에 생각을 달렸다.
그래, 저것은 그 성배??(으)로부터 반년(정도)만큼 경과했을 무렵. 오늘과 같이 여름의 태양이, 이것이라도일까하고(뿐)만에 내리쬐는 날의 오후였다.

 


? 때의 나는 말하지 않고와 알려진 고등학교의 3년. 세상 일반의 수? 생 동? 에, 나도 진? 준비에 오와라의 날? (을)를 보내고 있었다.
우도, 일반의 고교 3년의 여름과는 조금정취나무는 차이가 났다. 제일진? 앞은 일본조차 아니다. 게다가 1? 최고? 부이지만 일반의 대? (은)는 아니고, 마술의? 원(시계토우)에 간다.
따라서, 수? 의? 의 하기 강좌 등은? 연 있는 것도 없고, 나는 스승인 원판의 집에? 송곳으로, 마술의 기초든지 말? 의? 찬이든지에 근무하고 있었다.
아무튼원판이란, 이 때? 에 그렇게 말해? 계가 되어 있었으니까, 사람에 따라서는 부럽다고 생각되겠지만, 원판씨는 가장 먼저 마술사이며, 2번째로 다하고 청구서의 개구장이인 것이다.
즉 단 환상 등 미진도 없고, 나는 아침부터 밤까지 완부없는까지 때려 눕혀지는 날? (을)를 보내고 있었다고 하는 것이다.

「아, 좋은 하늘? (이)다……」

그래서 이 날, 히사카타상에 새 도읍에 쇼핑하러 나가 있던 나는, 가라사대 말하기 어려운 해방감에 싸이고 있었다.
비유하고 그 쇼핑의? 용이,? 절로 마침내? 온 마모루 황족의 집안, 더욱은 원판가의 생활필수품의 매방편이어도 그? 소유는? 들 없다. 게다가, 원판씨가 오늘 하루, 륜돈행의 각종손? 나무를 위해서(때문에) 집을 비우고 있게 되면? 갱이다.
이것으로 오늘은 한가로이 출? 와 나는인것 같은 것도 아니게 들떴어? 소유로 쇼핑? 의 길을, 심산마을까지 산? 겸에? 있어? 깔때기 하고 있었다.
라고 그 때다.

「…………에?」

갑자기 아무런 전? 도 없게 나의 코끝, 30센치로 떨어지지 않은 장소에,? 있고 몸집이 작은 사람의 그림자가 내려 솟아 올라 왔던 것이다.
지금까지의 무경계가? 라고인가,? (을)를 찔린 나는 그 사람의 그림자를 앞에 두고 완전하게 굳어져 버렸다.

「…………」

나의 낭패를 타처에, 내려 솟아 오른 자세인 채 끄떡도 않는 사람의 그림자. 차근차근 보면, 그것은 무엇? 인가 이상한 분??(을)를 가진 소녀였다.
색소의 얇은 피부, 은의? 에 기 동? 색소의 싱거운 호박--아니 금빛--의 눈동자.? 있고 베레? (와)과 키의 길어? 옷은 무엇? 인가의 제복일까?

「――뭐?」

라고 굳어진 채로, 물끄러미 불? 날것으로에 그 소녀를 대비해? 라고 있을 뿐(만큼)이었던 나에게, 소녀는 싸늘한 1? (을)를 발하면(자), 목을 기울이고 그 금빛의 눈동자로 가만히 되돌아봐 왔다.
기계와 같이 싸늘해 투철로, 모두 간파하고 있는 것 같은 눈동자……

「, 뭐는! ……너, 1? 누구야. 라고  할까 1? 무엇? (으)로부터 솟아 올라 나왔어?」

? 순, 말도 없고 그 눈동자에 못부로 되고 있던 나였지만, 그 말로 점구 제 정신을 차리자 마자, 당황해 몸을 당기면서 이것 또 불? 말로 외쳐 버렸다.
왜일까 그 눈동자에 응시할 수 있고 있으면(자), 마음? 의? 까지 간파해져 버리는 것 같은……그런 불안감이 모집해 와, 어떻게도??되어 버린 탓이다.

「끓어 나왔다고는? 분 더 말이군요. 나는 길을 찾으려고 생각해,? (을)를 걸쳤을 뿐입니다만?」

그런 나의 불? 말에, 일순간만 미간을 댄 소녀였지만,? 자리에 원의 냉철한 표정에? 와 시선을? 구차도 측에 거절해 보였다.

「아, 아……」

거기에는, 작년의 군용차인가는 정도 크고 완고한 1대의 트럭이 멈추어 있었다.
차근차근 보면(자), 조수석의 문이 열려 있다. 과연, 즉……

「본? 에 내려 솟아 올랐다……」

무심코 감탄해 버렸다. 2층이라고는 할 수 없어도 나의 시선의 높이다. 여하에? (을)를? 있고 있었던이라고 말해도, 눈에도 멈추지 않았다. 대부분 노? 모? 숀으로 나의 앞에 뛰어 내려 온 것인가.

「납득해 받은 것 같아서 주제에 들어갑니다. 이 거리에??(이)가 있을 것입니다만, 어느 쪽에 있는지 아시는 바가 아닙니까?」

그런 나의 기특하게 무엇? 인가 낙담으로 하면서도, 소녀는 담? (와)과 용건을 잘라 왔다.
과연,? 옷은 수도원의 법의 가나인가, 즉 이 딸(아가씨)는 시스타? 라는 (뜻)이유다.

「??? 알고 있는 일은 알고 있는데……」

그런 납득을 하면서도, 나의 대답은 무엇? 인가 말꼬리를 흐린 쓸모 있게 되어 버리고 있었다.
새 도읍의??. 그것은 즉 언봉??.
거기에? 해 나는 책이 너무 많았다.
내가 10년전의 그 지옥을? 낸 장소. 내가“마모루궁사? ”(으)로 태어나고? 깬 장소. 그리고 그“언봉”이 본? (으)로 하고 있던 장소……
지금은 주는 대신해 있지만, 그런데도 나에게 있어 가기 어려운 장소인 일에는 차이는 없다.

「에서는 안? 해 주실 수 있네요」

그런 나의 갈등을 딴 곳에, 소녀는 그것은 좋았다고(뿐)만에? 구와? 보고 걸도록(듯이) 생긋 미소지어 보였다.

「…… 원, 알았다. 안? 한다」

정직? ? (은)는 아니었는데 , 왜일까 그 미소에??되어 나는 흥분보았어? 그리고 승낙해 버렸다.
무슨사? 도 없어? 조차 있는 미소.
왜냐하면의에……거기에는 아무래도 거역할 수 없는 것 같은. 그런? 박감이 있었던 것이다.
그래, 비유해 말하면.

――마모루궁사? 하지만 곤란해 하고 있는 사람을, 겨우 자신의? 소유의 문제 정도의 일로 발해 두는, 그런 일을 말할 것 없겠네요?

언외에 그렇게 말해진 것 같은, 그런? 가져로 몰리는 미소였던 것이다.

 


그렇다고 하는 것으로 나는, 아마 시스타? 같은 것일 것이다 이 소녀를 동반해,??(으)로 향하게 되었다.

「…………」

하지만 이상한 위화감이 있다.
도안? 일텐데, 소녀는 나와? 응으로? 있다. 아니, 조금 기다려? 무엇으로? 있고 있어? 조금 전까지 이 딸(아가씨)가? 라고 있던 트럭은? 저것에? 라고 가지 않았던 것일까?

「차라면 먼저??(으)로 향하게 했습니다」

그런 의문이 표정에 나왔을 것이다. 소녀는 상? 깨지 않고의 랭? ? 소리로? 네라고 주었다.
과연, 그러한 (뜻)이유인가……는, 기다릴 수 있는 기다려라!

「그러면 아군은!」

「네,??의 장소는 알고 있습니다.? 에 꼭 좋은 기? (이었)였으므로, 당신과 이야기를 하려고 생각해 불러 세웠을 뿐입니다」

알려지고 와 범행을 자백하는 범인.

「! 너는!」

「――카렌」

넘치는 일에 고함치고 걸친 나의 귀에, 무엇? 인가 상질의 소리? (을)를 생각하게 하는 음색이 울렸다.

「네?」

「카렌? 오르텐시아. 나의 이름입니다」

? 도 하지 않고 명? 소녀에게, 나는 독? (을)를? 그라고 끝냈다.

「아……와 나의 이름은」

「알고 있습니다. 마모루궁사?. 이 거리에 사는 비공인의 마술사로, 성배??의 생존자. 당신의 일은, 이쪽에? 전에 조사했습니다」

「나를, 조사했어? ……」

산??농 되면서도, 아직도 이완 하고 있던 나의 정신이, 갑자기 냉수를 씌여진 것처럼 긴장했다.

「무슨 일이야? 나와 너는 초견일 것이다. 무엇으로 그런 일을 하지?」

지금의 카렌이라고 하는 소녀의 말. 그것은, 어떻게 생각해도 그녀가 단순한 시스타? (이)가 아닌 것을 나타내고 있다. 나는 불과에 거리를 취해, 경계심을 드러냈다.

「초견이기 때문에 더욱 사전에 조사합니다만? 마모루궁사? , 당신은 자신이라는 것을 정확하게 파악하고 있습니다. 지금의 표현에서는 자신이 무해인 인간이라고 주장하고 있도록(듯이) 들립니다」

하지만, 카렌은 그런 나를 무엇? 부는 바람과(뿐)만에, 오히려 힐끗? 찾아내 온다.
어쩐지??된다. 꽤 실? 말을 듣고 있는 것 같은? 하지만 하는데, 그런데도? 미안해요라고 사과하고 싶어진다.

「네……아니……그……」

무해란? 말 할 수 없지만, 유해하다는 것은만큼이 아니면……

「……그러니까, 불러 세웠습니다. 당신에게는??하지만 필요합니다」

라고 일순간 말이 막힌 나에게, 카렌은 불과에 업신여기는 것 같은 시선으로 단언했다.

「,???」

「길??명 합니다. 어쨌든 우선??(으)로 향합니다. 좋네요」

「아……네」

결국, 나는 카렌에??된 채로, 조금씩??에 선도되게 되어 버렸다.
어? ??에 안? 하는 것은 나의 (분)편이 아니었던 것일까? ……

 


「자디? 로사? 씨는? 응이다」

「원? 이쪽의??(은)는, 사? 급의 성직자가 향하는 곳이 아닙니다. 사??의 일은 그??의 뒤처리. 그것이 끝나면 후임에 당겨? 있고로? 의 것은? 연입니다」

??에의 도교로, 나는 카렌이 이 거리로 향해 간 이유의? 명을 받았다.
그 성배??의 뒤처리를 하청받은 디? 로사? 의 후를 받아, 후유키??(으)로 향해 간 후임 대리. 그것이, 이 유리 세공과 같이 영향을 주는 이름을 가진 소녀의 역할이라고 한다.

「자군도 대행자는 놈인가?」

「아니오, 나는 대행자가 아닙니다. 어디까지나 공식상의??에 대한 후임. 그 대리입니다」

게다가 기한부라고 말을 거듭한다.

「전임자는 뛰어난 대행자였다고 합니다만, 나에게는 이단을? 벌주어? 한도,? 힘도 없다. 나는??의 생명을 받아 이 마을의 조사를 해에? 만의 견습입니다」

과연, 견습인가.
그래서 납득했다. 확실히의 카렌에는 사람을 권세? 한다, 정말 말할 수 없는 박력은 있지만, 그런데도? 와 접힐 것 같을 만큼(정도) 가녀린 소녀다. 실제로 지금도 상처에서도 하고 있는 것일까, 법의의 그림자로부터 흰 파오? 하지만? 차고 소독취 같아 보인 향기도 감돌아 온다.
이런 딸(아가씨)가,??의??부대. 이단을 일방적으로 배제하는 살인 청부업자이라니 생각되지 않는다. 하물며, 언봉과 동류라고 생각하고 싶은 것도 아니다. 제일 그런 일이 있어……!

「마모루궁사?. 당신은 역시 오만하고 불손합니다」

라고 그런 일을 생각해? 있으면(자) , 갑자기 카렌은 나의??까지 재매입? 응으로? 하자마자, 머리를? 손으로? 응으로 자신에? 해 굽혀 왔다.

「 나는 당신에게 업신여겨지는 까닭도, 불쌍히 여겨지는 까닭도 없습니다. 확실히 나는 일개의 수녀입니다만, 적임이기도 하기 때문이야말로 파견되었습니다. 나에게? 얻을 수 있던 근무는, 제5차 성배??에 두어 소실했다고 여겨지는 성배의 유무를, 몸? (으)로 확인하는 일. 다만 비는 일만이(가) 아님 파는 일이 아닙니다」

「미안,? 샀다. 그……너가 자신의 일에 자랑을 가지고 있는 일은 알았기 때문에, 손을 떼어 놓아 주고」

「……그런데도 납득은 하고 있지 않다고 하는 눈이군요. 완전히, 그러니까 오만하다고 합니다」

그대로,??의? 역행사라면 헤드 퍼트에서도 작렬할 수도 있는 정도의 시선으로? 찾아내면서도, 카렌은 무엇? 인가 단념한 것처럼 나의 머리를 해방해 주었다.

「……미안」

「개전의 여지가 없는 사죄는 불필요합니다」

그래서, 하나 더 사과했지만 쌀쌀하다.
확실히 카렌이 말하는 대로다. 왕일은 출? 없고 그? 도 없는 이상, 더 이상의 사죄는 정말로 오만할 것이다.
여러가지로, 우리들의 두 명의 사이에는 정말? 맛이 없는 분??하지만 감돌아 버렸지만, 그런데도 나는 굳이 말을? 자리수. 카렌의 말에 아무래도? 에 걸리는 일이 있었기 때문에다.

「그렇다 치더라도 성배의 조사 끊어, 저것은 벌써 끝난 것이겠지?」

「마모루궁사?. 당신의 하나 더의 죄는, 불손하다고 말하지 않았습니까?」

아니나 다를까, 카렌에 이제(벌써) 1? 보고 되어 버렸다. 여기에서 앞은??의 사정, 일개의 비공인 마술사 풍치가 (들)물어 좋은 말은 아니다고 하는 것이다.
하지만, 아무리 불손해 오만이라고 해도, 일이 성배인 이상간? 에 물러나는 일은 출? 없다.
나는, 카렌의 이상한 박력이 있는 눈동자에? 향으로부터 시선을 부딪쳤다.

「……좋을 것입니다, 당신도 무? 계는 아니다. 다만 당신이 생각하고 있을 만큼 소중하지 않다고 생각합니다」

마지못해 이야기해 준 카렌의 말에 의하면,??하지만? 응으로 있는 것은 명확한 성배의 파동과는 약간 다른 것이다고 하는 것이다.
성배라고 한다??그것은 앞의 성배??그리고? 축 늘어찼다. 여하튼, 그 성배의??그렇다고 하는 것이 한사람의 소녀의 마음? (이었)였던 것이다.
그것이 당겨? 그, 딴사람으로 옮겨 심어진 위에 폭주 당해 더욱 세이바? 의 성? (에크스카리바? )(으)로 먼지떨이? 되었던 것이다.
나의 가슴에 조금 박히는 추억과 함께, 그 성배는 없어졌다. 그것은 확? 이다고 한다.

「그러면, 무엇을 조사하지?」

「성배의 본? 하지만,??이다고 하는 이야기는 듣고 있네요?」

「아, 그것은 알고 있다」

「강판 당해야 할 집합대를 잃어. 성배는 이미 강림 하는 일은 없다. 그렇지만, 성배의 본? 그것이 완전하게 사라졌다고 하는 것은 아닌 것 같습니다」

우리들 현세의 인간이? 일의 출? 없는 무엇? 인가로, 지금? 성배의 본? (와)과? 되어야 할 것이 맥동 하고 있는 것 같다.??하지만? 응이다 파동과는 그러한 것이라고 한다.

「현? 의 상태로는, 현세에? 꾸중을 가지지 않는 성배의 파동 등 문제는 아니다. 본? (은)는 그렇습니다만……」

본??는 두의 그 성배와 우리들의 세계로, 극히? 단시간이면서 가냘픈 링크와 같은 물건이? 측 되었다. 카렌이 파견된 것은, 그것의 확인과 조사를 위해라고 한다.

「그러나, 그런 것군으로 아는지?」

? 연의 의문이다. 그런 구름인가 희미하게 보이고 싶다 것, 말한다면? 겉껍데기 견습에 어떻게든 되는 것인가?

「마모루궁사?. 당신은? 마빙귀로 하는 말을 알고 있습니까?」

오만하다 불손하다고 말해지면(자)? 오 하고 있었지만, 카렌의 입으로부터 나온 것은 뜻밖의 말이었다.

「? 마빙 나무?」

알고는 있다.
사람에게 사람 이외의“무엇인가”가 잡기빙 와, 사람의? 면에서 붕? 시키는 저주의 1개. 일본에서 말하면 호빙 나무의 종류다.
색? 종류가 있지만, 서양에서는 일반적으로? 마빙귀로? 된다.
어느 날 돌연 선량한 사람의? 면에? 먹어, 물리적인 폭력이 아니고 추? 감정을 생으로 당겨 접내는 것으로, 이성의 가죽 한 장하에서는 양식이라는 것이 여하에? 선에? 라고 있는지, 여하에 무른 것인지를 노골적으로 나타내, 세상의 상식을, “보통 세계”를 위협? 찬다고 하는 대용품이다.
그 정도 만으로 꽤 귀찮은 존재지만, 일은 그래서 끝나지 않는다. 마지막에는, 정신면 뿐만이 아니라 고기? 면까지도? 이 해 버린다.
잡기빙 있던“ 것”이, 홀린 사람의 몸? (으)로 당신의 모습을 표현하려고 한다.
우도 이것은 완성되는 일은 우선 없다. 서양의? 마는? 글자라고 괴상하다. 도저히, 사람의? 의? 화 정도로 추? 할 수 없다.? 연과 같이 그 도중에 목숨을 잃어 버리기 (위해)때문에다.

「설마……」

하지만 때로는, 그? 화에 끝까지 추? 가능하게 되는 사람도 있다.
마술사가, 그 비술의 끝에 흡혈귀에게? 용 하도록(듯이), 먹어지고면서 반대로 밥등 있고 빙 와, 저작 해 소화해, 그 끝에 이형으로서 살아남는 이단도 존재한다고 한다.

「그것은 오해입니다. 나 자신이? 마빙 나무가 아니고,? 마빙 신경쓰이는 일도 있을 수 없습니다」

? 마는 건전해??몸? 밖에 머물지 않는다. 자신은? 마? 스승의 조수이라고 카렌은 말했다.

「? 그것은 알았지만, 자이니까? 마빙 나무가 나오지?」

「단적으로 말하면, 나에게는? 마빙 나무가 옮깁니다」

? 마빙 나무. 그것은 말해 보면 사람에게? 마라고 하는 독이 머무는 병? (이)라고 한다. 우도, 병? (이)라고는 말해도 본? 감염성은 없다.
하지만,? 감의? 있고 인간이? 의 존재를 감지할 수 있도록(듯이), 마에 가까워진 것만으로? 장을 일으켜 버리는 인간도 있다. 그것이 자신이라고, 카렌은 말한다.

「스승은 피학? 매? 질이라고 말하고 있었습니다」

더욱 깨끗이, 무서운 일을 아무것도 아닌 것의? 에 감히 말해버린다.

「…………」

거기까지 (들)물어, 카렌이 어째서? 마? 스승의“조수”인가 수긍이 말했다.
? 마빙 나무로 가장 귀찮은 존재는, 다 자랄 때까지 빙 있던 사람중에서? 라고 있는 놈. 즉? 나타냈을 때는? 에 손? 는 놈이다. 그러니까,? 현하기전에,? ? 마를 찾아내지 않으면 안 된다……
시야가? 기분이? 구 된다.
비유방안이라고 해지려고 불손이라고 말해지려고, 이 감정을 죽여? (은)는 없다.
아무도? 집에,? 마에? 나무? 장을 부흥이라고 피를 흘린다. 요컨데 카렌은? 산의 카나리아(산 탐지기)라고 하는 것이다.

「? (으)로 하는 일은 없습니다, 이것은 말하자면 나의 천직입니다」

하지만 카렌은, 다만 담? (와)과 그런 운명을 받아들이도록(듯이) 그렇게 말할 뿐(만큼)이었다.

「그러니까는!」

그러니까 나는 무심코 격? 했다. 그런 일……인을 도구같이 취급하는 것을, 괴로움피를 흘리는 것을 천직이라니 말하는 것을,? 라고 보고 있을 수는 없다.

「곤란한 사람……」

더욱 말이 격해지려고 하는 나에게, 카렌은 무엇? 인가? 시선으로 다시 향하면(자),? 지로, 그래서 있어 떼어 버리는 것 같은 어조로 단언했다.

「사람을 위해서(때문에)? 꼬치, 사람을 위해서(때문에) 피를 흘린다. 그것을 어째서 당신이 분개하는 거야?」

「――!」

갑자기 말이 나오지 않게 되어 버렸다. 상냥한까지의? 소리인데, 언 바늘을 급소에 꽂는 것 같은? 구 차가운 말.
그것은 마모루궁사? 의 삶의 방법. 자신의 삶의 방법을 사람이 하고 있는 것을 봐, 왜 분개해? 그것은 자신의 삶의 방법이 잘못되어 있다고 하는 일은 아닌 것인지? 
카렌은, 그렇게 말한 자리수의 것이다.

「이야기를? 합시다. 내가 어떻게? 된 성배를 찾을까였지요?」

의기 소침해져 그런데도 필사적으로 견디는 나를 서늘하게 응시하면서, 카렌의 이야기를? 있었다.

「성배의 본? (을)를? 마에 진단하는 것입니다. 저것이 녹인 물건이 아닌 것은 아시는 바지요」

후유키의 거리가 성배라고 해? 마에 홀리고 있다고 해? 정의원, 카렌이라고 하는 카나리아를 발해, 성배라고 해? 마를 훈내자고 하는 일인것 같다.

「즉, 너라면 만약 여기에 성배가? 되고 있다면 안다 라고 하는 것인가……」

「 나 이외에는 출? 없는 것입니다. 성배라고 해? 마가, 만약 이 땅에 어떠한 형태로? 깨고 있다면, 나에게는 감지할 수 있습니다」

그리고 만약 그? 가 없는, 혹은 대과 없다면 카렌에는 감지할 수 없을 것이다.
그러니까 기간 한정하다라고 한다. 길어서 1월, 그때까지 아무것도 없다면,??(은)는 성배는 소실했다고 판단? 그러자(면) 하는 것이다.

「알았다. 짧은 동안이지만, 그 사이에 나에게 출? 것이라면  뭐든지 협력한다」

되면이다, 내가 하는 일은 1개다. 그 사이, 이 어딘가 거만하면서도 유리 세공과 같이 가녀린 소녀에게 조력 한다. 마모루궁사? 에 있어, 그 이외의 선거? 지는 있을 수 없다.

「마모루궁사? 말하자 말해 준다고 생각하고 있었습니다」

거기에 카렌은, 처음이라고 말해도 좋을 정도  상냥한 미소로? 네라고 주었다.
다만……그……
지금 이 순간, 등골에 달렸어? 한은 무엇이었던 것일까? 확실히 상냥한 미소지만, 그 직전 엿본 것처럼 생각된, 무엇? 과거 일전에임자를 생각하게 하는 형태에 비뚤어진 입술은 무엇이었던 것일까?

 


그것은??에 붙은 직후에 판명되었다.

「에서는 우선, 여기로부터 처음 받습니다」

??의 강당에 서, 화려한까지의 미소를 띄우는 카렌을 앞에 두고, 나는 오늘 몇번눈인가의? 연자실을??하고 있었다.
카렌으로부터 최초로 말해 첨부 산 조력은, 무려 이사의 손? 있고였던 것이다.
아니, 그것은 좋다.
카렌 자신의 사유물은, 과연 수녀로 극히? 적다. 문제는……

「…………」

??의 강당? 해와? 세울 수 있었던 무? 의? 유의 파이프나 닦아진 목제 부품, 그리고 기계 부품의??(이)다.

「……있지만 응?」

「자주(잘) 알았어요. 하나 호감을 가졌습니다, 마모루궁사?」

그래, 그것은??(와)과 말 말하는 건축물에는 다하고 것의? 기. 파이프 오르간의 부품이었다.
그렇다고는 해도, 그것은 상당한 대??의 이야기. 이전 여기에 놓여져 있던 것은, 확실히 에레크트? 였다는 두……

「, 조금 기다려라! 이것을 어떻게 하라고?」

「조립할 수 있지 않습니까? 조사한 정보에 의하면, 이러한??(은)는 자신있다고 있었습니다만?」

「농담은……!」

이런으로 술안주, 출? 수월하다. 그렇게? 로 한 찰나, 카렌은 무엇? 인가 업신여기는 것 같은, 그래서 있어? 할 것 같은 미소를 띄운 채로, 나의 말을 차단하도록(듯이) 말 싫어했다.

「아, 무리입니까. 그렇네요, 이것은 정밀하게 해 정규의? 기. 그 근방의 잡동사니와는 (뜻)이유가 다릅니다」

「…………」

고소……
잡동사니는, 잡동사니로 좋으면 와라 서로 있는 것이야 ……

「아무튼 봐 아는 것과 짜 올리는 것과는 또 별개. 별로? (으)로 하는 일은 없습니다, 마모루궁사?」

더욱, 무엇? 인가로 본 것 같은 박등 웃음을 띄우면서 카렌의 말은? 구.
이렇게까지 말해져, 그대로 출? 선은, 내가 지금까지 쌓아올려 온 잡동사니들의 자랑에 걸쳐도 말할 수 있어? 하지만 없다.
나는, 과연 출? (뜻)이유가 없다고 하는 시선과 결국, 마모루궁사? 등은 그 정도라고 하는 비웃음의? 미소를 앞에 두고, 필사적으로 파이프 오르간의 부품을 해석해 갔다.

「……하고 준다. 다만 시간은 걸리겠어」

결과는 어떻게든 빠듯이,? 구카? 가내인가의 경계선.? 가내라면, 아무리 조롱해지고 업신여겨져도 어쩔 수 없지만, 이러한은은 후에는 파하지 않는다. 나는 짜기 시작하도록(듯이) 승낙의? (을)를 올렸다.

「그러면, 적어도 내가 성배의 유무를 판정하기까지는 완성시켜 주세요」

이렇게 해 본의 아니게 나는 잠시의 사이,??내왕을? 차는 일이 되어 버렸던 것이었다.

 


「무엇? 하지만 우연히 형편이야! 그 거 명백하게 노리고 있잖아」

라고 여기까지 곰곰히그런 추억을 이야기하고 있으면(자), 원판이 낙담으로 한 표정으로 돌? 응 할 수 있었다.

「, 그럴까?」

「그럴까가 아니어요. 어쩐지 그 무렵, 사? 하지만 묘하게??에 가고 있다고 생각하면(자), 그러한 (뜻)이유군요……」

「그러한 (뜻)이유는…… 말하지 않았던가?」

「(듣)묻지 않다! 제일 그 여자, 나에게는 그런 일한마디도 말하지 않았어! 똥, 무료자가 아니다고는 알았지만……아 이제(벌써)! 서투르기 때문에는 피했었던 것이 미스군요」

「에 , 원판도 카렌서툴렀었어」

「……그냥, 저녀석은이라고 하는지, 그……이렇게, 마음의 틈을 찔러 온다 라고 하는지, 그렇게 말하는 곳 있잖아. 그러한 녀석은 서투르다고 말하는지, 싫다고 말할까……」

점구기? (와)과? 하지만 끊어졌다고 하는데, 라고 원판씨는 입을 비쭉 내며 반안으로 나를? 째 붙여? .

「아무튼, 확실히 그렇게 말하는 곳(중)은 있다고 생각하는데. 그 딸(아가씨)의 자라 생각하면(자), 그런데도 곧바로 자라고 있는 (분)편이라고 생각하겠어」

? 상대가 조금 다르겠어라고는 생각했지만, 다소는 사정을 알고 있는 나로서는, 카렌의 변호를 하는 일로 했다.

「그런 일? 계 없어요!」

순간, 파르페의 그릇을 인반복하듯이 테? 불을 두드려 돌? 응으로 오는 원판씨. 좋았다 다 먹은 다음에.

「이라고 하는지, 사?. 너 어째서 저녀석의 신상이야기까지 알아……」

「아니. 아무튼, 라고 할까……우연히 형편일까?」

더욱? 있고 얼굴을 이익??풀키, 사안의 레벨에까지 높인 시선을 들이대어 오는 원판에, 나는 파르페의 그릇을 고쳐 세우면서 다시 기억을 반추 했다.

 


저것은 카렌과 출? 라고로부터 잠시 경과한 후, 내가 오오하시의 소매에 있는 임해 공원에서? 날 모습의 안녕을? 죽고 있었을 때의 일이었다.
? 저것이? , 그렇지 않아도 바빴던 나의 생활은,??에서의 파이프 오르간 작성이 더해졌기 때문에, 촌각도 편안해질 틈이 없는 가렴주구의 날? 화하고 있었다.
고기? 의 피? 도  그렇다고 해도, 여하튼 상대는 그 원판씨와 카렌씨다. 최조, 나의 정신은 가득 가득을 넘겨, 인절의 부엌 돌아가 더욱 겉(표) 돌아가는 곳까지? (이)라고 있었다.
그것이 이 날, 원판은 역시 륜돈행의 준비를 위해서(때문에) 부재중. 더욱 카렌도“일”의 외출중이라고 하는 일로, 뻥 멈추는 것으로 태풍의 눈과 같은 자유시간이 내려 솟아 오르고 있었던 것이다.
그래서, 나는 이것 다행이라고 판? 한 손에 임해 공원에서, 일? 상대에게 안일한 일상이라고 하는 최고의 사치? (을)를 맛보고 있던 참이었다.

「아, 좋은 하늘? (이)다……」

? 여름의 일? (은)는 이것이라도일까하고(뿐)만에 내리쬐어 오지만, 그런 것 원판의 이런 일도 출? 없는 것인지는 눈이나, 카렌이 어떻게 될까 알지 않지만 힘껏 노력하는 일이군요는 시선에 비하면, 봄바람과 같이 기분 좋았다.

「…………」

라고 판? (을)를? 로 했더니 돌연 불안하게 되었다.

――마모루궁사? 에, 이런 행복은 물? 없다--

무엇? 인가로 그런? 하지만 영향을 준 것 같은? 하지만 했던 것이다. 게다가, 젊디젊은 여성의 버릇에 무엇? 인가 기학심이 풍부한 붉은 사람이나, 경건한 버릇에 절? 배에 무엇인가 일물 가지고 있을 것이다라는 미소를 띄우는 것 같은 은의사람의? 그리고다.
나는 당황해 좌우를 바라보았다. 좋다, 이상 없음. 붉은 옷도,? 있고 법의도 보고? 등 없다.
조심을 위해서(때문에) 위나 아래도 본다.? 연, 뒤도 되돌아 봐 단단히라고 확인한다.

「? 태우고 있고인가……」

무엇? 에도 이상은 없었다. 나는 안심해 정면을 향한, 그 때다.

「? 분과? 동 의심스러운 일을 하는 것입니다, 마모루궁사?」

……정면으로 있었다.

몇시의 사이에인가 나의? 정면으로, 여름이라고 하는데 긴소매의? 있고 법의를 감긴 카렌이, 무엇인가? 질자라도 보는 것 같은 시선으로 나를 업신여기고 있었다.

「 나의 얼굴에 무엇인가? 보통으로 말을 건네라고 말해졌으므로, 매우 보통으로 말을 건넨 생각입니다만?」

무기력그 얼굴을 응시하고 있던 나에게, 카렌은 불평이 있으면 말해 보라고 말하 듯이 어조로 말을? 찬다.

「갑자기 나타나, 어디가 보통이야……」

라는 그것보다다.

「말해져도, 누구에게? 내가 그런 일 말했던가?」

「아……아니요 그렇게 말하면 누구에게입니까」

순간, 카렌은 일순간여우라도 집어진 것 같은 표정이 되어,? 있어 지금까지의 방안천성? (와)과 같이, 시선을 불안에 방황하게 한 냈다.

「나에게 (듣)묻지 마」

「말씀드려? 없습니다, 확실히……나의 자신있는 방법으로? (을)를 걸치고(끌어 올리고) 인에, 다음으로부터는 보통으로 하라고 말해진 것 같은…… 이상한 이야기군요. 확실히, 당신(마모루궁사? )(와)과는 그런 출? 있고 젓가락이라고 없었다」

「단단히 해라, 견습에서도 다른 사람에게는? 닮은 출? 없다(온리??원의) 견습이겠지?」

「그 점에? 해 문제 없습니다」

하지만, 그런? 궤하 해를 말한 순간, 카렌은 원의 무엇? 인가로 본 일이 있는 것 같고 냉담해서 간파하는 것 같은 시선에? 와 무엇? 인가? 할 것 같게 입가를 뜯을 수 있었다.

「파수가 없어지는 하자마자,? (을)를 느슨해지게 해 방황 있고 내는 사람과 달리, 나는 제대로 일을 진행시키고 있습니다」

……아픈 곳을 찔러 온다. 별로 나는……? 보지 않습니다,? (을)를 느슨해지게 해 방황했다.

「으로, 무슨용무야? 오르간라면??에는 갔어. 그렇지만, 부재중이었던 것은 그쪽이겠지」

무심코 사과할 것 같게 된 나였지만, 생각해 보면 사과하는 까닭은 요만큼도 없었다. 나는 내려 걸친 머리를 반대로 뒤로 젖혀, 도전하는 것 같은 시선으로 카렌에 물고 늘어졌다.

「별로 용건이라고 말할 정도의 일은 없습니다. 오르간으로 해도 부재중까지??에 힘쓸거라고는 말씀드리지 않습니다. 본? (이)라면 보여도 대로 지나는 나무였던 것입니다만……」

그런 나의 시선을 전혀? (으)로 한 헛 스윙마저 보이지 않고, 매우 실? 날것에서의 말로 거기까지? 천민 카렌이었지만, 여기서 아주 조금만 수치않다 기울 수 있는시선이 되면(자) 소? 그리고 툭하고 덧붙였다.

「당신이 행복한 것 같았다 것으로, 무심코……」

「에?」

일순간, 무엇인가 불? 물건이 등골을 달렸다.
이것에? 라고는 안 된다. 수를 찔러 뱀을 내는 것 같은 일을 해선 안 된다.
그래, 안 되는 안 된다고는 생각하면서, 그런데도 나는 무엇인가 끌어들이어? 같게 되물어 버렸다.

「그……무심코, 야?」

「……기학심이 자극되어 버렸습니다……」

카렌은 수치않다 기울 수 있는? 그리고 그렇게 고하면(자), 후는 정색했는지와 같이 1? 에 단언했다.

「이렇다할 이유도 없게 눈에 보여 행복한 것 같았습니다 것으로, 현? (을)를 알려 주고 싶어졌습니다. 인생이란? 물건은 아니고, 항상 괴로워해 번민 자학에 눌러지는 것. 그 외관의 행복은, 나의 단숨에 용이하게 지워 없애 버릴 수 있는 것이다, 라고」

「음……그……」

나는 거기까지 너에게 미움받았어?

「별로 당신이 싫다던가, 밉다고 말하는 것은 아닙니다」

무심코 머리를 움켜 쥘 것 같게 된 나에게, 카렌은 취해 붙였어? 에 말? 자리수.

「다만 나는 행복할 것 같은 사람을 보면(자), 그 가죽을? 있고로 보고 싶어집니다. ……이전부터 징조는 있었습니다만, 이 거리에? (이)라고로부터 본격화한 것 같은. ……어쩌면, 이것이 나의 취미일까요?」

그리고 마지막에는, 곤란한 것 같은 얼굴로 나에게 묻고 조차 해 온다.
아니, 그런 일 (들)물어도 나가 곤란하다. 다만, 이것만은 말할 수 있다. 그것은……

「……최? (이)다」

「 나도 동감입니다. 도대체 누구를 닮은 것이든지」

나의 무기력 한 것 같은 말에, 같은 무기력 한 표정으로, 손을 잡아 빌도록(듯이)? 구카렌.
일순간, 이상한 친근감이 솟아 올랐다. 마치 같은 적을 가진 동맹자라고 말하는지, 적의 적은 아군이라고 하는지, 그런 조금 복? 친근감이다.

「아무튼, 그것은 이제(벌써) 좋다. 그것보다? 밥 아직이겠지? 이런 곳에서? 의 것도 무엇인가의? (이)다, 1? 에 먹지 않는가?」

그런 친근감의 탓도 아닐 것이지만, 나는? 소유를 재차 판? (을)를 꺼내면(자), 카렌을? 밥으로 이끌기로 했다.

「원, 나와입니까?」

「그 밖에 없는이겠지?」

놀라는 카렌을 딴 곳에, 나는 삼단 겹침의 겹을 공원의 잔디 위에? 라고 갔다. 어쨌든 상태에? 라고 너무 만들었다 , 혼자서 먹기에는  너무 많다.

「입니다만, 그……」

하지만, 카렌은 드물고? 연과 우뚝선 채로, 무엇? 인가 애매한 표정으로 소근소근? 있을 뿐 다.

「별로, 이것으로? 유 하자고  것도 아니어?」

「그러한 걱정은 하고 있지 않습니다. 이것이? (이)라면 독에서도 번창해지고 있는 위? (이)가 있습니다만, 마모루궁사? 에? 해 그 걱정도 하고 있지 않습니다」

대단한 말해지자이다. 아무리 뭐라해도 원판이 그런 일을……아무튼, 하지 않다고는? 말 할 수 없지만, 어쨌든 그러한? (은)는 아닌 것 같다.

「아, 혹시 종? 위의 이유로써 방심할 수 없는 것이 있는지? 그렇지 않으면 조식에 힘써야 하는 것이라는 계율이 있다든가」

「아니오, 그렇게 말한 제한은 없습니다, 입니다만……」

어떻게도 이유를 모른다.? 도 말을 탁카렌에, 분명히 말해 주지 않으면 알지 않으면 고개를 갸웃하면서 시선을 보내면(자), 드디어 카렌은? 생각 한 것처럼 한숨을 붙는다고 입을 열었다.

「좋은 맛있는 음식과 같은의입니다만, 내가 먹어도 아마 맛을 모른다고 생각합니다」

「에?」

「……마모루궁사? 에, 완곡한 표현은 통하지 않는다고 생각하기 때문에 분명히 말합니다. 단가 괴로운가 어느 쪽인지 뚜렷한 맛 이외, 나에게는 판별할 수 없습니다」

「그러면, 예를 들면? 전의 크루크? 반다테의 백배 그? (이)라든지, 강? 전 가게의 스페셜 삼색 넓은 지면? (이)라든지 가 아니면 안된다는 것은 일인가?」

「그 어느쪽이나 먹었습니다만, 조금(뿐)만 박미였습니다.? 있어 이 거리에서 입에 맞은 것이라고 말하면, 상가에 있는 태산이라고 하는 중화 요리점의 마파두부인가, 풀? 르라고 하는 양과자점의 설탕 절임 트리프르베리? 크레? 프 정도입니까」

위,? 마조차 1? 그리고 승천 한다고 하는 작열의 용암과 천사마저 한입으로 기절사 한다고 하는 극감의 과?. 격신과 격감, 후유키에 있어서의 악마의 세계의 극히? (와)과 천상의 지옥과? 되는 2품이다.
이제(벌써) 이것은 편식이라든지, 치우친 기호라든지, 그렇게 말한 문제를 넘기고 있다.

「……최? (이)다」

그래, 그것은 인간세상 밖 악마가 사는 곳. 최조인간의 밥감자  것이 아니다.

「마모루궁사?. 그것은 어떤 의미입니까」

하지만 솔직한 감상에, 이번은 공감을 얻을 수 없었던 것 같다. 카렌은, 마음껏 불끈 한 표정으로? 찾아내 왔다.
우도, 그것은 지금까지의 냉철해 무엇? 인가 사람을 조소한 것 같은 표정과는 달라,? 상? 의 소녀가 등진 것 같은 얼굴이었다.
과연, 사람이 제일 솔직한 감정을? 의 것은, 취미와 기호에 대해라고는 자주(잘) 말한 것이다.

「? 샀다. 유석에 나도 그 녀석에게는 교제할 수 없다. 오늘은 저것으로 용서해 줘」

그러니까 나는 솔직하게 고개를 숙여 공원이 빗나가고로 가게를? 이동식의 수확? 드숍을 지시했다.

「네? 그……사는 받을 수 있습니까?」

「뭐인,? (을)를? 구 한 것 같고. 거기에 밥을 권한 것은 나이겠지?」

권한 이상 끝까지 완수 하고 싶다. 고집이라고 말하는 것보다, 이것은 나의 취미같은 것이다.

「알았습니다. 그러면 맛있는 음식이 됩시다」

그? 소유가 통했을 것이다. 이것 또? 상? 의 미소를 띄우면(자), 카렌은 기분 좋게 승낙해 주었다.

「좋아, 자 조금 기다리고 있어 주고」

이렇게 해 우리들은, (분)편이나 삼단 겹침의 겹, (분)편이나 4단 겹침의 이탈리안 수확? 드라고 말하는, 풍격 대신했어? 깨었어? 식을 배달시키는 일이 되었던 것이었다.

 

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오래간만입니다.
Britain 재? 제일? (은)는 hollow 관련의 밖?. 인가의 성녀? 의 등장과 되었습니다.
그녀와 같은 기거지의 인물에게? 하는 SS는 한 번 쓰고는 있었습니다만, 이것은 아무튼, 소위“??사”가 되어 버렸으므로, 리메이크의 의미도? 째라고 써 보았습니다.
“그”이야기와 다른 세계의 같은 시간축으로, 그 성녀? 에 어떠한 출? 일이 있었는지? Britain류에 요리한 이야기입니다.
「본? 에, 보통 식사는 안구나……」

시험삼아 먹어 본 나의 판? 에 빠지는 잘라 무표정한 한편, 4단 겹침으로 설탕을 도 했어? 이탈리안 수확? 드에는 행복하게 입가를 뜯는 카렌에, 나는 무심코? 있어 버렸다.

「이기 때문에 안 됨이라고 해? (이)가 아닙니다. 맛을 모르는 것뿐입니다……」

거기에 카렌은, 아주 본의가 아님 그렇게? 네를 돌려준다.

「이렇게 말하는 것 (듣)묻는 것도이지만,? 질일까에일까 의 것인지?」

「아니오. 아무튼, 지금까지의 생활의 청구서라고 말했는데지요」

「아, 아……」

조금 변변치않은 화제였다.
카렌의 일은? 마? 있고의 조수, 게다가? 장을 몸에 받는“? 산의 카나리아”역이다. 지금도 외관? 하는 파오? (이)나, 희미한 소독취로부터도 찰 다투어지도록(듯이), 서투른 고행이지 않다.

「전에도 말했습니다만? (으)로 하지 않게.??(으)로부터 수도원을 차례로 돌림으로 되어 얻은 천직이기 때문에」

왜냐하면의에 카렌은, 무엇? 인가 자랑날것으로에 터무니 없는 말로 자신의 자라난 내력을 평가해 보였다.

「뭐야, 그것……」

「뭐야와는……간결하게 해??. 안? 말할 수라고 이상하다면, 나는? 에 들어가 있습니다만?」

더욱, 넘치는 일에 눈썹을? 나에게, 카렌은 마치 내가 그렇게 평가해 주었다고에서도 말인 시선으로 입을 비쭉 내민다.

「미안, 그렇지만, 그러면 무엇이 어쩐지 몰라?」

「어쩔 수 없습니다, 별로 재미있는 이야기도 아닙니다만, 한번 더 이야기 합시다」

완전히 마음? 충분하고는 없기는 했지만, 왜일까 여기가? 이상한? 하지만 해 무심코 사과해 버린 나에게, 카렌은 한숨 섞임에 「??(으)로부터 수도원을 차례로 돌림으로 되어, 거기서 천직을 얻었다」이야기를 해 주었다.

 

 

 

 

팔 수 있는 있고의 고별선물 
「자양화의 성녀」 -Karen Hortensia- Fate/In Britain외? -7 후편
Magdalene  

 

 

 

그것은, 정말? 하지만 마음이 가라앉음같은 이야기였다.
아버지도 확실하지 않은 그녀를 낳아, 게다가 신도에게 있을 수 없는 죄인 자살을 이룬 어머니.
그런 모자에게, 전혀 어떤 감개도 가지지 않고 얼굴을 보이는 것 신통치 않게 없어져 버린 아버지.
신에의 사랑 이외 무엇도 알지 못하고, 그녀에게 세? 조차 베풀지 않고 단순한 귀찮은? (으)로서 기른 신부.
그리고 그녀에게 다른 사람에게는 없는 성흔을 인정하는 하자마자, 순? 도구로서 수도원이라고 하는 감옥에? 세웠다??.
거기에는 그녀의, 카렌? 오르텐시아라고 하는 소녀의 자아를, 사람으로서의 존재를 인정하는 것은 일절 없었다.

카렌은 그런 이야기를 담? (이)라고 말했다.
자신을 낳아 버리기로 한 부모를 원망하는 일도 없고, 비는 이외 굳이? 네라고 주지 않았던 신부를 미워하는 일도 없고, 자신을 편리한 도구로서 취급할 뿐(만큼)이었던 수도원을 싫어하는 일 없이, 그러한 모두를별로 괴롭다고 생각하는 일도 없고.
? 꾸중은 아니다.? 때그것을 말하는 표정을 보면 안다.
? 에 추억이라고 하는 책의 페이지를 걷어 붙여, 소리? 한다. 카렌의 표정으로부터는, 그 이상의 의미는 일절 짐작할 수 없었다.

「그리고 나는, 그 성흔(재능)을 살리는 길.? 마? 있고의 조수로서? 구일이 되었습니다」

그리고, 이 일도 또 지옥이었다.
마를? 도구로서 그녀가 뒤따라? 사는, 그 중에서 특히의 최전선(전위파)을 맡는 사제였다.
 고로 그 행선지에는, 유사품이나 비교적? 있고 단계의? 마빙 나무 등은 없고, 항상? 성으로 불리는 최? 의? 마의 소행만이 기다리고 있었다.
최조거기는, 빙의자만으로 없고 주? 의 사람마저도? 이 한 인간세상 밖의 땅.
물론, 고기? 의? 이는 아닌, 그런 것이 시작되면,? 에 끝나 있다.
거기는, 사람이 사람의 형태인 채 사람 이외의 무언가에? 라고 가는 세계, 사람의 정신이 추? 무언가에 교체된 세계, 고기로 없게 영혼을 썩일 수 있는 세계였다.

그런 세계에서, 보통 사람이라면 1월과 가지지 않는 이상한? 장소에서, 그녀는? 있고? 있었다.
게다가 담? 라고 이상과 초상의 아수라장을 마치 일상의??(와)과 같이.

「…………」

하지만, (듣)묻고 있는 (분)편은 감것은 아니다. 무엇? 인가? 라고 있지 않아서 걱정으로 되는 만큼, 담? (와)과? 절인 이야기를 이야기하는 카렌에 대신해, 나의 장이 익고 절의 부엌 되돌아 온다.
사람은, 그런 삶의 방법을 하면 안 되는……어떤 사람이라도, 사람은 사람으로서 살아 사람으로서 돌아가시지 않으면 안 된다……

「오해가 없게 말해 둡니다만, 별로? 제지해진 것이 아닙니다. 이것은 나 자신으로 선택한 길입니다」

그런 나에게 카렌은, 어째서 당신은 그렇게도 오만하고 불손해서 짊어지는군과 단념한 것 같은 어조로 말을 걸어 왔다.

「 어째서!」

「같기 때문에」

「네?」

「 나에게 있어서는? 도 밖도 같은 일. (이)라면 가치가 있는 삶의 방법을 해야 하겠지요」

? 도 더 심해가는 나에게, 카렌은 방금전같은 담? (와)과 빌도록(듯이) 어조로 말을? 찬다.
그녀의 성흔은, 사람의 마음에 가린 마에 반? 한다. 마음에 마가 가리지 않는 인간 등 성인과 다름없다.
즉, 그녀에게 있어 매우 보통“일상”도,? 마? 있고의“이상”도, 결국“같다”라고 하는 것이다.

「자신이 핸디캡을 떠맡고 있는 일은 알고 있습니다. 그렇지만, 이렇게 해 태어난 이상, 그 규정 중(안)에서 생? 후도 생각합니다. 원망했더니 아무것도 시작되지 않습니다」

「 그렇지만……그 고친다든가,? 질개선한다든가……」

「치료법은? 보고 되고 있지않고, 고치자고 하는 희망도 없습니다. 자신은 불행하다라고 한탄할 수 있는 것만으로 충분합니다. 거기에」

카렌은 여기서, 그 냉소적이어 사람을 업신여긴 것과도,? 상? 의 소녀의 물건과도 다른 미소를 띄웠다. 그래, 비유한다면, 그것은 자모의 미소다.

「 나는 확실히 상처를 입습니다만, 그것은 나의 상처로 없게 누군가의 것. 불쌍히 여겨 할지언정 원망하는 까닭은 없습니다」

 고로 천직.
아, 확실히 그렇다.
카렌은 알고 있다.
이 삶의 방법이 무엇? 인가 비뚤어지고 있는 것을, 자신에게 무엇? 인가 빠진 곳이 있는 것을.
(이)지만 이 삶의 방법의 끝, 누군가가 살아난다면, 누군가가 구해진다면, 그것은 결코 잘못한 것은 아니다.
익히고 끓어오르고 있던 장이 쑥 차가워져 온다, 대신에 머리를 빠듯이 단단히 조이는 것 같은 두통이 덮쳐 온다.

「깜빡잊음 하고 있었습니다. 마모루궁사? , 당신은 인내를 할 수 없는 사람이었지요」

그런 나에게, 카렌은 자모의 미소를 무너뜨리지 못한 채? 지로, 그래서 있어 무엇? 인가? 쓰러지는 표정으로 다시 향해 왔다.

「왜 그렇게 타인(뿐)만으로 한탄하는 거야? 분개하는 거야? 확실히 나의? 응 할 수 있던 길은 안일하지는 않았습니다. 결과, 아시는 바와 같이 조금미? 의 기호가 치우쳐 버리는 것 같은 일도 있었습니다. 그렇지만, 그런데도 나에게는 맛있다고 느끼는 것이 있는,? 주위라고 느끼는 것이 있는, 약간의 나? (을)를 통한 일도 있는, 자신의 욕망이 전무라고 말하는 것은 아닙니다」

그대로, 마치 설득하도록(듯이) 자신은 그런 삶의 방법을, 살아 온 길을 결코 싫어하지는 않으면 한정된 선거? 지안, 힘껏 자신답게 살아 왔다고 한다.

「――입니다만, 마모루궁사?」

그리고……

「당신은 어째서 사는 것을? 닫지 않는거야?」

말의 칼날을 들이대어? .

「당신에게는 자신에게 돌아가는 욕망이 없다. 그러니까 기쁜 일은 있어도? 주위일은 없다. 항상 자신의 마음이 외치고 있다. “그런 행복은 마모루궁사? 에는 적격이지 않다”」

「, 그것은……」

「비유 타인의? 그리고 들려도, 그것은 당신 자신의?. 당신 자신의 생각을 비춘 거울에 지나지 않는다. 왜냐하면, 본? 의 그 사람들은 결코 그런 일 말하지 않는 것」

카렌에 말해? (은)는 통하지 않는다.? 지인 눈동자로, 자모 사랑으로 다음? (와)과 나의 가죽이? 놓친다.

「자신에게는? 그림 이웃에게? ? 몸의 귀감, 세계는 올바르게 저것과 빌도록(듯이)? 본연의 자세. 당신의 생? (은)는 언제래 타인의? 만. 비유 자기 자신을 빼앗겨도, 그것자? (을)를 슬픔은 하지 않는다. 그 뿐만 아니라, 자신을 빼앗았어? 사람이,? 물건의 생을 사는 (분)편을 우」

무엇? 까 먼 눈으로 카렌의 말은? 구. 나의 모르는 사상으로, 요행도 없고 나자신의??(영혼)(을)를 절개해 나간다.

「이제 아무도 그런 당신을 탓하거나 하지 않는다. 꾸짖는 것은 당신 자신만. 응. 그렇게 사람? 보고의 행복하다는 것은 시시한거야?」

……아니, 그런 일은 없다.
사람? 보고의 행복, 달? 보고의 행복. 그것이 매우 훌륭한 것도 일에는 실수는 없다.

다만……

그것만으로는 부족한 것이다.

그것만으로는 참을 수 없다. 생명의 분만큼 행복하기 좋겠다. 노력한 놈은, 열심히 사는 놈은, 반드시 보답받지 못하면 안 된다. 자그마한 행복 정도에서는 비율이 맞지 않는다.

아…… 즉, 나는……

「오만하고 불손하다……」

「그렇게, 그것이 당신의 죄. 그렇지만 아무도 당신을 처벌해 주지 않는다. 왜냐하면 잘못되어 있지 않으니까. 그러니까인 것, 당신은 몇시도 당신 자신으로 당신을 탓한다」

그 대로다.
자기 자신의 욕망이라면 회개할 수 있다. 하지만, 나를 갖고 싶은 것은 타인의 행복하다. 회개할 수 없는, 회개할 수는 없다. 끝까지 완수 하지 않으면 안 된다.

「미안한, 카렌」

그러니까 나는 사과했다.
나의 죄를 나의 죄? (을)를 꺼내,? 지에 설득해 준 카렌에 감사하면서도, 결코 개전 하는 것이 출? 없는 것을 사과했다.

「원부터, 나의 잔소리 정도로 당신의 10년? 의 삶의 방법이? 라고는 생각하고 있지 않았습니다만, 약속이었기 때문에」

「약속?」

「예, 한번 더 당신을 설득하면(자)」

누구라고는 말하지 않았지만, 카렌은 일순간 매우 상냥한 미소를 띄우면(자), 이야기는 끝났다고 일어섰다.

「다만,? 눈매라고 생각했습니다만, 덕분에 하나의 방향이 보였습니다」

그리고, 그 미소를 매우 멋지고 사인 물건에? 네라고, 나에게 미소지어 걸쳐 왔다.

「그……그 거1? 어떤 의미일까요?」

뒤털이 거꾸로 서, 등골을 절? 영도로 역어루만지고 되면서, 나는 그렇게 멋진 카렌씨에게 물어 보았다.

「별로 마모루궁사? (을)를 이렇게 저렇게 하자라고 생각한 것이 아닙니다. 거기에 대해 약속도 완수했고, 더 이상의??(은)는 무? 그렇지. 다만, 나의 주무는 성배의? 측입니다만, 이??의 겉(표)의 대행도 맡겨지고 있습니다. 그러니까, 조금 그 쪽의 일에도 열심히 하려고 생각했을 뿐입니다」

무서워하는 새끼양나에게, 카렌은 자모 사랑과? 아버지의 기학이 없는 혼합하가 된 미소를 띄워 냉담하게 업신여기면서? 네라고 주신다.

「아무튼, 한마디로 말하면??의 서무의 정리와 헤맬 수 있는 새끼양의 선도입니까」

그리고 마지막으로, 매우? 할 것 같게 수수께끼 걸고 같아 보인 말을 말해? 해, 카렌은 공원을 떠나 갔다.

 

 

「……??의 서무의 정리와 헤맬 수 있는 새끼양의 선도라고 ……」

라고 여기까지 이야기해 문득 눈을 들면(자), 원판씨가 투덜투덜그 이언을 반복하고 계신다.

「과 원판?」

어쩐지 매우 무서운, 수를 찔러 뱀을 내는 것은 본의는 아니지만, 그런데도 나는 그만? (을)를 걸쳐 버렸다.

「결국, 저것은 전부 너의 탓이었구나!」

순간, 분화하는 원판화산. 조금 대라고, 너1? 뭐 말하고 있어!

「아무것도 줄어든 덩이도 없어요! 사? 왜냐하면 있었겠지만!」

「나도 있었어? ……아, 혹시……」

원판에? 막에, 당황해 기억뒤진 나는 하나의 출? 일을 생각해 냈다.

「혹시 하지 않아도 저것이야. 나와 너, 거기에 그 여자가 동석 한 것은 저것 1회 뿐이겠지?」

「그렇다면 그렇지만, 그건 그렇게 소중했던가? 그렇다면 확실히 대단하고? 탄이었지만?」

그리고, 눈 가득 분한 것 같은 원판에는? 겉껍데기, 꽤 유쾌한 출? 일이기도 했다.

「……그 때는, 사? 에 전부? 명 할 수 없는 사정이 있었어. 좋아요, 조금 생각해 내 보세요. 마지막으로, 연잇고 어쩐지 빌려주었는지? 네라고 주기 때문에」

그런 나에게 원판은, 조금(뿐)만 미안한 듯이  하면서도, 너 좋지 않은 일생각이라고 지요라고 한 시선으로 입을 날카롭게 해, 이야기를? 차는 것을 재촉했다.
확실히 저것은, 공원에서의 출? 있고로부터 더욱 반달(정도)만큼 후. 이제 여름도 마지막을 맞이하려 하고 있었을 무렵의 일이었다.

 


그 무렵에는? 에 파이프 오르간의 조립도 끝나,??에 다니는 이유는 없어져 있었지만, 그런데도 나는 다리 끓임없고??에 얼굴을 내밀고 있었다.
물론, 카렌의 일에 협력하기 위해(때문에)였던 것이지만, 왜일까 그때마다 카렌은??(을)를 부재중으로 하고 있어 전혀 출? 네 없었다.
아무튼, 지금까지의? 위를 생각해, 진한 개는 나의 공연한 참견인 생? 에? 하는 일종의? 말이 아닐까는 생각했지만, 그렇다고 해서 멈출 수는 없다.
그래서 이? 날, 고집과 같이 얼굴을 내미는 나와 재었어? 에??(을)를 부재중으로 하는 카렌의 이상한 뒤쫓고 고화? 있고 있었던 것이었다.

그것이 이 날, 갑자기 터무니 없는 곳으로 얼굴을 맞추게 되어 버렸다.

「안녕하세요 마모루궁사?. 이런 곳에서? 와는 기우군요」

확실히 기우다, 이런 곳에서? 는 사고의 한쪽 구석에 신통치 않았다.
여기는 원판저의 응접실. 원판의 마술 강좌의? 에 방문한 나의 눈앞에서, 카렌은 알려지고 로 한 얼굴로 차를 끽응으로 있었던 것이다.

「어머나? 마모루궁훈. 시스타??카렌의 일을 아시는 바야?」

그리고 그 정면에서, 화려하게 미소지어 있을 수 있는 것이 원판씨. 그 얼음의 시선이, 더욱? 번을 내려 나의 분을 적합했다.

「에?  아, 아……아는 사이다.? (은)는……」

「미스타? 마모루궁에는, 이 거리에 도착했을 때에 신세를 졌습니다. 대??찢는 것으로 친절한 인품의 (분)편입니다」

일순간,??되었지만 자주(잘) 생각해 보면(자) 내가 탓할 수 있는 까닭은 전혀 없다. 어쨌든 제대로? 명 하려고 입을 열면(자),? 자리에 카렌씨가 묘하게 허물없게 날아 송곳스구루 끊임없는 미소로, 응 토바 만일 나를 향해 사랑스럽게 목을 기울여주셨습니다.

「그러면, 소개의 필요는 없지 않아요. 서로 좋게 알고 있는 것 같기 때문에」

그래서, 원판씨는 (듣)묻는 귀 가지지 않고? 대강의 줄거리면서 미소짓고 계십니다.
너희들,? 로부터 나에게 이야기하게 해 주세요……

「그래서, 오늘은 어떠한 용건으로? 확실히, 최초로 상호불 마르고? (을)를 약정으로서 정했을 것이었지만?」

말의 꿰매어 잇기? (을)를 잃어 서? 나에게, 다음에 차분히 (듣)묻기 때문이라고 생긋? 있고 시선을 보내, 우선 원판이 도화선을 잘랐다. 즉, 불법 침입자는 냉큼 출라고 말하는 것이다.

「확실히,??의 감독 대리와 협? 의 관리자와의 사이의 상호불 마르고? (은)는 결정했습니다」

하지만, 카렌은 동요하지 않는다. ? 우도와? 오면서도 침착한 어조로 원판의 말에 반론한다.

「입니다만 오늘은, 후유키에 있어서의??의 사제 대리로서??의 신도인 원판??앞으로??의 직무 집행의? 에? 나름인 것입니다」

일순간,? (을)를 찔린 것처럼 얼굴을 중매원판과 나.
확실히, 원판은 별로??의 신도인 것이 아니다고 말하지 않았던가?

「 나는 별로??의……」

「예,? (은)는 최근10년 정도??에는? (이)라고도, 의식에도 비적에도??하고 있지 않습니다. 그렇지만, 유? 세? (와)과 견신은 촌부장이 생존가운데? 키라고 내립니다. 틀림없겠네요?」

? (을)를 고쳐, 아 무성해에 물어 바로잡으려고 한 원판의 말에, 카렌은 기다리고 있었던 토바 만일 말을 씌운다.

「그런가, 원판?」

「……응. 언봉의 전의 대까지는, 집과??(은)는 좋아? 계였고, 리정백부? (은)는 귀여워해 주고 있기도 했고……」

훨씬 찬 원판에 소? 그리고 말을 건네 보면, 별로 정식으로 종지 바꾸고 를 했다고 해? (은)는 아니고, 카렌의 말대로 전혀 활동은 하고 있지 않기는 했지만, 서류상은??의 신도인 채에서 만난 것 같다.

「그것은 상당히. 그런 이상, 비유 본인이 뭐라고 말하건,??(은)는 신도를 처분하거나 네 더하지 않습니다」

좋은 목동은, 헤맬 수 있는 새끼양을 결코 단념하지 않는다. 집념이 강하게 찾아내 반드시나 원의 군에게 질질 끌어? . 그래, 비유하고 파문으로 되었다고 해도“키? 사람”으로서??의 기? 중(안)에서는 영원히 사는 일이 된다.
영혼의 계약은 영원 보편. 그것이??(이)라고 말하는 것이다.

「제멋대로인 일을 말해 주어요……」

하지만, 원판씨는 공짜로는 패배를 인정하지 않는 것 같다. 과연 임종시가? 있고.

「그러면, 지금부터 유동사라도? ? 이제(벌써) 까? 유석에??보람없게 되면? 하지만 끊어지지 않을까?」

「??(으)로서는, 별로 그런데도 괜찮습니다가……」

그런 원판의 욕설에, 카렌은 아주? 생각 그렇게 얼굴을 숙이면서, 힐쭉 간파하는 것 같은 미소를 띄워? 있어 보였다.

「??에 적이 있으면,? 의? 적에? 계 없게 관혼상제를 무사하게 거행할 수 있는데……」

「……」

이상한 일에, 왜일까 이? 나무로 원판씨가 차 버렸다.

「어떻게 했다, 원판?」

「너는 좋은거야! 앞이고……나만이 알고 있으면 좋은 것!」

그리고, 마음껏 물음표를 띄워 (들)물어 보면(자), 이것 또 왜일까 원판에 고함쳐져 버렸다. 완전히, (뜻)이유가 알지 않는다.

「……알았어요, 그쪽이 유리하고. 1? 신도는 일에 해 두어 준다」

「 이해가 빠르고 살아납니다」

마음껏 분한 것 같은 원판에, 과연 취해 붙인 것처럼 안심 미소 넘쳐 흐름이라고 보이는 카렌. 결국, 입에서는 뭐라고 말하건도 원판은 카렌에 유? 되어 버린 것 같다.

「그래서? ??의 직무 집행은 뭐?」

「유언의 집행. 빠른 이야기가 유품분배라고 하는 놈입니다」

「기념품? ??의 인간으로 기념품을 받는 것 같은 알게 되어 없어요?」

「그것을 (들)물으면(자), 필시 고인은 슬퍼하겠지요」

카렌은 미소를 띄운 채로, 원판의 의문에 한탄해 보인다.
슬퍼해 주면(자) 얼마나 기쁠까, 어쩐지 그렇다고에서도 말하는 것 같은 밝은 한탄하는 방법이다.

「음, 그래서 누구의 기념품이야?」

(이)라고 해도 이대로는 이야기가 진행되지 않는다. 어쩐지 매우? (은)는 진행되지 않았지만, 내가 이야기를 진행시키는 일로 했다.

「후유키??의 전임자. 즉 언봉기? 의 유품입니다」

일순간, 심? 하지만 원판가를 쌌다.
나도 원판도 카렌의 말을 이해할 수 없었다. 아니, 이해하고 싶지 않았지만 정답일 것이다. 아, 그 언봉의 유품도? ……

「그런 물건, 위태로워서 받아들이는 것 없어요!」

하지만 그것도 순간, 먼저 나에게 돌아간 원판이,? 연과 같이 고양이를 벗어 던져, 카렌에 다가선다.? 소유는 안다. 언봉의 유품. 게다가 원판앞은, 어떤 저주가? 라고 있을까 안  것이 아니다.

「 의심은 헤아립니다만, 1??사의 결과 어떠한 주식도? 라고 없는 것을 확인되어 있습니다. 아무튼, 언봉기? (은)는 저것에서도 정식적 성직자. 직접적인 주를 보내버릴 정도의 바보는 아니었던 것 같습니다」

거기에 카렌은 침착해, 자주(잘) (들)물으면 몸도 뚜껑도 없는 말로, 어느 물건도 단순한“ 것”에 지나지 않으면 확약했다.

「……알았어요. 그 말해? (이)라고, 너저녀석의 아군만은 절? 할 것 같지 않고, 볼 뿐(만큼) 봐 준다」

아무래도 원판도, 카렌의 말의 구석? (으)로 보이는 전임자에게로의? 어쩔 수 없는 생각에? 하지만 붙은 것 같다. 마지못함이면서, 유품분배라고 하는 행사를 시작하는 일을 승낙했다.

「에서는, 우선 이쪽으로부터? 주세요」

거기에 카렌은, 기다리고 있었던 토바 만일 지? 의 트렁크로부터, 아무래도 옷? 상자와 같은 것을 꺼내 서서히 뚜껑을 열었다.

「………… 네?」

일순간, 어떻게 될지와 숨을 삼키고 있던 나였지만, 내용이 눈에 들어온 순간 박자? 지워 버렸다.
거기에? 라고 있던 것은, 흰 블라우스와 감색의 스카? 트, 거기에 푸른 리본과? 있고 타이츠라고 하는 1? 있고의 양복. 왜일까 속옷류까지? 라고 있는데는 조금 빨간 얼굴 했지만, 이것에는 보고? 네가 있다.

「이것은, 세이바? (이)가 입고 있었던 옷이 아닌가……」

그래, 이것은 그 성배??의 사이,??에 완성될 수 없는 세이바? 의? 에 원판이 준비한 옷이다. 그러나, 어째서 이런 것이 언봉의 기념품이야?

「……선물이었어요……」

그런 나의? 나무에, 왜일까? 빨강이 되어 내리는 거절하면(자) 떨리는 원판이 짜기 시작하도록(듯이)? .

「에?」

「저녀석의 생일 선물이었던 것! 그것도? 해? 해여자글자옷뿐!」

그것은……언봉은 역시? 놈이었다……

「네. 유언에서는 원판??하지만 20? (이)가 될 때까지? 해생일에 주도록(듯이)되고 있었습니다만, 유석에??도 그렇게 한가하지는 않습니다. 다행히 옷은 매년분 모두? 라고 있었으므로, 이 때이기 때문에 모두 이 장소에서 건네줍니다」

그런 우리들의 광? (을)를? 송곳니에도 걸치지 않고, 카렌은 사무적인까지의 어조로, 트렁크로부터 다음? 에 옷? 상자를 꺼내 쌓아올려 간다.

「……구」

그 모두가 같은 옷.
아니, 사이즈가 미묘하게 다르다. 과연, 원판의 성장을 예측한 다음 만들게 했는가. 왜일까, 브라의 사이즈만 모두1? 라고의가 안? 정취 캔버스인가……

「마모루궁훈. 너무 이상한 일 생각하고 있다고(면)……죽여요……」

있고……등이란, 조금도 전혀 생각하지 않아. 그러니까 원판, 생명만은 도움을……

「? 에 들어가 받을 수 있던 것 같아, 필시 고인도 환영받는 일이지요」

거기에 카렌이 취해 붙인 것 같은 미소를 띄우면서, 장의사 사? (와)과 같은 대사로 차? (을)를 넣어 온다.

「이것의 무엇? 하지만 기뻐하고 있는 것 같게 보여! 이런 물건 너에게 올리기 때문에 가져? 리나 차이!」

「? 소유는 고맙습니다만, 다른 사이즈는 차치하고 가슴만은 너무 힘든 것 같아서, 사양합니다」

? 연, 격? 하는 원판이지만, 카렌은 용서 없다. 분별이 있는 사람이라면 결코 입에 출? 없는 말을 알려지고 라고 말해 주십니다.

「……뭐, 좋아요. 받읍시다」

그대로 가열인 시살? 에 돌입일까하고 생각했지만,? (을)를 이를 악물면서 당긴 것은 원판이었다.

「이런,? 분간? 에 물러나지는 것입니다?」

「응. 이대로 달라붙으면(자), 그 만큼 네가 이 집에 길게 머무르는 일이 되잖아. 다행히 몇시라도같은 옷같고. 받은 이상은, 익히든지? 황하 여기의 마음대로 해 좋은 것이고」

「? 연입니다.? (분)편도 인도이상, 그 후의? 우에 대해서는 일절??하지 않습니다. 과연은? , 현명한 판단? (이)라고 생각합니다」

……어쩐지, 주체 못한 테러리스트를 서로 꽉 누르는 2대? 의 정치적인 결착같은 전개다. 이 복자? 에는 죄는 없다고 생각하지만, 세이바? 에도 어울리고 있기도 했고.

「으로, 이것으로 끝나?」

「아니오. 아직 있습니다」

옷? 상자를 재빠르게 물러가면서 끝났다면 빨리? 라고 재촉하는 원판에, 카렌은 그렇게간? 에는? 라고 하는 것일까와 생긋 미소지어 돌려주어, 이번은 트렁크로부터 1권의 책자를 꺼냈다.

「그러면, 빨리 건네주어 정대」

하지만, 그것을 봐 진절머리 난 얼굴로 손을 뻗어 걸친 원판으로부터, 카렌은 휙 그 책을 멀리했다.

「? 생각입니다만, 이것은 원판??에의? 도품이 아닙니다」

그리고, 왜일까 나를 지휘했다.

「나?」

「 어째서 사? 에?」

어떻게 생각해도, 내가 언봉의 유품을 받는 것 같은 줄기는 없지만……

「마모루궁사? 씨에게로의 지명이 아닙니다만……」

그래서는이라고와 고개를 갸웃하고 있으면(자), 카렌은 교묘하게 원판과 거리를 두면서 나에게 접근해 왔다.

「유언에, 언봉기? 사망시에 원판??에 제일 친한 남성에게 건네주도록(듯이)라고 지시가 있었으므로」

그리고, 생긋 말하는 것보다에 해에 가까운 미소를 띄워 그 책자를 무엇? 인가? 인에 나가 손에 들게 한다.

「아니 아무튼……그렇게 말해지면 그럴까?」

「부정은 출? 없네요……」

유석에 카렌의 전으로 원판과 내가? 사람이라고 말하는지, 그러한? 계라고는 공언할 수 없다. 우리들은 모두 알고 있습니다라고도 말인 카렌의 시선을 앞에 두고, 서로 말끝을 흐릴 수 밖에 없었다.

「으로? 무엇이야 이 본……!」

그래서 정말? 부끄러워서, 수줍고? 해와 같이 그 책자를 연 순간, 나는 경직되어 버렸다.
한마디로 말하면, 그것은 아이 시대의 원판의??하지만? 앨범이었다.
하지만, 단순한 앨범은 아니다. 여하튼 보통 스냅??등 한 장도 없는 것이다.
아마 원판저의 뜰의 나무 그늘일 것이다,? 의? 의자로 군침을 흘리면서??(을)를 하고 있는 어린 원판의? 자. 속옷 한 장으로 뿌옇게 침대에 앉아 있어? 노망나고 눈의 사랑스러운 원판. 공원일까? 공터에서 2자리수에 이르는 사내 아이를 눌러서 펴 게다가로 가슴을 펴는 소녀 시대의 원판. 위, 이것은 목욕탕 오름의 오? 르누? 드가 아닌가……
결국은 그러한 종류의??바보 리나의 것이다. 게다가, 그 모든??에 언봉의 주? 다하고라고 하는 열심인 모습이다.
말하자면, 진한 개는“언봉기? 편찬원판? , 사랑의 성장기? ”(이)라고도 말하는 것 같은 주옥의??집이었던 것이다.

「사? , 왜?」

라고 무심코 주시하고 있던 나의 어깻죽지로부터, 원판이 걱정스러운 듯이? 기혼 할 수 있었다.

「네? 위! 원판! 변변치않다!」

뛰어넘듯이 놀라, 당황해 앨범을 덮는 나. 큰일났다! ……

「……뭐가 변변치않다는? 이상하네요, 조금 보이세요」

아니나 다를까, 원판씨에게 마음껏 의심받아 버렸다. 지리지리라고 강요해 오는 원판씨.
후후후, 싫다원판씨, 오른손의 마술 각인이 빛나고 있어요 , 그 거절? 너무 해요.
카렌, 너도 멈추어-라고,? 할 것 같다. 아, 그런가.? 주위라고 느끼는 것이 있다 라고 하고 있었던. 창의나, 맛? 동? 마음껏 치우치고 있었던 취미였다…… 아…… ? 죽어 주어 최상이다……

「뭐야! 이것!」

(와)과 뭐, 여러가지로 암? 한 나의 의식을? 한 것은, 앨범을 손에? 빨강이 되어 외치고 있는 원판의 절규? (이었)였다.

「??!」

그리고, 그런 나에게 원판씨 리불? ? 하지만 덤벼 들어 온다.??라고, 그것은 내가 언봉으로부터……

「좋으니까! ??(이)니까!」

(이)라고 해도 우는 아이와 원판씨에게는 이길 수 없다. 특히,? 눈으로 수치도 세상소문도 없어진 원판씨에게는.

「그것은 곤란합니다」

하지만, 그것도 카렌씨에게는 통하지 않는다. 그것은 정식으로 마모루궁사? 씨가 받아 주지 않으면 안 되면 시청의 말단 벼슬아치와 같이 완고함을? 에? 할 것 같게 연기하고 계신다.

「좋은거야! 진한 개는 나의 것이니까! 진한 개의 물건도 나의 물건이야!」

거기에 추적할 수 있었던 원판이 마침내 끊어졌다. 위, 원판이(쟈이아니) 즘폭?.

「과연, 그것은 즉……」

라고 여기서 왜일까 카렌이 그것까지 연기를 벗어 던져 해 주거나의 미소를 띄웠다.

「마모루궁사? 에 대해서는,? 하지만 전책임을 진다고 한 것이라도 있네요?」

「――!」

일순간으로 원판의 얼굴로부터, 앨범의 건에서의 어리석지도 미소주위 격정이 완전히 없어졌다.

「원으로부터……그럴 생각이야」

그리고, 그 성배??의 때에 자주 보인, 똑같이 완고하면서도? 지로 랭? 표정에 대신하면(자), 무엇인가 맹세에서도 말하도록(듯이) 분명히 단호히 라고 단언해 보인다.

「그것을 (들)물어 안심했습니다. 그 결의를 알고 계시는 것 같으면, 이것을 보여드려도 괜찮겠지요」

거기에? 같게, 카렌도??표정이 되어. 이것이 최후와 한 장의 봉투를 테? 불에 실으면(자), 원판으로 향해 헛디딜 수 있었다.

「이것은, 언봉기? 의 정식적 유품이라고 말하는 것은 없습니다만.? , 당신이 받아? 리해야 할 물입니다」

그리고, 그대로원판이 그 내용을 확인하는 것을 가만히 응시해? 찬다.

의리

그런 무엇? 인가 숨이 막혀? 황안, 봉투의 내용을 확인한 원판의 어깨가 희미하게 떨려??(을)를 악무는 것 같은 소리가 울렸다.

「원판?」

「괜찮아요, 사?」

하지만, 생각하게 하는 내가? 모였을 때에는 봉투는 다시 닫혀져 원판도 또, 봉투를 열기 이전의 랭? 표정에? 라고 있었다.

「……알았어요. 즉, 큰일을 한다면 자신의 발밑을 굳혀라고 좋은 싶은 것」

「곧바로라고는 말씀드리지 않습니다만, 그것 위치해 주지 않으면, 마모루궁사? (은)는 끄떡도 않을 것입니다」

「그렇구나, 진한 개최? 그러니까」

「거기에 붙어 동의 합니다. 완전히, 터무니 없는 괴물(괴물)이군요」

……어느새인가 여자 두 명에게, 공통의 적을 찾아낸 것 같은 친근감이 생기고 있다.
아무튼, 사이가 좋아져 주는 것은 평화롭고 좋지만, 사람을 괴물 부름은 없지 않을까?

「그러면 용건도 끝난 일이고, 짬 합니다. 다음에? 일이 있다면……」

「기? 의 유산? 리가 끝났을 때라는 (뜻)이유군요?」

「그렇게 되네요. 그 때야말로, 나의 임무가 완전하게 달성되었을 때라고 하는 일이기 때문에」

그리고 마지막으로, 카렌은 원판과 어쩐지 이상하다??(을)를 주고 받아, 원판저를 떠나 갔다.

 


그렇게 말하면 그 봉투, 결국였던 것일까.
원판은 시기가? 이야기한다 라고 하고 있기도 했고, 나로서도 그 때를 기다릴 뿐(만큼)이라고 생각해 있었는데, 완전히 잊고 있었던……

「응? 어떻게 한 원판?」

그런 일을 생각해 내면서, 여기까지 이야기해 끝나고 보면, 다시 또 원판은 어쩐지 투덜투덜? 오면서 머리를 움켜 쥐고 있다.

「……유산? 리가 끝나면(자)……했던, 끝나고 있었어……」

유산? 리? 아 그렇게 말하면 최후 그런? 이야기하고 있었던.

「무슨 일이야?」

「응, 사?. 나들이 이번 두 명만으로? 라고 온 것,? 네 비쳐?」

「아, 르비아씨랑 세이바? 들과 1? 그렇지만 좋았지만, 신부님의 일이겠지?」

본? , 금년의??(은)는 전년 동? , 원판가에? 델 펠트가, 그리고 새롭게 더해진 마키리가의 도쿠가와 장군의 일가 합동의? 성이 될 것이었다.
그것이 급거? 더욱 된 것은, 지난여름, 그? 의 사건으로 큰 부상을 해 이? 아무래도? 조의 생각되지 않았던 신부님이, 금년 드디어 퇴임하는 일이 되었어? (이)다.
후유키의??(은)는, 안 대로 단순한??(은)는 아니다. 특히 지금은 원판에 대신해 후유키의? 맥관리도 하고 있는 이상, 인? 에는 정식적 관리자인 원판의 립? 감자 필요.
그래서, 우리들 두 명만 한 발 앞서??된 것이지만.

「그것이 아무쪼록 했는지?」

「제발이 아니어요, 곧??에 가요!」

뭐가 어째서 그렇게 되는지 전혀 알지 않는다.
그렇다고는 해도, 냉큼 자리에서 일어나 척척 진행되는 원판씨를 추방해도 둘 수 없다. 나는 몹시 서둘러? 합계를? 키, 마치 적지에 진군 하도록(듯이) 기세로??(으)로 향하는 원판의 뒤를 쫓는 일로 했다.

「사? ,? 있고!」

원판씨는 상당히 발이 빠르다. 점구 따라잡은 것은,??에는 후는 비탈을 오를 뿐(만큼)이라고 하는 교차점의 앞에서의 일이었다.

「? 있고는 좋지만, 어째서 그렇게 서두르는 것?」

「 어째서는……아, 그래. 사? 에게는 아직 이야기해 없었어요……」

왜일까 묘하게 안달하는 원판씨에게, 내가는이라고와 고개를 갸웃해 물어 보면, 원판은 와? 하지만 붙은 것처럼 작고? 구와? 없는 듯이  잘라 왔다.

「그 봉투군요.? (은)는……나들 가족의??하지만 들어가 있었어」

「 나들은, 원판의?」

「응. 나와 아버지와 어머니와……? 의, 모두가 모두 웃고 있는 것 같은……극히? 보통 스냅??하지만……」

「……그런가」

그것이 어떻게 했다? 사정을 모르는 인간이 (들)물으면(자) 그 만큼의??(이었)였던 것일 것이다. 하지만, 지금의 나는 원판이 마술사의 가계도 일을 알고 있다. 그리고,? 하지만 남의 집에 나와 거기서 어떤 생활을 배웅하고 왔는지를……
원판은, 그런??(을)를 보여질 때까지, 자신의 가족이 보통 가족으로서 존재하고 있던 일이 있었다라고 몰랐을 것이다.
그리고, 그것은 마술사의 가족으로서 있어서는 안되는 것, 그렇지 않으면 어릴 적 끊은 혼자서? 된 원판이, 남의 집에 나왔어? 하지만 너무 비? 지나다.

――그것이 있었던 것이다, 자네들은 두 사람 모두? 부모에게 사랑받고 있었던 것이다--

언봉은, 그 망? (은)는 그것을 열반의 저 편으로부터? 라고 보였던 것이다.

「자카렌은……」

동시에 그 은빛의 소녀의 미소가? 뒤에 떠오르는, 그 무엇? 인가 언봉과 동질의 미소. 설마 카렌도 모두 감안하고 그??(을)를……

「아, 저녀석의 사정은 달라요. 저녀석기? (을)를 국물에, 나에게? 파 걸쳤을 뿐이니까」

저녀석의 일이니까? 섬 없었던 것이 아니겠지만, 이라고 원판은 증? 무성하면서도 납득한 것 같은 말투로, 나에게 쓴웃음해 보였다.
왜일까 안심했다. 카렌은 확실히 언봉에 자주(잘) 닮은 곳(점)이 있지만, 그런데도 제일간의 부분에서 다르다. 나는 그 소녀의 자모에게도 닮은 미소를 생각해 내면서도? 있었다.
무엇? 인가 비뚤어지고는 있어도, 카렌의 기쁨은 언봉과 같이 완전하게? 역은 아니고, 아직 정의 벡터를 향하고 있었다.

「그런가, 그러니까”유산? 리”인가……」

그래서 수긍이 말했다. 카렌은 원판에? 의 일을 어떻게든 하라고 하는 생각을? 째라고, 그??(을)를 건네주었다. 물론, 그것을 손에 민? (으)로 하는 원판을? 일도 잊지 않고.

「뭐, 그 만큼이 아니지만요. 그렇지만 사? , 그러니까는 안심하지 말아. 저녀석은 고통은 사람을 앞에 두고 진행해? (이어)여도, 고통 그 자체를? 죽지 않은 것이 아니기 때문에」

그렇게 안심한 나에게, 원판은? 난 무성해에 환언해 온다.
확실히 말할 수 있어 이상하지만, 그 거 아무것도 카렌만이 아니어, 어딘가의 누군가씨도 꼭 닮다.

「어쨌든, 절? 저녀석에게는 마음은 허락하면? 눈이니까, 그런 일 하면(자) 빠끔히 먹어져요」

그런 생각이 얼굴에 나왔을 것이다, 원판씨는 나를 반안으로? 인이 쉿손가락을 들이대어 왔다.

「알았다. 알았지만 무엇으로 이제 와서 그런 일을? 카렌은 이제(벌써) 없야?」

그래, 그? 동의 직후. 카렌은 일은 끝났다고? 라고  했다. 그리고 그 후, 지금의 신부님이 부임해 온 것이다.

「에 , 그렇게? 자 지금 영향을 주고 있는 소리는 뭘까? 이것은 1? 누가? 있고 있는 거나?」

그렇게 생각해 원판에 물어 바로잡았지만, 원판은 과연 사람을 업신여긴 시선으로 나를 응시하면(자),? 구턱을 올려 사카노우에를 지시했다.

「에?」

거리의? 답은? 에 끊어져 벌써 와? 는 한? 주택가다. 그리고 지금, 거기에 흐르고 있는 것은 자주(잘) 맑은 그래서 있어 중후한 음색. 마치 스테인드 글라스 넘어로 강당에 넣는 빛과 같은 그 조사는, 요행도 없게 사카가미의??(으)로부터 영향을 주고 있었다. 그것은……

「……있지만 응?」

「그렇구나, 그 이외 없어요. , 서둘러요」

「, 왕」

이 조사에는 (들)물어? 네가 있다. 그래, 이것은 내가 단 한번만 (들)물은 조사. 내가 짜 올리고 카렌이? 있던 파이프 오르간의 조사다.

 


「원판? , 마모루궁사?. 우선은 무사의??(을)를 축하 말씀 드립니다」

우리들이??의 강당의 문을 여는 것과 곡이 끝나는 것은 거의 동시.
그대로 뒤돌아 본 자양화의 소녀는, 마치 기다리고 있었는지의 우리들에게??축하의??(을)를 보내 기 넘었다.

「역시, 너였다 끓어라……」

「뭐가 역시인가 알지 않습니다만, 이번 모? 라? 스승에 대신해, 정식으로 이??의 관리자에게 부임했습니다, 카렌? 오르텐시아라고 합니다」

그리고, 그대로 알려지고 와 착임의??(을)를 한 찬다.

「식응, 정식적다는 것은 일은“대리”는 잡힌 것?」

「네. 최근 3년간의 근무, 더욱은 선회의 후유키 부임의 보람도 있어??(을)를 맡는 자격을 얻는 것이 출? 했다.? 도 유산? 리를 끝낼 수 있던 것 같네요」

거기에 진 것일까라고 싫은소리도 참 까는 대리의 부분에 힘을? 째라고 단언한 원판이었지만, 카렌은 거기에, 예의 유산? 리라고 하는 부분에 힘을? 째라고? 네를 돌려주어 왔다.

「뭐, 그냥」

「조금 시간이 걸린 것 같네요.? (이)라면, 륜돈으로 향해 가기 전에 (분)편을 붙인다고 생각하고 있었습니다만…… 뭐덕분? 그리고 이렇게 해 나도 시간에 맞은 나름입니다」

더욱, 생각외 단 것 같아와 목의? 그리고 구구법와 웃는 카렌씨.

「……」

게다가, 마음껏 근심? (을)를? 보고 잡는 것 같은 표정의 원판씨.
아무튼 확실히? 의 일에? 해서는, 무사히 해결했다고는 해도 원판은 마음껏 및 허리였기 때문에.
무엇? 그리고 어떻게 알았는가는 알지 않지만, 이 문제에서는 카렌이 눌러? 맛이다.

「이라고 해도, 이것으로 언봉기? 의? 한 것은, 모두? 산 되었다고 말해도 좋을 것입니다. 축하합니다, 원판?」

「은 , 너에게? (을)를 말해지는 도리가 아니어요」

「그렇지도 않습니다. 결국, 나의 이 거리에서의 근무란, 수등구언봉기? 이렇게 말하는 남자의? 한 것(선물)의 사후? 리(뒤처리)와 같은 것이었던 것이기 때문에」

무엇? 인가 꺼림칙한 듯이  총화를 매듭지은 카렌은, 그대로 뭐라고 말해 돌려줄까하고? 알하고 있는 원판의 겨드랑이를 소매치기? , 나의 옆까지? 보고를 진행시켜 왔다.

「마모루궁사?. 당신은 여하였습니까?」

그리고??그리고? 격인 성직자의 시선으로, 나를? 무카이로부터 확인했다.

「나는……」

너무 막연히 한 물음. 1? 무엇을 묻고 있는지 형편없었지만, 그것이 나와 카렌, 그리고 원판의 세 명에게? 깨는 무엇인가 소중한 일이라고 하는 것은 확실할 것이다.
나는, 카렌의 모두 간파하는 것 같은 금빛의 눈동자를 앞에 두고, 필사적으로 자신중에, 여기서 카렌과 헤어지고 나서의 3년간의 기억에 의식을 가라앉혀 갔다.

……아

원판과 세이바? 의 세 명으로 륜돈에 건너 갔을 때의 추억. 르비아씨랑 미? 나씨, 그리고 랑스와의 출? 있고. 카? 티스에 이라이자 , 쥬리어와 보낸 날?.
그 일이? , 원판과 함께 있던 날? (은)는 무려 물결? (이)가 풍부해,? 하지만 까는 것도 충? 한 날? (이었)였던 것일 것이다.
나는 그런 추억을 가슴에, 눈앞의 카렌으로부터, 원망할 수 있는 무성해에 그래서 있어 무엇? 인가 걱정스러운 듯이 나를 응시하고 있는 원판으로 시선을 옮겼다.

너와 교제이고라고로부터, 터무니 없는 것(뿐)만이었던 것은, 별로 여름만은  것이 아니었다……

? 짬도 없고, 마음껏 이끌어 돌려졌다.
(이)지만 저녀석이, 그리고 세이바? 들이 있어 준 덕분에, 나는 마음껏 힘차게 달리는 일도 출? .
확실히 나는 지금도 아직 비뚤어진 채 그대로다, 텅 비어? 물건투성이의인 채다.
하지만 그런데도? , 지금은 확실한 지침이 있다. 텅텅안에,? 물건안에 유일개만 진짜가 있다.
나는, 나중에 있는 다만 한 개의? 의 (무늬)격에 살그머니 손을 뻗었다.

그 여름의 출? 사이? , 나의 생활은 그 때 이상으로 숨 붙는 동안도 없게 오와라인 날? 의 련? (이)다. 원판과 1? 에 때를 보낸다 라고 것은? 대체로의 일이 아니다. 본? 에 생명이 몇 있어도 부족한 것 같은 일 뿐이다.

하지만 그런데도? , 그런 날? (은)는 결코 괴로운 일(뿐)만이 아니었다. 나는……

「? 주위는 일을, 알았어」

그래,? 꾸짖었다. 기쁠 뿐만 아니라,? 꾸짖었다. 이제(벌써),? 인날것으로에 모두로부터 모이고 있었던 사? 해 뛰어날 수 있었다.
본? 에 너희들, 조금은 사양해라……

나는, 나중에서? 라고 외면하는 모두의 대신에, 눈앞에서 입을 날카롭게 하는 원판에 쓴웃음해 보였다.

「그러면, 이것에서 언봉기? 의 유산에? 하는, 모든? 리가 끝난 일을 선언합니다」

그런 우리들의 앞에서, 카렌은 1개? 구와 겹? 까는 선고를 내렸다.

그런가, 그런 것인가……

그래서 점구나는, “유산? 리”라고 하는 말의? 뜻을 이해했다.
원판이 받은 것이나,? 의??만이 언봉이 남긴 것은 아니었다. 제4차, 제5차라고 하는 2개의 성배??그리고 크고 그 존재를? 얻을 수 있어 버린 나도 또, 어느 의미언봉의 유산이었다고 하는 일인가……

그런 감개에 잠겨 있으면(자), 카렌이 월등히 상냥한 자모의 미소를 띄워 나에게 축? (을)를 보내 주었다.

「마모루궁사?. 이것으로 당신도 점구 조금은 인간에게 접근한 것 같네요」

축하해 주는 것은 좋지만, 카렌씨. 나의 일, 괴물 부름은 없는이겠지? 원판도? 있지 말고 어떻게든 말해 주어라……

 

 


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천상의? 곡이, 강당에 영향을 주어 건넌다.
높은 쪽 천하,? 나무지에? 흩어지는 널리 생명을 노래하는 기쁨과 기원의 조사.
그것은 이전, 한 번 만여라? 있던 일이 있어? 곡과 같은 물건.
땅에 사는 모든 생명에 안일과 휴식을? 신을? 네, 신의 인도에? 지금 진흙 봐에 사는 기쁨을 영것이었다.
다만, 전회와 다른 부분이 조금 있다.
본? , 연주자의 감정 등 조각도? 하지 않아? 미가인데, 오늘의 연주는 희미하게 감정 같은 것이? 라고 있는 것처럼 느꼈다.
휴식과 안일하게 영은 있으면서, 그래서 있어 오늘의 연주에는? 행의 생각이? 라고 있다.

――쭉 여기에 있으면 좋은데, 여기 안되어 와 안일하게 잠겨 있을 수 있는데, 그런데도 당신은 가는 것입니다.
――저기는 결코 그렇게 좋은 곳은 아니다고 하는데, 그런데도 당신은 가는 것입니다.

라고 할까……이렇게,??그리고 화려한 영향인데도? 깨지 않고, 등져 떼어 버리는 것 같은, 락인가 무엇인가(분)편이 어울릴 것 같은 감정도? 라고 있는 것 같은? 하지만 한다……

「어??, 감사합니다」

마지막 최후를, 그런 감정을 부딪치도록(듯이) 무엇? 인가 디 파업? 숀 같아 보인 불협화음으로 잡아 풍격? 깨었어? 미가는 끝났다.

「아니……좋은 연주였다고 생각하지만,? 깨었어? 미가다」

「본? (은)는 용서되지 않는 것입니다만, 조금 어레인지 해 보았습니다」

좋은 것인지 시스타? 하지만 그런 일로? 아무튼 능숙하기 때문에 좋은가.

「이런? 마모루궁사? , 당신에게 소리? (을)를 압니까?」

그런 일을 불쑥? 있으면(자), 카렌이 친숙한 사람을 업신여기는 시선으로 싫은 소리를 말해 왔다.

「아니, 소리? (은)는 모른다」

나는 그렇게 불쾌하게 솔직하게? 네, 카렌의 배후에 흘립 하는 파이프 오르간에 시선을 향했다.

「 그렇지만, 진한 개의? 소유는 안다. 진한 개는 너의 연주를 기뻐하고 있었다. 너는 진한 개의 단순한 소유자나 사용자가 아니다. 요행도 없고“? 있고 손”이다」

그래, 진한 개는 내가 몸소 짜 올린 그 파이프 오르간이다. 정밀한 기계,? 사 있는 기계. 그렇게 말한 것에는 영혼이나 정신이야말로 없지만, 쌓아올릴 수 있었어? 사와 축적되었다??에 의한 생각과 같은 물건이 머물고 있다.
기원에까지 거슬러 올라가는 구조 해석을 천성으로 하는 나에게는, 지금은 무기가 아니어도, 그런 생각을 짐작하는 일 정도는 할 수 있게 되어 있었다.

「네……」

틀림없다. 아주? 나무 카렌에 시선을? 와 매우 드문 광경을 보는 일이 되었다.

「아……그……과분한 칭찬의 말, 감사합니다……」

수줍고 있어요 , 카렌씨.
이것은 신선. 역시, 인간의 본성이 나오는 것은 취미나 기호의 문제야.

「, 소리? 에? 해 만은 특례로서 지도자를 준비해 주셨습니다. 무엇인가 문제는 있었습니다만……」

그리고, 어딘가 자랑스러운 듯하게 정규의? 육을 받고 있던 것을 밝혔다.
과연, 나? (을)를 통한 일은 이것이다. 반드시 마음껏? 정 쳤을 것이다, 알려지고 로 한 얼굴로.

「……그것은 차치하고. 좋습니까? 마모루궁사?.? (을)를 발해 두며」

그래서, 이것은 좋은 것을 보았다고 미소짓고 있으면(자). 카렌은, 왜일까 불끈 한 것 같은 표정이 되어, 나에게 조금 고언을 말해 왔다.

「따로 발하고 있는 것이 아니어. 원판은 이제 여기에 용무가 없기 때문에? . 나는 아직 너에게 (듣)묻고 싶은 일이 있기 때문에? . 그 만큼이다」

응, 틀림없다.

「……마모루궁사?. 당신은 여자의 마음이 알지 않는다고 말해진 일은 없습니까?」

왜냐하면의에, 카렌은 진절머리 난 것 같은 표정으로 질문을 돌려주어 왔다. 아니, 그것은 언제나 말해지고 있는데.

「……바보같은 질문이었습니다. 그런데, 그럼 나에게 묻고 싶은 일이란, 어떠한 일일까요?」

그리고 실? 에도 나의 대답을 기다리지 않고 자신만으로 납득하면(자), 재차 내가 여기에? 이유를 따져 온다.

「아, 그것이지만. 카렌, 너는……」

거기에 나는 3년전의, 오늘의 출? 일을 반추 하면서, 그런데 어떻게 이야기한 것일까하고 말을 찾으면서 쭉 생각하고 있던 의문을 부딪쳐 보았다.

「어째서, 나의? 에 이렇게 애써 주었다?」

그래, 그것을 (듣)묻고 싶었다.
??후의 재?. 원판을 빙자한 언봉의 유산? 리. 일견 그것은??의 일과 같이 보인다. 그리고, 그것은 원판과 그리고? 만의 문제로 있을까 것도 보인다.
하지만, 카렌은 오늘 이 장소에서, 언봉의 유산? 리를 나의 말로 잡았다.
올바르지 않은 주제에 잘못하지 않은 내가,? ? 응으로 있던 막다른 골목으로부터? 낼 수 있었던 일을 마지막 합계에 가져와 주었다.
? 있어 말하면, 그것은 마치 나를 돕기 위해서, 굳이 언봉의 유산 문제에 손을 대어 원판을 끌기 시작한 것처럼 보인다.
? 옆으로부터는 결코 개전 할 수 없는 나를, 외측으로부터 원판? 이렇게 말하는 존재로 움직이려고 했는지와 같이 보인다.

「나는 그 때, 너를 돕는다 라고 했는데 결국 굳이 출? 없었다. 그 파이프 오르간을 짰을 뿐이다. 거기에 나는 별로 신도도 아니다. 확실히 너는 어느 의미, 사람을 돕는 것이 일이겠지만, 나같이 무암 쓸데없이 하는 것이 아닌이겠지?」

하지만, 그 이유를 모른다.
원판에, 숨쉬도록(듯이) 사람 돕기 한다고 말해진 내가 말하는 것도 좀 그렇지만, 이런 금년 경과해 무슨이득도 안 된다.
여하에 카렌이 성직자라고는 해도 이런 귀찮음을 하는 일은……

「설마, 카렌. 너는 언봉의……」

1개(살)만 생각났다.

「그것은 다릅니다」

하지만 나가 생각난 일을, 카렌은 명확하게, 그래서 있어 불과에 비켜 놓은 말로 부정했다.

「여하에 내가 성직자라도, 좋아해 일부러 전임자의 고식 있고를 하는 일은 없습니다. ……뭐, 결과적으로는 그렇게 되어버렸습니다만」

다 안 일은 말할 필요도 없다. 그런 어조다.

「자, 어째서?」

「“정은 사람의? 안되어”」

그리고 더욱 묻는 나에게, 3년전, 때때로 보여 준, 어쩔 수 없고 상냥한 표정으로? 네라고 주었다.

「사람에게 정을 거는 것은, 결국 회전 돌아 자신이 구해지기 (위해)때문에라고 하는 속담이군요. 나는 이것이 일? 인 일을 당신에게? 천민이나 만」

그리고 그 표정인 채,? 공양에 그렇게 말하면(자),? 인가 같게 나에게 말을 건네 왔다.

「마모루궁사?. 3년전, 여기서 내가 마지막에 물은 일을? 네라고 있습니까?」

「? ……아, 저것인가……」

 


저것은 3년전, 카렌이 이??(을)를 떠나는 전날. 이별의??대신에, 여기서 내가 짜 올린 오르간의 연주를 들을만해 주었을 때다.
오늘과 같은,??그리고 화려한 영향. 지금일과 달리. 그것은? 범을 1? 도 나오지 않는 딱딱하고? 주위 연주이기도 했다.

「, 카렌. 본? 에……끝났는지?」

그렇게 완고한 연주의 탓인지, 그렇지 않으면 그 날의 카렌이 안심하면서도, 무엇? 인가? 인--그렇게, 꼭 축제가 끝난 뒤의 쓸쓸한 듯한 분??(와)과 같은, 그런 하늘? (을)를 감기고 있었어? 인가, 나는 (듣)묻지 않고라도인 것 것을 (들)물어 버렸다.

「네, 끝났습니다. 아직도“성배”라고 해야 할 것은 존재합니다만, 그 내용은 이제 이 세계에는 존재하지 않습니다」」

단호히? 카렌. 하지만 거기에 얼마 안되는 미혹이 있었다.
알고는 있고 이해도 하고 있다. 하지만 납득 다 할 수  없다. 그런 미혹이다.

「다만……그……마모루궁사?. 1개(살), 당신에게 물어도 좋을까요?」

그러니까일 것이다. 일순간의 심? 의 후, 카렌은 무엇? 찌꺼기같은 시선으로 나에게 말을 건네 왔다.

「나에게?」

「네, 아마 당신 밖에 알지 않는다」

「그러한 일이라면 뭐든지 (들)물어 주고」

「에서는, 호의를 받아들이며……」

그리고 카렌의 입으로부터 발해진 물음은, 정말 뜻밖의 것이었다.

「……영? 의? 건?」

「네, 그……마모루궁사? (이)라면 안다. 왜일까 알지 않습니다만, 그런 확신이 있던 것으로……」

「그런 말을 들어도……」

하지만, 나에게는 마음? 충분하고가 있었다.

아, 카렌은 올바르다. 진한 개는 나와 나머지는 아마 원판 밖에 알지 않는……아니, 모르는 것일 것이다.

「……피할 수 없는 운명으로부터, 생명을? 있고 취하는 것?」

「아, 그렇다. 그 만큼이다」

그래, 단지 그 만큼.
나는 알고 있다. 영? 의? 건은, 굳이? 사에 이름을? 일이나 눈에 보이는 위업을 이루는 일은 아니다.
비록 1개(살)에서도 좋다. 결코 살아나지 않아야 할 생명을 돕는다. 거기에 따라, 사람은 사람을 넘고 영? (이)가 된다. 아니 세계는 영? (을)를 손에 넣는다.
나는……나의 말로(아? 체? )(으)로부터 그것을 지(? 원).

「아……」

순간, 카렌의 얼굴로부터 울굴이 사라졌다. 이해해 알고는 있던 것이, 점구납득할 수 있어도 얼굴이다.

「그렇게 좋은 걸이 아니어?」

(이)라고 해도나로서는 고언을 정 하지 않을 수 없다. 여하튼, 나는 영? 라고의가 녹인  것이 아니다(저녀석같은 것)와 알고 있다.

「 그렇지만……」

하지만, 그런데도 카렌은 미소지어 보였다. 무엇? 인가 먼 눈으로, 아 좋았다고.

「누구로부터도 잊고 떠나지는 것보다, 무에? 하는 것보다는 좋다고 생각합니다」

그리고 1? , 이번은 원판씨와도 무엇? 인가 통하는, 평소의 함축? 재의 표정으로 나에게 미소지어 걸쳐 왔다.

「마모루궁사? , 차라리 방치해 줄까하고도 생각하고 있었습니다만, 덕분에 생각이 정해졌습니다」

「? 아니, 도움이 될 수 있어 기뻐」

일순간 속편로 했지만, 아무래도 그 미소가 향하는 앞은 나는 아닌 것 같다. 나는 안심해.

「에서는 마모루궁사?. 마지막??(을)를 분부. 좋네요」

……아무래도, 나도 완전하게 제외되고 있던 것은 아닌 것 같다. 어쩐지? 도 참 매우 후가 무서운 것 같은? 하지만 해, 나는 솔직하게 그 분부를 맡는 일이 되어 버렸다.

 


「…………」

「아무래도 생각해 내 준 것 같네요」

「아, 생각해 냈다. 저것은 저것대로 대? (이었)였던 것이다?」

카렌에 부탁받은 마지막??. 변두리의 양관의 조사와 거기서 찾아낸 한사람의 여성. 그리고 그 후의? 동까지를 생각해 내, 나는 마음껏? 있고 얼굴로 카렌을? 찾아내 주었다.
아 그랬던, 생각해 냈어. 3년전의 여름의? 동이라고 하는 것은, 아무것도 카렌의 한 건만이 아니었다.

「입니다만, 그래서 하나의 생명이 살아났다. 좋은 일은 아닙니까」

「인사라고 생각하며……」

「인사가 아닙니다. 결국, 그것도 포함해 당신의 공연한 참견으로 나의 일(언봉의 유산의? 리)는 완료했다. 거기에, 마모루궁사?. 당신은 모르겠지만, 당신은 당신의 삶의 방법으로 하나의 영혼을 풀어 발했어요?」

그러니까, 자신은 마모루궁사? 의? 에 애써? (이)가 되었던 것이다라고 말한다.

「 전혀판?」

「알지 않아도 좋다. 알고 있어 준다면」

카렌은 그렇게 말하면(자), 낄낄 웃으면서 시선을??의 천개를 가리는 스테인드 글라스를 향했다.
엔을 그려, 무? 의 종??에 장식해진 스테인드 글라스.
그것은 마치, 무? 에 있어? 다의 세계의 조각을? 맞추어 출? (이)라고 있는 것과 같게 보인다.
거기를 통해? 여름의 태양의 빛이, 강당에 쏟아지고 있다.

……아

끌려 올려봐 그 눈부심에 눈을 깜박이게 한 나는, 굵음 나무 본 꿈을 생각해 냈다.

――왜일까, 기? (은)는 그렇게 좋은 곳은 아닐 것이라고 말할 확신은 있었지만,
――그런데도 역시 나는 기? (으)로 향해? ? 응으로 갔다.

아, 그런 것인가.
무엇? 인가 나의 모르는, 나의? 깨지지 않는 세계에서 하나의 출? 일이 있었다.
그 녀석도 또, 어느 의미언봉의 유산이었는가도 모른다. 그것을 아마“카렌”은? 리 했다. 나의 모르는 나의 공연한 참견과 함께.
그것은 나의 모르는 무엇인가, 나의 모르는 누군가. 하지만, 지금, 나는 알고 있다.

――너는, 지금, 기? 에 있는구나--

 

END


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「기억의 재? Ver.k(작은 k)」hollow remix입니다.
그 이야기의 그 결말을, 나나름의 해? 그리고? 보고 풀어. 그것을 나도 쓴 이야기의 어레인지로서 다 써 보았습니다.
결국 카렌은 그 이야기에서도, 언봉의 의발을? 있고로 있습니다. 그 이야기에서의 언봉의 스탠스는 「아직도 만들어지고 바구니 성배의 내용의 탄생을 확정해 축복한다」일이었기 때문에.
이 이야기, 나에게 있어 오랫만에 순? SS였습니다. 여하튼 구조 그 자체가 오코시승승결,? 의 부분은 그대로 전부 hollow 에 맡기고 있어? 그러니까.
그것은 차치하고, 이것으로 나도 점구? 라고 오는 것이 출? 했다. 앞으로도 제발 어??에.

ps. 덧붙여서 여름으로 한 이유는, 어떻게 생각해도 본? 그 작품은 여름의 이야기였다고 생각했기 때문에입니다. 그렇군요 (웃음)

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